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3次元金属微細構造体の製造方法

国内特許コード P170014198
整理番号 6999
掲載日 2017年6月14日
出願番号 特願2006-077393
公開番号 特開2007-253354
登録番号 特許第4901253号
出願日 平成18年3月20日(2006.3.20)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
登録日 平成24年1月13日(2012.1.13)
発明者
  • 武安 伸幸
  • 田中 拓男
  • 河田 聡
出願人
  • 国立研究開発法人理化学研究所
発明の名称 3次元金属微細構造体の製造方法
発明の概要 【課題】真空中での処理を行うことを必要とせず、生産効率ならびに加工自由度を向上させた3次元金属微細構造体の製造方法を提供する。また、多数の金属微細構造体を互いに接触しない状態で3次元空間に配列させることを可能にした3次元金属微細構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】任意の立体形状を備えた3次元金属微細構造体の製造方法において、光を照射することにより電子を放出する電子供与体を光硬化性樹脂に添加した改質樹脂に対して、短パルスレーザー光を照射して2光子吸収微細造形法により3次元微細構造を備えたポリマー構造体を形成する第1の工程と、上記第1の工程により形成されたポリマー構造体に無電解めっきを施して、上記ポリマー構造体の表面に金属膜を形成する第2の工程とを有するようにした。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


一般に、3次元金属微細構造体を作製するにあたっては、主に集束イオンビーム装置が用いられる。



ここで、集束イオンビーム装置とは、金属イオン源から得られたイオンビームを電磁界レンズやアパーチャなどを用いてそのビーム径が数μm以下となるように絞ったイオンビームたる集束イオンビーム(Focused Ion Beam)を発生する装置である。



この集束イオンビームは、非常に高いエネルギーを持っており、金属表面に照射することにより金属を切削することができ、また、有機金属ガス雰囲気中で集束イオンビームを照射すると、ガスが分解されて物質表面に金属を成膜したり堆積したりすることができるものである。



従って、こうした集束イオンビームを発生する集束イオンビーム発生装置を用いると、約10nm程度の分解能で3次元金属微細構造体を作製することができるものであった(非特許文献1参照)。



しかしながら、上記した集束イオンビームを用いた3次元金属微細構造体の作製の手法においては、集束イオンビームの照射による金属の切削や物体表面における金属の成膜あるいは堆積などの処理は、真空中で集束イオンビームを照射することにより行う必要があるため装置の全体構成が大型化し、大きなスペースが必要になるとともにコストもかかることになるという問題点があった。



また、上記した集束イオンビームを用いた3次元金属微細構造体の作製の手法においては、多数の金属微細構造体を互いに接触しない状態で3次元空間に配列させる場合、各金属構造体が何らかの別の材料によって保持される必要があることから、このような金属微細構造体の作製が困難であることが指摘されていた。



さらに、この集束イオンビームを用いた3次元金属微細構造体の作製の手法においては、集束イオンビームにより切削されたり成膜あるいは堆積などが行われる領域が極めて微小な領域(例えば、直径10nm程度の領域である。)であるため生産効率に劣り、1つの3次元金属微細構造体を作製するには処理時間が長時間(例えば、数時間である。)に及ぶようになるので大量生産には不向きであり、産業上における利用が制限されるという問題点があった。




なお、3次元金属微細構造体を作製する他の手法としては、2光子吸収微細造形法も知られている(非特許文献2参照)。



この2光子吸収微細造形法とは、以下の原理によるものである。即ち、短パルスレーザー光を光硬化性樹脂に集光すると、光強度が高い集光点でのみ2光子吸収が起こる。従って、そこで局所的に光硬化性樹脂の硬化反応が進行し、ポリマーが得られることになる。このとき、2光子吸収が集光点の中でも特に光強度の強い中心部でのみ起こるため、その硬化スポットは光の回折限界を超えたサイズで作製することができる。そのため、光硬化性樹脂中で、3次元的に集光を走査することにより、任意形状の3次元ポリマー構造を作製することが可能である。



なお、上記した2光子吸収微細造形法によれば、例えば、波長800nmのフェトム秒チタンサファイアレーザーを用いて2光子吸収微細造形法を行った際に得られる最小スポットは約100nmであるため、こうした短パルスレーザーを用いることにより、約100nmの分解能で3次元微細構造を作製することができる。



ここで、図1(a)(b)(c)に示す体長8μmの牛の立体模型を作製する場合を例にして、2光子吸収微細造形法による処理手法を具体的に説明すると、まず、光硬化性樹脂に対して短パルスレーザー光を照射し、その集光点を3次元的に走査しながら、光硬化性樹脂中における硬化スポットを1点ずつ並べた体長8μmの牛の立体図を完成させる(図1(a)参照)。硬化スポットを1点ずつ並べた体長8μmの牛の立体図が完成したならば、エタノールなどにより未硬化の光硬化性樹脂を取り除くと(図1(b)参照)、体長8μmの牛の立体模型が得られることになる(図1(c)参照)。



なお、短パルスレーザー光を照射して2光子吸収微細造形法を実施するためのシステムとしては、例えば、図2(a)(b)に示すような短パルスレーザー光としてフェムト秒レーザー光を照射するシステムが提案されている。この図2(a)(b)に示すような短パルスレーザー光を照射して2光子吸収微細造形法を実施するためのシステムは、非特許文献2にも開示されているように既に周知のものであるため、その詳細な構成ならびに作用の説明は省略する。



しかしながら、上記した2光子吸収微細造形法においては、得られる3次元微細構造体がポリマー構造体に限定されるものであり、3次元金属微細構造を作製することができないという問題点があった。




なお、カルバゾールを用いた銀還元に関する公知文献としては、例えば、非特許文献3として提示するものがあり、また、プラスチックへのめっきに関する公知文献としては、例えば、非特許文献4として提示するものがある。
【非特許文献1】
Y.Hirayama, Y.Suzuki, S.Tarucha and H.Okamoto, J.J.Appl.Phys.Part2-Letter 24, L516(1985)
【非特許文献2】
S.Kawata, H.-B.Sun, T.Tanaka and K.Takada, Nature 412,697(2001)
【非特許文献3】
H.Katagi, H.Kasai, S.Okada, H.Oikawa, H.Matsuda and H.Nakanishi, Polym.Adv.Technol.11,778(2000)
【非特許文献4】
G.O.Mallory, J.B.Hajdu, Electroless plating:Fundamentals and Applications, American Electroplaters and Surface Finishers Society, Orlando, FL 1990. V.P.Menon, C.R.Martin, Anal.Chem.67, 1920(1995)

産業上の利用分野


本発明は、3次元金属微細構造体の製造方法に関し、さらに詳細には、nmオーダーの分解能で3次元金属微細構造体、例えば、0.1~数μm程度の大きさの微細な金属立体構造体を作成する際に用いて好適な3次元金属微細構造体の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
任意の立体形状を備えた3次元金属微細構造体の製造方法において、
光を照射することにより電子を放出する電子供与体を光硬化性樹脂に添加した改質樹脂に対して、短パルスレーザー光を照射して2光子吸収微細造形法により3次元微細構造を備えたポリマー構造体を形成する第1の工程と、
前記第1の工程により形成された前記ポリマー構造体の表面に、無電解めっきにより金属膜を形成する金属の陽イオンが存在する状態で、前記電子供与体に電子を放出させる前記光を該ポリマー構造体に照射する、光を照射する工程と、
当該光を照射する工程の後に、該ポリマー構造体の表面に金属の陽イオンが存在する状態で無電解めっきを施すことにより、前記ポリマー構造体の表面に金属膜を形成する第2の工程と
を有する
3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項2】
任意の立体形状を備えた3次元金属微細構造体の製造方法において、
光硬化性樹脂に対して短パルスレーザー光を照射して2光子吸収微細造形法により3次元微細構造を備えた第1のポリマー構造体を形成する処理と、光を照射することにより電子を放出する電子供与体を光硬化性樹脂に添加した改質樹脂に対して短パルスレーザー光を照射して2光子吸収微細造形法により3次元微細構造を備えた第2のポリマー構造体を形成する処理とを行い、前記第1のポリマー構造体と前記第2のポリマー構造体とよりなる第3のポリマー構造体を形成する第1の工程と、
前記第1の工程により形成された前記第3のポリマー構造体の表面に、無電解めっきにより金属膜を形成する金属の陽イオンが存在する状態で、前記電子供与体に電子を放出させる前記光を該第3のポリマー構造体に照射する、光を照射する工程と、
当該光を照射する工程の後に、該第3のポリマー構造体の表面に金属の陽イオンが存在する状態で無電解めっきを施すことにより、選択的に前記第2のポリマー構造体の表面に金属膜を形成する第2の工程と
を有する
3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の3次元金属微細構造体の製造方法において、
前記電子供与体は、分子構造内に少なくとも1個のカルバゾール基を有する
ことを特徴とする3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項4】
請求項3に記載の3次元金属微細構造体の製造方法において、
前記電子供与体は、1,6-ジ(N-カルバゾール)-2,4-ヘキサジインの重合体である
ことを特徴とする3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項5】
請求項3に記載の3次元金属微細構造体の製造方法において、
前記電子供与体は、9H-カルバゾール-9-エチルメタクリレートの重合体である
ことを特徴とする3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項6】
請求項1または2のいずれか1項に記載の3次元金属微細構造体の製造方法において、
前記電子供与体は、R-CHOを分子構造内に有する
ことを特徴とする3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項7】
請求項1または2のいずれか1項に記載の3次元金属微細構造体の製造方法において、
前記電子供与体は、半導体である
ことを特徴とする3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項8】
請求項1または2のいずれか1項に記載の3次元金属微細構造体の製造方法において、
前記第2の工程が、前記表面に前記金属の陽イオンとともに還元剤が存在する状態で前記無電解めっきを施す工程である
ことを特徴とする3次元金属微細構造体の製造方法。

【請求項9】
請求項1、2または8のいずれか1項に記載の3次元金属微細構造体の製造方法において、
前記金属の陽イオンが銀イオンである
ことを特徴とする3次元金属微細構造体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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