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標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤 NEW

国内特許コード P170014342
整理番号 (NU-0545)
掲載日 2017年6月26日
出願番号 特願2016-529661
出願日 平成27年6月25日(2015.6.25)
国際出願番号 JP2015068402
国際公開番号 WO2015199195
国際出願日 平成27年6月25日(2015.6.25)
国際公開日 平成27年12月30日(2015.12.30)
優先権データ
  • 特願2014-132569 (2014.6.27) JP
  • 特願2014-251912 (2014.12.12) JP
発明者
  • 牛田 かおり
  • 浅井 直也
  • 高橋 雅英
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤 NEW
発明の概要 硬化性基材非浸透標本を作製する際に、組織への熱侵襲がなく、薄切の際にシワややぶれが少なく、包埋剤中の組織の位置が確認でき、更に、硬化性基材非浸透標本と同一面の硬化性基材浸透標本を作製するための標本作製用包埋剤を提供する。
水溶液とした際に15℃~25℃では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチンを含む標本作製用包埋剤を用いることで課題が解決できる。
従来技術、競合技術の概要


近年、医療の現場では、手術中に組織を採取し、良性か悪性か、また、切除断端への浸潤・リンパ節転移の有無を迅速に検査することが求められている。手術中に当該検査を行うことで、手術中に術式を変更したり切除範囲を適切に決定したりすることができ、手術の精度を上げることができる。



手術中の組織の検査は、迅速性や抗原性の保持が優れていることから、一般的には、凍結組織標本を作製し、顕微鏡観察で行われている。凍結組織標本は、採取した組織を凍結包埋剤で包埋→-20℃以下に凍結→薄切→染色することで作製できる。凍結包埋剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレングリコール(PEG)等のポリマーを用いたものが知られており、凍結包埋剤として市販されている。



(課題1:凍結包埋標本のシワ、破れ、剥がれ)
しかしながら、市販されている凍結包埋剤を用いて凍結ブロックを作製して薄切すると、シワ、破れ等が発生し易く、きれいな薄膜(切片)を得ることが困難な場合がある。特に、多くの病院・研究機関では凍結包埋剤としてO.C.Tコンパウンドが使用されているが、組織がO.C.Tコンパウンドと馴染みが悪い場合は、薄切が難しいという問題がある。更に、凍結組織標本は、薄切した組織の切片をスライドガラスに接着して作製するが、従来の凍結包埋剤を用いた場合は、スライドガラスから剥がれやすいという問題がある。



上記問題を解決するために、凍結方法・温度の調整、スクロース置換、接着フィルムの使用、アガロースを用いた予備包埋等が知られている。しかしながら、前記方法は、熱侵襲、薄切の際のシワ・やぶれ、凍結組織標本の作製に時間がかかる等の問題があり、手術中に採取した組織の検査方法として用いることは問題がある。



(課題2:凍結包埋の際、O.C.Tコンパウンドは4℃程度で半透明の固体にならないため扱いにくい)
また、市販されている凍結包埋剤は凍結時に不透明になることから、包埋されている組織の向きを確認し難いという問題がある。凍結包埋剤は室温から凍結する温度付近に至るまで液体状態で流動性があるため、採取した組織を凍結する際に凍結包埋剤中で位置ずれを起こすことがある。その結果、従来の凍結包埋剤を用いた場合、凍結後の凍結包埋剤の中に包埋されている組織が所望の方向に保たれているのか外から確認をすることが困難であり、組織の切片面を所望の面となるように調整することが難しいという問題がある。



(課題3:凍結包埋からパラフィン包埋を作製する際、O.C.Tコンパウンドはホルマリン固定液の中で溶けて流れてしまい扱いにくい)
ところで、上記の凍結組織標本は、病院等で行われる迅速病理診断に使用するためのものであり、組織はホルマリン等で固定されていない。そのため、病理診断後、長期間保存すると組織が壊れるという問題がある。前記問題を解決するため、凍結組織標本を作製するための凍結ブロックから、組織が壊れないようにホルマリンで固定し、硬化性基材であるパラフィンで包埋した永久パラフィン標本を作製する場合がある。しかしながら、パラフィン標本を作製する際の工程である凍結ブロックのホルマリン固定液への浸漬の際に、従来の凍結包埋剤は、ホルマリン固定液の中で流れ落ちてしまうという問題がある。そのため、ホルマリン固定液中で組織が浮遊してしまい、その結果、凍結組織標本を作製した際の薄切面と同一面のパラフィン標本を作製することが難しいという問題がある。また、現状では、凍結組織標本及びパラフィン標本を作製する際の上記問題を一度に解決できる凍結包埋剤は知られていない。



(課題4:予備包埋におけるアガロースは熱侵襲、親和性の問題がある)
組織から凍結包埋を経ずに直接ホルマリン固定液により組織を固定した標本、更にパラフィン標本を作製する場合、構成組織の相互の結合が弱い臓器、消化管、細胞診標本等では、ホルマリン固定液中で位置・方向が定まらず、バラバラになる等の問題がある。そのためホルマリン固定の前に、アガロースにより標本組織を予備的に包埋しておく予備包埋が行われることがある。しかしながら、アガロースを予備包埋に使用する際の濃度における融点は60℃以上と高く、組織の熱侵襲が懸念され、手早い操作が必要になる。また、組織との馴染みが悪く分離してしまうという問題がある。



(課題5:一般的なゼラチンは包埋剤に向かない)
従来、ライフサイエンス研究分野においては、主に牛や豚由来のゼラチン(融点が30℃程度)が培地、バインディング材料、コーティング材料として用いられてきた。また、組織標本を作製するための包埋剤としてゼラチンを用いることも知られている(特許文献1、2参照)。



(課題6:一般的な凍結包埋剤は脂肪組織の凍結標本の作製には向かない)
術中迅速診断には、脂肪組織に埋もれたリンパ節、脂肪組織に囲まれた乳腺や脂肪肉腫などの検体が提出されることがある。ところで、脂肪組織は-20℃では凍結しないため、脂肪組織の凍結標本を作製する際には-35℃程度まで冷却して薄切する必要がある。しかしながら、一般的な凍結包埋剤を用いて-35℃まで温度を下げると、凍結包埋剤や脂肪以外の組織が固く・もろくなって均一に切れにくくなる。また、脂肪組織と凍結包埋剤とが離れてしまう等のトラブルが生じやすく、きれいな切片を得ることが困難な場合が多い。そのため、界面活性剤を添加した脂肪組織用の凍結包埋剤も知られているが、界面活性剤を添加すると染色への悪影響を及ぼすことから好ましくない。

産業上の利用分野


本発明は、標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤に関するものである。特に、水溶液とした際に、室温では液体状態で且つ4℃では固体状態となる低融点のゼラチンを標本作製用包埋剤として用いることで、組織に熱侵襲を与えず、室温での操作性が高く、シワ・やぶれが発生することがない硬化性基材非浸透標本の作製方法及び当該方法により作製した硬化性基材非浸透標本に関するものである。また、硬化性基材非浸透標本の作製に用いた凍結ブロックから硬化性基材浸透標本を作製する際に、硬化性基材非浸透標本と同一面の硬化性基材浸透標本を作製することができる硬化性基材浸透標本の作製方法に関するものである。更に、従来の凍結包埋剤と組み合わせて用いることで凍結ブロックの薄切性を向上することができる、低融点ゼラチンを含む凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
水溶液とした際に、15℃~25℃では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチン、
を含む標本作製用包埋剤。

【請求項2】
前記ゼラチンが、魚由来のゼラチンである請求項1に記載の標本作製用包埋剤。

【請求項3】
ゼラチン加水分解物類、アミノ酸とその塩類、糖類、加工澱粉類、ソルビタン脂肪酸エステル及び蔗糖脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の水溶性物質を含む請求項1又は2に記載の標本作製用包埋剤。

【請求項4】
前記水溶性物質が、少なくとも糖類を含む請求項3に記載の標本作製用包埋剤。

【請求項5】
前記水溶性物質が、アガロースである請求項3に記載の標本作製用包埋剤。

【請求項6】
前記水溶性物質が、デキストリンである請求項3に記載の標本作製用包埋剤。

【請求項7】
凍結包埋剤を更に含む請求項1~6の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤。

【請求項8】
カルボン酸化合物を更に含む請求項1~7の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤。

【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を凍結して凍結ブロックを作製する工程、
前記凍結ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
を含む硬化性基材非浸透標本の作製方法。

【請求項10】
前記薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む請求項9に記載の硬化性基材非浸透標本の作製方法。

【請求項11】
請求項1~8の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を冷却して固化したブロックを作製する工程、
前記ブロックを固定液に浸漬して固定化ブロックを作製する工程、
前記固定化ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
を含む硬化性基材非浸透標本の作製方法。

【請求項12】
前記固定化ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む請求項11に記載の硬化性基材非浸透標本の作製方法。

【請求項13】
請求項1~8の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を冷却して固化したブロックを作製する工程、
前記ブロックを固定液に浸漬して固定化ブロックを作製する工程、
前記固定化ブロックを硬化性基材で包埋した硬化性基材ブロックを作製する工程、
前記硬化性基材ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
を含む硬化性基材浸透標本の作製方法。

【請求項14】
前記硬化性基材ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む請求項13に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。

【請求項15】
前記ブロックが、硬化性基材非浸透標本を作製する際に作製した凍結ブロックである請求項13又は14に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。

【請求項16】
前記固定化ブロックを硬化性基材で包埋した硬化性基材ブロックを作製する工程が、溶融した硬化性基材中の固定化ブロックの位置を調整しながら硬化性基材を冷却することで硬化性基材ブロックを作製する請求項13~15の何れか一項に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。

【請求項17】
水溶液とした際に、15℃~25℃では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチン、
を含む硬化性基材非浸透標本。

【請求項18】
水溶液とした際に、15℃~25℃では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチン、
を含む凍結包埋剤の薄切性改善剤。

【請求項19】
カルボン酸化合物を更に含む請求項18に記載の薄切性改善剤。

【請求項20】
請求項18又は19に記載の薄切性改善剤を含む凍結包埋剤。
国際特許分類(IPC)
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