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抗マラリア剤 UPDATE

国内特許コード P170014533
整理番号 (S2015-0073-N0)
掲載日 2017年8月24日
出願番号 特願2016-555219
出願日 平成27年10月20日(2015.10.20)
国際出願番号 JP2015079511
国際公開番号 WO2016063848
国際出願日 平成27年10月20日(2015.10.20)
国際公開日 平成28年4月28日(2016.4.28)
優先権データ
  • 特願2014-214605 (2014.10.21) JP
  • 特願2014-214606 (2014.10.21) JP
発明者
  • 金 惠淑
  • 綿矢 有佑
  • 佐藤 聡
  • 土居 弘幸
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 抗マラリア剤 UPDATE
発明の概要 マラリア原虫の感染、特にクロロキン及び/又はアーテミシニンに対する耐性マラリア原虫の感染に起因するマラリアに対して有効に作用する抗マラリア剤を提供する。さらには有効成分の薬効を効果的に持続可能な抗マラリア剤を提供する。一般式(I)で表されるペルオキシド誘導体又はその薬学的に許容しうる塩を有効成分として含む抗マラリア剤による。前記抗マラリア剤を経皮吸収型製剤とすることで、有効成分が緩やかに血中に移行し、有効血漿中濃度を12時間以上持続可能であり、マラリアに対して有効に作用する。



[式中、Cは置換しても良い脂環式炭化水素環基、nは0~6の整数を示す。]
従来技術、競合技術の概要


マラリアはプラスモジウム(Plasmodium)属原虫のP. vivax(三日熱マラリア原虫)、P. falciparum(熱帯熱マラリア原虫)、P. malariae(四日熱マラリア原虫)、P. ovale(卵形マラリア原虫)などの単独又は混合感染に起因する疾患であり、特有の熱発作、貧血及び脾腫を主徴とする。ハマダラ蚊を媒介として感染し、間欠的な熱発作、貧血、脾腫等の症状を示す。



マラリア原虫は、媒介動物であるハマダラカ(Anopheles)の唾液腺にスポロゾイト(sporozoite)として集積している。メスのハマダラカは産卵のために吸血を行うが、その際に唾液を宿主に注入するので、その中のスポロゾイトが血中に侵入する。宿主の血中に入ったスポロゾイトは45分程度で肝細胞内に取り込まれ、しばらくして分裂を開始し、分裂小体(メロゾイト: merozoite)が数千個になった段階で肝細胞を破壊して血中に放出される。メロゾイトは赤血球に侵入し、輪状体(早期栄養体)、栄養体(後期栄養体又はアメーバ体)、分裂体の経過をたどり、8~32個に分裂した段階で赤血球膜を破壊して放出され、メロゾイトは新たな赤血球に侵入して上記のサイクルを繰り返す。これが無性生殖のサイクルである。三日熱マラリア原虫と卵形マラリア原虫の場合には、肝細胞内で長期間潜伏状態となる休眠原虫も形成され、これが後になって分裂を開始して血中に放出されると、再発を生ずることになる。



熱帯熱マラリア原虫が感染した赤血球は、表面に種々の原虫由来物質を表出する。そのなかでPlasmodium falciparum var genes and P. falciparum erythrocyte membrane protein 1 (PfEMP1) は、細小血管内皮細胞表面の接着分子であるICAM-1(特に脳)、CD36(特に脳以外)その他と結合する性質を有するが、これゆえに感染赤血球が脳血管などで分離症(sequestration)を生じ、脳症などを引き起こすものと考えられている。



マラリアは世界で100カ国以上にみられ、世界保健機関(WHO)の推計によると、年間3~5億人の罹患者と60万人の死亡者があるとされる。この大部分はサハラ以南アフリカにおける5歳未満の小児である。サハラ以南アフリカ以外にもアジア、特に東南アジアや南アジア、パプアニューギニアやソロモンなどの南太平洋諸島、中南米などにおいても多くの発生がみられる。全世界で、旅行者が帰国してから発症する例も年間3万人程度あるとされる。



治療、予防剤として、三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアでの急性期治療としてはクロロキンが用いられる。しかしながら、クロロキン耐性のマラリア原虫も出現していることに注意を払う必要がある。他の薬剤としてはスルファドキシン/ピリメタミン合剤(ファンシダール)、メフロキン(メファキン「エスエス」)なども用いられる。三日熱マラリアと卵形マラリアの場合、急性期治療が成功した後、肝臓に潜む休眠原虫を殺滅する根治療法としてプリマキンを用いる。熱帯熱マラリアではマラリア原虫のクロロキン耐性が進行しているので、クロロキン以外の薬剤を用いるべきである。重症マラリアでは、薬剤の非経口的な投与が必要であり、キニーネ注射薬が標準的であるが、最近ではアーテミシニン(Artemisinin)及びその誘導体を基に合剤(Artemisinin-based Combination Therapy)が用いられる。



抗マラリア薬として、毒性の強いものが多いことが問題となっており、抗マラリア活性が高くかつ安全性の高い新薬の開発が望まれている。そこで、5-フルオロオロチン酸やスルファモノメトキシンを有効成分とする抗マラリア剤(特許文献1)やペルオキシド誘導体を有効成分とする抗マラリア剤(特許文献2、3)の開発がすすめられており、報告されている。しかしながら、従来の投与形態では、単剤では完治が困難であり、再燃しやすいことが問題となっている。より効果的な薬剤と投与方法の開発が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、クロロキン及び/又はアーテミシニンに対する耐性マラリア原虫の感染に起因するマラリア対して有効に作用する抗マラリア剤に関する。さらには有効成分の薬効を効果的に持続可能な抗マラリア剤に関する。



本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2014-214605号及び2014-214606号優先権を請求する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の一般式(I)で表されるペルオキシド誘導体又はその薬学的許容される塩を有効成分として含む、クロロキン及び/又はアーテミシニンに対する耐性マラリア原虫に有効な抗マラリア剤。
【化1】



[式中、Cは置換しても良い脂環式炭化水素環基、nは1~6の整数を示し、Rは水素原子又はヒドロキシアルキル基である。]

【請求項2】
クロロキン及び/又はアーテミシニンに対する耐性マラリア原虫が、クロロキン及び/又はアーテミシニンに対する耐性のPlasmodium falciparumである、請求項1に記載の抗マラリア剤。

【請求項3】
以下の一般式(I)で表されるペルオキシド誘導体又はその薬学的許容される塩を有効成分として含み、当該有効成分が経皮的に有効量投与される経皮吸収型製剤からなる抗マラリア剤。
【化1】



[式中、Cは置換しても良い脂環式炭化水素環基、nは1~6の整数を示し、Rは水素原子又はヒドロキシアルキル基である。]

【請求項4】
ペルオキシド誘導体が、一般式(I)中、Cが置換基として低級アルキル基を有しても良い脂環式炭化水素環基である、請求項1~3のいずれかに記載の抗マラリア剤。

【請求項5】
ペルオキシド誘導体が、一般式(I)中、Cが4-tert-ブチルシクロヘキシリデン、シクロドデシリデン又はアダマンチリデン基であり、nが1~4である、請求項に記載に記載の抗マラリア剤。

【請求項6】
ペルオキシド誘導体が、以下の式(II)又は式(III)で示される化合物である、請求項に記載の抗マラリア剤。
【化2】


【化3】



【請求項7】
有効成分としてのペルオキシド誘導体又はその薬学的許容される塩の有効量が、血漿中濃度が3~15 ng/mLを少なくとも12時間維持しうる量である、請求項3~6のいずれかに記載の抗マラリア剤。

【請求項8】
有効成分としてのペルオキシド誘導体又はその薬学的許容される塩の1回あたりの投与量が10~150 mg/kgである、請求項3~7のいずれかに記載の抗マラリア剤。

【請求項9】
有効成分としてのペルオキシド誘導体又はその薬学的許容される塩の1回あたりの投与量として10~150 mg/kgを1日1回又は2回投与することによる、請求項7又は8に記載の抗マラリア剤。

【請求項10】
軟膏剤、液剤、乳剤、懸濁剤、クリーム剤、テープ剤、貼付剤、マイクロニードル剤、スプレー剤及びゲル剤からなる群から選択される少なくとも1種の経皮投与形態を有するものである、請求項1~9のいずれかに記載の抗マラリア剤。

【請求項11】
請求項3~6のいずれかに記載の抗マラリア剤を、有効成分としてのペルオキシド誘導体又はその薬学的許容される塩の血漿中濃度が3~15 ng/mLを少なくとも12時間維持しうる量を、経皮的に投与することを特徴とする、マラリア原虫の感染に起因するマラリアの予防及び/又は治療方法。

【請求項12】
有効成分としてのペルオキシド誘導体又はその薬学的許容される塩を、10~150 mg/kgを1日1回又は2回投与することを特徴とする、請求項11に記載のマラリアの予防及び/又は治療方法。

【請求項13】
マラリア原虫が、クロロキン及び/又はアーテミシニンに対する耐性マラリア原虫である、請求項11又は12に記載のマラリアの予防及び/又は治療方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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