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筋疾患の治療または予防のための医薬組成物 NEW

国内特許コード P170014276
整理番号 (S2014-0100-N0)
掲載日 2017年6月26日
出願番号 特願2015-545240
出願日 平成26年10月28日(2014.10.28)
国際出願番号 JP2014078654
国際公開番号 WO2015064585
国際出願日 平成26年10月28日(2014.10.28)
国際公開日 平成27年5月7日(2015.5.7)
優先権データ
  • 特願2013-223948 (2013.10.29) JP
  • 特願2014-080937 (2014.4.10) JP
発明者
  • 木村 重美
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 筋疾患の治療または予防のための医薬組成物 NEW
発明の概要 本発明は、筋力低下を伴う筋疾患に広く適用でき、筋力の増強、または筋力低下の進行を遅延させることができる医薬組成物または方法を提供することを目的とする。本発明はまた、筋疾患の例として、筋ジストロフィーまたはサルコペニアの治療または予防に用いることができる医薬組成物または方法を提供することを目的とする。本発明はさらには、筋細胞への分化を誘導できる組成物または方法を提供することを目的とする。
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体を有効成分として含有する筋疾患治療剤または予防剤が提供される。該筋疾患治療剤または予防剤は、筋ジストロフィーまたはサルコペニアの治療または予防に用いることができる。本発明はまた、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体を含有する、哺乳動物由来の多能性幹細胞または筋衛星細胞を、筋細胞に分化誘導する分化誘導剤が提供される。
従来技術、競合技術の概要


筋疾患とは、筋力低下、筋の機能低下、骨格筋肉量の減少、筋崩壊などを伴う筋肉の疾患である。筋疾患の症状の大部分は、筋肉、特には骨格筋の萎縮、減少によって起こる筋力の低下であり、筋肉が萎縮または減少する原因として主に2つある。一つは、筋肉自体に問題がある場合(一般に、筋原性疾患という)、もう一つは筋肉を動かす神経に問題がある場合(一般に、神経原性筋疾患という)である。筋原性疾患の典型例は、筋ジストロフィーである。また、現在は一般には筋疾患には分類されていないが、進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とするサルコペニアがある。サルコペニアのために、ベッド上安静によりそのまま寝たきりとなって、介護が必要となってくる老人が増加している。現在のところ、これらの筋の疾患や障害に対する根治治療方法は皆無である。



脊椎動物の骨格筋内には、筋細胞の基である筋衛星細胞が存在し、壊死などの損傷が起こった際には骨格筋の再生が行われている。筋衛星細胞は筋組織全体に分布しており、損傷または疾患がなければ、有糸分裂における休止状態にある。この細胞は、筋線維の壊死などの損傷が起こると活性化し、MyoD遺伝子が発現して筋線維へ分化が始まる。MyoDとは、未熟な細胞を筋分化に誘導可能な転写因子である。その際、筋衛星細胞は分裂し、その数を増す。筋衛星細胞は最終的に、既存の筋線維に置きかわる筋線維を生じるか、または既存の筋線維と融合する。そして、損傷治癒が治まると、再び、その一部の筋衛星細胞は休止の状態となる。このような筋線維の再生機構が十分に機能しなくなると、筋力低下、筋の機能低下、骨格筋肉量の減少などを伴う筋肉の疾患や障害を引き起こす。



筋衛星細胞の増殖および分化に関与する因子としては、IGF-1(インスリン様成長因子-1)、MyoD、Myogenin、Myf5が報告されている。また、ニューレグリン類タンパク質由来のポリペプチドを用いて、筋組織の疾患、障害を予防する医薬品が提案されている(特許文献1、特許文献2)。



筋障害の典型例である筋ジストロフィー、とりわけジストロフィン欠損によるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、X染色体上の突然変異を原因として、筋細胞の細胞骨格を担うジストロフィンを欠損する重症の遺伝子性筋疾患である。この発症率は出生男児3,500~4,000人に1人と比較的高い上に、3分の1は母体の卵細胞レベルにおける突然変異によるため遺伝相談による予防が必ずしも有効ではない。DMDでは、上記のような筋線維の再生機構が、壊れる筋線維の数に追いつかず、筋力低下を招いている。DMDは、筋力低下の進行が早く、筋力低下、呼吸機能、心機能の低下により著しく日常生活に制限を受ける。DMDの患者は典型的には、3~5才で筋力低下の症状を表し、9~10才で歩行不能となり、そして30才前後で心不全や呼吸障害で死亡する。このようにDMDは、重症で致死性の遺伝子性筋疾患である。
筋ジストロフィーにおいて頻度の一番高いDMDに対して、唯一厚生労働省が認めている治療法はステロイドの内服である。この治療により、歩行期間が1年延長すると言われている。ただし、ステロイド療法は骨密度を低下させるリスクがあり、脊椎骨折のリスクを高めることが知られている。また、アンチセンスによりエクソンスキップ起こさせ、重症のデュシェンヌ型から良性のベッカー型にする治療法が、国際共同治験で進行中であるが、まだ効果の有無は不明である。さらにその治療法は、テーラーメイド治療で、原因遺伝子のジストロフィン遺伝子の特殊な欠損の患者しか対象とならない。その他に、細胞治療、遺伝子治療、薬物治療などについて動物実験が行われているが、倫理的な問題、副作用などを考えると、まだ十分な治療法とはなり得ていない。そこで、この重症で致死性の遺伝子性筋疾患に対して治療法の開発が求められている。



副甲状腺ホルモン(PTH)は、副甲状腺から分泌される84アミノ酸から構成されるポリペプチドホルモンであり、血中カルシウム濃度の低下に応答して分泌される。PTHは、血中で容易に34-35位が切断され、活性型1-34(N末端側)と不活性型35-84(C末端側)となる。PTHはまた、破骨細胞を活性化し、骨芽細胞を抑制することにより、骨吸収を促進する。さらに、PTHは、骨、軟骨の細胞の分化に関与していることが報告されている。そして、PTHまたはPTH関連タンパク質を用いた、骨粗鬆症の治療が提案されている(非特許文献1、非特許文献2)。また、ヒトPTH(1-34)であるテリパラチドは、日本で骨粗鬆症の治療薬として既に使われている。このように、PTHの骨に対する作用は数多く報告されている。
また、PTHタイプ1リセプター(PTH1R)が、血管平滑筋細胞(VSMC)機能の制御に関与していること、VSMCでの促進したPTH1Rレベルがしばしば過形成を伴うが、外来PTHrP(1-36)は、VSMCの増殖を阻害することが報告されている(非特許文献3)。しかしながら、筋芽細胞を初めとする筋組織、特に骨格筋に対する作用についての報告はない。



DMD患者は、ステロイド療法により骨密度が低下し骨折のリスクが増す。ステロイド(グルココルチコイド)療法が行われて骨密度が減少し骨折のリスクが増しているDMD患者に対して、骨格特性を改善して骨折のリスクを軽減するためにBlack Bear PTHの使用が提案されている(非特許文献4)。

産業上の利用分野


本発明は、筋疾患を治療または予防するための医薬組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、副甲状腺ホルモンを有効成分として含む筋疾患を治療または予防するための医薬組成物に関し、さらには、副甲状腺ホルモンを投与することによる、筋疾患を治療または予防するための方法に関する。本発明はまた、筋細胞への分化を誘導する組成物および方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の1種または2種以上、あるいは副甲状腺ホルモン関連タンパク質を有効成分として含有する筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項2】
ヒトPTH(1-84)、ヒトPTH(1-34)、またはblack bear PTHを有効成分として含有する、請求項1に記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項3】
ヒトPTH(1-34)を有効成分として含有する請求項2に記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項4】
前記筋疾患が筋ジストロフィーである請求項1~3のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項5】
前記筋ジストロフィーがデュシェンヌ型筋ジストロフィーである請求項4に記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項6】
前記筋疾患がサルコペニアである請求項1~3のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項7】
骨粗鬆症の発症前の筋疾患患者に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項8】
骨粗鬆治療薬による治療を開始する前の筋疾患患者に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項9】
副甲状腺ホルモン(PTH(1-84))、その活性型ペプチド(PTH(1-34))または副甲状腺ホルモン関連タンパク質を有効成分とする骨粗鬆治療薬を投与されていない筋疾患患者に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項10】
前記筋疾患が筋ジストロフィー患者である請求項7~9のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項11】
前記筋ジストロフィー患者がデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者である請求項10に記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項12】
前記筋疾患がサルコペニアである請求項7~9のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項13】
ステロイド剤と併用せずにデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の筋疾患治療剤または予防剤。

【請求項14】
哺乳動物由来多能性幹細胞の筋細胞への分化誘導を促進する分化誘導促進剤であって、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の1種または2種以上、あるいは副甲状腺ホルモン関連タンパク質を含有する分化誘導促進剤。

【請求項15】
前記哺乳動物由来多能性細胞がヒトES細胞またはヒトiPS細胞である、請求項14に記載の分化誘導促進剤。

【請求項16】
哺乳動物由来筋衛星細胞の筋細胞への分化誘導を促進する分化誘導促進剤であって、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の1種または2種以上、あるいは副甲状腺ホルモン関連タンパク質を含有する分化誘導促進剤。

【請求項17】
前記PTHまたはPTH誘導体が、ヒトPTH(1-84)、ヒトPTH(1-34)、またはblack bear PTHである、請求項14~16のいずれか一つに記載の分化誘導促進剤。

【請求項18】
前記PTH誘導体がヒトPTH(1-34)である請求項17に記載の分化誘導促進剤。

【請求項19】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の1種または2種以上、あるいは副甲状腺ホルモン関連タンパク質を有効成分として含有する筋肉再生促進剤または筋線維再生促進剤。

【請求項20】
前記PTHまたはPTH誘導体が、ヒトPTH(1-84)、ヒトPTH(1-34)、またはblack bear PTHである、請求項19に記載の筋肉再生促進剤または筋線維再生促進剤。

【請求項21】
前記PTH誘導体がヒトPTH(1-34)である請求項20に記載の筋肉再生促進剤または筋線維再生促進剤。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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