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内在性DNA配列特異的結合分子を用いる特定ゲノム領域の単離方法 NEW コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P170014302
掲載日 2017年6月26日
出願番号 特願2015-500088
登録番号 特許第5954808号
出願日 平成25年9月6日(2013.9.6)
登録日 平成28年6月24日(2016.6.24)
国際出願番号 JP2013074107
国際公開番号 WO2014125668
国際出願日 平成25年9月6日(2013.9.6)
国際公開日 平成26年8月21日(2014.8.21)
優先権データ
  • 特願2013-026310 (2013.2.14) JP
  • 特願2013-143282 (2013.7.9) JP
発明者
  • 藤井 穂高
  • 藤田 敏次
出願人
  • 国立大学法人大阪大学
発明の名称 内在性DNA配列特異的結合分子を用いる特定ゲノム領域の単離方法 NEW コモンズ 新技術説明会
発明の概要 (A)相互作用している分子との相互作用状態を保持しているゲノムDNAを断片化する工程、および(B)ゲノムDNA中の特定の内在性DNA配列に結合する外来性分子と、ゲノムDNAとを接触させる工程を含む方法により、解析対象細胞の標的ゲノム領域近傍領域へ外来性DNA結合分子の認識配列を挿入する操作を必要とせず、解析対象細胞の標的ゲノム領域内または近傍の内在性DNA配列を利用して、相互作用している分子との相互作用状を保持したまま、任意のゲノム領域を特異的に単離することができる。
従来技術、競合技術の概要


クロマチン領域の生化学的および分子生物学的解析は、ゲノム機能発現の分子機構を理解するために非常に重要である。しかし、未だクロマチン領域の生化学的な性質は十分に解析されていない。これは、クロマチン領域の生化学的および分子生物学的解析に利用可能な試料の採取方法が制限されていることに原因があると考えられる。



クロマチン領域の生化学的および分子生物学的解析を行うためには、ゲノムDNAおよびゲノムDNAと相互作用している分子の相互作用状態を保持した試料を解析に供することが必要である。相互作用分子との相互作用状態を保持した特定ゲノム領域を単離する方法として、以下の方法が知られている。



(i) クロマチン免疫沈降法
クロマチン免疫沈降(chromatin immunoprecipitation)法(以下、「ChIP法」という。)は、既知のDNA結合蛋白質に対する抗体を用いて特定ゲノム領域を免疫沈降させ、当該領域を単離する方法である(非特許文献1、2参照)。したがって、ChIP法は、DNA結合蛋白質に関する情報がなければ使用することができないという制限がある。また、一般に、DNA結合蛋白質はゲノムDNAの複数の領域に結合するため、免疫沈降物中にはいろいろなゲノム領域が混在しており、ChIP法によって特定ゲノム領域のみを単離することは難しいという問題を有している。さらに、ChIP法では、既知のDNA結合蛋白質が結合しないゲノム領域を単離できないという問題がある。



(ii) Chromosome Conformation Capture法(以下「3C法」という。)
3C法またはその派生法では、特定のゲノム領域と相互作用しているゲノム領域を同定することができる(非特許文献3~5参照)。しかし、3C法では、制限酵素やDNAリガーゼによる酵素反応を、クロスリンク(架橋)下という非最適条件下で行わなくてはならないため、非生理的な相互作用を検出する可能性が高いという問題がある。また、クロスリンク下では制限酵素処理が不完全になるため、標的ゲノム領域に隣接する領域がPCRで増幅されバックグラウンドが極めて高くなり、未知の相互作用の検出が難しいという問題がある。



(iii) Fluorescence in situ Hybridization法(以下、「FISH法」という。)
FISH法単独、もしくは蛍光抗体法と組み合わせることにより、特定ゲノム領域と別のゲノム領域やRNA、蛋白質との相互作用が検出可能である。しかし、この方法は解像度が低く、また、未知の分子との相互作用は検出できない。



(iv) Proteomics of Isolated Chromatin segments法(以下「PICh法」という。)
PICh法は、特異的な核酸プローブを用いて、特定ゲノム領域を単離する方法であり、プローブに相補的な多数の繰り返し配列からなるテロメア領域を単離できることが示されている(非特許文献6参照)。しかしながら、PICh法ではクロスリンク下での核酸プローブと標的ゲノム領域のアニーリングが必要であり、低コピー数や1コピーの特定ゲノム領域の単離が可能か否かは示されていない。



(v) 非特許文献7に記載の方法
非特許文献7には、アフィニティー精製により特定ゲノム領域を単離しようとする試みが記載されている。しかし、用いられている細胞は、酵母であり、高等真核細胞への応用は行われていない。また、Cre-loxP系を利用して、特定ゲノム領域を切り出しているが、この操作により、クロマチン構造が変化してしまう可能性がある。加えて、ホルムアルデヒドによるクロスリンク処理を行えないため、精製の過程で結合している蛋白質やDNA等の分子が解離する可能性もある。



(vi)iChIP法
本発明者らにより開発された方法である(特許文献1、非特許文献8、9参照)。生理的なクロマチン構造を保持したまま特定ゲノム領域を単離するために、以下の操作を行う。(1)解析対象細胞の標的ゲノム領域近傍領域へ外来性DNA結合分子の認識配列を挿入する。(2)外来性DNA結合分子のDNA結合ドメインと、既存の抗体もしくは他の蛋白質等で認識されるタグとの融合分子を、解析対象細胞に発現させる。(3)上記細胞を必要に応じてホルムアルデヒド等でクロスリンクする。この操作により、標的ゲノム領域と相互作用する蛋白質、RNA、DNAおよび他の分子がクロスリンクされる。また、この操作により、タグ付き外来性DNA結合分子と挿入された認識配列もクロスリンクされる。(4)次いで、細胞を破砕し、クロスリンクされたDNAを制限酵素等のDNA切断酵素処理または超音波処理により断片化する。(5)タグ付き外来性DNA結合分子を含んだ複合体を、タグを認識する抗体または蛋白質等を固定した担体を用いて沈降させる。(6)沈降された複合体中の標的ゲノム領域と相互作用している分子を解析する。
iChIP法の問題点としては、解析対象細胞の標的ゲノム領域の近傍へ外来性DNA結合分子の認識配列を挿入する操作に手間がかかること、および認識配列の挿入が相互作用に影響を及ぼす可能性を排除できないことが挙げられる。

産業上の利用分野


本発明は、内在性DNA配列特異的結合分子を用いる特定ゲノム領域の単離方法に関するものであり、特に、相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま、特定ゲノム領域を、内在性DNA配列特異的結合分子を用いて単離する方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま任意の特定ゲノム領域を単離する方法であって、以下の工程1~3を含むことを特徴とする特定ゲノム領域の単離方法:
工程1:ゲノムDNA中の単離しようとするゲノム領域内またはその近傍に存在する特定の内在性DNA配列に結合する外来性分子と、細胞内のゲノムDNAとを接触させる工程、
工程2:相互作用している分子との相互作用状態を保持している前記細胞内のゲノムDNAを断片化する工程、および
工程3:前記外来性分子と特異的に結合する分子を、外来性分子が結合しているゲノムDNA断片に結合させて複合体を生成し、当該複合体を回収する工程。

【請求項2】
さらに、ゲノムDNAと、当該ゲノムDNAと相互作用している分子との相互作用状態を保持する処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項3】
前記外来性分子が、外来性DNA結合蛋白質、外来性核酸または外来性蛋白質-核酸複合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項4】
前記外来性分子が、ジンクフィンガー蛋白質、TALエフェクター蛋白質または不活性型Cas9蛋白質とガイドRNA(gRNA)の複合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項5】
前記外来性分子が、1種以上のタグ配列を含む融合分子であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項6】
前記外来性分子が、核移行シグナルを含む融合分子であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項7】
工程1において、解析対象細胞に、前記外来性分子をコードする遺伝子を導入し、当該細胞内で発現させることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項8】
相互作用している分子との相互作用状態を保持したまま特定ゲノム領域を単離する方法であって、
工程I:相互作用している分子との相互作用状態を保持しているゲノムDNAを断片化する工程、
工程II:ゲノムDNA中の特定の内在性DNA配列に結合する外来性分子と、工程Iで断片化した変性操作を行っていない前記ゲノムDNAとを接触させる工程、および
工程III:前記外来性分子に結合したゲノムDNA断片を回収する工程を含み、
前記外来性分子が、外来性DNA結合蛋白質または外来性蛋白質-核酸複合体であることを特徴とする特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項9】
工程IIにおいて、担体に固定化された前記外来性分子と、断片化した前記ゲノムDNAとを接触させることを特徴とする請求項8に記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項10】
工程IIにおいて、前記外来性分子と断片化した前記ゲノムDNAとを接触させた後に、前記外来性分子を担体に固定化することを特徴とする請求項8に記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項11】
さらに、ゲノムDNAと、当該ゲノムDNAと相互作用している分子との相互作用状態を保持する処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項12】
前記外来性分子が、ジンクフィンガー蛋白質または不活性型Cas9蛋白質とガイドRNA(gRNA)の複合体であることを特徴とする請求項8~11のいずれかに記載の特定ゲノム領域の単離方法。

【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の方法で特定ゲノム領域を単離する工程と、単離した特定ゲノム領域のゲノムDNAと相互作用している分子を、質量分析、免疫ブロット、ELISA、塩基配列解析、マイクロアレイ解析およびPCRからなる群より選択される1または2以上を用いて同定する工程を含むことを特徴とするゲノム機能発現の分子機構解析方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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