TOP > 国内特許検索 > 関節炎の予防・治療剤、検査キット、並びに関節炎予防・治療薬のスクリーニング方法

関節炎の予防・治療剤、検査キット、並びに関節炎予防・治療薬のスクリーニング方法

国内特許コード P170014199
整理番号 (S2014-1467-N0)
掲載日 2017年6月14日
出願番号 特願2016-545659
出願日 平成27年8月24日(2015.8.24)
国際出願番号 JP2015074556
国際公開番号 WO2016031996
国際出願日 平成27年8月24日(2015.8.24)
国際公開日 平成28年3月3日(2016.3.3)
優先権データ
  • 特願2014-174638 (2014.8.28) JP
発明者
  • 中野 和久
出願人
  • 学校法人産業医科大学
発明の名称 関節炎の予防・治療剤、検査キット、並びに関節炎予防・治療薬のスクリーニング方法
発明の概要 本発明はTet 3の発現阻害物質を含有する、関節リウマチを含む関節炎の予防・治療剤、診断キット、並びに関節リウマチを含む関節炎の予防及び/又は治療活性を有する新規な物質の探索手段を提供する。
従来技術、競合技術の概要


関節リウマチは、全身の関節に慢性炎症を生じる難治性の自己免疫疾患である。関節内の滑膜組織が増殖し、進行性に軟骨と骨が破壊される。関節リウマチの滑膜線維芽細胞(FLS)はマクロファージやリンパ球により刺激(TNFα、IL-1βなどの炎症性サイトカイン)されて活性化され、活性化した滑膜線維芽細胞は、炎症性サイトカインやケモカイン産生、基質分解酵素分泌により関節破壊を起こす一方、増殖能・浸潤能の亢進、アポトーシス感受性低下などの癌細胞と似た性質も持つ。近年、GWAS(Genome-Wide Association Study)の結果より約30の遺伝子多型が関節リウマチの発症や重症度に関わることが知られるようになってきた。その一方で、エピジェネティクスの異常が関節リウマチの発症や重症度に深く関わることが示唆されるようになった。DNAのメチル化はエピジェネティクスの代表的な機構の一つであり、関節リウマチにおいてもゲノム全体、もしくは特定の遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化異常が存在することが報告されてきた。発明者は近年、ゲノム網羅的DNAメチル化解析により、関節リウマチ患者由来滑膜線維芽細胞には疾患に特有なDNAメチル化パターンが存在し、異常メチル化を示した遺伝子の多くが関節リウマチの病態に深く関わることを示した(非特許文献1)。
生物学的製剤による炎症性サイトカインを標的とした関節リウマチ治療は、寛解導入を身近なものにしたが、関節リウマチ治療にはいわゆる「Window of Opportunity」が存在し、治療開始の遅れは治療効果を限定的なものとする。このことは、炎症環境の持続自体が、滑膜炎症部位に存在する細胞をより攻撃的でかつ治療抵抗性な表現型に変質させている可能性を示唆するが、この詳細なメカニズムは不詳であった。発明者は、関節リウマチにおける滑膜炎症・骨関節破壊の中心的役割を担うTNFαやIL-1βが、FLSにおいてDNAメチル化酵素(DNMT)の発現を低下させ、受動的脱メチル化を促進することを示し、疾患特有のDNAメチル化パターン形成の分子機構の一端を明らかにした(非特許文献2)。
しかしながら、これまでは能動的なDNA脱メチル化の機構が不詳であったため、DNAメチル化・脱メチル化のダイナミズムの全貌は不明であった。近年、DNA脱メチル化酵素として機能するTet(Ten-Eleven translocation)タンパク質ファミリーが同定され、Tetタンパク質が5-メチルシトシン(5mC)を水酸化して5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を合成することが報告され、ES細胞などにおけるDNAメチル化のダイナミズムの研究は急速な進展を見せている。
ただ、関節リウマチにおけるTetタンパク質の関与については未だ明らかにされておらず、Tetタンパク質が関節リウマチの治療標的となり得るか否かは全く不明のままであった。

産業上の利用分野


本発明は、関節炎、特に関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)の予防・治療剤、並びに関節炎、特に関節リウマチ予防・治療薬のスクリーニング方法に関する。より詳しくは、Tet 3(Ten-Eleven translocation 3)の機能を阻害する物質を含有する、関節炎、特に関節リウマチの予防剤及び/又は治療剤、並びにTet 3の機能阻害を指標とする、関節炎、特に関節リウマチ予防・治療薬の候補物質をスクリーニングする方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Tet 3(Ten-Eleven translocation 3)の発現阻害物質を含有する、関節炎の予防及び/又は治療剤。

【請求項2】
Tet 3の発現阻害物質が、
(a)Tet 3遺伝子の転写産物に対するアンチセンス核酸、
(b)Tet 3遺伝子の転写産物に対するリボザイム核酸、又は
(c)Tet 3遺伝子の転写産物に対してRNAi活性を有する核酸もしくはその前駆体である、請求項1に記載の剤。

【請求項3】
関節炎が関節リウマチ、乾癬性関節炎または脊椎関節炎である、請求項1または2に記載の剤。

【請求項4】
以下の(1)~(3)の工程を含む、関節炎の予防及び/又は治療薬のスクリーニング方法:
(1)Tet 3遺伝子もしくは該遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞を、被検物質に接触させる工程、
(2)前記細胞におけるTet 3遺伝子もしくはTet 3タンパク質又はレポータータンパク質の発現量を測定する工程、
(3)被検物質の非存在下において測定した場合と比較して、Tet 3遺伝子もしくはTet 3タンパク質又はレポータータンパク質の発現量を低下させた被検物質を、関節炎の予防及び/又は治療薬の候補として選択する工程。

【請求項5】
Tet 3と被検物質とを接触させ、Tet 3と結合能を有する被検物質を関節炎の予防及び/又は治療剤の候補として選択することを特徴とする、関節炎の予防及び/又は治療薬のスクリーニング方法。

【請求項6】
関節炎の予防及び/又は治療薬の候補として選択された被検物質を関節炎モデルに適用し、該モデルにおける炎症反応を抑制するか否かを検定することをさらに含む、請求項5に記載の方法。

【請求項7】
以下の(1)~(3)の工程を含む、関節炎の予防及び/又は治療薬のスクリーニング方法:
(1)滑膜線維芽細胞を、被検物質に接触させる工程、
(2)前記細胞のゲノムの5-メチルシトシン(5mC)の脱メチル化または浸潤性の程度を測定する工程、
(3)被検物質の非存在下において測定した場合と比較して、前記細胞のゲノムの5-メチルシトシン(5mC)の脱メチル化または浸潤性を抑制した被検物質を、関節炎の予防及び/又は治療薬の候補として選択する工程。

【請求項8】
関節炎が関節リウマチ、乾癬性関節炎または脊椎関節炎である、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。

【請求項9】
被験者由来の試料から、下記(a)または(b)を用いてTet 3遺伝子の転写産物または翻訳産物を検出または定量することを含む、関節炎の検査方法:
(a)Tet 3遺伝子の転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブまたは核酸プライマー
(b)Tet 3遺伝子の翻訳産物を特異的に認識する抗体。

【請求項10】
関節炎が関節リウマチ、乾癬性関節炎または脊椎関節炎である、請求項9に記載の方法。

【請求項11】
下記(a)および/または(b):
(a)Tet 3遺伝子の転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブまたは核酸プライマー
(b)Tet 3遺伝子の翻訳産物を特異的に認識する抗体
を含有してなる、関節炎検査用キット。

【請求項12】
関節炎が関節リウマチ、乾癬性関節炎または脊椎関節炎である、請求項11に記載のキット。

【請求項13】
Tet 3(Ten-Eleven translocation 3)の発現阻害物質の有効量を対象に投与することを含む、関節炎の予防及び/又は治療方法。

【請求項14】
関節炎の予防及び/又は治療に使用するための、Tet 3(Ten-Eleven translocation 3)の発現阻害物質。

【請求項15】
関節炎の予防及び/又は治療剤を製造するための、Tet 3(Ten-Eleven translocation 3)の発現阻害物質の使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2016545659thum.jpg
出願権利状態 公開


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close