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ボルナ病ウイルスを利用するベクター及びその利用 外国出願あり

国内特許コード P170014149
掲載日 2017年5月26日
出願番号 特願2011-507086
登録番号 特許第5299879号
出願日 平成22年3月17日(2010.3.17)
登録日 平成25年6月28日(2013.6.28)
国際出願番号 JP2010054600
国際公開番号 WO2010113647
国際出願日 平成22年3月17日(2010.3.17)
国際公開日 平成22年10月7日(2010.10.7)
優先権データ
  • 特願2009-087608 (2009.3.31) JP
発明者
  • 朝長 啓造
  • 大東 卓史
  • 本田 知之
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 ボルナ病ウイルスを利用するベクター及びその利用 外国出願あり
発明の概要 (a)ボルナ病ウイルスゲノムにおける少なくともN遺伝子、X遺伝子、P遺伝子及びL遺伝子を、ボルナ病ウイルスゲノムにおける順序と同じ順序で有し、前記P遺伝子の翻訳領域の下流に連結する非翻訳領域内に外来性遺伝子が挿入された配列を有する組換えウイルスRNAのcDNA、(b)リボザイムをコードするDNA及び(c)プロモーター配列を含み、該(a)の上流及び下流に(b)が配置され、かつ(a)及び(b)が(c)の下流に配置されていることを特徴とするウイルスベクター。
従来技術、競合技術の概要


外来性遺伝子を生体又は細胞に運搬する手段として、ウイルスベクターを利用する方法が知られている。これまでに、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、センダイウイルスを利用するベクターが開発されている。



しかしながら、これらの既存のウイルスベクターでは、例えばDNAウイルスの場合には宿主染色体にウイルス遺伝子が組み込まれることにより宿主(例えば、ヒト)への病原性が発現するという問題点があった。また、ウイルスによっては感染可能な宿主域が狭く、特定の生物にしか適用できないという問題点や、外来性遺伝子のウイルスゲノムへの組込み部位により遺伝子導入効率に差があり、遺伝子導入効率が悪いという問題点があった。また、生体内での免疫応答によりウイルスが排除されたり、ウイルス遺伝子の変異やプロモーター効率の変化が生じたりすることから、安定性及び持続性が悪いという問題点もあった。



さらに、遺伝子治療等においては、目的とする細胞のみに遺伝子を導入することができる遺伝子導入技術が期待されている。特に、神経系疾患の治療には遺伝子治療が有効であると考えられるため、神経細胞に選択的に遺伝子を導入でき、しかも安全性、安定性、持続性及び遺伝子導入効率が高いウイルスベクターの開発が望まれている。



ボルナ病ウイルス(Borna disease virus:以下、BDVともいう)は、非分節のマイナス鎖、1本鎖のRNAをゲノムとして持つモノネガウイルス目に属するウイルスであり、神経細胞に感染指向性があるという特徴を有する。さらに、BDVは細胞核で複製するウイルスであるが、その感染は非細胞障害性であり長期に持続感染するという特徴や、感染可能な宿主域が極めて広いという特徴も有する(非特許文献1及び2等)。



BDVを利用する外来性遺伝子の細胞への導入技術として、緑色蛍光蛋白質(GFP)の発現カセットをBDVゲノムの5’末端側の非翻訳領域に挿入し、この組換えウイルスを高活性のポリメラーゼと共にラットに感染させると、ラットの神経細胞においてGFP遺伝子が発現したことが報告されている(非特許文献3)。



特許文献1には、(a)ボルナ病ウイルスゲノムをコードするcDNAのG遺伝子の翻訳領域に任意の外来性遺伝子を挿入した組換えウイルスのcDNA、(b)リボザイムをコードするcDNA及び(c)プロモーター配列を含み、該(a)の上流及び下流に(b)が配置され、かつ(a)及び(b)が(c)の下流に配置されているウイルスベクターが開示されている。



BDVを利用する上記技術によれば、中枢神経系の細胞に選択的に外来性遺伝子を挿入することができると考えられる。しかしながら、上記BDVを用いる技術においては、遺伝子の導入効率が十分高くないため、遺伝子の導入効率をより高くするための改良の余地があった。従って、組換えウイルスの複製効率が高く、感染可能な宿主域が広く、安全性及び外来性遺伝子の導入効率が高く、安定性及び持続性が良好であり、しかも中枢神経系に選択的に外来性遺伝子を導入することができるウイルスベクターは、未だ開発されていなかった。

産業上の利用分野


本発明は、外来性遺伝子を細胞に導入するためのウイルスベクター、組換えウイルス及びその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a)ボルナ病ウイルスゲノムにおける少なくともN遺伝子、X遺伝子、P遺伝子及びL遺伝子を、ボルナ病ウイルスゲノムにおける順序と同じ順序で有し、前記P遺伝子の翻訳領域の下流に連結する非翻訳領域内に外来性遺伝子が挿入された配列を有する組換えウイルスRNAのcDNA、(b)リボザイムをコードするDNA及び(c)プロモーター配列を含み、該(a)の上流及び下流に(b)が配置され、かつ(a)及び(b)が(c)の下流に配置され、該(a)は、前記外来性遺伝子の3’末端側及び5’末端側にそれぞれ制限酵素サイトを含み、前記外来性遺伝子の3’末端側の制限酵素サイトとP遺伝子の翻訳領域との間、及び前記外来性遺伝子の5’末端側の制限酵素サイトとL遺伝子の翻訳領域との間又はボルナ病ウイルスゲノムにおけるM遺伝子をボルナ病ウイルスゲノムにおける順序と同じ順序で有する場合には前記外来性遺伝子の5’末端側の制限酵素サイトとM遺伝子の翻訳領域との間にそれぞれ、配列番号11に示す配列を含み、該外来性遺伝子の3’末端側の制限酵素サイトと配列番号11に示す配列との間に少なくとも塩基配列ccが挿入され、かつ該外来性遺伝子の5’末端側の制限酵素サイトと配列番号11に示す配列との間に少なくとも塩基配列ccaが挿入されていることを特徴とするウイルスベクター。

【請求項2】
(a)組換えウイルスRNAのcDNAが、ボルナ病ウイルスゲノムにおいてG遺伝子が破壊された配列を有し、かつP遺伝子の翻訳領域の下流に連結する非翻訳領域内に外来性遺伝子が挿入された配列を有する組換えウイルスRNAのcDNAである請求項1に記載のウイルスベクター。

【請求項3】
(a)組換えウイルスRNAのcDNAが、ボルナ病ウイルスゲノムにおいてG遺伝子及びM遺伝子が破壊された配列を有し、かつP遺伝子の翻訳領域の下流に連結する非翻訳領域内に外来性遺伝子が挿入された配列を有する組換えウイルスRNAのcDNAである請求項1又は2に記載のウイルスベクター。

【請求項4】
外来性遺伝子の3’末端側の制限酵素サイトが、Bst BIサイトであり、外来性遺伝子の5’末端側の制限酵素サイトが、Pac Iサイトである請求項1~3のいずれか一項に記載のウイルスベクター。

【請求項5】
(c)プロモーター配列が、RNAポリメラーゼII系のプロモーター配列であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のウイルスベクター。

【請求項6】
(a)組換えウイルスRNAのcDNAにおいて、ボルナ病ウイルスゲノムにおけるL遺伝子のイントロンが削除されている請求項2又は3に記載のウイルスベクター。

【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のウイルスベクターにコードされるRNAを含むことを特徴とする組換えウイルス。

【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載のウイルスベクターと共に、ヘルパープラスミドとしてボルナ病ウイルスのN遺伝子、P遺伝子及びL遺伝子を発現するプラスミド又はプラスミド群をin vitroの細胞に導入する工程、及び該ウイルスベクター及びヘルパープラスミドを導入した細胞を培養して組換えウイルスを産生させる工程を含むことを特徴とする組換えウイルスの作製方法。

【請求項9】
ヘルパープラスミドとして、さらに、ウイルスの外殻遺伝子を発現するプラスミドをin vitroの細胞に導入する請求項8に記載の組換えウイルスの作製方法。

【請求項10】
ヘルパープラスミドとして、さらに、ボルナ病ウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをin vitroの細胞に導入する請求項8又は9に記載の組換えウイルスの作製方法。

【請求項11】
請求項7に記載の組換えウイルス、又は請求項8~10のいずれかに記載の方法により作製された組換えウイルスをin vitroの細胞又は動物(ヒトを除く)に感染させる工程を含むことを特徴とする外来性遺伝子の導入方法。

【請求項12】
請求項7に記載の組換えウイルス、又は請求項8~10のいずれかに記載の方法により作製された組換えウイルスを含有することを特徴とする外来性遺伝子導入剤。

【請求項13】
請求項7に記載の組換えウイルス、又は請求項8~10のいずれかに記載の方法により作製された組換えウイルスを含有することを特徴とする脳神経系細胞への外来性遺伝子導入剤。

【請求項14】
請求項1~6のいずれかに記載のウイルスベクターを含有することを特徴とする外来性遺伝子導入用キット。

【請求項15】
外来性遺伝子が、機能性RNAをコードするDNAである請求項1~6のいずれかに記載のウイルスベクター。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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