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ヘテロ接合太陽電池とその製造方法 NEW

国内特許コード P170014323
整理番号 (S2014-0689-N0)
掲載日 2017年6月26日
出願番号 特願2016-507447
出願日 平成27年2月27日(2015.2.27)
国際出願番号 JP2015055772
国際公開番号 WO2015137152
国際出願日 平成27年2月27日(2015.2.27)
国際公開日 平成27年9月17日(2015.9.17)
優先権データ
  • 特願2014-051160 (2014.3.14) JP
発明者
  • 松村 英樹
  • 大平 圭介
出願人
  • 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
発明の名称 ヘテロ接合太陽電池とその製造方法 NEW
発明の概要 【課題】 結晶系シリコンに対して、キャリヤの上面再結合を劇的に抑制でき、効率を高めた構造のヘテロ接合太陽電池を提供する。
【解決手段】
本発明のヘテロ接合太陽電池は、真性アモルファス・シリコン薄膜が結晶系シリコン基板にヘテロ接合している太陽電池であって、前記結晶系シリコン基板は、リンまたはボロンが深さ10ナノメートル以内の極表層にドープされたドープ層が形成されている。n型結晶シリコン基板901の直ぐ上に真性アモルファス・シリコン膜902をCat-CVD法で堆積させて作製した場合の試料900を、透過型電子顕微鏡で観察した際の電子顕微鏡像によれば、n型結晶シリコン901とアモルファス・シリコン902との界面遷移層903の厚みは0.6ナノメートル以下である。
【選択図】 図9A
従来技術、競合技術の概要


結晶シリコン太陽電池は、高価な結晶シリコン基板の使用量を減らして価格低下を図り、かつ、太陽光から電気へのエネルギー変換効率(以下単に「効率」と表記する)を向上させるために、用いる結晶シリコン基板の厚みを1/10ミリメートル前後か、それ以下の厚みにすることが求められている。従来技術の結晶シリコンを用いた太陽電池は、800℃前後の高温で、リンやボロンなどの不純物を熱拡散させることによりドープし、n型やp型を形成しているが、結晶シリコン基板の厚みが1/10ミリメートル前後と薄くなると、熱歪による反りなどのため、前記結晶シリコン基板が製作過程で破損する等の問題が生じる。そこで、これらが問題とならない低温での太陽電池の製作が求められている。



さらに、結晶シリコンには、その製造工程で、予期せずに自然に導入されてしまう酸素等の不純物が存在し、これが、例えば、350℃を超える温度で突然ドナーとして働いたり、欠陥生成の核になったりすることも知られており、効率向上の観点からも、太陽電池製作工程の350℃以下の低温化が求められていた。



上記の要求を満たす太陽電池として、結晶シリコン内に熱拡散により形成されるリン・ドープn層やボロン・ドープp層を用いる代わりに、結晶シリコン基板の上面に、200℃程度の低温で、n型アモルファス・シリコンあるいはp型アモルファス・シリコンを堆積し、それぞれn型電極、p型電極とする、いわゆるアモルファス・シリコンと結晶シリコンとのヘテロ接合を用いる太陽電池が、当時の三洋電機株式会社により開発された。この太陽電池は、実際は、結晶シリコンとn型またはp型アモルファス・シリコンとの界面特性を向上させるため、厚み10ナノメートル以下のノン・ドープ真性アモルファス・シリコン層をn型およびp型アモルファス・シリコンと結晶シリコンの間に入れるので、そのことに着目し、Hetero-junction with Intrinsic Thin-layerの略称としてHIT太陽電池と命名された。



結晶シリコン、真性アモルファス・シリコン、n型またはp型アモルファス・シリコンからなる、ヘテロ接合太陽電池は、効率も高く、2013年の段階では、結晶シリコンを用いた太陽電池としては世界最高クラスの、効率24.7%が得られたと報告された。しかし、この太陽電池もまだ完成形ではない。結晶シリコンとアモルファス・シリコンの界面は、真性アモルファス・シリコン層の挿入で特性が向上したとは言っても、電子とホールの界面における再結合成分は多少残っており、それが、折角太陽光により生成された電子とホールの数を減少させてしまうので、その除去が求められていた。



一方、結晶シリコン上面に真性アモルファス・シリコンを堆積すると、結晶シリコン上面でのキャリヤの再結合をある程度は抑制できることは広く知られていたが、さらに、本願の発明者を含むグループは、非特許文献1において、真性アモルファス・シリコンを堆積する前に行う、水素ガスの触媒分解により生成された水素原子による結晶シリコン上面のクリーニングの際に、水素ガスにホスフィンを混ぜると、結晶シリコン表層にリン原子が150℃の低温で導入され、キャリヤの上面再結合が一層抑制され、試料全体のキャリヤ寿命が2倍以上向上することを見出し、結晶シリコン上面へのドーピングによる特性改善の可能性について述べている。



これに関連して、本願の発明者を含むグループは、特許文献1と特許文献2では、アモルファス・シリコン薄膜と結晶系シリコン基板とのヘテロ接合太陽電池において、ホスフィンまたはジボラン等のリンまたはボロンを含有するドーピングガスと1,100℃から1,400℃に加熱された触媒媒体との接触分解反応で生成された種に曝す上面処理を受けた結晶系シリコン基板を用いることを述べている。



さらに、本願の発明者を含むグループは、非特許文献2において、結晶シリコンの表裏両面にホスフィンを触媒分解した種に曝すことでリン原子を80℃から350℃の温度でドープし、その上に真性アモルファス・シリコン膜とn型アモルファス・シリコン膜を積層すると、試料全体のキャリヤ寿命が1桁以上向上することを見出し、さらに、その試料の上面から下面に電流を流す実験から、結晶シリコンとアモルファス・シリコン界面での接触抵抗を見積もるなどの実験結果を発表している。

産業上の利用分野


本発明は、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池において、太陽光エネルギーを電気へ変換する効率を高めた構造のヘテロ接合太陽電池とその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
真性アモルファス・シリコン薄膜が結晶系シリコン基板にヘテロ接合している太陽電池であって、前記結晶系シリコン基板には、深さ10ナノメートル以内の極表層にリンがドープされたリン・ドープ層、深さ10ナノメートル以内の極表層にボロンがドープされたボロン・ドープ層のいずれかないしは両方が形成されていることを特徴とするヘテロ接合太陽電池。

【請求項2】
前記結晶系シリコン基板と前記真性アモルファス・シリコン薄膜との界面には界面遷移層が形成されており、前記界面遷移層の厚みが0.6ナノメートル以下であることを特徴とする請求項1記載のヘテロ接合太陽電池。

【請求項3】
前記結晶系シリコン基板の上面側には前記リン・ドープ層が形成され、前記リン・ドープ層に前記真性アモルファス・シリコン層が積層され、前記真性アモルファス・シリコン層にn型アモルファス・シリコン層が積層されて電子収集電極が形成されており、また、前記結晶系シリコン基板の下面側には前記ボロン・ドープ層が形成され、前記ボロン・ドープ層に前記真性アモルファス・シリコン層が積層され、前記真性アモルファス・シリコン層にp型アモルファス・シリコン層が積層されてホール収集電極が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のヘテロ接合太陽電池。

【請求項4】
前記結晶系シリコン基板の上面側には前記リン・ドープ層が形成され、前記リン・ドープ層に前記真性アモルファス・シリコン層が積層され、前記真性アモルファス・シリコン層にn型アモルファス・シリコン層が積層され、前記n型アモルファス・シリコン層に透明導電膜が形成され、前記透明導電膜の上に窒化シリコン膜が形成され、前記窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に電子収集電極が形成されており、また、前記結晶系シリコン基板の下面側には前記ボロン・ドープ層が形成されており、前記ボロン・ドープ層に真性アモルファス・シリコン層が積層され、前記真性アモルファス・シリコン層にp型アモルファス・シリコン層が積層され、前記p型アモルファス・シリコン層に透明導電膜が形成され、前記透明導電膜の下に窒化シリコン膜が形成され、前記窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置にホール収集電極が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のヘテロ接合太陽電池。

【請求項5】
前記結晶系シリコン基板の上面側には前記リン・ドープ層が形成されており、前記リン・ドープ層の上に窒化シリコン膜が形成されており、そして、前記結晶系シリコン基板の下面側には前記リン・ドープ層と前記ボロン・ドープ層とが所定間隔で形成されており、前記リン・ドープ層及び前記ボロン・ドープ層に前記真性アモルファス・シリコン層が積層され、前記リン・ドープ層の真下の位置にn型アモルファス・シリコン層が積層され、前記n型アモルファス・シリコン層に透明導電膜が形成され、前記透明導電膜の下に電子収集電極が形成されており、また、前記ボロン・ドープ層の真下の位置にp型アモルファス・シリコン層が積層され、前記p型アモルファス・シリコン層に透明導電膜が形成され、前記透明導電膜の下にホール収集電極が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のヘテロ接合太陽電池。

【請求項6】
前記結晶系シリコン基板の上面側には前記リン・ドープ層が形成されており、前記リン・ドープ層の上に窒化シリコン膜が形成されており、そして、前記結晶系シリコン基板の下面側には前記リン・ドープ層と前記ボロン・ドープ層とが所定間隔で形成されており、前記リン・ドープ層及び前記ボロン・ドープ層に前記真性アモルファス・シリコン層が積層され、前記真性アモルファス・シリコン層の下に窒化シリコン膜が形成され、前記窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置における、前記リン・ドープ層の真下の位置にn型アモルファス・シリコン層が積層され、前記n型アモルファス・シリコン層に透明導電膜が形成され、前記透明導電膜の下に電子収集電極が形成されており、また、前記ボロン・ドープ層の真下の位置にp型アモルファス・シリコン層が積層され、前記p型アモルファス・シリコン層に透明導電膜が形成され、前記透明導電膜の下にホール収集電極が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のヘテロ接合太陽電池。

【請求項7】
前記リン・ドープ層と前記ボロン・ドープ層のいずれかないしは両方は350℃以下の低温でドープされた層であり、かつ、前記真性アモルファス・シリコン薄膜は触媒化学気相堆積法によって形成された薄膜であることを特徴とする請求項1または2記載のヘテロ接合太陽電池。

【請求項8】
真性アモルファス・シリコン薄膜が結晶系シリコン基板にヘテロ接合している太陽電池の製造方法であって、ホスフィン等のリンを含む原料ガスと加熱した金属触媒体線との接触により生成された種に350℃以下の低温で前記結晶系シリコン基板を曝すことによって深さ10ナノメートル以内の極表層にリンをドープしてリン・ドープ層を形成するか、ジボラン等のボロンを含む原料ガスが加熱された金属触媒体線との接触により生成された種に350℃以下の低温で前記結晶系シリコン基板を曝すことによって深さ10ナノメートル以内の極表層にボロンをドープしてボロン・ドープ層を形成するかのいずれかないしは両方の処理を行うことを特徴とするヘテロ接合太陽電池の製造方法。

【請求項9】
前記リン・ドープ層と前記ボロン・ドープ層のいずれかないしは両方の作用によって前記結晶系シリコ基板と前記真性アモルファス・シリコン薄膜との界面に界面遷移層を形成し、前記界面遷移層の厚みを0.6ナノメートル以下にすることを特徴とする請求項8記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。

【請求項10】
前記結晶系シリコン基板の上面側に前記リン・ドープ層を形成し、前記リン・ドープ層に前記真性アモルファス・シリコン層を触媒化学気相堆積法によって積層し、前記真性アモルファス・シリコン層にn型アモルファス・シリコン層を積層してから電子収集電極を形成し、また、前記結晶系シリコン基板の下面側に前記ボロン・ドープ層を形成し、前記ボロン・ドープ層に真性アモルファス・シリコン層を積層し、前記真性アモルファス・シリコン層にp型アモルファス・シリコン層を積層してからホール収集電極を形成することを特徴とする請求項8または9記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。

【請求項11】
前記結晶系シリコン基板の上面側に前記リン・ドープ層を形成し、前記リン・ドープ層に前記真性アモルファス・シリコン層を触媒化学気相堆積法によって積層し、前記真性アモルファス・シリコン層にn型アモルファス・シリコン層を積層し、前記n型アモルファス・シリコン層に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の上に窒化シリコン膜を形成し、前記窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置に電子収集電極を形成し、また、前記結晶系シリコン基板の下面側に前記ボロン・ドープ層を形成し、前記ボロン・ドープ層に真性アモルファス・シリコン層を積層し、前記真性アモルファス・シリコン層にp型アモルファス・シリコン層を積層し、前記p型アモルファス・シリコン層に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の下に窒化シリコン膜を形成し、前記窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置にホール収集電極を形成することを特徴とする請求項8または9記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。

【請求項12】
前記結晶系シリコン基板の上面側に前記リン・ドープ層を形成し、前記リン・ドープ層の上に窒化シリコン膜を触媒化学気相堆積法によって形成し、そして、前記結晶系シリコン基板の下面側に前記リン・ドープ層と前記ボロン・ドープ層とを所定間隔で形成し、前記リン・ドープ層及び前記ボロン・ドープ層に真性アモルファス・シリコン層を積層し、前記リン・ドープ層の真下の位置にn型アモルファス・シリコン層を積層し、前記n型アモルファス・シリコン層に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の下に電子収集電極を形成し、また、前記ボロン・ドープ層の真下の位置にp型アモルファス・シリコン層を積層し、前記p型アモルファス・シリコン層に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の下にホール収集電極を形成することを特徴とする請求項8または9記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。

【請求項13】
前記結晶系シリコン基板の上面側に前記リン・ドープ層を形成し、前記リン・ドープ層の上に窒化シリコン膜を触媒化学気相堆積法によって形成し、そして、前記結晶系シリコン基板の下面側に前記リン・ドープ層と前記ボロン・ドープ層とを所定間隔で形成し、前記リン・ドープ層及び前記ボロン・ドープ層に真性アモルファス・シリコン層を積層し、前記真性アモルファス・シリコン層の下に窒化シリコン膜を形成し、前記窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置における、前記リン・ドープ層の真下の位置にn型アモルファス・シリコン層を積層し、前記n型アモルファス・シリコン層に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の下に電子収集電極を形成し、また、前記ボロン・ドープ層の真下の位置にp型アモルファス・シリコン層を積層し、前記p型アモルファス・シリコン層に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の下にホール収集電極を形成することを特徴とする請求項8または9記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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