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環状ペプチド誘導体とその製造方法および組成物 UPDATE

国内特許コード P170014567
整理番号 (S2015-0013-N0)
掲載日 2017年9月6日
出願番号 特願2016-550326
登録番号 特許第6182274号
出願日 平成27年9月18日(2015.9.18)
登録日 平成29年7月28日(2017.7.28)
国際出願番号 JP2015076797
国際公開番号 WO2016047638
国際出願日 平成27年9月18日(2015.9.18)
国際公開日 平成28年3月31日(2016.3.31)
優先権データ
  • 特願2014-194509 (2014.9.24) JP
発明者
  • 鈴木 幸一
  • 石黒 慎一
  • 苅間澤 真弓
  • 江幡 真規子
  • シラパコング・ピヤマース
  • 平賀 貴志
  • 対馬 正秋
  • 品田 哲郎
  • 西村 栄治
  • 寺山 靖夫
  • 安田 英之
出願人
  • 国立大学法人岩手大学
  • 公立大学法人大阪市立大学
  • 学校法人 岩手医科大学
  • 株式会社ロッテ
発明の名称 環状ペプチド誘導体とその製造方法および組成物 UPDATE
発明の概要 アストロサイト増殖活性を有するハナサナギタケに由来する環状ペプチド誘導体またはその塩。
従来技術、競合技術の概要


無脊椎動物である昆虫は、脊椎動物とは異なる代謝経路や免疫系を備えており、生体内で合成した種々の生理活性物質による強力な自然免疫で病原菌やウイルスへの抵抗性を発揮している。また、昆虫は、その生態として、外部との、例えば、他の生物、病原菌、ウイルス等との特異な相互関係を形成してもいる。このため、近年、昆虫やその生態由来の生理活性物質に関する研究が進められており、従来知られていなかった新規の構造を有する化合物が多数発見されている。



本発明者らは、このような背景の一環として、これまで、冬虫夏草の薬理効果などに関する研究を進めてきた。



冬虫夏草の分類と名称については、従来より伝統的に形態を中心として交配能、生態、病原性、化学分類などの表現を指標とし、総合的に系統関係が論じられ、命名されてきた。現在では、遺伝子型を指標とした分子系統分類によって、Cordyceps属とバッカクキン科における系統関係を見直し、形態的特徴も加味して新しい分類体系が構築、提唱されている。そこで、以下の説明のおいては、冬虫夏草生態図鑑(2014年、誠文堂新光社刊)の記載に基づく冬虫夏草の和名を記載し、初出のものについては、括弧内には従来種名と、新分類種名を併記する。



このような冬虫夏草は、昆虫にとりつく昆虫病原菌類の一つであり、狭義の解釈では、昆虫網(Insecta)、チョウ目(Lepidoptera)、コウモリガ上科(Hepialoidea)、コウモリガ科(Hepialidiae)に属するコウモリガを宿主とした中国のチベット自治区、青海省、四川省、貴州省、甘粛省、雲南省をはじめ、ネパールやブータンの標高3,000から4,000メートルの高山地帯に棲息するシネンシストウチュウカソウ(Cordyceps sinennsis, Ophiocordyceps sinennsisともいう)をいう。宿主昆虫の種類も多種多様で,カメムシ目(Hemiptera),チョウ目(Lepidoptera),コウチュウ目(Coleoptera),ハチ目(Hymenoptera),バッタ目(Orthoptera),トンボ目(Odonata),ハエ目(Diptera)など多岐にわたる。



一方、広義の解釈では、このような昆虫の成虫や幼虫に寄生する菌全体が冬虫夏草と呼ばれてもいる。



そして、冬虫夏草について、漢方薬の材料や健康補助食品素材としての科学的知見はまだ少ない段階であるが、これまでの冬虫夏草の生理活性に関する研究例として、シネンシストウチュウカソウとその生産物が糖尿病、心血管疾患やがんや代謝病を防ぎ、または、それらの疾病の進行を遅延させるのに有効な栄養剤として広く利用されている(非特許文献1)。このほかにも、サナギタケ(Cordyceps militaris)の水抽出物による抗酸化作用(非特許文献2)、免疫調節作用(非特許文献3)、in vivoでのインシュリン抵抗性の減少とインシュリン分泌物の増加作用(非特許文献4)、チベット産の冬虫夏草であるシネンシストウチュウカソウの熱水抽出による抗高脂血症効果(非特許文献5),抗腫瘍活性(非特許文献6)、抗炎症作用(非特許文献7)などが報告されている。また、ごく最近においても、シネンシストウチュウカソウから単離されたコルジセピン等の生理活性物質について、従来報告されていなかった新規の生理活性を有すること等が報告されている(非特許文献8~10)そして、このような冬虫夏草の知名度の高まりによる急激な需要増加による乱獲などによって、チベット産のシネンシストウチュウカソウは高価で入手が困難になっている。



また、広義の解釈としての冬虫夏草の1種であるハナサナギタケ(Paecilomyces tenuipes, Isaria japonica Yasudaともいう)は、子嚢菌類のコルジセプス科のCordyceps属に属し、カイコ(Bombyx mori, 以下B. moriと記載する)の幼虫や蛹に寄生する菌であることから、カイコ蛹との組み合わせによる冬虫夏草の人工栽培が近年日本で商業化されている。しかしながら、市販されているCordyceps属やPaecilomyces属およびIsaria属の冬虫夏草の多くの商品は無性種の菌糸培養から調製されたものが多く、さらには、ハナサナギタケの薬理効果に関する研究報告はシネンシストウチュウカソウに比べ圧倒的に少ない。



これまで、ハナサナギタケの生理活性成分としては、穀類、または穀類および酵母もしくはその抽出物を添加した培地で栽培したハナサナギタケの子実体を乾燥粉末化し、70%メタノール抽出、酢酸エチル-水で分配、水相をn-ブタノール-水で分配、n-ブタノール相をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、酢酸エチルで溶出して得られるスピロテヌイペシンA、Bが知られている(特許文献1)。また、宿主(カイコ蛹)と子実体の混合粉末の酢酸エチル抽出物中から単離された環状ヘキサデプシペプチドBeauvericinがラット肝がん細胞増殖抑制効果を有すること(非特許文献11)や、宿主(カイコ蛹)から分離した子実体を材料とし、60%エタノール抽出、5%メタノール抽出、熱水抽出の過程を経て得られたハナサナギン(3,4-ジグアニジノブタノイル-DOPA)が、フリーラジカル(DPPH)消去活性やスーパーオキシドアニオン消去能を有すること(非特許文献12、13)などが知られている。



そして、本発明者らは、シネンシストウチュウカソウに比べて入手が容易であり、コスト面、安定供給の面で優れているハナサナギタケに関する研究を進める中で、ハナサナギタケ粉末に由来する抽出画分に、哺乳動物の脳機能改善効果や、顕著なアストロサイト増殖促進活性があることを見出している(特許文献2、3)。そこで、本発明者らは、引続き、アストロサイト増殖活性とハナサナギタケとの関連性について、さらに鋭意研究を進めてきた。



グリア細胞の一種であるアストロサイト(星状膠細胞)は、脳の全細胞の約半数を占める。従来は、情報処理機能は神経細胞が担うという観点から、神経細胞の周囲に存在するアストロサイトの機能としては、神経細胞の支持・保護・栄養供給などが考えられてきた。



一方、近年、アストロサイトは、神経回路形成機能(非特許文献14-17)、伝達物質濃度調節機能(非特許文献18、19)という間接的な神経回路形成補助機構だけでなく、神経細胞からの入力とそれに続くアストロサイト間におけるカルシウム伝播(非特許文献20-22)、シナプス小胞様小胞を含み神経細胞へ出力できること(非特許文献23、24)などが報告され始め、アストロサイト自身が細胞情報処理の一翼を担うことが示唆されている。



さらに、記憶の形成に対するアストロサイトの役割に関する研究も行われ始めており、記憶などの脳の高次機能は、ニューロンとアストロサイトとの間の相互作用を介して制御されているのではないかと考えられている。例えば、記憶形成ののちに海馬においてアストロサイト数が増加することや(非特許文献25)、アストロサイトの機能を抑制すると記憶形成が阻害されること(非特許文献26)などが報告されている。



また、従来、統合失調症や双極性障害、うつ病などの精神疾患において脳神経解剖学的に共通に見られる異常として、マクロなレベルでは脳室肥大、海馬、大脳皮質サイズの縮小がみられ、ミクロなレベルでは神経細胞体サイズの縮小、樹状突起spine密度の減少、樹状突起長の短縮、シナプス関連タンパク質量の減少などが知られていた。これらは神経細胞の直接的な異常と考えられてきた。だが、最近では、アストロサイト数の減少も共通して見られることが報告されており、アストロサイト数の減少に基づく間接的な神経細胞状態の異常の可能性も検討されている(非特許文献27)。

産業上の利用分野


本発明は、環状ペプチド誘導体とその製造方法および組成物に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の一般式(1)で示される環状ペプチド誘導体。
【化1】



(式中、mは0~3、n≧1であり、R~Rは、水素原子、もしくは炭化水素基、R、Rは、カルボキシル基またはその塩、もしくはアルコキシカルボニル基、Rは、炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、もしくはアルキルカルボニルオキシ基、R10、R11は、水素原子、炭化水素基、もしくはアルキルカルボニルオキシ基、R12~R16は、水素原子、もしくは炭化水素基である。)

【請求項2】
請求項1に記載された環状ペプチド誘導体であって、一般式(1)において、R、R、R、Rがアルキル基であって、n=2~4、R、Rが水素原子、R、Rがカルボキシル基であることを特徴とする環状ペプチド誘導体。

【請求項3】
請求項1または2に記載の環状ペプチド誘導体をハナサナギタケから採取することを特徴とする環状ペプチド誘導体の製造方法。

【請求項4】
前記ハナサナギタケが、カイコの蛹を培地として人工培養されたものである、請求項3に記載の環状ペプチド誘導体の製造方法。

【請求項5】
前記ハナサナギタケ粉末の熱水抽出工程を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の環状ペプチド誘導体の製造方法。

【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の環状ペプチド誘導体またはその塩を有効成分とする医薬組成物。

【請求項7】
アストロサイト増殖活性を有することを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。

【請求項8】
NGF遺伝子およびVGF遺伝子の発現量を増加させることを特徴とする請求項6または7に記載の医薬組成物。

【請求項9】
脳機能改善活性を有することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【請求項10】
毛質改善活性を有することを特徴とする請求項6または7に記載の医薬組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2016550326thum.jpg
出願権利状態 登録
岩手大学地域連携推進センターでは、岩手大学における知的財産の創出・管理・活用のマネジメントをしております。上記の特許等にご興味がありましたら、下記問い合わせ先にご相談ください。


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