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定電場によるマイクロサイズの物体の輸送および力学的仕事の取り出し NEW

国内特許コード P170014578
整理番号 1027P002JP
掲載日 2017年9月12日
出願番号 特願2011-500666
登録番号 特許第5867920号
出願日 平成22年2月19日(2010.2.19)
登録日 平成28年1月15日(2016.1.15)
国際出願番号 JP2010052566
国際公開番号 WO2010095724
国際出願日 平成22年2月19日(2010.2.19)
国際公開日 平成22年8月26日(2010.8.26)
優先権データ
  • 特願2009-038446 (2009.2.20) JP
発明者
  • 吉川 研一
  • 瀧ノ上 正浩
  • 厚見 悠
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 定電場によるマイクロサイズの物体の輸送および力学的仕事の取り出し NEW
発明の概要 マイクロサイズにおいて、自由自在に電流を発生させずに物体を運動させ、輸送し、力学的仕事を取り出すことができる技術を提供することを課題とする。本発明者らは、鋭意検討した結果、油中などの絶縁性流体で、たとえばマイクロサイズなどの誘電体に電場を発生させる2つの電極を、該2つの電極の中心軸が同一直線上にならないように配置して電場(たとえば、定電場)をかけるだけで、誘電体を3次元的に自在に輸送することができ、また、それにより力学的な仕事を取り出すことができることを見出し、上記課題を解決した。
従来技術、競合技術の概要


従来、振動性、周期性のある運動には、交流電場が使用されている。このような場合、電流が発生することによって運動が生じる。



また、マイクロサイズでは、流れの慣性力と粘性力の大きさの比を表わすレイノルズ数が低いことから、メカニカルな運動から仕事を取り出すことは困難とされている。



非特許文献1は、定電場が、油中における数十μmの直径の水滴に与える効果について記載する。



一般的に、本発明が対象とするマイクロサイズの世界は、低レイノルズ数の世界といわれている。このようなスケールの世界では、方向性を持たない直線上の周期運動を行わせるだけでは仕事を取り出すことができないということが知られている。従って、非特許文献1で記述しているような、直線的な往復運動だけでは仕事を取り出すことができない。



以上から、マイクロサイズにおいて、定電場下でも自律的にかつ自由自在に物体を運動させ、輸送し、力学的仕事を取り出すことができる技術の提供が求められている。



また、非特許文献2~5も知られているが、マイクロ物体を直線的に動かすことはなされているが、仕事を取り出す上で最も重要な二次元的な運動を行わせることはできておらず、それに関する発想も全く記載が見当たらない。



ナノメートル~マイクロメートルスケールでは、レイノルズ数が非常に低く、物体の慣性力は重要な役目を果たさず、その物体の運動は環境の粘性力によってただちに減衰される。したがって、物体を持続的に推進させるためには、なんらかの駆動エネルギーが供給されなければならない。このように、マイクロ物体の運動は、非線形系および非平衡系における重要な問題を提起している。加えて、生体高分子および細胞を含むマイクロ物体を推進および制御する能力は、応用物理学および生体物理学の研究において、そしてMEMSおよびμTAS技術において重要であり、多くの適切な技術が活発に開発されてきたが、まだまだ実用化には程遠い。

産業上の利用分野


本発明は、定電場によるマイクロサイズの物体の輸送および力学的仕事の取り出しに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
サイクリックな運動を利用することによって力学的仕事を取り出す方法であって、
A)電場を発生させる2つの電極を、該2つの電極の中心軸が同一直線上にならないように配置し、絶縁性液体中で誘電体に該電場をかけることによって該誘電体のサイクリックな運動を実現させる工程;および
B)マイクロタービンを、該誘電体がサイクリックな運動をしうる空間に配置し、該誘電体のサイクリックな運動によって回転するマイクロタービンから仕事を取り出す工程であって、該マイクロタービンは、回転軸と羽の部分があり、羽が回転軸の周りに回転できるものである、工程を包含する、方法であって、
該電極は、先端が鋭利な角錐形・円錐形または角柱形・円柱形という形状を有し、導電性があるという材質を有し
該電場は、1V~1000Vの範囲のものであり、
該誘電体は、該電極間に配置され、0.1μm~100μmの範囲のサイズのものである、
方法。

【請求項2】
誘電体を輸送する方法であって、
A)電場を発生させる2つの電極を、該2つの電極の中心軸が同一直線上にならないように配置し、絶縁性液体中で該誘電体に該電場をかけることによって該誘電体のサイクリックな運動を実現させる工程を包含する、方法であって、
該電極は、先端が鋭利な角錐形・円錐形または角柱形・円柱形という形状を有し、導電性があるという材質を有し
該電場は、1V~1000Vの範囲のものであり、
該誘電体は、該電極間に配置され、0.1μm~100μmの範囲のサイズのものである、
方法。

【請求項3】
前記サイズは、1μm~100μmの範囲のものである、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
前記誘電体は、静電場を加えたときに誘電分極を生じるが電流を生じない物質であり、さらに静電気の帯電性がある物質である、請求項1または2に記載の方法。

【請求項5】
前記誘電体は、水滴、ポリマー性物質およびガラスビーズからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。

【請求項6】
前記誘電体は、界面活性剤を含むエマルジョンである、請求項1または2に記載の方法。

【請求項7】
前記界面活性剤は、ジオレオイル・ホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイル・ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジオレオイル・ホスファチジルセリン(DOPS)、eggPC、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(STAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド(STAB)、ソディウムドデシルサルフェイト(SDS)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドおよびペンタエチレングリコールドデシルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項6に記載の方法。

【請求項8】
前記絶縁性液体は、不揮発性で、導電性がなく、常温常圧下で流動性のある物質であり、前記電体との比重が±50%以内のものである、請求項1または2に記載の方法。

【請求項9】
前記絶縁性液体は、ミネラルオイル(鉱油)、流動パラフィン、アルカンおよびシリコンオイルからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。

【請求項10】
前記電場は、定電場である、請求項1または2に記載の方法。

【請求項11】
前記電場を発生させる陽極と陰極とは、それらの中心軸が平行でないように配置される、請求項1または2に記載の方法。

【請求項12】
前記電極は、タングステン、タングステンカーバイド、金、白金、銀、銅、鉄およびアルミニウムからなる群より選択される導電性物質からなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。

【請求項13】
前記電場は、陽極・陰極の少なくとも2つの電極のセットによって発生され、該少なくとも2つの電極のセットの方向は、少なくとも2つが互いに異なる方向であり、前記電場および該電場を発生するための電極の空間的配置を制御することによって、運動のルートまたはモードを変更する工程をさらに包含する、請求項1または2に記載の方法。

【請求項14】
前記制御は、3次元それぞれの座標を1μm単位で操作可能なマイクロマニュピレーターを用い、それぞれの座標を操作し電極を所望の位置へ動かすか、手もしくはピンセットでの操作によって実現される、請求項13に記載の方法。

【請求項15】
前記誘電体を前記の電極の空間的制御及び印加電圧の強さの制御により、間接的に制御することによって該誘電体を輸送する工程、をさらに包含する、請求項1または2に記載の方法。

【請求項16】
前記誘電体が複数存在し、該複数の誘電体の集団運動をさせることによって、モーターの働きをさせることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【請求項17】
薬剤の液滴輸送、化学反応、薬剤調合、バイオ試料の非接触輸送、マイクロタービンまたはモーターにおいて用いられる、請求項1に記載の方法。

【請求項18】
サイクリックな運動を利用することによって誘電体を輸送する装置であって
A)該誘電体を受け入れるための絶縁性液体;および
B)該絶縁性液体中に存在する、2つの電極を含む電場をかけることによって該誘電体のサイクリックな運動を実現させる手段であって、該2つの電極の中心軸が同一直線上にならないように配置される、手段
を備え、
該電極は、先端が鋭利な角錐形・円錐形または角柱形・円柱形という形状を有し、導電性があるという材質を有し
該電場は、1V~1000Vの範囲のものであり、
該誘電体が該電極間に配置されるように適合されており、0.1μm~100μmの範囲のサイズのものである、
装置。

【請求項19】
サイクリックな運動を利用することによって力学的仕事を取り出す装置であって
A)絶縁性液体;
B)該絶縁性液体中に配置された誘電体;
C)該絶縁性液体中に存在する、2つの電極を含む電場をかけることによって該誘電体のサイクリックな運動を実現させる手段であって、該2つの電極の中心軸が同一直線上にならないように配置される、手段;および
D)該誘電体からサイクリックな運動を利用することによって力学的仕事を取り出す手段であって、該手段はマイクロタービンであって、該マイクロタービンは、回転軸と羽の部分があり、羽が回転軸の周りに回転できるものである、手段を備え、
該電極は、先端が鋭利な角錐形・円錐形または角柱形・円柱形という形状を有し、導電性があるという材質を有し
該電場は、1V~1000Vの範囲のものであり、
該誘電体が該電極間に配置されるように適合されており、0.1μm~100μmの範囲のサイズのものである、
装置。

【請求項20】
前記サイズは、1μm~100μmの範囲のものである、請求項1または19に記載の装置。

【請求項21】
前記誘電体は、静電場を加えたときに誘電分極を生じるが電流を生じない物質であり、さらに静電気の帯電性がある物質である、請求項1または19に記載の装置。

【請求項22】
前記誘電体は、水滴、ポリマー性物質およびガラスビーズからなる群より選択される、請求項1または19に記載の装置。

【請求項23】
前記誘電体は、界面活性剤を含むエマルジョンである、請求項1または19に記載の装置。

【請求項24】
前記界面活性剤は、ジオレオイル・ホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイル・ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジオレオイル・ホスファチジルセリン(DOPS)、eggPC、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(STAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド(STAB)、ソディウムドデシルサルフェイト(SDS)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドおよびペンタエチレングリコールドデシルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項2に記載の装置。

【請求項25】
前記絶縁性液体は、不揮発性で、導電性がなく、常温常圧下で流動性のある物質であり、前記電体との比重が±50%以内のものである、請求項1または19に記載の装置。

【請求項26】
前記絶縁性液体は、ミネラルオイル(鉱油)、流動パラフィン、アルカンおよびシリコンオイルからなる群より選択される、請求項1または19に記載の装置。

【請求項27】
前記電場は、定電場である、請求項1または19に記載の装置。

【請求項28】
前記電極は、タングステン、タングステンカーバイド、金、白金、銀、銅、鉄およびアルミニウムからなる群より選択される導電性物質である、請求項1または19に記載の装置。

【請求項29】
前記電場をかける手段は、陽極・陰極の少なくとも2つの電極のセットであり、該少なくとも2つの電極のセットの方向は、少なくとも2つが互いに異なる方向に配置される、請求項1または19に記載の装置。

【請求項30】
3次元それぞれの座標を1μm単位で操作可能なマイクロマニュピレーターをさらに備え、該マイクロマニュピレーターは、それぞれの座標を操作し電極を所望の位置へ動かすものであり、あるいは、ピンセットをさらに備える、請求項29に記載の装置。

【請求項31】
前記誘電体を前記の電極の空間的制御及び印加電圧の強さの制御により、間接的に制御することによって該誘電体を輸送するための手段、をさらに備える、請求項1または19に記載の装置。

【請求項32】
前記誘電体が複数存在し、該複数の誘電体の集団運動をさせることによって、モーターの働きをさせることを特徴とする、請求項19に記載の装置。

【請求項33】
薬剤の液滴輸送、化学反応、薬剤調合、バイオ試料の非接触輸送、マイクロタービンまたはモーターにおいて使用するための請求項19に記載の装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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