TOP > 国内特許検索 > 家畜視床下部繁殖中枢由来不死化神経細胞株

家畜視床下部繁殖中枢由来不死化神経細胞株

国内特許コード P170014474
整理番号 S2016-0229-N0
掲載日 2017年7月28日
出願番号 特願2015-243719
公開番号 特開2017-108650
出願日 平成27年12月15日(2015.12.15)
公開日 平成29年6月22日(2017.6.22)
発明者
  • 松田 二子
  • 大蔵 聡
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 家畜視床下部繁殖中枢由来不死化神経細胞株
発明の概要 【課題】家畜の生殖・繁殖活動を制御するヤギや牛等の反芻家畜の視床下部由来のKNDyニューロン、GnRHニューロンから不死化細胞株を樹立する方法。
【解決手段】SV40T-antigenを発現させることにより、神経細胞の不死化を図り、さらに、各ニューロンのマーカーの発現を指標として細胞クローンを選抜した床下部由来不死化神経細胞株、好ましくは、KNDyニューロン由来もしくはGnRHニューロン由来不死化神経細胞株。不死化神経細胞株に、候補化合物を接触させる反芻家畜の繁殖に効果を有する薬剤のスクリーニング方法。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


家畜の繁殖制御技術は畜産の発展とともに発達を遂げている。わが国では家畜増進法の制定や凍結精液の普及により、人工授精技術が日本全土に広く普及している。中でもウシの人工授精技術の発展は目覚しく、現在では凍結精液を用いた人工授精が肉用牛、及び乳用牛の繁殖のほぼ100%で実施されている。



しかし、近年では人工授精による受胎率の低下が報告されているほか、微弱発情や卵巣静止などの繁殖障害による空胎期の延長が問題視されている。空胎期の延長は、畜産物の生産効率を低下させる原因となるからである。さらに、世界的に畜産物の需要が増加しており、家畜を効率的に繁殖し生産する技術の開発が待たれている。



雌性動物の生殖周期は性成熟から始まり、発情、排卵、受精、着床、分娩、哺乳のサイクルを繰り返す。その生殖周期のいずれかの段階に異常が起こり、繁殖が停止する状態を繁殖障害と呼ぶ。繁殖障害は家畜の空胎期間の延長につながり、家畜は次世代の個体を産むことなく無為に飼料を消費することになる。繁殖障害は、ホルモン分泌の異常、微生物感染、先天性の遺伝子変異、飼養管理状況の不良など様々な要因によって起こることが知られている。



このうちホルモン分泌の異常によって起こる繁殖障害については詳しいメカニズムは解明されていない。そのため、ウシ等の家畜のホルモン分泌の異常によって繁殖障害が起こるメカニズムや、繁殖を最も上位で制御する機構(繁殖中枢)の解明が待たれている。繁殖中枢を制御するメカニズムが解明されることにより、より効率的に家畜を繁殖させることが可能となるからである。



現在までにホルモンによる繁殖制御については以下のような機構が明らかにされている。哺乳類の繁殖機能は、視床下部-下垂体-性腺が一連の単位となって制御されている。視床下部から下垂体門脈系に分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone、GnRH)は、下垂体前葉からの黄体形成ホルモン(luteinizing hormone、LH)及び卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone、FSH)からなる性腺刺激ホルモン(gonadotropin,GTH)の分泌を促進する。GnRHは血中に律動的に放出され、GnRHの分泌動態に対応してGTHも血中に律動的に分泌される。これらはそれぞれGnRHパルス、GTHパルスとよばれ、雌性動物における卵胞発育に必要であることが知られている(非特許文献1)。卵胞の発育が十分に進むと、GnRHの一過性大量分泌(GnRHサージ)が起こり、それに引き続いて起こるLHサージによって排卵が誘起される。



GnRHニューロンは、パルス状、サージ状のGnRH分泌により卵胞発育、排卵をそれぞれ誘起し、性周期を制御している。すなわち、卵巣内での卵胞発育や排卵のタイミングはGnRHの分泌動態によって制御されている。このように、GnRHニューロンは繁殖中枢として重要な役割を果たしているが、どのような機構によってGnRHニューロンが制御されているかは不明である。



近年、GnRHニューロンを上位で制御するキスペプチン(kisspeptin)と呼ばれる神経ペプチドが発見された(非特許文献2)。特に、弓状核に局在するキスペプチンニューロンは、キスペプチンだけでなくニューロキニンB(neurokinin B、NKB)及びダイノルフィンA(dynorphin A)と呼ばれる神経ペプチドも分泌することから、KNDyニューロンと呼ばれている。このKNDyニューロンがGnRHパルスジェネレーターであることが示唆されている。GnRHパルスジェネレーターとは、GnRHのパルス状の分泌パターン、特にパルス頻度を制御する神経内分泌機構をいう。



GnRHニューロンは視床下部において他の細胞と混じって散在し、さらにその細胞数が限られていることから、その詳細な機能についての研究が困難であった。繁殖機能を制御するメカニズムを研究するためには、細胞レベルでの解析が不可欠である。そのため、げっ歯類(マウス)ではGnRHニューロン細胞株が樹立されている(非特許文献3)。また、げっ歯類(マウス、ラット)においては、視床下部の様々なニューロンに由来すると考えられる視床下部由来不死化神経細胞株も樹立されている(非特許文献4、5)。

産業上の利用分野


哺乳類の生殖・繁殖活動を制御する中枢である視床下部において中心的な役割を果たすKNDyニューロンとGnRHニューロンの2種類の神経細胞から樹立した不死化神経細胞株に関する。特に、これまで樹立されていなかったウシ、ヤギのような反芻動物の家畜から樹立した視床下部由来の神経細胞株に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
反芻家畜の視床下部神経細胞に由来し、
NSE発現陽性、GFAP発現陰性であることを特徴とする視床下部由来不死化神経細胞株。

【請求項2】
前記反芻家畜が、ヤギ、又はウシであることを特徴とする請求項1記載の視床下部由来不死化神経細胞株。

【請求項3】
請求項1又は2記載の視床下部由来不死化神経細胞株が、
TAC3、ESR1、KISS1、PDYN、TACR3、PGRを少なくとも1つ発現していることを特徴とするKNDyニューロン由来不死化神経細胞株。

【請求項4】
請求項1又は2記載の視床下部由来不死化神経細胞株が、
GNRH1、及び/又はKISS1R陽性であることを特徴とするGnRHニューロン由来不死化神経細胞株。

【請求項5】
請求項4記載の視床下部由来不死化神経細胞株が、
さらに、ESR1陰性であることを特徴とするGnRHニューロン由来不死化神経細胞株。

【請求項6】
受託番号NITE P-02081で寄託されているヤギKNDyニューロン由来不死化神経細胞株GA28。

【請求項7】
受託番号NITE P-02082で寄託されているウシKNDyニューロン由来不死化神経細胞株CA2。

【請求項8】
受託番号NITE P-02083で寄託されているウシKNDyニューロン由来不死化神経細胞株CA38。

【請求項9】
受託番号NITE P-02084で寄託されているウシGnRHニューロン由来不死化神経細胞株CP3。

【請求項10】
受託番号NITE P-02085で寄託されているウシGnRHニューロン由来不死化神経細胞株CP22。

【請求項11】
受託番号NITE P-02086で寄託されているウシGnRHニューロン由来不死化神経細胞株CP28。

【請求項12】
請求項1~11に記載の不死化神経細胞株に、
候補化合物を接触させることを特徴とする反芻家畜の繁殖に効果を有する薬剤のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2015243719thum.jpg
出願権利状態 公開
名古屋大学の公開特許情報を掲載しています。ご関心のある案件がございましたら、下記まで電子メールでご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close