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エーテル結合を有する化学物質の生分解促進方法 NEW

国内特許コード P170014375
整理番号 116
掲載日 2017年7月7日
出願番号 特願2006-080614
公開番号 特開2007-306802
登録番号 特許第5527495号
出願日 平成18年3月23日(2006.3.23)
公開日 平成19年11月29日(2007.11.29)
登録日 平成26年4月25日(2014.4.25)
発明者
  • 中宮 邦近
  • 伊藤 裕康
  • ジョン エス エドモンズ
  • 森田 昌敏
出願人
  • 中宮 邦近
  • 国立研究開発法人国立環境研究所
発明の名称 エーテル結合を有する化学物質の生分解促進方法 NEW
発明の概要 【課題】環境への負荷が少なく、安価に、かつ、持続的に、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】エーテル結合を有する脂質を用いることを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法。エーテル結合を有する化学物質と、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物とを含む環境中に、エーテル結合を有する脂質を加えることを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


1,4-ジオキサンやダイオキシン類等のエーテル結合を持つ化学物質に汚染された環境の修復方法には、熱処理等の物理化学的な分解処理法が提案されてきた(例えば特許文献1参照)。しかし、これらの方法は多くのエネルギーを使い特殊な反応装置を用いておこなうため、工場等の排水等のエーテル結合を持つ化学物質に高濃度で汚染されたサイトへの応用には有効であったが、汚染が低濃度で広範囲に広がっている場合は、大量のエネルギーが無駄に浪費されることとなるため、コスト面だけでなく、環境面に対しても好ましくない。そのため、物理化学的な分解処理法の使用は、高濃度のエーテル結合を持つ化学物質に汚染された特殊な場所に限定されている。



一方、生物学的処理法として、汚染物質を分解する微生物を汚染地帯に散布する方法が従来から知られているが、汚染地帯に微生物が定着しづらく、微生物の活性はすぐに失われてしまうという欠点があった。



また、子のう菌類のカビであるコルディセプス シネンシス(Cordyceps sinensis)は、1,4-ジオキサン(例えば非特許文献1参照)やダイオキシン類(例えば非特許文献2参照)等のエーテル結合を持つ汚染化学物質を分解することが知られている。しかし、コルディセプス シネンシスが自然環境中で何を資化しているかは全く知られていなかった。
【特許文献1】
特開2000-233165号公報
【非特許文献1】
Appl. Environ. Microbiol., vol. 71, pp.1254-1258, 2005.
【非特許文献2】
FEMS Microbiol. Lett., vol. 248, pp.17-22, 2005.

産業上の利用分野


本発明は、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
エーテル結合を有する脂質を用いることを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法であって、
前記エーテル結合を有する脂質が、式(I)
【化1】



(式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC20~C60の炭化水素基を表す。ここで、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環、又は2量体を形成してもよい。R及びRは、いずれか一方が置換されていてもよいヒドロキシメチル基又はリン酸メチル基を表し、他の一方は水素原子を表す。)で表される、古細菌由来の脂質であり、
前記エーテル結合を有する化学物質の分解微生物が、エーテル結合を有する脂質を資化しうる、コルディセプス属に属する微生物であり、
前記エーテル結合を有する化学物質が、式(III)
【化2】



(式(III)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。A及びBは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質、又は式(IV)
【化3】



(式(IV)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとR10は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、R11とR12は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。C~Fは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質である、方法。

【請求項2】
エーテル結合を有する化学物質と、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物とを含む環境中に、エーテル結合を有する脂質を加えることを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法であって、
前記エーテル結合を有する脂質が、式(I)
【化4】



(式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC20~C60の炭化水素基を表す。ここで、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環、又は2量体を形成してもよい。R及びRは、いずれか一方が置換されていてもよいヒドロキシメチル基又はリン酸メチル基を表し、他の一方は水素原子を表す。)で表される、古細菌由来の脂質であり、
前記エーテル結合を有する化学物質の分解微生物が、エーテル結合を有する脂質を資化しうる、コルディセプス属に属する微生物であり、
前記エーテル結合を有する化学物質が、式(III)
【化5】



(式(III)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。A及びBは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質、又は式(IV)
【化6】



(式(IV)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとR10は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、R11とR12は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。C~Fは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質である、方法。

【請求項3】
エーテル結合を有する脂質が、2,3-ジ-O-フィタニル-sn-グリセロール、サイクリックアーキオール、α-ヒドロキシアーキオール、β-ヒドロキシアーキオール、カルドアーキオール、H字型カルドアーキオール又はこれらのいずれかの誘導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法。

【請求項4】
式(III)及び/又は式(IV)における、置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基が、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のエーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法。

【請求項5】
エーテル結合を有する化学物質が、ジオキサン、ダイオキシン、ビフェニルエーテル及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる1つ又は2つ以上の化学物質であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のエーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法。

【請求項6】
エーテル結合を有する化学物質が、1,4-ジオキサン、2-ヒドロキシメチル-1,4-ジオキサン及び塩素化ジベンゾ-p-ダイオキシンからなる群から選ばれるいずれか1つ又は2つ以上の化学物質であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のエーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化する方法。

【請求項7】
エーテル結合を有する化学物質と、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物とを含む環境中で、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物と、エーテル結合を有する脂質とを接触させることを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物の環境中への集積方法であって、
前記エーテル結合を有する脂質が、式(I)
【化7】



(式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC20~C60の炭化水素基を表す。ここで、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環、又は2量体を形成してもよい。R及びRは、いずれか一方が置換されていてもよいヒドロキシメチル基又はリン酸メチル基を表し、他の一方は水素原子を表す。)で表される、古細菌由来の脂質であり、
前記エーテル結合を有する化学物質の分解微生物が、エーテル結合を有する脂質を資化しうる、コルディセプス属に属する微生物であり、
前記エーテル結合を有する化学物質が、式(III)
【化8】



(式(III)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。A及びBは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質、又は式(IV)
【化9】



(式(IV)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとR10は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、R11とR12は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。C~Fは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質である、方法。

【請求項8】
(a)エーテル結合を有する脂質と、(b)エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を用いることを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解を促進する方法であって、
前記エーテル結合を有する脂質が、式(I)
【化10】



(式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC20~C60の炭化水素基を表す。ここで、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環、又は2量体を形成してもよい。R及びRは、いずれか一方が置換されていてもよいヒドロキシメチル基又はリン酸メチル基を表し、他の一方は水素原子を表す。)で表される、古細菌由来の脂質であり、
前記エーテル結合を有する化学物質の分解微生物が、エーテル結合を有する脂質を資化しうる、コルディセプス属に属する微生物であり、
前記エーテル結合を有する化学物質が、式(III)
【化11】



(式(III)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。A及びBは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質、又は式(IV)
【化12】



(式(IV)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとR10は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、R11とR12は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。C~Fは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質である、方法。

【請求項9】
エーテル結合を有する脂質を含有することを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物の活性化剤であって、
前記エーテル結合を有する脂質が、式(I)
【化13】



(式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC20~C60の炭化水素基を表す。ここで、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環、又は2量体を形成してもよい。R及びRは、いずれか一方が置換されていてもよいヒドロキシメチル基又はリン酸メチル基を表し、他の一方は水素原子を表す。)で表される、古細菌由来の脂質であり、
前記エーテル結合を有する化学物質の分解微生物が、エーテル結合を有する脂質を資化しうる、コルディセプス属に属する微生物であり、
前記エーテル結合を有する化学物質が、式(III)
【化14】



(式(III)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。A及びBは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質、又は式(IV)
【化15】



(式(IV)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとR10は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、R11とR12は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。C~Fは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質である、活性化剤。

【請求項10】
エーテル結合を有する脂質を含有することを特徴とする、エーテル結合を有する化学物質の分解微生物を活性化して、エーテル結合を有する化学物質の分解促進するための分解促進剤であって、
前記エーテル結合を有する脂質が、式(I)
【化16】



(式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC20~C60の炭化水素基を表す。ここで、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環、又は2量体を形成してもよい。R及びRは、いずれか一方が置換されていてもよいヒドロキシメチル基又はリン酸メチル基を表し、他の一方は水素原子を表す。)で表される、古細菌由来の脂質であり、
前記エーテル結合を有する化学物質の分解微生物が、エーテル結合を有する脂質を資化しうる、コルディセプス属に属する微生物であり、
前記エーテル結合を有する化学物質が、式(III)
【化17】



(式(III)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。A及びBは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質、又は式(IV)
【化18】



(式(IV)中、R~R12は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよいC1~C5の炭化水素基を表す。RとR10は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよいし、R11とR12は互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環を形成してもよい。C~Fは、それぞれ独立して、一重結合又は二重結合を表す。)で表される化学物質である、分解促進するための分解促進剤。

【請求項11】
エーテル結合を有する脂質を含有することを特徴とする、コルディセプス属に属する微生物の増殖促進剤であって、
前記エーテル結合を有する脂質が、式(I)
【化19】



(式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいC20~C60の炭化水素基を表す。ここで、RとRは互いに炭化水素鎖の末端で共有結合して環、又は2量体を形成してもよい。R及びRは、いずれか一方が置換されていてもよいヒドロキシメチル基又はリン酸メチル基を表し、他の一方は水素原子を表す。)で表される、古細菌由来の脂質であり、
前記コルディセプス属に属する微生物が、前記エーテル結合を有する脂質を資化しうる微生物である、増殖促進剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


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