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動物細胞の運動方向の制御基材、当該基材を用いた細胞の識別方法及び細胞の分離方法

国内特許コード P170014241
掲載日 2017年6月23日
出願番号 特願2015-546670
登録番号 特許第6128620号
出願日 平成26年11月6日(2014.11.6)
登録日 平成29年4月21日(2017.4.21)
国際出願番号 JP2014079421
国際公開番号 WO2015068759
国際出願日 平成26年11月6日(2014.11.6)
国際公開日 平成27年5月14日(2015.5.14)
優先権データ
  • 特願2013-229898 (2013.11.6) JP
発明者
  • 角南 寛
  • 横田 育子
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 動物細胞の運動方向の制御基材、当該基材を用いた細胞の識別方法及び細胞の分離方法
発明の概要 本発明は、動物細胞の運動方向を制御するための制御基材であって、該基材表面は複数の溝部を有し、該溝部は相対する壁部と底部から形成され、該溝部を形成する相対する壁部は柱状凸部を複数有するものであり、該柱状凸部の頂部は相対する壁部に形成される2つの柱状凸部の頂部の間を向いて形成されると共にこれら頂部が同じ方向を向いていることを特徴とする、動物細胞の運動方向の制御基材を提供する。
従来技術、競合技術の概要


血液、リンパ液又は液体培地などの移動可能な環境下に置かれた細胞は、化学物質や増殖因子などの化学的刺激、電気的刺激、接触刺激などの物理的刺激、その他の外的要因に応答して移動する(遊走する)性質を有している。この細胞の運動能に着目し、細胞の遊走を促す刺激を選択して使用することで、異種細胞群から任意の細胞を特異的に識別したり、分離したりする方法や、そのための機器、器具あるいは材料などが研究開発されている。



化学物質に対する細胞の化学走性(ケモタキシス)による細胞遊走の制御はこれまでに多数の研究例があり、応用としての化学走性を用いた細胞診断も実用化に至っている。化学走性を利用した細胞を分離・診断する方法の例としては、多孔質なフィルターで上下に仕切られたボイデンチャンバーを用いた方法が挙げられる。この方法は、ボイデンチャンバーのフィルター下の区画に特定の細胞を引き寄せる化学物質を置き、フィルター上の区画に様々な細胞を播くことによって、フィルター下の区画方向への細胞の移動を観察したり、移動した細胞を採取したりすることを可能にする。



しかし、ケモタキシスを用いた細胞分離方法は、細胞を化学物質や増殖因子で刺激するために、対象となる細胞の分化、増殖、機能発現などの各細胞の性状に影響を与えて、刺激前後の細胞の性状を変化させてしまうおそれがある。すなわちケモタキシスは対象となる細胞の性状を不安定にさせる傾向があり、刺激後の細胞を生体に投与するような細胞治療や診断において、ケモタキシスの利用は不利である。



一方、シリコン等の適当な材質から作製されるいわゆる「足場」(スキャホールド)を細胞に提供することで、足場上を移動する細胞の遊走能の差を利用して細胞を識別又は分離する方法も提唱されている。例えば、フォトレジスト技術を用いてシリコン基材上にマイクロオーダーの正三角柱の規則的パターンを成形した基材や、表面に突起物を形成させた基材に細胞を播種することで、細胞の遊走方向を制御する方法が報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。



足場を刺激とした細胞遊走の誘導は、ケモタキシスとは異なり刺激前後の細胞の性状を変化させる可能性が低く、足場の構造的性質又は特徴と細胞の遊走能や方向制御に関する研究が進められている。

産業上の利用分野


本発明は、細胞の運動能の差異を利用して細胞を識別する又は分離するための、動物細胞の運動方向の制御基材及び当該基材を用いた細胞の識別方法及び細胞の分離方法に関する。
本願は、2013年11月6日に日本に出願された、特願2013-229898号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

特許請求の範囲 【請求項1】
動物細胞の運動方向を制御するための制御基材であって、該基材表面は複数の溝部を有し、該溝部は相対する2つの壁部と底部から形成され、該溝部を形成する相対する2つの壁部は柱状凸部を連続して有し、該柱状凸部は、
イ)その凸が水平方向断面で少なくとも一つの頂部となる形状であり、ならびに
ロ)相対する壁部に形成される柱状凸部と互い違いの位置に設けられる
ことを特徴とする、動物細胞の運動方向の制御基材。

【請求項2】
一つの壁部において隣接する柱状凸部の頂部の間隔が3μm~20μmである、請求項1に記載の基材。

【請求項3】
前記壁部の高さが10~40μmである、請求項1又は2に記載の基材。

【請求項4】
前記相対する壁部の間の距離が2μm~20μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の基材。

【請求項5】
前記凸の方向が相対する壁部の距離方向に対して一方向に傾いている、請求項1~4のいずれか一項に記載の基材。

【請求項6】
前記凸の方向が相対する壁部の垂線方向に対して10度~80度の方向を向いている、請求項1~5のいずれか一項に記載の基材。

【請求項7】
前記柱状凸部の水平断面形状が6角形以下の多角形である、請求項1~6のいずれか一項に記載の基材。

【請求項8】
基材がシリコン、ガラス、プラスチック及び金属よりなる群から選択される材料で形成される、請求項1~7のいずれかに一項に記載の基材。

【請求項9】
2以上の異なる種類の細胞を運動能に基づいて識別する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の基材の溝部の一端に前記2種以上の異なる種類の細胞を含む細胞懸濁液を添加する工程、基材を前記細胞が生存可能な条件に保持する工程及び保持後の基材上の溝方向に沿って細胞の種類を識別する工程を含む、前記識別方法。

【請求項10】
2以上の異なる種類の細胞を運動能に基づいて分離する方法であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の基材の溝部の一端に前記2種以上の異なる種類の細胞を含む細胞懸濁液を添加する工程、基材を前記細胞が生存可能な条件に保持する工程及び保持後の基材上の細胞を回収する工程を含む、前記分離方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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