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白金触媒、その製造方法及び当該白金触媒を用いた燃料電池 NEW

国内特許コード P170014645
整理番号 S2016-0561-N0
掲載日 2017年10月24日
出願番号 特願2016-054844
公開番号 特開2017-168385
出願日 平成28年3月18日(2016.3.18)
公開日 平成29年9月21日(2017.9.21)
発明者
  • 稲葉 稔
  • 大門 英夫
  • 川崎 久志
  • 青木 直也
  • 井上 秀男
出願人
  • 学校法人同志社
  • 石福金属興業株式会社
発明の名称 白金触媒、その製造方法及び当該白金触媒を用いた燃料電池 NEW
発明の概要 【課題】加速耐久性試験(ADT)による電気化学的表面積(ECSA)の低下が少なく、優れた耐久性を有した白金触媒及び、かかる白金触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】白金と白金以外の金属とを含む触媒粒子がカーボン担体の表面に担持された燃料電池用の白金触媒で、前記触媒粒子の表面には、一端側にチオール基の硫黄原子を有し、他端側に水酸基の酸素原子を有する連結構造部が存在し、チオール基の硫黄原子の孤立電子対が触媒粒子に配位しており、水酸基の酸素原子と共有結合した、二酸化ケイ素、二酸化チタン又は酸化アルミニウムの被膜によって触媒粒子の表面が被覆されており、触媒粒子が存在していないカーボン担体の表面には、当該被膜が存在せずにカーボン担体が露出している。上記の連結構造部を形成するのに適した化合物は、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランである。
【選択図】図7
従来技術、競合技術の概要


固体高分子形燃料電池(PEFC)は、アノード側で水素の酸化反応を、カソード側で酸素の還元反応を起こすことにより、水のみを生成するクリーンエネルギーデバイスであって、カソード側の触媒として、白金(Pt)を使用するものが知られている。貴金属である白金を用いる触媒は、触媒活性や電気伝導性が高く、また、周辺環境の状態や周辺環境に存在する物質による腐食や被毒を受けにくいという利点を有する。



一方で、白金は資源量が少なく価格が高いという問題があり、その利用効率や耐久性を向上させて使用量を低減するために種々の検討が進められている。検討の一つとして、異種金属上に白金を被覆してなる白金コアシェル触媒が注目されている。白金コアシェル触媒は、触媒活性を発揮する白金原子は触媒粒子の最外層に露出した白金原子のみであることに着目して考案されたもので、白金原子層(シェル)で被覆された異種金属微粒子(コア)が、カーボン等の担体に高分散担持された構成を有する。



白金コアシェル触媒のコア金属の一つとして、パラジウム(Pd)が知られている。非特許文献1及び非特許文献2には、コア金属としてPdを使用した場合、PEFCでの酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction: ORR)活性が高まることが開示されている。Pdの格子定数(0.38898 nm)はPt(0.39231 nm)よりも小さいため、Pdコア上に設けたPtシェルには僅かな圧縮応力が発生する。この圧縮応力によって、Ptシェル表面で酸素還元反応が進行しやすい状況が実現され、ORR活性が高まったものと考えられている。



白金をシェル、パラジウムをコアとしたコアシェル触媒では、上述のようにORR活性が向上する一方で、Pdの標準酸化還元電位(0.92 V vs. NHE)がPt(1.19 V vs. NHE)に比べて低いため、その耐久性に問題がある。非特許文献3では、カーボン担持Pdコア/Ptシェル触媒(以後、Pt/Pd/C触媒と記述することもある。)をカソードに使用したPEFCにおいて、発電によりPdコアの一部が酸化溶解し、固体高分子電解質膜中に金属Pdが再析出し、Pdバンドが現れることが報告されている。



発明者らは既に、Pdコアの酸化溶出は触媒の耐久性の観点からは問題である一方で、Pdの酸化溶出によってPt/Pd/C触媒の粒径と形態に変化が生じ、ORR活性が高まることを見出している。特許文献1には、従来、触媒の電位サイクル耐久性試験(Accelerated Durability Test, ADT)として行われてきた電圧の印加が、Pt/Pd/C触媒の活性を向上させる結果をもたらすことが開示されている。また特許文献1には、Pt/Pd/C触媒に、Ptの酸化物還元開始電位よりも高い電位と、Ptの酸化物生成開始電位よりも低い電位とを繰り返し与えることによって、Pt/Pd/C触媒の活性が向上することも開示されている。



特許文献1に開示された具体的な電位付与方法は、プロトンを含む酸性溶液中に白金コアシェル触媒を分散し、酸化還元電位が当該白金コアシェル触媒の酸化物生成開始電位よりも低い金属を共存させながら、酸素供給下に撹拌するという方法であった。当該方法は全く新規な手法であり、一定の効果を得るものであったが、ORR活性のさらなる向上が期待されていた。



一方、特許文献2には白金合金の触媒とその製造方法が開示されている。特許文献2に開示された製造方法は、白金の有機金属錯体と金属塩化物を有機溶媒に分散してから、還元剤を加えて調製した混合溶液を加圧及び加熱して、2nm以下の径の白金合金ナノ粒子を合成する工程と、前記白金合金ナノ粒子を真空中300℃以上1000℃以下の温度で加熱(アニール)して、その直径を2nm以上100nm以下とする工程とを有する。特許文献2の発明では、白金合金ナノ粒子を合成した後に加熱(アニール)を行うことによって、合金粒子の粒子径を2nm以上100nm以下に調整し、特定の結晶形の白金合金粒子を得ることができると考えられている。
しかしながら、このような特定の結晶形の白金合金粒子の場合であっても、ADTを行うと、電気化学的表面積(ECSA)が大きく減少する結果、ORR活性が低下し、耐久性が不十分であるという問題点があった。



更に、下記の特許文献3には、白金担持カーボン触媒を分散させた溶液に3-アミノプロピルエトキシシラン(APTES)を添加して撹拌した後、テトラエトキシシラン(TEOS)を添加して撹拌し、その後、水素還元することによって製造された、カーボンに担持された白金がシリカ(SiO2成分)で被覆されてなる触媒が開示されているが、この触媒の場合、白金の表面だけでなくカーボンの表面にも、厚い均一なシリカ被膜が被覆されているために、電池に組み込んだ際、カーボンを被覆しているシリカによって電気抵抗が大きくなり、電池特性が低下するという問題点があった。

産業上の利用分野


本発明は、燃料電池において酸素還元反応の触媒として用いるのに適した白金触媒、その製造方法、及び当該触媒を用いた燃料電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
白金と白金以外の金属とを含む触媒粒子がカーボン担体の表面に担持されてなる燃料電池用の白金触媒であって、前記触媒粒子の表面には、一端側にチオール基の硫黄原子を有し、他端側に水酸基の酸素原子を有する連結構造部が、当該連結構造部における前記チオール基の硫黄原子の孤立電子対が前記触媒粒子に配位して結合しており、前記水酸基の酸素原子側には、当該酸素原子と結合した、二酸化ケイ素、二酸化チタン又は酸化アルミニウムの被膜が存在し、当該被膜によって前記触媒粒子の表面が被覆されており、前記触媒粒子が担持されていない前記カーボン担体の表面部分は前記被膜により被覆されずにカーボン担体が露出していることを特徴とする白金触媒。

【請求項2】
前記連結構造部を形成している化合物が、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする請求項1に記載の白金触媒。

【請求項3】
前記触媒粒子が、パラジウムを含有するコア粒子と、当該コア粒子の表面に形成された白金シェルとを有する白金コアシェル触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白金触媒。

【請求項4】
前記触媒粒子が、白金と、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄又は銅との白金合金触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白金触媒。

【請求項5】
白金と白金以外の金属とを含む触媒粒子がカーボン担体の表面に担持されてなる燃料電池用の白金触媒の製造方法であって、
白金と白金以外の金属とを含む触媒粒子がカーボン担体に担持された触媒を準備し、当該触媒を水溶液中にて分散させる工程と
不活性気体存在下にて、上記工程で得られた分散溶液にアルカリ剤を添加して当該分散溶液をアルカリ性になるようにし、その後、一端側にチオール基を有し、他端側にトリアルコキシシリル基を有する連結化合物を添加して第1の加水分解を行う工程と、
上記加水分解後の分散溶液に、テトラアルコキシシラン化合物、テトラアルコキシチタン化合物又はトリアルコキシアルミニウム化合物を添加して第2の加水分解を行う工程と、
上記加水分解後の触媒を濾別して乾燥させ、非酸化性雰囲気で熱処理する工程
を含むことを特徴とする白金触媒の製造方法。

【請求項6】
前記連結化合物が、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする請求項5に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項7】
前記第2の加水分解を行う工程にて添加される化合物が、テトラエトキシシランであることを特徴とする請求項5又は6に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項8】
前記触媒粒子が、パラジウムを含有するコア粒子と、当該コア粒子の表面に形成された白金シェルとを有する白金コアシェル触媒であることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項9】
前記触媒粒子が、白金と、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄又は銅との白金合金触媒であることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の白金触媒の製造方法。

【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の白金触媒を酸素還元反応の触媒として利用する燃料電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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