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含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤、電子顕微鏡観察用キット、電子顕微鏡による観察、診断、評価、定量の方法並びに試料台 新技術説明会

国内特許コード P170014255
整理番号 (AF12-19WO)
掲載日 2017年6月23日
出願番号 特願2015-559988
出願日 平成27年1月28日(2015.1.28)
国際出願番号 JP2015052404
国際公開番号 WO2015115502
国際出願日 平成27年1月28日(2015.1.28)
国際公開日 平成27年8月6日(2015.8.6)
優先権データ
  • 特願2014-014910 (2014.1.29) JP
  • 特願2014-179660 (2014.9.3) JP
発明者
  • 針山 孝彦
  • 高久 康春
  • 鈴木 浩司
  • 平川 聡史
  • 河崎 秀陽
  • 下村 政嗣
  • 石井 大佑
  • 太田 勲
  • 村中 祥悟
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤、電子顕微鏡観察用キット、電子顕微鏡による観察、診断、評価、定量の方法並びに試料台 新技術説明会
発明の概要 真空下においても哺乳動物、植物の組織や培養細胞、単一細胞等の含水状態の生物試料を変形させずに、生きたままの状態を保護できる真空下での電子顕微鏡観察用保護剤とそれを用いたキット、電子顕微鏡による試料の観察、診断、評価、定量の方法、および観察に用いる試料台を提供する。本発明の電子顕微鏡観察用保護剤は、生存環境付与成分、糖類および電解質を含有することを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要


走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡で試料の観察を行うためには、試料を真空下におくことから、試料の耐真空性と、像を得るために必要な導電性の付与が必要である。



走査型電子顕微鏡の試料の調製は、試料を予め真空乾燥することによって水分を除去した後に、導電性を付与し二次電子の発生効率を上げるために導電性材料(白金、炭素、金、パラジウム、オスミウムなど)を蒸着、スパッタなどの手段で試料の表面にコートして行われる。



金属や半導体などのように、導電性を有し、耐真空性があるものは、このような前処理は必要としないが、導電性が無いものは導電性材料による導電膜コートが必要である。また、耐真空性などに劣るもの、すなわち、真空乾燥や、電子顕微鏡観察時の真空中で電子ビーム照射によって変形するものである場合も、導電性材料による導電膜コートが必要である。



生物試料は、大量の水分を含むため、予め真空乾燥を要する場合が多い。このため、表面の形状が著しく変形してしまうこともあり、生きたままの状態で電子顕微鏡観察することは困難であった。



ゲル状物質、食品などの湿潤試料の含水状態は、低真空SEMやクライオSEM、環境制御型SEM(ESEM)などを用いて、常温での観察が可能である。これらの方法によれば、湿潤試料に限らず、試料を未処理のままで観察可能である。しかし、高倍率での観察を行うためには、高真空にする必要があり、試料の耐真空性、あるいは導電性が必要となる。そのため、生物試料の観察においても、生きたままの状態の高倍率での像を得ることは困難であった。



近年は、イオン液体を用いた電子顕微鏡観察方法が提案されている。特許文献1および非特許文献1、2には、イオン液体を用いて濡れた試料をSEM観察したことが記載されている。細胞への応用についても非特許文献2に記載されている。また、特許文献2にはイオン液体の技術を透過型電子顕微鏡観察に用いる方法が開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤、電子顕微鏡観察用キット、電子顕微鏡による観察方法並びに試料台に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
生存環境付与成分、糖類および電解質を含有することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤。

【請求項2】
生存環境付与成分は、多価アルコールおよびその誘導体から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤。

【請求項3】
糖類は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類とそれらの誘導体から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤。

【請求項4】
電解質は、金属化合物、金属錯体、無機塩、有機塩、酸塩基から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用保護剤。

【請求項5】
含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キットであって、(A)生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤と、(B)界面活性剤含有溶液とを具有することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キット。

【請求項6】
生存環境付与成分は、多価アルコールおよびその誘導体から選択される1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キット。

【請求項7】
糖類は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類とそれらの誘導体から選択される1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キット。

【請求項8】
電解質は、金属化合物、金属錯体、無機塩、有機塩、酸塩基から選択される1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡観察用キット。

【請求項9】
生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の生物試料を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成して含水状態の生物試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程とを含むことを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項10】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、前記電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布する少なくともその前後に、界面活性剤含有溶液を含水状態の生物試料に塗布することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項11】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、前記電子顕微鏡観察用保護剤を含水状態の生物試料に塗布するのに先立って含水状態の生物試料表面を水洗浄することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項12】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、前記試料台は、円柱形の基部材の上面に、前記薄膜を形成させた含水状態の生物試料を載置し、前記円柱形の部材の直径にほぼ等しい円形の開口部を有し、その上面部には前記開口部よりも直径の小さな開口部を備え、側面部には固定孔を持つリング状部材を、前記円柱形の基部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せ、円柱形の基部材とリング状部材を固定材で固定することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項13】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、前記試料台は、中央に円形の凹部が形成された円柱形の部材の上面に、前記薄膜を形成させた含水状態の生物試料を載置し、中央に円形の貫通孔が形成され、前記貫通口の周囲に複数の固定孔が開孔された円盤状の部材を、円柱形の部材の上面に載置した含水状態の生物試料に被せ、円盤状の部材と円柱形の部材とを固定材で固定することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項14】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、電子顕微鏡の試料室内において試料観察用の電子線を含水状態の生物試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項15】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、電子顕微鏡による含水状態の生物試料観察前に予め、電子顕微鏡の試料室内の電子線とは別途の電子線またはプラズマを試料に照射することによって、含水状態の生物試料の表面に薄膜を形成することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項16】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を、含水状態の生物試料の破壊を伴わずに前記表示装置に表示することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項17】
請求項9に記載の含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法において、走査型電子顕微鏡を用いて、含水状態の生物試料のチャージアップを起こさずに含水状態の生物試料の電子顕微鏡像を表示装置に表示することを特徴とする含水状態の生物試料の電子顕微鏡による観察方法。

【請求項18】
請求項12に記載の観察方法に用いる試料台であって、円柱形の基部材と、前記円柱形の部材の直径にほぼ等しい円形の開口部を有し、その上面部には前記開口部よりも直径の小さな開口部を備え、側面部には固定孔を持つリング状部材と、固定材を備え、円柱形の基部材の上面に、前記薄膜を形成させた含水状態の生物試料が載置され、前記リング状部材は、前記円柱形の基部材の上面に載置された含水状態の生物試料に被せられ、円柱形の基部材とリング状部材が固定材で固定されることを特徴とする試料台。

【請求項19】
請求項13に記載の観察方法に用いる試料台であって、中央に円形の凹部が形成された円柱形の部材と、中央に円形の貫通孔が形成され、前記貫通口の周囲に複数の固定孔が開孔された円盤状の部材と、固定材を備え、円柱形の部材の上面に、前記薄膜を形成させた含水状態の生物試料が載置され、前記円盤状の部材は、円柱形の部材の上面に載置された含水状態の生物試料に被せられ、円盤状の部材と円柱形の部材とが固定材で固定されることを特徴とする試料台。

【請求項20】
生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の癌細胞またはこれを含む組織の画像診断を行う工程とを含むことを特徴とする含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法。

【請求項21】
請求項20において、前記含水状態の癌細胞は、正常細胞または細胞シート上に播種し、培養したものであることを特徴とする含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法。

【請求項22】
請求項20において、生体から摘出した含水状態の癌細胞またはこれを含む組織を、摘出後直ちに化学固定することを特徴とする含水状態の癌細胞の電子顕微鏡による診断方法。

【請求項23】
含水状態の細胞または細胞シートに生理活性物質または薬剤を添加する工程と、前記生理活性物質または薬剤を添加した含水状態の細胞または細胞シートに生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態の細胞または細胞シートを試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態の細胞または細胞シートの表面に薄膜を形成して覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態の細胞または細胞シートの電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態の細胞または細胞シートに対する前記生理活性物質または薬剤の効果を画像診断する工程とを含むことを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の作用の電子顕微鏡による評価方法。

【請求項24】
請求項23において、前記細胞が含水状態の正常細胞であって、正常細胞の形態変化を指標として副作用の少ない生理活性物質または薬剤をスクリーニングすることを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の効果の電子顕微鏡による評価方法。

【請求項25】
請求項24において、前記生理活性物質または薬剤が抗癌剤であることを特徴する含水状態の細胞に対する薬剤の効果の電子顕微鏡による評価方法。

【請求項26】
請求項23において、前記細胞が含水状態の病変細胞であって、前記含水状態の病変細胞の形態変化を指標として活性のある薬剤をスクリーニングすることを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の効果の電子顕微鏡による評価方法。

【請求項27】
請求項26において、前記含水状態の病変細胞が癌細胞であって、前記生理活性物質または薬剤が抗癌剤であることを特徴とする含水状態の細胞に対する生理活性物質または薬剤の効果の電子顕微鏡による評価方法。

【請求項28】
含水状態の細胞と1次抗体を接触させる工程と、前記1次抗体に金コロイド修飾された2次抗体を接触させる工程と、前記1次抗体と2次抗体とが結合した細胞に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した細胞を試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して細胞の表面に薄膜を形成して試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った細胞の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程とを含み、含水状態の細胞の一次抗体との結合部位を観察することを特徴とする電子顕微鏡による観察方法。

【請求項29】
請求項28において、前記1次抗体と反応する抗原が、前記含水状態の細胞の膜タンパク質であり、含水状態の細胞の一次抗体との結合部位を観察することを特徴とする電子顕微鏡による観察方法。

【請求項30】
含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程と、前記基板上に濃縮した含水状態のウイルス粒子に生存環境付与成分、糖類および電解質を含有する電子顕微鏡観察用保護剤を塗布する工程と、前記電子顕微鏡観察用保護剤を塗布した含水状態のウイルス粒子を前記基板とともに試料台に載置し、電子線またはプラズマを照射して含水状態のウイルス粒子の表面に薄膜を形成して試料を覆う工程と、真空下の試料室に収容された前記薄膜で覆った含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像を表示装置に表示する工程と、表示された含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡像においてウイルス粒子を計数する工程とを含むことを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。

【請求項31】
請求項30において、前記含水状態のウイルス粒子を基板上に濃縮する工程が、含水状態のウイルス粒子の表面に電荷をチャージさせ、このチャージさせた電荷と相反する電荷を表面にチャージさせた基板に吸着させてウイルス粒子を濃縮することを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。

【請求項32】
請求項31において、前記含水状態のウイルス粒子表面にポリブレン処理してプラスの電荷をチャージさせることを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。

【請求項33】
請求項32において、プラズマ照射することによって基板の表面にマイナスの電荷をチャージさせることを特徴とする含水状態のウイルス粒子の電子顕微鏡による定量方法。
国際特許分類(IPC)
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