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炎症性サイトカインの産生が抑制されるキメラ抗原受容体遺伝子改変リンパ球

国内特許コード P170014475
整理番号 S2016-0262-N0
掲載日 2017年7月28日
出願番号 特願2015-255539
公開番号 特開2017-112982
出願日 平成27年12月27日(2015.12.27)
公開日 平成29年6月29日(2017.6.29)
発明者
  • 西尾 信博
  • ▲高▼橋 義行
  • 中沢 洋三
  • 松田 和之
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 炎症性サイトカインの産生が抑制されるキメラ抗原受容体遺伝子改変リンパ球
発明の概要 【課題】CAR療法の治療成績の向上を目指し、抗IL-6受容体抗体等の投与に代わる、サイトカイン放出症候群に対する有効な手段を提供することを課題とする。
【解決手段】標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子とともに、インターロイキン6遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又は腫瘍壊死因子α遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを標的細胞に導入し、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球を調製する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


キメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor。以下、「CAR」とも呼ぶ)を用いた遺伝子改変T細胞療法(CAR-T療法)や遺伝子改変NK細胞療法(CAR-NK療法)が臨床応用されつつある。CARは、典型的には、抗体の単鎖可変領域を細胞外ドメインとし、それに膜貫通領域、CD3ζ及び共刺激シグナルを伝える分子の細胞内ドメインをつないだ構造を備える。抗体の特異性に従って抗原に結合することによりCAR遺伝子導入リンパ球は活性化し、標的細胞(がん細胞など)を傷害する。CAR療法は、細胞の調製が比較的容易であること、高い細胞傷害活性を示すこと、持続的な効果を期待できることなどの利点を有し、特に、難治性や従来の治療法に抵抗性の症例に対する新たな治療手段として期待されている。実際、化学療法抵抗性急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia)患者に対して、細胞表面に発現するCD19抗原に対するCARを、患者から採取した末梢血T細胞に遺伝子導入し、培養して輸注する臨床試験が欧米で行われ、寛解率80~90%の良好な成績が報告されている(非特許文献1~3)。CAR療法は、米国では難治性がんに対して最も将来有望な治療法の1つとして注目されている。



一方、B細胞性腫瘍に対するCD19抗原を標的としたCAR療法の臨床試験では、CAR遺伝子導入T細胞(CAR-T細胞)が抗腫瘍効果を発現する際に高サイトカイン血症が生じ、約30%の患者に急性呼吸窮迫症候群、意識障害、多臓器不全などの重篤な合併症が認められる(「サイトカイン放出症候群」と呼ばれる。非特許文献2~5を参照)。これまでに過剰産生が報告されている主なサイトカインは、インターフェロン(IFN)γ、腫瘍壊死因子(TNF)α、インターロイキン(IL)-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12である(非特許文献5)。CAR療法に起因するサイトカイン放出症候群に対しては、副腎皮質ステロイド剤、抗IL-6受容体抗体、抗TNF-α抗体等が投与され、特に抗IL-6受容体抗体の投与が有効であったと報告されている。

産業上の利用分野


本発明はキメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球(CAR遺伝子導入リンパ球)に関する。詳細には、特定のサイトカイン遺伝子がノックダウンされたCAR遺伝子導入リンパ球の作製方法、当該細胞の用途等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子とともに、インターロイキン6遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又は腫瘍壊死因子α遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを標的細胞に導入するステップ、を含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製方法。

【請求項2】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子、第1核酸コンストラクト、及び第2核酸コンストラクトの導入が、トランスポゾン法によって行われる、請求項1に記載の調製方法。

【請求項3】
トランスポゾン法がpiggyBacトランスポゾン法である、請求項2に記載の調製方法。

【請求項4】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子と、第1核酸コンストラクト及び/又は第2発現コンストラクトが同一のベクターに搭載され、該ベクターが標的細胞に導入される、請求項1~3のいずれか一項に記載の調製方法。

【請求項5】
標的細胞がT細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の調製方法。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の調製方法で得られた、キメラ抗原受容体を発現するとともに、インターロイキン6遺伝子を標的とするsiRNA及び/又は腫瘍壊死因子α遺伝子を標的とするsiRNAが細胞内で生成される、遺伝子改変リンパ球。

【請求項7】
請求項6に記載の遺伝子改変リンパ球を治療上有効量含む、細胞製剤。

【請求項8】
請求項6に記載の遺伝子改変リンパ球を、治療上有効量、がん患者に投与するステップを含む、がんの治療法。

【請求項9】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子を含むキメラ抗原受容体発現カセットとともに、インターロイキン6遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又は腫瘍壊死因子α遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを含むsiRNA発現カセットを搭載したベクター。

【請求項10】
キメラ抗原受容体発現カセットとsiRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備える、請求項9に記載のベクター。

【請求項11】
請求項10に記載のベクターと、トランスポザーゼ発現ベクターを含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製キット。

【請求項12】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子を含むキメラ抗原受容体発現カセットを搭載したベクターと、
インターロイキン6遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクト及び/又は腫瘍壊死因子α遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを含むsiRNA発現カセットを搭載したベクターと、
を含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製キット。

【請求項13】
キメラ抗原受容体発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
siRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
トランスポザーゼ発現ベクターを更に含む、請求項12に記載の調製キット。

【請求項14】
標的抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子を含むキメラ抗原受容体第1発現カセットを搭載したベクターと、
インターロイキン6遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第1核酸コンストラクトを含む第1siRNA発現カセットを搭載したベクターと、
腫瘍壊死因子α遺伝子を標的とするsiRNAを細胞内で生成する第2核酸コンストラクトを含む第2siRNA発現カセットを搭載したベクターと、
を含む、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子改変リンパ球の調製キット。

【請求項15】
キメラ抗原受容体発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
第1siRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
第2siRNA発現カセットが一対のトランスポゾン逆向き反復配列に挟まれた構造を備え、
トランスポザーゼ発現ベクターを更に含む、請求項14に記載の調製キット。

【請求項16】
トランスポザーゼがpiggyBacトランスポザーゼである、請求項11、13、15のいずれか一項に記載の調製キット。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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