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気泡除去装置及び気泡除去方法

国内特許コード P170014521
整理番号 B000039
掲載日 2017年8月22日
出願番号 特願2014-168642
公開番号 特開2016-043301
出願日 平成26年8月21日(2014.8.21)
公開日 平成28年4月4日(2016.4.4)
発明者
  • 林 嘉久
出願人
  • 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
発明の名称 気泡除去装置及び気泡除去方法
発明の概要 【課題】溶液中に溶解している気体成分に影響を与えることなく、気体溶解度を維持した状態で溶液中から気泡だけを効率良く除去すること。
【解決手段】溶媒Wに気体Mが溶解した溶液Sが流入する流入口40が形成された第1収容部3と、流入口よりも上方に配置され、流入口から上方に向けて流れてきた溶液を第1収容部から排出する排出路4と、排出路を通じて排出された溶液を収容すると共に、溶液を流出させる流出口42が形成された第2収容部5と、排出路を通じて連通する第1収容部及び第2収容部の内圧を、同圧に調整すると共に任意の圧力に調整する圧力調整部6とを備え、第1収容部は、溶液を上昇させる間に溶液に第1の気液分離を行わせ、排出路は、第2収容部内に配置された案内部材を伝わせながら溶液を第2収容部内に供給し、その間に溶液に第2の気液分離を行わせる気泡除去装置1を提供する。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


気体を液体(溶媒)に溶解させる代表的な方法として、攪拌による気液混合が知られている。この気液混合を行うにあたって、加圧条件下で攪拌を行うことで気体を液体に効率良く溶解できることも知られている。例えば炭酸飲料を例に挙げると、炭酸ガスに圧力を加えて攪拌することで、水に対して炭酸ガスをより多量に溶解させることができる。



ところで、一般的な攪拌操作で得られた溶液には気泡が混入してしまう。この気泡は様々な影響を及ぼすことが知られており、例えば流量計の測定精度の悪化や、塗装やインク印刷による塗装面や印刷面の仕上がり精度の悪化を招いてしまう。また、例えば溶液中の気体溶解度(濃度)を測定する場合には、測定結果のバラツキの原因となってしまい、測定精度の悪化を招いてしまう。従って、一般的には攪拌による気液混合を行った後、溶液中から気泡を除去する脱泡作業を行っている。



脱泡及び脱気について定義する。
脱泡とは、溶液中に混合されている様々な大きさの気泡を除去することである。なお気泡は、周囲が液体に囲まれ、内部が気体とされている。
これに対して脱気とは、気体が飽和状態で溶解している溶液の温度環境又は圧力環境を変化させ、この変化によって溶液中に溶解している気体成分を気泡に戻し、その気泡を脱泡させることで溶液中の気体濃度を減少させることである。従って、脱気を行うことで、溶液中に溶解している気体成分を気泡に変化させて除去してしまうので、溶液の気体溶解度が低下してしまう。なお、気体が飽和状態で溶解している溶液の気体溶解度は、ヘンリーの法則にしたがっている。



上述した脱泡を行う方法としては、例えば加熱沸騰を利用した方法、超音波を利用した方法、真空減圧を利用した方法、遠心力を利用した方法、ガス透過膜(気液分離膜)を利用した方法、及び静置法が知られている。



加熱沸騰を利用した方法は、溶液を加熱することで、溶液の粘性の低下と気泡の膨張とにより気泡の上昇速度を増加させて、溶液から気泡を除去する方法である。しかしながら、溶液を加熱、沸騰させるので、温度環境が大きく変化してしまい、脱気作用が働いてしまう。そのため、溶液に溶解している気体成分までもが気化して気泡に変化し、溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。



超音波を利用した方法として、例えば溶液が収容されている容器に超音波による振動を加えることで容積を変化させ、容器内の減圧及び加圧を交互に行う方法が知られている(特許文献1参照)。これにより、溶液に含まれる気泡の体積を膨張、収縮させて気泡の上昇速度を増加させることができ、溶液から気泡を除去することが可能とされている
しかしながら、超音波による振動を溶液に加えると、溶液中に高圧部分と低圧部分とが交互に存在してしまう。そのため、低圧部分において脱気作用が働いてしまい、溶液に溶解している気体成分が気泡に変化すると共に、膨張して大きな気泡となって溶液面に浮上して溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。



真空減圧を利用した方法は、減圧によって溶液に含まれる気泡の体積を膨張させることにより気泡の上昇速度を増加させ、溶液から気泡を除去する方法である。しかしながら、減圧を行うことで、溶液に溶解している気体成分までもが気化して気泡に変化し、溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。このように、真空減圧を利用した方法は、脱泡と脱気とを同時に行う方法とされている。



遠心力を利用した方法として、例えば回転体の遠心力を用いて溶液を減圧容器の内壁に衝突させることにより、溶液に含まれる気泡を除去する方法が知られている(特許文献2参照)。この方法では、溶液と気泡の密度差を利用し、遠心力により溶液から気泡を除去させ易くしている。しかしながら、遠心力を作用させた際に、溶液に減圧部分が発生してしまうので、脱気作用が働き、溶液に溶解している気体成分が気泡に変化して溶液から除去され易い。従って、気体溶解度が低下するおそれがあった。



ガス透過膜(気液分離膜)は、例えば細長いパイプ状に形成され、通常は複数本を束ねて使用される。このガス浸透膜は、溶液の組成を変えずに気泡を除去することが可能であるので、幅広い分野で使用されている。このような気液分離膜を用いた方法として、例えば溶液(処理液)を通過させる気液分離膜の内側に、溶液中の気泡と同じ成分の気体を存在させ、溶液に溶解している気体の飽和蒸気圧以下の圧力で溶液を移動させる方法が知られている(特許文献3参照)。この方法によれば、溶液の組成を変えずに気泡を除去することが可能とされている。



しかしながら、この方法では、気液分離膜の内側の圧力を溶液の飽和蒸気圧以下の圧力にする必要があるので、脱泡作用の他に脱気が行われてしまい、気体溶解度が低下するおそれがあった。さらに、ガス透過膜という特殊な膜を使用する必要があり、高価になり易い。加えて、複数の圧力を制御する必要があるので、手間がかかり、扱い難いものであった。



上述のように、加熱沸騰、超音波、真空減圧、遠心力、及びガス透過膜を利用した方法は、いずれも脱泡だけではなく、脱気を伴ってしまうので、溶液に溶解している気体成分が気泡となって除去され、気体溶解度が低下し易い。



これに対して、静置法は、例えば溶解度測定実験において用いられる方法であり、脱気作用を生じさせることなく、脱泡だけを行うことができる方法として知られている。具体的に静置法は、液体と気体とを所定の温度及び圧力下で一定時間攪拌して、両者が混合した溶液を作製した後、攪拌時の温度条件及び圧力条件を維持した状態で、一定時間静置することで溶液から気泡を除去する方法である。このように、静置法では攪拌時点における温度条件及び圧力条件を維持するので脱気作用が生じない。従って、溶液の気体溶解度を低下させることなく脱泡だけを行うことが可能とされている。



なお、攪拌後に溶液を静置する静置時間としては、例えば攪拌を行う容器の形状や攪拌方法等によって変化する。例えば、攪拌及び静置にそれぞれ18時間費やす方法(非特許文献1参照)や、攪拌に2時間、静置に一昼夜費やす方法(非特許文献2参照)や、攪拌及び静置にそれぞれ3時間費やす方法(非特許文献3参照)が知られている。

産業上の利用分野


本発明は、気泡除去装置及び気泡除去方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
溶媒に気体が溶解した溶液が流入する流入口が形成され、前記溶液を内部に収容する第1収容部と、
前記流入口よりも上方に配置され、前記流入口から上方に向けて流れてきた前記溶液を前記第1収容部から排出する排出路と、
前記排出路を通じて排出された前記溶液を内部に収容すると共に、収容した前記溶液を流出させる流出口が形成された第2収容部と、
前記排出路を通じて連通する前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を、同圧に調整すると共に任意の圧力に調整する圧力調整部と、を備え、
前記第1収容部は、前記溶液を前記流入口から前記排出路まで上昇させるまでの間に、前記溶液に第1の気液分離を行わせ、
前記排出路は、前記第1収容部から排出した前記溶液を前記第2収容部内に配置された案内部材を伝わせながら前記第2収容部内に供給し、その間に前記溶液に第2の気液分離を行わせることを特徴とする気泡除去装置。

【請求項2】
請求項1に記載の気泡除去装置において、
前記案内部材は、前記第2収容部の内壁面とされ、
前記排出路は、前記第1収容部から排出した前記溶液を前記第2収容部の内壁面を伝わせながら前記第2収容部内に供給することを特徴とする気泡除去装置。

【請求項3】
請求項1又は2に記載の気泡除去装置において、
前記第1収容部内には、前記排出路よりも上方に位置する部分に空間部が確保されていることを特徴とする気泡除去装置。

【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の気泡除去装置において、
前記流入口を通じて前記溶液を前記第1収容部内に連続的に供給する供給部を備えていることを特徴とする気泡除去装置。

【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の気泡除去装置において、
前記流入口を介して前記第1収容部に接続された攪拌容器と、前記攪拌容器内で前記溶媒及び前記気体を攪拌して前記溶液を作製する攪拌子と、を有する攪拌部を備え、
前記圧力調整部は、前記攪拌容器の内圧と同圧となるように、前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を調整することを特徴とする気泡除去装置。

【請求項6】
請求項1又は2に記載の気泡除去装置において、
前記第2収容部には、前記第2収容部内で前記溶媒及び前記気体を攪拌して前記溶液を作製する攪拌子を有する攪拌部が設けられ、
前記第1収容部と前記第2収容部との間には、前記流出口を通じて前記第2収容部内から流出した攪拌後の前記溶液を、前記流入口を通じて前記第1収容部内に供給する送液部が設けられ、
前記攪拌子は、前記溶液の作製後、攪拌を停止することを特徴とする気泡除去装置。

【請求項7】
請求項6に記載の気泡除去装置において、
前記送液部は、前記第2の気液分離後の前記溶液を、前記流入口を通じて前記第1収容部内に供給することを特徴とする気泡除去装置。

【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の気泡除去装置において、
前記第2の気液分離後の前記溶液に含まれる気体成分の気体溶解度を測定する測定部を備えていることを特徴とする気泡除去装置。

【請求項9】
溶媒に気体が溶解した溶液が第1収容部内で上昇するように、前記第1収容部内に前記溶液を供給する工程と、
前記溶液が前記第1収容部内を上昇する間に、前記溶液に第1の気液分離を行わせる工程と、
前記第1収容部内を上昇してきた前記溶液を、排出路を通じて前記第1収容部から排出し、前記第2収容部内に供給する工程と、
前記排出路を通じて連通する前記第1収容部及び前記第2収容部の内圧を、同圧に調整すると共に任意の圧力に調整する工程と、を備え、
前記溶液を前記第2収容部内に供給する際に、前記第2収容部内に配置された案内部材を伝わせながら前記第2収容部内に前記溶液を供給し、その間に前記溶液に第2の気液分離を行わせることを特徴とする気泡除去方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014168642thum.jpg
出願権利状態 公開


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