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細胞内へ物体を導入する方法

国内特許コード P170014260
整理番号 (AF35-01WO)
掲載日 2017年6月23日
出願番号 特願2016-510037
出願日 平成27年3月24日(2015.3.24)
国際出願番号 JP2015001669
国際公開番号 WO2015146153
国際出願日 平成27年3月24日(2015.3.24)
国際公開日 平成27年10月1日(2015.10.1)
優先権データ
  • 特願2014-059898 (2014.3.24) JP
発明者
  • 小椋 利彦
  • 野村 慎一郎
  • 齋藤 明
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 細胞内へ物体を導入する方法
発明の概要 従来技術に比してサイズの大きな物体であっても簡便に導入することができ、細胞の生存を損なうことがない細胞内物体導入方法として、物体を封入した巨大単層膜リポソーム(Giant Unilamellar Liposome)を細胞と電気融合させる手順を含む方法を提供する。この方法は、前記物体を封入した巨大単層膜リポソームと前記細胞との混合液に交流電場を印加する第一手順と、該第一手順の後に前記混合液に直流パルス電場を印加する第二手順と、を含む。この方法によれば、直径100nm以上の大きさの物体を細胞内に導入できる。
従来技術、競合技術の概要


近年、様々な化学修飾がなされたマイクロビーズや機能性物質が開発され、研究や診断に利用されている。これらを細胞内に導入できれば、生きた細胞内の環境を観察することが可能となる。生細胞への物質導入方法として、従来、リポフェクションや電気穿孔法、パーティクルガン、マイクロインジェクションなどが用いられている。



巨大単層膜リポソーム(Giant Unilamellar LiposomeあるいはGiant Unilamellar Vesicle、以下「GUV」と称する)は、脂質二重膜(lipid bilayer)が水溶液中で自然に閉じてできる人工膜小胞(liposome又はvesicle)であって、直径がマイクロメートルオーダー以上のものをいう(非特許文献1,2参照)。GUVは、細胞と同程度の大きさであり、位相差、蛍光、微分干渉、暗視野などの種々の光学顕微鏡法で直接観察ができる利点を持つ。GUVは、生体膜の形態形成や動態制御の機構をインビトロの系で研究する際、膜のモデルとして用いられてきている。



特許文献1及び非特許文献3には、コネキシンから構成されるコネクソンを組み込んだリポソームを作製し、該リポソームの内部に物質を包含させ、細胞と接触させることによって、細胞に物質を注入する方法が記載されている。この方法では、リポソームの膜上に構成されたコネクソンがチャネルとして機能し、リポソーム内の物質が当該チャネルを通って細胞内に注入される。このため、細胞に注入可能な物質のサイズは、コネクソンの内径(2nm程度)によって制限される。



非特許文献4には、細胞の長期凍結・乾燥保存を目的として、膜非透過性の凍結・乾燥保護物質(トレハロースなどの糖類)を含むGUVを細胞と電気融合させることで凍結・乾燥保護物質を細胞内に導入することが記載されている。当該文献は、トレハロース等の糖類に比してサイズが大きいマイクロビーズ等の物体を細胞内に導入すること及びそのためのGUVの調製方法や電気融合条件等については記載していない。

産業上の利用分野


本発明は、細胞内へ物体を導入する方法に関する。より詳しくは、巨大単層膜リポソーム(Giant Unilamellar Liposome)を用いて、サイズの大きな物体を細胞内へ導入する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
細胞内に物体を導入する方法であって、
前記物体が封入され、負の表面電位を付された巨大単層膜リポソーム(Giant Unilamellar Liposome)と、前記細胞と、の混合液に交流電場を印加して、前記巨大単層膜リポソームと前記細胞とを配列させる第一手順と、
該第一手順の後に、前記混合液に直流パルス電場を印加して、前記巨大単層膜リポソームの膜と前記細胞の膜とを少なくとも一部融合させる第二手順と、
を含む方法。

【請求項2】
前記巨大単層膜リポソームが-40mV~-20mVの表面電位を有する請求項1記載の方法。

【請求項3】
前記巨大単層膜リポソームの膜を構成する脂質全体に占めるコレステロールの割合が0~15モル%である請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
前記第一手順において、前記交流電場を5~15V/mmで、10~60秒印加し、前記第二手順において、前記直流パルス電場を100~175V/mmで、30~50マイクロ秒印加する請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。

【請求項5】
前記物体が、直径100nm以上の大きさである請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。

【請求項6】
前記物体が、粒子、核酸、高分子、微生物及び細胞内小器官からなる群より選択される一以上である請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。

【請求項7】
巨大単層膜リポソームの製造方法であって、
該巨大単層膜リポソームの膜を構成する脂質を、前記巨大単層膜リポソームの表面電位が-40mV~-20mVとなるように調製することを含む製造方法。

【請求項8】
前記巨大単層膜リポソームの膜を構成する脂質を、該脂質全体に占めるコレステロールの割合が0~15モル%となるように調製することを含む請求項7記載の製造方法。

【請求項9】
-40mV~-20mVの表面電位を有する巨大単層膜リポソーム。

【請求項10】
膜を構成する脂質全体に占めるコレステロールの割合が0~15モル%である請求項9記載の巨大単層膜リポソーム。

【請求項11】
粒子、核酸、高分子、微生物及び細胞内小器官からなる群より選択される一以上の物体が封入された請求項9又は10記載の巨大単層膜リポソーム。

【請求項12】
請求項1~6記載の方法により細胞内に物体を導入し、該物体の細胞内における搖動を検出することにより、細胞内の物理特性を測定する方法。

【請求項13】
請求項1~6記載の方法により細胞内に磁性を有する物体を導入し、細胞に磁場を印加することにより、細胞の位置を制御する方法。

【請求項14】
請求項1~6記載の方法により細胞内に金粒子及び/又は銀粒子を導入する手順を含む、表面増強ラマン散乱分光法。

【請求項15】
細胞内の所定のタンパク質あるいは該タンパク質が構成する細胞内器官に物理的な力を作用させる方法であって、
前記所定のタンパク質あるいは前記細胞内器官に結合対の第一因子を付加する手順と、
結合対の第二因子を付加した磁性粒子を請求項1~6記載の方法により細胞内に導入する手順と、
前記第一因子及び前記第二因子が形成する結合対を介して前記所定のタンパク質あるいは前記細胞内器官に結合した前記磁性粒子に磁場を作用させる手順と、
を含む方法。

【請求項16】
前記第一因子がビオチンであり、前記第二因子がストレプトアビジンであり、インビボビオチニレーション法によって前記所定のタンパク質あるいは前記細胞内器官にビオチンを付加する請求項15記載の方法。

【請求項17】
請求項15又は16記載の方法により細胞内の所定のタンパク質あるいは該タンパク質が構成する細胞内器官に物理的な力を負荷し、負荷の前後における前記細胞内の遺伝子発現量の変化を検出する遺伝子発現解析方法。

【請求項18】
請求項1~6記載の方法により細胞内に酵素反応に関与する酵素及び/又は機能性分子を固定した人工DNAナノ構造(DNA origami)を導入することにより、細胞内代謝を改変する方法。

【請求項19】
請求項1~6記載の方法により細胞内に温度感受性ポリマーを導入する手順と、該温度感受性ポリマーの温度依存的な構造変化を検出する手順を含む、細胞内温度測定方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出 領域
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