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太陽光で励起された電子のエネルギーの測定方法と測定装置 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P170014334
整理番号 (NU-0531)
掲載日 2017年6月26日
出願番号 特願2014-554458
登録番号 特許第5991556号
出願日 平成25年12月24日(2013.12.24)
登録日 平成28年8月26日(2016.8.26)
国際出願番号 JP2013084497
国際公開番号 WO2014104022
国際出願日 平成25年12月24日(2013.12.24)
国際公開日 平成26年7月3日(2014.7.3)
優先権データ
  • 特願2012-285579 (2012.12.27) JP
発明者
  • 宇治原 徹
  • 市橋 史朗
  • 志村 大樹
  • 桑原 真人
  • 原田 俊太
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 太陽光で励起された電子のエネルギーの測定方法と測定装置 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】半導体材料を太陽光に露出することによって励起された電子のエネルギーを測定できる技術を提供する。
【解決手段】半導体材料92bの表面に負の電子親和力を持つ表面層を形成する。その半導体材料を真空環境に置いて太陽光97に露出し、負の電子親和力を持つ表面層から放出される光電子を光電子分光装置99に導いて太陽光97で励起された電子が持っているエネルギーを測定する。負の電子親和力を持つ表面層を利用するために、太陽光で励起された電子から光電子が得られ、エネルギー測定が可能となる。
従来技術、競合技術の概要


太陽電池は、半導体材料を太陽光に露出することによって半導体材料中で励起された電子を利用して電力を提供する。現状の太陽電池は、励起された電子のエネルギーが緩和されて伝導帯の底で安定している状態の電子を利用する。太陽電池の効率を向上させるためには、太陽光で励起された電子のエネルギーが緩和される以前の電子(ホットキャリア)の利用が有望視されている。また半導体材料のバンドギャップ内に中間バンドを作り出すことによって、太陽光に含まれる波長域の広い範囲を利用する技術も有望視されている。



これらの研究開発を進めるためには、半導体材料を太陽光に露出することによって半導体材料中で励起された電子が持っているエネルギーを測定することが重要である。例えばいかなるエネルギーを持つホットキャリアが生成されるのか、ホットキャリアのエネルギーがどう緩和されていくのかを知ることができれば、ホットキャリアを利用する太陽電池の開発が促進される。あるいは、実際に電子が中間バンドに励起されているのか、中間バンドから伝導帯に励起されているのかを知ることができれば、中間バンドを利用する太陽電池の開発が促進される。
しかしながら残念なことに、太陽光で励起された半導体材料中の電子のエネルギーを測定する実際的な技術はいまだ開発されていない。



半導体材料中に存在する励起電子が持っているエネルギーを測定するためには、半導体材料外に飛び出る光電子を分光してエネルギーを測定する必要がある。



光電子を分光する技術に、下記が知られている。
(X線励起法)
図1に示すように、X線励起法では、半導体材料にX線を照射して電子を励起する。X線は高いエネルギーを持っており、電子は真空準位以上に励起され、半導体外に光電子が放出される。放出された光電子は運動エネルギーを持っており、その運動エネルギーを測定することによって、半導体中に存在する電子の内殻準位と真空準位の差を求めることができる。半導体材料にX線を照射すると、内殻に存在していた電子が励起される。
X線はエネルギーの半値幅が大きいので、励起電子のエネルギーと励起光のエネルギーの関係を精度よく知ることができない。また当然に、太陽電池の開発に重要な太陽光によって励起された電子のエネルギー測定には利用できない。
(紫外線励起法)
図2に示すように、紫外線励起法では、半導体材料に紫外線を照射して電子を励起する。波長の短い紫外線は高いエネルギーを持っており、電子は真空準位以上に励起され、半導体外に光電子が放出される。放出された光電子は運動エネルギーを持っており、その運動エネルギーを測定すれば、半導体中に存在する励起電子のエネルギーを測定できる。
紫外線励起法もまた、太陽電池の開発に重要な太陽光によって励起された電子のエネルギー測定には利用できない。
(2光子励起法)
図3に示すように、2光子励起法では、ポンプ光で励起し、プローブ光でさらに励起する。ポンプ光で電子を伝導帯に励起し、プローブ光で真空準位以上に励起する。プローブ光にはポンプ光の高調波を利用する。2光子励起法は、パルス光で励起する必要があり、複雑な光学系を必要とする。2光子励起法もまた、太陽電池の開発に重要な太陽光によって励起された電子のエネルギー測定には利用できない。
以上のいずれの測定方法によっても、真空準位以上に励起された電子のエネルギーしか測定できない。電子が励起されても、そのエネルギーが真空準位以下であれば、エネルギーを測定することができない。太陽光で励起される電子の大半は、真空準位以下であるために、上記のいずれの測定方法を用いても、太陽光で励起された電子のエネルギーは測定できない。



真空準位が低い物質から放出される光電子のエネルギーを測定する技術が、特許文献1に記載されている。
特許文献1の技術では、水素終端したダイヤモンドに励起光を照射しながら、光電子数を測定する。実際には、励起光の波長を変えながら光電子数を測定する。水素終端したダイヤモンドは負の電子親和力を持っているから、5から5.6eVの励起光で照射すると光電子を放出する。特許文献1の技術によると、水素終端したダイヤモンドは5.5eVのバンドギャップを持っていることや、それよりも0.2eVだけ低いレベルに不純物に起因するエネルギー準位が形成されているといったことが判明する。

産業上の利用分野


本明細書では、半導体材料を太陽光に露出することによって半導体材料中で励起された電子のエネルギーを測定する技術を開示する。

特許請求の範囲 【請求項1】
半導体材料の表面に負の電子親和力を持つ表面層を形成し、
その半導体材料を真空環境に置いて太陽光に露出し、
前記表面層から放出される光電子を光電子分光装置に向けて加速し、
光電子分光装置に入射した光電子をエネルギーと放出角度によって分光することを特徴とする
太陽光で励起された電子のエネルギーと波数を測定する方法。

【請求項2】
光電子の加速に用いる電圧を調整して角度分解能を調整する工程を備えている請求項1に記載の方法。

【請求項3】
半導体材料の表面に負の電子親和力を持つ表面層を形成し、
その半導体材料を真空環境に置いて太陽光に露出し、
前記表面層から放出される光電子を光電子分光装置に向けて加速し、
光電子分光装置に入射した光電子をエネルギーによって繰り返して分光し、
太陽光の照射開始時からの経過時間と関連づけて光電子分光装置の分光結果を記録することを特徴とする
太陽光で励起された電子のエネルギーの時間変化を測定する方法。

【請求項4】
半導体材料の表面に負の電子親和力を持つ表面層を形成し、
その半導体材料を真空環境に置いて太陽光に露出し、
前記表面層から放出される光電子を光電子分光装置に向けて加速し、
光電子分光装置に入射した光電子をエネルギーによって繰り返して分光し、
太陽光の照射終了時からの経過時間と関連づけて光電子分光装置の分光結果を記録することを特徴とする
太陽光で励起された電子のエネルギーの時間変化を測定する方法。

【請求項5】
太陽光のうちの特定波長に半導体材料を露出することを特徴とする請求項1から4のいずれかの1項に記載の方法。

【請求項6】
負の電子親和力を持つ表面層を形成するチャンバと、
半導体材料を太陽光に露出するチャンバと、
半導体材料の表面層から放出される光電子を加速する加速装置と、
加速装置で加速された光電子を分光する光電子分光装置と、
経過時間と関連づけて分光結果を記録する装置を備えており、
前記光電子分光装置は、半導体材料から放出された光電子のエネルギーと放出角度によって分光するものであることを特徴とする
太陽光で励起された電子が持っているエネルギーを測定する装置。

【請求項7】
前記加速装置に加える電圧を調整する電圧調整装置が付加されている請求項6の装置。

【請求項8】
試料の表面に負の電子親和力を持つ表面層を形成し、
その試料を真空環境に置いて光線に露出し、
前記表面層から放出される光電子を光電子分光装置に向けて加速し
光電子分光装置に入射した光電子をエネルギーと放出角度によって分光することを特徴とする
前記光線で励起された電子のエネルギーと波数を測定する方法。

【請求項9】
光電子の加速に用いる電圧を調整して角度分解能を調整する工程を備えている請求項8に記載の方法。

【請求項10】
試料の表面に負の電子親和力を持つ表面層を形成し、
その試料を真空環境に置いて光線に露出し、
前記表面層から放出される光電子を光電子分光装置に向けて加速し、
光電子分光装置に入射した光電子をエネルギーによって繰り返して分光し、
前記光線への露出開始時からの経過時間と関連づけて光電子分光装置の分光結果を記録することを特徴とする
前記光線で励起された電子のエネルギーの時間変化を測定する方法。

【請求項11】
試料の表面に負の電子親和力を持つ表面層を形成し、
その試料を真空環境に置いて光線に露出し、
前記表面層から放出される光電子を光電子分光装置に向けて加速し、
光電子分光装置に入射した光電子をエネルギーによって繰り返して分光し、
前記光線への露出終了時からの経過時間と関連づけて光電子分光装置の分光結果を記録することを特徴とする
前記光線で励起された電子のエネルギーの時間変化を測定する方法。

【請求項12】
前記光線のうちの特定波長に試料を露出することを特徴とする8から11のいずれかの1項に記載の方法。

【請求項13】
負の電子親和力を持つ表面層を形成することができるチャンバと、
試料を光線に露出するチャンバと、
試料の表面層から放出される光電子を加速する加速装置と、
加速装置で加速された光電子を分光する光電子分光装置を備えており、
前記光電子分光装置は、試料から放出された光電子のエネルギーと放出角度によって分光するものであることを特徴とする
前記光線で励起された電子のエネルギーと波数を測定する装置。

【請求項14】
試料を熱処理する機能と、試料に蒸着処理する機能と、試料を光線に露出する機能と、を備えたチャンバと、
試料の表面層から放出される光電子を加速する加速装置と、
加速装置で加速された光電子を分光する光電子分光装置を備えており、
前記光電子分光装置は、試料から放出された光電子のエネルギーと放出角度によって分光するものであることを特徴とする
前記光線で励起された電子のエネルギーと波数を測定する装置。

【請求項15】
経過時間と関連づけて分光結果を記録する装置を備えていることを特徴とする請求項13または14の装置。

【請求項16】
前記加速装置に加える電圧を調整する電圧調整装置が付加されている請求項13から15のいずれかの1項に記載の装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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