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繊維状タンパク質材料の作製方法、および細胞培養方法

国内特許コード P170014208
整理番号 (S2014-1300-N0)
掲載日 2017年6月14日
出願番号 特願2016-540188
出願日 平成27年7月31日(2015.7.31)
国際出願番号 JP2015071799
国際公開番号 WO2016021498
国際出願日 平成27年7月31日(2015.7.31)
国際公開日 平成28年2月11日(2016.2.11)
優先権データ
  • 特願2014-158604 (2014.8.4) JP
発明者
  • 山田 真澄
  • 関 実
  • 堀 綾香
  • 平井 優
  • 矢嶋 祐也
  • 北川 陽一
出願人
  • 国立大学法人 千葉大学
発明の名称 繊維状タンパク質材料の作製方法、および細胞培養方法
発明の概要 細胞が高密度に包埋され、細胞外基質成分を任意に細胞と接触、3次元的形態の制御、ハイドロゲル除去後の組織形状維持、組織内で細胞の効率的な増殖と細胞間相互作用の形成及び、組織内部への細胞の均一な播種が可能な、繊維状タンパク質材料を得る手法を提供する。本発明に係る繊維状タンパク質材料作成方法は、アルギン酸ナトリウム及びタンパク質が溶解した第一の水溶液を導入する入口と、ゲル化剤水溶液を導入する入口と、入口に接続される入口流路と、入口流路が合流する合流流路と、合流流路の下流に存在する出口を有する流路構造に対し、第一の水溶液及びゲル化剤水溶液を流路構造に連続的に導入し、流路構造の内部において、第一の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、流路構造の外部あるいは内部において、ハイドロゲルに含まれるタンパク質を化学的に架橋し、ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する。
従来技術、競合技術の概要


人工的な環境で培養される哺乳動物細胞は、細胞生理学の実験対象として広く研究用途において用いられるほか、新薬の開発における薬剤の動態評価を行う上でも不可欠である。特に、ヒト培養細胞を用いて細胞ベースアッセイを行うことにより、動物実験や臨床試験の前段階として新規化合物の薬効・毒性・代謝動態などの正確な評価が可能となるため、創薬をより効果的に進めるための基盤技術として様々な細胞培養系が利用されている。



また近年、生体から取り出した細胞を生体外において培養し、病変組織や臓器の代替となる臓器や組織を作製する再生医療の試みが行われつつある。特に、生体構造を模倣した3次元的な組織を再構築することで、より機能の高い組織体の構築が可能になると期待されている。



接着性の細胞を培養するための最も一般的な方法は、シャーレやフラスコなどの平面的な培養基材の表面に細胞を接着させ培養する、という方法である。このような平面培養手法は、簡便かつ特殊な培養装置・基材を必要としない、というメリットがあるため、広く用いられている。



しかしながら、細胞は生体内においては、同種あるいは異種の細胞と立体的に相互作用を及ぼしあいつつ、組織特異的な細胞外基質(ECM)によって3次元的に取り囲まれている。つまり、通常のシャーレやフラスコを用いた培養環境は、細胞が本来存在する生体内の環境とは大きく異なるため、細胞の種類によっては、通常の培養手法ではその機能や生存率の維持が困難である場合が多い。また、培養細胞に対する薬剤の効果や毒性を評価する際には、通常の平面培養手法では、生体内で実際に起きる薬剤に対する応答を再現する上で限界がある。



そこで、平面培養と比較して生体の環境をより模倣した細胞培養環境を構築するために、細胞を3次元的に培養する試みが数多くなされている。例として、非特許文献1に示されるような細胞集塊培養法、非特許文献2および特許文献1に示されるようなハイドロゲル材料を用いる培養法、非特許文献3および特許文献2に示されるようなコラーゲンスポンジなどの多孔性の固体材料を用いる培養法などが挙げられる。

産業上の利用分野


本発明は、繊維状タンパク質材料の作製方法およびそれを利用した細胞培養方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液を導入するための少なくとも一つの入口A1~Am(m≧1)と、
ゲル化剤水溶液を導入するための少なくとも一つの入口G1~Gn(n≧1)と、
入口A1~Amおよび入口G1~Gnにそれぞれ接続される入口流路CA1~CAmおよびCG1~CGnと、
入口流路CA1~CAmおよび入口流路CG1~CGnが同時あるいは段階的に合流する合流流路Mと、
合流流路Mの下流に存在する出口O
を有する流路構造Xに対し、
前記第一の水溶液および前記ゲル化剤水溶液をそれぞれ流路構造Xに連続的に導入し、
流路構造Xの内部において、前記第一の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、
その後、流路構造Xの外部あるいは内部において、前記ハイドロゲルに含まれる前記タンパク質を化学的に架橋し、さらに前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する
繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項2】
アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液、および、アルギン酸ナトリウムが溶解された第二の水溶液を、それぞれ導入するための少なくとも二つの入口A1~Am(m≧2)と、
ゲル化剤水溶液を導入するための少なくとも一つの入口G1~Gn(n≧1)と、
入口A1~Amおよび入口G1~Gnにそれぞれ接続される入口流路CA1~CAmおよびCG1~CGnと、
少なくとも1つの合流点P1~Po(o≧1)において入口流路CA1~CAmが同時あるいは段階的に合流し、合流点P1~Poの下流における少なくとも一つの合流点Q1~Qp(p≧1)において入口流路CG1~CGnが同時あるいは段階的に合流する合流流路Mと、
合流流路Mの下流に存在する出口O
を有する流路構造Xに対し、
前記第一の水溶液、前記第二の水溶液、および前記ゲル化剤水溶液をそれぞれ流路構造Xに連続的に導入し、
流路構造Xの内部において、前記第一の水溶液および前記第二の水溶液を接触させ、流路構造Xの内部において前記第一の水溶液および前記第二の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、
その後、流路構造Xの外部あるいは内部において、前記ハイドロゲルに含まれる前記タンパク質を化学的に架橋し、さらに前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する
繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項3】
流路構造Xは、バッファー水溶液を導入するための少なくとも一つの入口B1~Bq(q≧1)と、
入口B1~Bqにそれぞれ接続し、同時あるいは段階的に合流流路Mに合流する入口流路CB1~CBqを有しており、
入口B1~Bqから連続的に前記バッファー水溶液を導入する
請求項1乃至2のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項4】
入口流路CB1~CBqは、合流点P1~Poと合流点Q1~Qpの間に存在する少なくとも一つの合流点R1~Rr(r≧1)において合流流路Mに合流する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項5】
流路構造Xは、少なくとも部分的に、微細加工を施した平板状のポリマー基板と、平面状の他のポリマー基板を貼り合せることによって形成されている
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項6】
流路構造Xは、その幅・深さ・直径等の値のうち少なくともいずれか一つが、少なくとも部分的に300マイクロメートル以下である
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項7】
前記第一の水溶液および前記第二の水溶液に含まれるアルギン酸ナトリウムの濃度は、それぞれの水溶液100mLあたり0.5g以上3g以下である
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項8】
前記タンパク質とは、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、の少なくともいずれかを含む
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項9】
前記第一の水溶液に含まれる前記タンパク質の濃度は、100mLあたり0.1g以上10g以下である
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項10】
前記ハイドロゲルは繊維状であり、また、前記ハイドロゲルの直径は少なくとも部分的に50マイクロメートル以下である
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項11】
前記ゲル化剤水溶液および/あるいは前記バッファー水溶液は、増粘剤を含む
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項12】
前記増粘剤とは、デキストラン、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、あるいはそれらの任意の組み合わせである
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項13】
前記ゲル化剤水溶液は、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉄(III)の少なくともいずれかを含む
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項14】
前記第一の水溶液、前記第二の水溶液、前記ゲル化剤水溶液、および前記バッファー水溶液のうち、最小の粘度を有するものと最大の粘度を有するものの粘度の比率が、室温において、1:1~1:10の範囲にある
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項15】
グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、タンニン酸、ゲニピン、N-ヒドロキシコハク酸イミドを有するタンパク質架橋剤、トランスグルタミナーゼ、のうち少なくともいずれかを用いることによって前記ハイドロゲルに含まれるタンパク質を架橋する
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項16】
アルギン酸リアーゼ、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸のうち少なくともいずれかを用いることによって前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法。

【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法を用いて得られた繊維状タンパク質材料に対し、細胞を付着させることを特徴とする
細胞培養方法。

【請求項18】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の繊維状タンパク質材料を細胞とともに細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液に懸濁させ、
前記細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液をゲル化させることで形成した細胞培養用ハイドロゲル内部において細胞を培養する
請求項17に記載の細胞培養方法。

【請求項19】
前記細胞培養用ハイドロゲルは、
アルギン酸、架橋ポリエチレングリコール、アガロース、コラーゲン、架橋ゼラチン、フィブリン、のうち少なくともいずれか一つを主成分とした細胞培養用ハイドロゲルである
請求項18に記載の細胞培養方法。

【請求項20】
前記細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液に懸濁させた前記繊維状タンパク質材料の体積密度は、体積割合で10%以上である
請求項18乃至19のいずれか1項に記載の細胞培養方法。

【請求項21】
前記細胞培養用ハイドロゲルに包埋された細胞の濃度は、1mL当たり100万個以上である
請求項18乃至20のいずれか1項に記載の細胞培養方法。

【請求項22】
細胞とは、哺乳動物由来の接着性細胞である
請求項17乃至21のいずれか1項に記載の細胞培養方法。

【請求項23】
前記細胞培養用ハイドロゲルにおいて前記細胞を一定期間培養した後に、前記細胞培養用ハイドロゲルを除去し、さらに前記細胞を培養する
請求項17乃至22のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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