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コレステロールアシル転移酵素アイソザイム2(ACAT2)阻害活性を有する新規医薬化合物 NEW

国内特許コード P170014352
整理番号 S2014-0798-N0
掲載日 2017年6月30日
出願番号 特願2014-129126
公開番号 特開2016-008191
登録番号 特許第5946100号
出願日 平成26年6月24日(2014.6.24)
公開日 平成28年1月18日(2016.1.18)
登録日 平成28年6月10日(2016.6.10)
発明者
  • 供田 洋
  • 大多和 正樹
  • 大村 智
  • 長光 亨
出願人
  • 学校法人北里研究所
発明の名称 コレステロールアシル転移酵素アイソザイム2(ACAT2)阻害活性を有する新規医薬化合物 NEW
発明の概要 【課題】スタチン系医薬品とは異なる作用機序を有し、コレステロールアシル転移酵素アイソザイム2(ACAT2)阻害活性を有する化合物、及び該化合物を含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】式(I)で表される化合物、及び該化合物を含有する医薬組成物。該医薬は、脂質異常症、動脈硬化症、高血圧症、脂肪肝及び肥満症に対して有用である。



[Rはシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール等;nは0~5の整数;Rはハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル等;R~RはH、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ等;Rは-C(CH)-又は-CH-]
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


心筋梗塞又は脳卒中等の死に直結する疾患へと発展するリスクが高い動脈硬化症及び脂質異常症の日本における患者数は、自覚症状のない予備軍を含めて、3000万人に上ると言われている。日本において、動脈硬化性疾患ガイドラインが改訂された現在も、前記のような疾患の進行過程を経た死は、死因の上位を占めている。動脈硬化症及び脂質異常症は、日本だけでなく、欧米諸国においても重大な健康問題となっている。



現在、動脈硬化症及び/又は脂質異常症の予防治療薬としては、ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A(ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCo-A)(以下、「HMG-CoA」とも記載する)還元酵素を特異的に阻害する、スタチン系医薬品が主に用いられている。スタチン系医薬品は、2001年から8年連続して世界で最も多く販売されている医薬品であり、2008年度の売上高トップ30に2製品も入るほど、広く使用されている。



しかし、現実には、スタチン系医薬品による治療では、治療を受けている患者の30~40%しか発症抑制効果が得られず、治療を受けている患者の半数では、心血管疾患等を抑制していないことが明らかとなってきた(非特許文献1)。動脈硬化症の予防治療薬であるスタチン系医薬品のようなHMG-CoA還元酵素阻害剤が、心血管疾患等を十分に抑制しない理由は、動脈硬化症の発症メカニズムが複雑であるためと考えられる。動脈硬化症は、遺伝的要因、糖尿病等の病歴、又は薬剤服用歴等のような様々な要因が関連して発症することが多いと考えられる。それ故、動脈硬化症及び/若しくは脂質異常症の予防又は治療には、個々の患者の病態に合わせた診断及び治療が必要となる。また、スタチン系医薬品とは作用機序が異なり、且つ冠状動脈における発症抑制及び/又は冠状動脈病変の退縮が期待できる、新しい作用機序を有する医薬品の開発が急務である。



新しい作用機序を有する動脈硬化症及び/又は脂質異常症の予防治療薬の薬剤標的として、コレステロールアシル転移酵素(以下、「ACAT」とも記載する)が期待されている(非特許文献2)。ACATは、コレステロールにアシル基を導入する酵素である。これまでに、多数の合成ACAT阻害剤が開発されてきた。しかしながら、副作用の存在及び不十分な効果等の問題から、未だに臨床への実用化に結びついていない(非特許文献3)。



近年、ACATには、生体内での機能及び局在部位が異なる2種のアイソザイムである、ACAT1及びACAT2が存在することが明らかとなった(非特許文献4)。ACAT1は、生体内の多くの細胞又は組織に広く分布し、特にマクロファージ又は平滑筋細胞に高発現している。また、ACAT1は、動脈壁においては、動脈硬化症の原因となるマクロファージ泡沫化を引き起こすことが知られている。これに対し、ACAT2は、小腸又は肝臓に特異的に発現している。ACAT2は、それぞれの組織において、食餌性コレステロールの吸収及び超低密度リポタンパク質の分泌に関与していると考えられている。



前記の通り、ACAT1及びACAT2の生体内での機能の相違が明らかとなった。このため、ACATを薬剤標的とした創薬においては、ACAT1及びACAT2の選択性を明確にすることが重要となる。例えば、これまでに開発が中止された合成ACAT阻害剤は、ACAT1に対する選択的阻害活性(例えば、Wu-V-23及びK-604)、又はACAT1及びACAT2の両アイソザイムに対する阻害活性(例えば、アバシミベ及びパクチミベ)を有することが明らかとなった(非特許文献5)。これら合成ACAT阻害剤の開発は、いずれも副作用のために中止になっており、また、これまでのACAT1ノックアウトマウスは、副作用を示した(非特許文献6及び7)。これらの事実に対し、ACAT2ノックアウトマウスは、抗動脈硬化作用を示した(非特許文献8)。それ故、動脈硬化症及び/又は脂質異常症(高脂血症、脂肪肝及び肥満症等を含む)の予防治療薬として、ACATのアイソザイムであるACAT2に対する選択的阻害剤からの創薬が強く期待されている(非特許文献9)。



ACAT2選択的阻害剤として、天然有機化合物であるピリピロペンA(非特許文献10)、及びピリピロペンAから半合成的手法によって得られたピリピロペンA誘導体群(特許文献1~3)が見出された。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた肝ACAT2ノックアウトマウスの抗動脈硬化作用(非特許文献11)、ピリピロペンAを用いた動物実験での抗動脈硬化作用(非特許文献12)、及びピリピロペンAの全合成(非特許文献13)の結果も報告された。

産業上の利用分野


本発明は、極めて高いコレステロールアシル転移酵素アイソザイム2(以下、「ACAT2」とも記載する)阻害活性を有する新規医薬化合物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
R1は、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
nは、0~5の整数であり、
R2は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のアリールアルケニル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアシル、又は-NRN1RN2であり、但しnが2以上の場合、複数のR2は互いに同一又は異なっていてもよく、
RN1及びRN2は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のアリールアルケニル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルコキシ、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアリールアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルオキシ、及び置換若しくは非置換のアシルからなる群より選択される1価基であり、
R3及びR4は、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のアルコキシであるか、或いは、
R3及びR4は、一緒になって-O-CR7R8-O-を形成しており、
R5は、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニルオキシ、置換若しくは非置換のアリールカルボニルオキシ、又は置換若しくは非置換のアルコキシであり、
R6は、-C(CH3)2-又は-CH2-であり、
R7及びR8は、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルキニル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のアリールアルケニル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。

【請求項2】
R1が、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
R2が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、又は置換若しくは非置換のアルキニルであり、
R7及びR8が、互いに独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、又は置換若しくは非置換のアリールである、請求項1に記載の化合物。

【請求項3】
R2がシアノである、請求項1又は2に記載の化合物。

【請求項4】
nが1であり、且つR2が4-シアノである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物を製造する方法であって、以下:
式(II):
【化2】


[式中、R3、R4、R5及びR6は、請求項1~4のいずれか1項に記載の定義と同義である。]で表される化合物をエポキシ化して、式(III):
【化3】


[式中、R3、R4、R5及びR6は、前記と同義である。]
で表される化合物を得る、エポキシ化工程;
前記エポキシ化工程で得られる式(III)で表される化合物にアルデヒド基を導入して、式(IV):
【化4】


[式中、
R3、R4、R5及びR6は、前記と同義であり、
RP1は、ヒドロキシルの保護基である。]
で表される化合物を得る、アルデヒド基導入工程;
前記アルデヒド基導入工程で得られる式(IV)で表される化合物を増炭及び環化して、式(V):
【化5】


[式中、
R3、R4、R5、R6及びRP1は、前記と同義であり、
RP2は、カルボン酸の保護基である。]
で表される化合物を得る、C環導入工程;
C環導入工程で得られる式(V)で表される化合物を環化して、式(VII):
【化6】


[式中、
R1は、請求項1~4のいずれか1項に記載の定義と同義であり、
R3、R4、R5、R6及びRP1は、前記と同義である。]
で表される化合物を得る、D環導入工程;
D環導入工程で得られる式(VII)で表される化合物と、式(VIII):
【化7】


[式中、
R2及びnは、請求項1~4のいずれか1項に記載の定義と同義であり、
RL2は、カルボン酸の活性化基である。]
で表される化合物とを反応させて、式(IX):
【化8】


[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びnは、前記と同義である。]
で表される化合物を得る、ベンゾイル基導入工程;
ベンゾイル基導入工程で得られる式(IX)で表される化合物の10-位カルボニル基を還元して、式(I)で表される化合物を得る、還元工程;
を含む、前記方法。

【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含むACAT2阻害剤。

【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物を有効成分として含む医薬。

【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物若しくはその製薬上許容される塩、又はそれらの製薬上許容される溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体とを含む医薬組成物。

【請求項9】
脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の疾患若しくは症状の予防又は治療に使用するための、請求項7に記載の医薬。

【請求項10】
脂質異常症、動脈硬化症、脂肪肝及び肥満症からなる群より選択される1種以上の疾患若しくは症状の予防又は治療に使用するための、請求項8に記載の医薬組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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