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血液神経関門インヴィトロモデルおよびその作製方法 NEW

国内特許コード P170014667
整理番号 S2016-0637-N0
掲載日 2017年11月14日
出願番号 特願2016-081996
公開番号 特開2017-189148
出願日 平成28年4月15日(2016.4.15)
公開日 平成29年10月19日(2017.10.19)
発明者
  • 竹下 幸男
  • 神田 隆
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 血液神経関門インヴィトロモデルおよびその作製方法 NEW
発明の概要 【課題】BNBの解剖学的構造を再現したインヴィトロモデルおよび該モデルの作製方法の提供。
【解決手段】(a)条件不死化末梢神経ペリサイトを多孔性メンブレン上にシート状になるまで培養する工程;(b)条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞を培養容器中でシート状になるまで培養する工程、(c)工程(b)で作製した条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞のシートを剥がす工程、(d)工程(c)で作製した条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞のシートを、工程(a)で培養した条件不死化末梢神経ペリサイトのシートに層状に接触させる工程、および(e)工程(d)で作製した、条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞のシートおよび条件不死化末梢神経ペリサイトのシートの2層を含む細胞培養物を共培養する工程を含む、血液神経関門(BNB)インヴィトロモデルの作製方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


多くの臓器の微小循環系では血管内皮細胞は有窓となっているため血液成分から組織への必要物質の移行と老廃物の回収を円滑に行うことができる。一方で、脳や末梢神経においては、隣接する血管内皮細胞同士がタイト結合を形成し、バリア(関門)を形作ることにより、中枢・末梢神経系内への輸送が厳しく制限されている。こうしたバリアシステムは脳では血液脳関門(blood-brain barrier; BBB)、末梢神経では血液神経関門(BNB)と呼ばれ、神経組織の内部環境を維持する上で重要な機構である。



BNBは血管内皮細胞、ペリサイトの2種類の細胞から構成され(図1)、かつてはBBBと比較して不完全な構造物として考えられていたが、現在では末梢神経系を全身循環系から隔絶する、BBBとほぼ同程度の機能を持つ強固なバリアシステムとして認識されている。BNBは外部から末梢神経内の有害物質の流入を制限し、末梢神経の内部環境維持に重要な役割を果たす。その一方、BNBは末梢神経への薬物伝達を困難にするため、他臓器では効果的な治療薬であっても末梢神経系には十分な効果を来さないことが多い。また、ギランバレー症候群、糖尿病性ニューロパチーなどの多くの末梢神経疾患においてBNBの破綻が病態に関与していることが示されており、BNBの生理的、病理的機能解明が急務な状況となっている。



BBBではこの10年でセルカルチャーインサート(cell culture insert)を用いた様々なインヴィトロモデルが作製され、飛躍的な情報蓄積がなされてきたが、その一方、BNBではヒト由来BNB構成細胞株が樹立されてこなかった背景もあり、BNBに関する知見は極めて乏しく,BNBを構成する細胞の特性やBBBとの本質的な違いなどに関する情報は皆無であった。



発明者らは世界に先駆けてヒト由来温度条件不死化BNB構成血管内皮細胞株、ヒト由来温度条件不死化BNB構成ペリサイト株の樹立に成功し、糖尿病や慢性炎症性脱髄性多発神経根炎などの末梢神経疾患でのBNB破綻のメカニズムを明らかにしてきた(非特許文献1、2)



現在、BNB構成細胞血管内皮細胞株およびペリサイト株の不死化培養細胞株を用いて、様々なBNBのインヴィトロ共培養モデルの構築が進められているが、現行のモデルには、大きな技術的な問題点がある。通常の分散培養でセルカルチャーインサート上に血管内皮細胞とペリサイトを層状に培養しようとすると、二者の細胞株で増殖速度が異なり、さらに無制限に細胞分裂を繰り返すため、各細胞株が単層構造を形成しない。この為、結果的に血管内皮細胞が十分なバリアを形成できず、BNBモデルを構築することが困難であった。



従ってBNBモデルを作成する一般的な手法として、小孔をもつセルカルチャーインサートの上面に血管内皮細胞、下面にペリサイトを培養する便宜的な手法がとられてきた。しかしながら該手法では、1.ペリサイトがインサート膜で血管内皮細胞と隔離されているため、ペリサイトからの直接接触による血管内皮細胞への栄養因子の伝達が遮断され、本来のBNBの解剖学的構造、生理機能を再現できない、2.それぞれの培養細胞株が不死化され無制限に増殖するため単層構造は形成するものの細胞密度が過密状態となり、最もバリア機能を保持する適切な細胞集密状態を1日程度しか維持することができない、という二つの重大な問題点があった。

産業上の利用分野


本発明は、血液神経関門(BNB;blood-nerve barrier、以下「BNB」と記載する場合もある)のインヴィトロモデルおよびその作製方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)~(e)の工程を含む、血液神経関門インヴィトロモデルの作製方法。
(a)条件不死化末梢神経ペリサイトを多孔性メンブレン上にシート状になるまで培養する工程;
(b)条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞を培養容器中でシート状になるまで培養する工程、
(c)工程(b)で作製した条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞のシートを剥がす工程、
(d)工程(c)で作製した条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞のシートを、工程(a)で培養した条件不死化末梢神経ペリサイトのシートに層状に接触させる工程、および
(e)工程(d)で作製した、条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞のシートおよび条件不死化末梢神経ペリサイトのシートの2層を含む細胞培養物を共培養する工程

【請求項2】
前記条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞および条件不死化末梢神経ペリサイトが、各々、初代培養末梢神経微小血管内皮細胞および初代培養末梢神経ペリサイトに温度感受性SV40 large T抗原の遺伝子を導入して作製したものであることを特徴とする、請求項1に記載の血液神経関門インヴィトロモデルの作製方法。

【請求項3】
前記工程(b)において、条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞を温度応答性培養容器で培養することを特徴とする請求項1または2に記載の血液神経関門インヴィトロモデルの作製方法。

【請求項4】
下から多孔性メンブレン、条件不死化末梢神経ペリサイトのシートおよび条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞のシートの順に積層されていることを特徴とする、血液神経関門インヴィトロモデル。

【請求項5】
前記条件不死化末梢神経微小血管内皮細胞および条件不死化末梢神経ペリサイトが、各々、初代培養末梢神経微小血管内皮細胞および初代培養末梢神経ペリサイトに温度感受性SV40 large T抗原の遺伝子を導入して作製したものであることを特徴とする、請求項4に記載の血液神経関門インヴィトロモデル。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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