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クランピングプローブ UPDATE

国内特許コード P170014540
整理番号 (S2015-0122-N0)
掲載日 2017年8月24日
出願番号 特願2016-557835
出願日 平成27年11月6日(2015.11.6)
国際出願番号 JP2015081403
国際公開番号 WO2016072516
国際出願日 平成27年11月6日(2015.11.6)
国際公開日 平成28年5月12日(2016.5.12)
優先権データ
  • 特願2014-226332 (2014.11.6) JP
発明者
  • 立花 亮
  • 田辺 利住
出願人
  • 公立大学法人大阪市立大学
発明の名称 クランピングプローブ UPDATE
発明の概要 遺伝子プールにおいて多数の野生型遺伝子と混在する変異型遺伝子を簡便かつ安価に、そして高感度に検出できる方法を開発し、提供する。
標的核酸分子に対して、第1及び第2標的核酸相補領域の2領域で結合し、野生型標的核酸分子と変異型標的核酸分子に対する相補性の差異によって両標的核酸分子を識別可能なクランピングプローブを提供する。
従来技術、競合技術の概要


膜貫通チロシンキナーゼ型受容体である上皮成長因子受容体(EGFR:Epidermal Growth Factor Receptor)は、上皮成長因子(EGF)等の結合により二量体を形成し、自己リン酸化活性を介して下流にシグナルを伝達する。このEGFRを介したシグナル伝達経路は、正常細胞では、細胞分化や細胞増殖等の制御において機能している。しかし、何らかの異常によって、このシグナル伝達経路が機能亢進した場合、細胞増殖等の制御機構が破綻し、癌の発生、増殖、転移及び浸潤等の原因となると考えられている(非特許文献1)。例えば、大腸癌では、約80%にEGFRの過剰発現が認められている(非特許文献2)。



そこで、上記機序に基づいた大腸癌に対する抗体医薬として、近年、抗EGFR抗体医薬が開発されている。例えば、セツキシマブやパニツムマブは、リガンド‐EGFR結合阻害剤として細胞増殖を抑制する抗EGFRモノクローナル抗体医薬である。



ところが、セツキシマブ等の抗EGFR抗体医薬の効果は、KRas遺伝子に変異を持つ患者には弱いことが明らかとなっている(非特許文献3及び4)。KRas遺伝子は、癌遺伝子として知られるras遺伝子のアイソフォームの一つであり、当該遺伝子にコードされるKRASは、低分子グアノシン三リン酸(GTP)結合タンパクとして、シグナルカスケードを活性化し、上皮成長因子受容体(EGFR)からの細胞増殖シグナルを下流に伝達する機能を有する。KRas遺伝子の特定の位置に変異が生じるとKRASのGTPaseとしての機能が低下して、下流にシグナルを送り続ける恒常的な活性化状態となる。この過剰シグナルが抗EGFR抗体医薬に負の効果をもたらすと考えられている。実際、抗EGFR抗体医薬に対する治療効果が弱く、重篤化する大腸癌患者の多くで、KRas遺伝子のコドン12又はコドン13に変異が見られることが明らかにされている(非特許文献5)。したがって、抗EGFR抗体医薬を投与する前に被験体から得られた生体試料におけるKRas遺伝子の変異を解析し、該抗体医薬の効果を事前に予測しておくことは、患者の治療選択上、極めて重要である。



しかし、変異解析に用いる病理標本は、通常、腫瘍細胞だけでなく正常細胞も多く含まれている。特に初期癌の被験体から得られる病理標本は、正常細胞が大多数であり、変異型KRas遺伝子を有する腫瘍細胞は僅かに混在するに過ぎない。したがって、通常の核酸増幅法では、野生型KRas遺伝子が優先的に増幅される結果、目的の変異型KRas遺伝子を検出できないという大きな問題がある。そこで、過剰な野生型KRas遺伝子の存在下で、変異型KRas遺伝子を簡便かつ高感度に検出する技術や抗癌剤の有効性を事前判定するコンパニオン診断薬としての遺伝子型診断薬が求められている。



それ故に核酸類似体等を用いて、野生型遺伝子の増幅を抑制し、変異型遺伝子を選択的かつ効率的に増幅させる核酸増幅法が研究されている。例えば、既知の変異部位をPCR等で増幅する際に、野生型遺伝子の増幅を抑制するBNA/LNA(架橋化核酸:Bridged Nucleic Acid/Locked Nucleic Acid)プローブを混合し、増幅されたPCR産物中の変異をインベーダー法等で確定する方法が開発されている(非特許文献6)。また、特許文献1には、DNAに高い親和性を示す浅溝バインダ(MGB)‐オリゴヌクレオチド共役物をPCRクランピングに応用する方法が開示されている。さらに、特許文献2及び非特許文献7には、PNA(ペプチド核酸:Peptide Nucleic Acid)を用いたPCRクランピングが示されている。



しかし、BNA/LNAやPNA等の核酸類似体は高価な上に、核酸増幅法とインベーダー法の組み合わせには煩雑という問題が残る。さらに、上記方法はいずれも常温では変異型遺伝子の有無を判定できないという問題もある。

産業上の利用分野


本発明は、標的核酸分子上の既知の変異を簡便かつ安価に、また高感度に検出することのできるクランピングプローブ、並びにそれを用いた標的核酸分子における既知変異の検出方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
標的核酸分子の1又は数塩基の置換、欠失又は付加による既知の変異を検出するためのクランピングプローブであって、
前記クランピングプローブは、第1標的核酸相補領域、第2標的核酸相補領域、ヘアピン領域、及び二本鎖領域を含む一本鎖核酸分子からなり、かつ
前記第1標的核酸相補領域の3’末端及び第2標的核酸相補領域の5’末端、又は
前記第2標的核酸相補領域の3’末端及び第1標的核酸相補領域の5’末端
のいずれか一方にヘアピン領域が連結され、かつ他方に二本鎖領域が連結されてなり、
ここで、
前記第1標的核酸相補領域は、第1標的核酸領域の塩基配列に相補的な塩基配列からなり、
前記第1標的核酸領域は、野生型標的核酸分子において前記既知の変異部位を含む連続する15~30塩基からなり、
前記第2標的核酸相補領域は、第2標的核酸領域の塩基配列に相補的な塩基配列からなり、
前記第2標的核酸領域は、標的核酸分子上で前記第1標的核酸領域の5’末端側又は3’末端側に隣り合って位置する15~30塩基からなり、
前記ヘアピン領域は、
3~10塩基の互いに相補的な塩基配列からなる二本鎖部分と、
該二本鎖部分のいずれか1組の5’末端と3’末端を連結する3~10塩基の塩基配列からなる一本鎖部分
からなり、そして
前記二本鎖領域は、3~10塩基の互いに相補的な塩基配列からなる
前記クランピングプローブ。

【請求項2】
前記第1標的核酸相補領域が第1標的核酸領域の塩基配列と相補しない1~3塩基のミスマッチ部位を含む、請求項1に記載のクランピングプローブ。

【請求項3】
前記第1標的核酸相補領域及び/又は第2標的核酸相補領域とヘアピン領域間、及び/又は
前記第1標的核酸相補領域及び/又は第2標的核酸相補領域と二本鎖領域間
を介在する1~5塩基の塩基配列からなるスペーサー領域を含む、請求項1又は2に記載のクランピングプローブ。

【請求項4】
前記二本鎖領域の遊離5’末端又は遊離3’末端の少なくとも一方にGカルテット領域を連結した、請求項1~3のいずれか一項に記載のクランピングプローブ。

【請求項5】
前記標的核酸分子が配列番号1で示すKRas遺伝子である、請求項1~4のいずれか一項に記載のクランピングプローブ。

【請求項6】
前記変異が、34位、35位、及び38位からなる群から選択される少なくとも一つの塩基における置換変異である、請求項5に記載のクランピングプローブ。

【請求項7】
前記標的核酸分子が配列番号2で示すEGFR遺伝子である、請求項1~4のいずれか一項に記載のクランピングプローブ。

【請求項8】
前記変異が、2115位、2573位及び2582位からなる群から選択されるいずれか一つの塩基における置換変異である、請求項7に記載のクランピングプローブ。

【請求項9】
標的核酸分子を含む核酸試料に請求項1~4のいずれか一項に記載のクランピングプローブを混合して、標的核酸分子とクランピングプローブを結合させる工程、
標的核酸分子の変異の有無による標的核酸分子とクランピングプローブの結合力の差異に基づいて標的核酸分子の変異を検出する工程
を含む標的核酸分子上の既知の変異の有無を検出する方法。

【請求項10】
前記結合力の差異に基づく検出が核酸増幅法による増幅産物の量差による検出であって、
前記核酸増幅法により標的核酸分子の第1標的核酸領域及び第2標的核酸領域を含む領域を増幅する、請求項9に記載の方法。

【請求項11】
前記結合力の差異に基づく検出が分子篩による検出である、請求項9に記載の方法。

【請求項12】
前記標的核酸分子が配列番号1で示すKRas遺伝子である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。

【請求項13】
前記変異が、34位、35位、及び38位からなる群から選択される少なくとも一つの塩基における置換変異である、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記標的核酸分子が配列番号2で示すEGFR遺伝子である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。

【請求項15】
前記変異が、2115位、2573位及び2582位からなる群から選択されるいずれか一つの塩基における置換変異である、請求項14に記載の方法。

【請求項16】
大腸癌の罹患判別方法であって、
被験体から得た生体試料から核酸試料を調製する工程、
得られた核酸試料を用いて請求項12又は13に記載のKRas遺伝子上の既知の変異の有無を検出する工程、
核酸試料中に変異を有するKRas遺伝子が検出された場合には、被験体は大腸癌に罹患していると判別する工程
を含む前記方法。

【請求項17】
非小細胞肺癌の罹患判別方法であって、
被験体から得た生体試料から核酸試料を調製する工程、
得られた核酸試料を用いて請求項14又は15に記載のEGFR遺伝子上の既知の変異の有無を検出する工程、
核酸試料中に変異を有するEGFR遺伝子が検出された場合には、被験体は非小細胞肺癌に罹患していると判別する工程
を含む前記方法。

国際特許分類(IPC)
Fターム
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JP2016557835thum.jpg
出願権利状態 公開


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