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物質内包ベシクル及びその製造方法 NEW

国内特許コード P170014575
整理番号 AF12P029
掲載日 2017年9月12日
出願番号 特願2012-515955
登録番号 特許第5843763号
出願日 平成23年5月23日(2011.5.23)
登録日 平成27年11月27日(2015.11.27)
国際出願番号 JP2011061790
国際公開番号 WO2011145745
国際出願日 平成23年5月23日(2011.5.23)
国際公開日 平成23年11月24日(2011.11.24)
優先権データ
  • 特願2010-117823 (2010.5.21) JP
  • 特願2010-117821 (2010.5.21) JP
発明者
  • 片岡 一則
  • 岸村 顕広
  • 安楽 泰孝
  • 宮田 完二郎
  • チュアノイ サヤン
  • 須磨 知也
  • 大庭 誠
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 物質内包ベシクル及びその製造方法 NEW
発明の概要 高分子の自己組織化により得られるベシクルの空隙部に物質が内包された物質内包ベシクルを、簡便且つ効率的に製造する方法を提供する。
非荷電親水性セグメント及び第1の荷電性セグメントを有するブロック共重合体である第1の重合体と、前記第1の荷電性セグメントとは反対の電荷に帯電した第2の荷電性セグメントを有する第2の重合体とを含んでなる膜を有するとともに、前記膜によって包囲された空隙部を有する空ベシクルを、空隙部に内包させるべき物質とともに、水性媒体中で混合する。
従来技術、競合技術の概要


一次構造が精密に制御された高分子を自己組織化させることにより、ベシクルを形成し得ることが知られている。斯かるベシクルは多様な分子設計が可能であるとともに、高分子が本来有する性質に加えて新たな機能を呈する可能性があることから、薬物送達システム(Drug Delivery System:DDS)の担体や、バイオマテリアル・機能性材料等としての利用が検討されている。



特許文献1(特開平8-188541号公報)には、非荷電性セグメントと荷電性セグメントとを有するブロック共重合体を自己組織化させてなる静電結合型高分子ミセル薬物担体が、本発明者らの一部によって開示されている。



非特許文献1(Schlaad H. et al., Macromolecules, 2003, 36 (5), 1417-1420)には、ポリ(1,2-ブタジエン)ブロック及びポリ(セシウムメタクリレート)ブロックからなるブロック共重合体と、ポリスチレンブロック及びポリ(1-メチル-4-ビニルピリジウムアイオダイド)ブロックからなるブロック共重合体とを自己組織化させてなる、ポリマーソームと称されるベシクルが開示されている。



特許文献2(国際公開第2006/118260号パンフレット)には、非荷電親水性セグメントとカチオン性セグメントとを有する第1のブロック共重合体(例えばPEG-ポリカチオン等)と、非荷電親水性セグメントとアニオン性セグメントとを有する第2のブロック共重合体(例えばPEG-ポリアニオン等)とを自己組織化させてなるベシクルが、本発明者等の一部によって開示されている。



非特許文献2(Anraku Y. et al., J. Am. Chem. Soc., 2010, 132 (5), 1631-1636)には、非荷電親水性セグメントと荷電性セグメントとを有するブロック共重合体(例えばPEG-ポリカチオン等)と、前記荷電性セグメントとは逆の電荷に荷電した共重合体(例えばポリアニオン等)とを自己組織化させてなるベシクルが、本発明者等の一部によって開示されている。



高分子の自己組織化により得られる前記の各種ベシクルは、その空隙部に各種の物質を包含・担持させて利用することが考えられる(概説につき非特許文献3(H. Nyin et al. Soft Matter, 2006, 2, 940-949)及び非特許文献4(「リポソーム応用の新展開」、秋吉一成等監修、エヌ・ティー・エス、2005年)参照)。



空隙部に物質が内包されたベシクル(以降「物質内包ベシクル」と表示する場合がある)を製造する方法としては、内包させるべき物質(以降「被内包物質」と表示する場合がある)を、膜の構成要素となる高分子、或いは予め形成された高分子膜とともに混合し、自己組織化によるベシクルの形成と空隙部への物質の封入とを同時に行う方法が代表的である(以降「同時混合法」と表示する場合がある)。具体例としては、エマルション法(非特許文献5(F. Szoka, Jr et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1978 75 (9) 4194-4198)参照)や、脂質有機溶液滴下法(非特許文献6(Batzri, S. et al., Biochim. Biophys Acta 1973, 298, 1015-1019)参照)等が挙げられる。



しかし、同時混合法では、被内包物質の存在が自己組織化によるベシクルの形成に影響を与え、ベシクルの形成が阻害される場合や、ベシクルが形成されても物質が空隙部へ内包されない場合がある。また、成膜に有害な有機溶剤を用いる場合が多く、プロセスが煩雑になるとともに、有機溶剤により被内包物質が損傷を受け易いという課題もある。更に、均一な粒径・構造を持つベシクルの形成が困難であり、斯かる均一な粒径・構造を確保するためには別の工程を追加せざるを得ず、プロセスが煩雑になり易いという課題もある。よって本方法は汎用性に乏しく、種々の物質内包ベシクルを製造する手法としては実用的ではない。



一方、主に中空粒子への物質封入に用いられる手法として、既存中空粒子の空隙部に後から被内包物質を導入し、包含・担持させる方法(以降「後担持法」と表示する場合がある)があり(例えば非特許文献7(W. Tong et al. J. Phys. Chem. B, 2005, 109, 13159-13165)等参照)、斯かる手法をベシクルに応用することも考えられる。



しかし、後担持法をベシクルに応用する場合、空ベシクルの膜を越えて被内包物質を空隙部に導入するための工夫が必要となる。例えば、空ベシクルを膨潤させて膜を弛緩させ、生じた膜の間隙から被内包物質を浸透させて空隙部に導入した後、膜を収縮させて被内包物質の脱落を防止する手法や、空ベシクルの膜に孔を形成し、当該孔を通じて被内包物質を空隙部に導入した後、当該孔を封鎖して被内包物質の脱落を防止する手法等が考えられるが、何れも極めて煩雑であり、実用化には大きな不利益となる。また、被内包物質の封入・担持時に、既存の空ベシクルの粒径・構造が乱されてしまう可能性が高く、とても実用的ではないと考えられてきた。



また、リポソーム等の脂質二重膜ベシクルについては、脂質二重膜にチャネルタンパク質を埋め込む等の手法(非特許文献8(Ranquin A, Versees W, Miere W, Steyaert J, Gelder PV. Therapeutic Nanoreactors: Combining Chemistry and Biology in a Novel Triblock Copolymer Drug Delivery System. Nano Lett. 2005;5:2220-4)参照)も報告されているが、やはりプロセスが極めて煩雑である上に、汎用性が極めて低く、やはり実用的ではない。
従って、高分子の自己組織化により得られるベシクルの空隙部に物質が内包された物質内包ベシクルを、簡便且つ効率的に製造する方法が求められていた。



また、空隙部分に有効成分を包含・担持させるための空ベシクルについても、有効成分の担持の安定性には改善の余地があり、また、複数の有効成分を担持させることも困難であった。
従って、有効成分の担持安定性や複数成分の担持制御性が改善された、新たなベシクルの開発が求められていた。

産業上の利用分野


本発明は、空隙部に物質を内包するベシクル及びその製造方法に関する。
具体的には、高分子の自己組織化により得られる空ベシクルの空隙部に物質を包含・担持させたベシクル(物質内包ベシクル)を簡便且つ効率的に製造する方法と、斯かる方法により得られる新規な物質内包ベシクルとに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
空隙部に物質が内包された物質内包ベシクルを製造する方法であって、
非荷電親水性セグメント及び第1の荷電性セグメントを有するブロック共重合体である第1の重合体と、前記第1の荷電性セグメントとは反対の電荷に帯電した第2の荷電性セグメントを有する第2の重合体とを含んでなる膜を有するとともに、前記膜によって包囲された空隙部を有する、予め調製された空ベシクルを、前記物質とともに水性媒体中で混合する工程、
を含んでなり、
ここで、非荷電親水性セグメントがポリアルキレングリコールであり、第1及び第2の荷電性セグメントのうちカチオン性セグメントがポリアミンであり、アニオン性セグメントがポリカルボン酸、ポリスルホン酸、及びポリリン酸から選択される、方法。

【請求項2】
前記混合が、撹拌、振盪、衝撃からなる群より選択される手法で行われる、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記空ベシクルの前記膜が、外層、中間層及び内層からなる三層構造を有する、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記物質が、生体分子、有機化合物及び無機物質からなる群より選択される、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。

【請求項5】
第1の重合体が、非荷電性親水性セグメントとアニオン性セグメントとを含むブロックコポリマーであり、第2の重合体が、非荷電性親水性セグメントとカチオン性セグメントとを含むブロックコポリマー、及び/又は、カチオン性セグメントを含むが、非荷電性親水性セグメントを含まないポリマーである、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。

【請求項6】
第1の重合体が、非荷電性親水性セグメントとカチオン性セグメントとを含むブロックコポリマーであり、第2の重合体が、非荷電性親水性セグメントとアニオン性セグメントとを含むブロックコポリマー、及び/又は、アニオン性セグメントを含むが、非荷電性親水性セグメントを含まないポリマーである、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。

【請求項7】
前記アニオン性セグメントが核酸である、請求項5又は6に記載の方法。

【請求項8】
非荷電親水性セグメント及び第1の荷電性セグメントを有するブロック共重合体である第1の重合体と、前記第1の荷電性セグメントとは反対の電荷に帯電した第2の荷電性セグメントを有する第2の重合体とを含んでなる膜と、前記膜によって包囲された空隙部と、前記空隙部内に内包された荷電性物質とを含んでなり、
ここで、非荷電親水性セグメントがポリアルキレングリコールであり、第1及び第2の荷電性セグメントのうちカチオン性セグメントがポリアミンであり、アニオン性セグメントがポリカルボン酸、ポリスルホン酸、及びポリリン酸から選択される、ベシクル。

【請求項9】
前記膜が外層、中間層及び内層からなる三層構造を有する、請求項に記載のベシクル。

【請求項10】
前記物質が、生体分子、有機化合物及び無機物質からなる群より選択される、請求項又はに記載のベシクル。

【請求項11】
第1の重合体が、非荷電性親水性セグメントとアニオン性セグメントとを含むブロックコポリマーであり、第2の重合体が、非荷電性親水性セグメントとカチオン性セグメントとを含むブロックコポリマー、及び/又は、カチオン性セグメントを含むが、非荷電性親水性セグメントを含まないポリマーである、請求項10の何れか一項に記載のベシクル。

【請求項12】
第1の重合体が、非荷電性親水性セグメントとカチオン性セグメントとを含むブロックコポリマーであり、第2の重合体が、非荷電性親水性セグメントとアニオン性セグメントとを含むブロックコポリマー、及び/又は、アニオン性セグメントを含むが、非荷電性親水性セグメントを含まないポリマーである、請求項10の何れか一項に記載のベシクル。

【請求項13】
前記アニオン性セグメントが核酸である、請求項11又は12に記載のベシクル。

【請求項14】
非荷電親水性セグメントとカチオン性セグメントとを有するブロック共重合体と、核酸とを含んでなる膜を有すると共に、前記膜によって包囲された空隙部を有し、ここで、非荷電親水性セグメントがポリアルキレングリコールであり、カチオン性セグメントがポリアミンである、ベシクル。

【請求項15】
前記膜が、外層、中間層及び内層からなる三層構造を有する、請求項14に記載のベシクル。

【請求項16】
前記カチオン性セグメントのカチオン基の、前記核酸のリン酸基に対するモル比であるN+/P比が、1.0超、3.0未満である、請求項14又は15に記載のベシクル。

【請求項17】
前記膜が架橋剤を更に含んでなる、請求項1416の何れか一項に記載のベシクル。

【請求項18】
前記カチオン性セグメントのカチオン基に対する前記架橋剤のモル比であるCL/N比が、0.1以上である、請求項17に記載のベシクル。

【請求項19】
前記架橋剤がグルタルアルデヒドである、請求項17又は18に記載のベシクル。

【請求項20】
薬物送達システムとして用いられる、請求項19の何れか一項に記載のベシクル。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成 領域
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