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標的細胞障害活性を有するiPS/ES細胞特異的抗体及びその用途 新技術説明会

国内特許コード P170014344
掲載日 2017年6月26日
出願番号 特願2014-553234
出願日 平成25年12月20日(2013.12.20)
国際出願番号 JP2013084374
国際公開番号 WO2014098243
国際出願日 平成25年12月20日(2013.12.20)
国際公開日 平成26年6月26日(2014.6.26)
優先権データ
  • 特願2012-280259 (2012.12.21) JP
発明者
  • 川嵜 敏祐
  • 川嵜 伸子
  • 古江 美保
  • 川端 健二
  • 豊田 英尚
出願人
  • 学校法人立命館
  • 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
発明の名称 標的細胞障害活性を有するiPS/ES細胞特異的抗体及びその用途 新技術説明会
発明の概要 本発明は、iPS及びES細胞表面上の脂質性物質をエピトープとして認識し、かつEC細胞を認識しないモノクローナル抗体、標的細胞に対して細胞障害活性を有する該抗体、iPS又はES細胞から分化させた細胞集団を上記抗体と接触させ、生存する細胞を回収することを含む、未分化細胞を含まない均一な分化細胞集団の作製方法、該方法により得られる分化細胞集団を含有してなる、細胞移植療法剤等を提供する。
従来技術、競合技術の概要


ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立により、多能性幹細胞を用いた細胞移植治療の実用化への扉が開かれた。例えば、パーキンソン病やI型糖尿病のような慢性疾患の場合、患者本人からiPS細胞を樹立し、必要な細胞に分化誘導した後に該患者に自家移植することが可能になれば、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の使用に伴う倫理的問題(即ち、生命の萌芽ともいえる初期胚の破壊)や移植時の拒絶反応の問題を回避することができる。一方で、iPS細胞の樹立から目的細胞への分化誘導まで最短でも2-3ヶ月を要することから、脊髄損傷や劇症肝炎などの早期治療を必要とする疾患については、様々なHLAタイプのiPS細胞またはそれら由来の分化細胞をバンキングしておき、それらを用いて同種移植を行うことが考えられる。



しかし、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞を心筋や神経などの細胞に分化させる条件下で培養すると、分化した細胞集団の中に未分化細胞が残存し、腫瘍化(奇形腫、発癌)の原因となっており、さらにiPS細胞は、人工的に初期化された細胞であるがゆえの特有の安全性の問題(即ち、c-Myc等の原癌遺伝子の導入やウイルスベクターの使用による腫瘍化リスク、由来となる体細胞の種類に依存した分化抵抗性による腫瘍化リスク等)をも抱えている。
このように、多能性幹細胞を用いた再生移植治療の実用化には、腫瘍化の問題を克服することが不可欠である。これまでにiPS細胞由来の発癌の抑制に対しては、癌遺伝子を含まない初期化因子の組合せの探索、非ウイルスベクターの使用、タンパク質導入によるiPS細胞の樹立といったより安全なiPS細胞樹立という観点からは様々な試みがなされてはいる。しかし、これらはiPS作製時の工夫による発癌リスクの多少の抑制という間接的なアプローチに過ぎず、完全に発癌を阻止できるレベルのものではない。
また、ES細胞にも共通する多能性幹細胞であるがゆえの未分化細胞の残存による腫瘍化(目的細胞以外の多種細胞が混在して腫瘤を形成する奇形腫)リスクに対しても、有効な解決策は提供されていない。



ところで、糖鎖認識抗体は、細胞表面糖鎖の変化を鋭敏に察知するプローブであり、ヒトiPS/ES細胞のマーカー抗体としても広く利用されている。すなわち、SSEA3、SSEA4のエピトープはグロボシリーズの糖脂質であり、TRA-1-60、TRA-1-81のエピトープは一種のケラタン硫酸である。ところが、これら既存の抗体のほとんどが、実はEC細胞(embryonal carcinoma cell、胎児性がん細胞)を免疫原として得られたものであり、iPS/ES細胞の他にEC細胞(がん細胞)とも反応する(非特許文献1)。
そこで、幹細胞研究および再生医療研究においては、EC細胞と反応せず、iPS/ES細胞とのみ反応する抗体の出現が期待されていた。最近、Chooは、ヒトES細胞を免疫原として用い、EC細胞とは反応しない抗ヒトES細胞抗体(mAb84)を報告したが(特許文献1)、この抗体がヒトiPS細胞にも反応するか否かは記載されていない(特許文献2)。



本発明者らは、ヒトiPS細胞(Tic)を免疫原としてマウスを免疫し、得られたハイブリドーマについて、ヒトiPS細胞及びヒトEC細胞によるdifferential screeningを行なうことにより、iPS/ES細胞陽性かつEC細胞陰性の抗体(R-10G)を取得することに成功した(特許文献2)。この抗体は、iPS/ES細胞表面上のポドカリキシンタンパク質に結合した、TRA-1-60やTRA-1-81のエピトープとは異なるケラタン硫酸を認識する。
しかしながら、R-10GはヒトiPS/ES細胞に対して細胞障害活性を有していないので、当該抗体を、分化細胞集団中の残存ヒトiPS/ES細胞の除去に使用するには、フローサイトメトリーやアフィニティー担体を用いた分離操作が必要となる。

産業上の利用分野


本発明は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)及び胚性幹細胞(ES細胞)に特異的に結合し、かつ当該標的細胞に対して細胞障害活性を有するモノクローナル抗体、並びにその用途に関する。より詳細には、本発明は、既知の抗iPS/ES細胞抗体が認識するのとは異なる、iPS/ES細胞表面上の脂質性物質を認識するモノクローナル抗体、並びにヒトiPS/ES細胞のマーカー抗体及び当該細胞の選択的除去のための殺細胞剤としての当該抗体の使用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
iPS及びES細胞表面上の脂質性物質をエピトープとして認識し、かつEC細胞を認識しないモノクローナル抗体。

【請求項2】
iPS及びES細胞がヒト由来である、請求項1記載の抗体。

【請求項3】
ハイブリドーマR-17F(受託番号:NITE BP-01425)により産生されるモノクローナル抗体、又は該モノクローナル抗体が認識する脂質性物質の領域と同一の領域をエピトープとして認識するモノクローナル抗体である、請求項1又は2記載の抗体。

【請求項4】
脂質性物質が糖脂質であり、前記領域が下記一般式:
Fuc-Hex-HexNAc-Hex-Hex
(式中、Fucはフコース、Hexはヘキソース、HexNAcはN-アセチルヘキソサミンを示す。)で表される糖鎖を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。

【請求項5】
少なくとも糖脂質中の下記式:
Fuc(α1-2)Gal(β1-3)GlcNAc(β1-3)Gal(β1-4)Glc
(式中、Fucはフコース、Galはガラクトース、GlcNAcはN-アセチルグルコサミン、Glcはグルコースを示す。)で表される糖鎖を含む領域をエピトープとして認識する、請求項4記載の抗体。

【請求項6】
(a)配列番号:1で示されるアミノ酸配列を含むCDR、
(b)配列番号:2で示されるアミノ酸配列を含むCDR、
(c)配列番号:3で示されるアミノ酸配列を含むCDR、
(d)配列番号:4で示されるアミノ酸配列を含むCDR、
(e)配列番号:5で示されるアミノ酸配列を含むCDR、及び
(f)配列番号:6で示されるアミノ酸配列を含むCDR
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体。

【請求項7】
(1)配列番号:8に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
(2)配列番号:10に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む請求項6記載の抗体。

【請求項8】
標的細胞に対して細胞障害活性を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体。

【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体を含有してなる、iPS又はES細胞検出用試薬。

【請求項10】
細胞サンプルを請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体と接触させ、該抗体と結合した該サンプル中の細胞を検出することを含む、iPS又はES細胞の検出方法。

【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体を含有してなる、iPS又はES細胞除去剤。

【請求項12】
前記抗体に対する二次抗体をさらに含有してなる、請求項11記載の剤。

【請求項13】
細胞集団を請求項1~8のいずれかに記載の抗体と接触させることを含む、該細胞集団中のiPS又はES細胞の除去方法。

【請求項14】
細胞集団を、さらに前記抗体に対する二次抗体に接触させることを含む、請求項13記載の方法。

【請求項15】
iPS又はES細胞から分化させた細胞集団を請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体と接触させ、生存する細胞を回収することを含む、未分化細胞を含まない均一な分化細胞集団の作製方法。

【請求項16】
前記iPS又はES細胞から分化させた細胞集団を、さらに前記抗体に対する二次抗体に接触させることを含む、請求項15記載の方法。

【請求項17】
iPS又はES細胞から分化させた細胞集団と、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体とを組み合わせてなる、細胞移植療法剤。

【請求項18】
請求項15又は16記載の方法により得られる分化細胞集団を含有してなる、細胞移植療法剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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