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新規ビスホスホン酸誘導体及びその用途 UPDATE

国内特許コード P170014677
整理番号 (S2015-0178-N0)
掲載日 2017年11月21日
出願番号 特願2016-564925
出願日 平成27年12月18日(2015.12.18)
国際出願番号 JP2015085590
国際公開番号 WO2016098904
国際出願日 平成27年12月18日(2015.12.18)
国際公開日 平成28年6月23日(2016.6.23)
優先権データ
  • 特願2014-257451 (2014.12.19) JP
発明者
  • 田中 義正
  • 松本 健司
  • 林 衡佑
  • 酒井 佑宜
  • 湊 長博
出願人
  • 国立大学法人 長崎大学
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 新規ビスホスホン酸誘導体及びその用途 UPDATE
発明の概要 複素環基の置換したアミノ基又は窒素原子を含有する複素環基を有し、酸部分をPOM基やn-ブタノイルオキシメチル(BuOM)基等でエステル化した下記一般式(1):
Y-Cy-(NH)-(CH-C(X)(PO(OR)(OR)) (1)
(式中、各記号の意味は明細書中に定義される通りである)で表される新規なビスホスホン酸エステル誘導体は、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞に対する優れた直接的及び間接的細胞障害効果を発揮する。
従来技術、競合技術の概要


ビスホスホン酸はP-C-P骨格を有する一群の化合物であり、骨組織に親和性が高く、破骨細胞に取り込まれると、細胞障害性を示して骨吸収作用を抑制する。この性質を治療目的に利用し、骨粗鬆症、変形性骨炎、骨形成不全症など骨の脆弱性に関わる疾患の予防や治療薬として用いられている。また、パミドロン酸、アレンドロン酸、リセドロン酸、ゾレドロン酸等の側鎖に窒素原子を含有するビスホスホン酸は、悪性腫瘍の際の高カルシウム血症改善薬として市販されている。また最近、閉経前エストロゲン感受性初期乳がん症例や多発性骨髄腫に対する内分泌療法や化学療法において、ゾレドロン酸をアジュバント療法薬として用いると無病生存期間が有意に延長されることが報告された(非特許文献1,2)。このように、側鎖に窒素原子を有するビスホスホン酸と抗腫瘍効果との関係が示唆されており、その作用機序については、まだ統一的見解は得られていないが、腫瘍細胞に対する直接的及び/あるいは免疫細胞の活性化を介した間接的細胞障害性がその理由と考えられている。



例えば、生体に投与されたゾレドロン酸の一部は、液相エンドサイトーシス作用により細胞内に入り、ヌクレオシド一リン酸に転移し、ヌクレオシド三リン酸類縁化合物に転換され、ヌクレオシド三リン酸の高エネルギーリン酸結合を利用した生体酵素反応を拮抗的に阻害する可能性があり、これにより腫瘍細胞が傷害されることが示唆されている。



さらに、細胞内に移行したビスホスホン酸は、コレステロールなどのイソプレノイド系代謝産物の生合成経路に関与するファーネシル二リン酸合成酵素を阻害することが示されている。かかる酵素は、イソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸からゲラニル二リン酸を合成する反応と、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸からファーネシル二リン酸を合成する反応を触媒する。従って、ファーネシル二リン酸合成酵素の阻害により、ゲラニル二リン酸以降の代謝経路が遮断されるとともに、酵素の基質となるイソペンテニル二リン酸が蓄積すると考えられる。ゲラニル二リン酸以降の生合成経路が遮断されると、イソプレノイド系化合物である、コレステロール、脂溶性ビタミン類、胆汁酸、リポタンパク質などが生合成されず、腫瘍細胞の増殖が抑制されると考えられる。



ファーネシル二リン酸合成酵素により生合成されるファーネシル二リン酸及びゲラニルゲラニル二リン酸の、イソプレニル基は、Ras、Rho、Rap、Rab、RacなどのいわゆるスモールGタンパク質に転移される。このように、イソプレニル基が転移したスモールGタンパク質は、イソプレニル基がアンカーとなり細胞膜移行し、細胞の増殖、接着などに重要な役割を果たす。ここで、ゾレドロン酸などの窒素含有型ビスホスホン酸がファーネシル二リン酸合成酵素を阻害すると、このイソプレニル基転移が阻害されるため、スモールGタンパク質の膜移行が阻止され、結果的に腫瘍細胞の増殖が阻害される。



ファーネシルピロリン酸合成酵素が阻害されると、その基質であるイソペンテニル二リン酸の細胞内濃度が上昇する。このイソペンテニル二リン酸の細胞内濃度上昇は、ブチロフィリン3A1膜貫通型タンパク質に感知され、その変化をVγ2Vδ2型のT細胞受容体を有するγδ型T細胞が認識する。その結果、γδ型T細胞が脱顆粒を起こし、パーフォリン及びグランザイムBを放出し、腫瘍細胞やウイルス感染細胞にアポトーシスを誘導する。このようにして、窒素含有型ビスホスホン酸は、間接的に免疫細胞の活性化を介して、腫瘍細胞やウイルス感染細胞を効率的に障害することが示されている。



上記のような窒素含有型ビスホスホン酸による直接的及び間接的な腫瘍細胞及びウイルス感染細胞に対する障害性は、窒素含有型ビスホスホン酸が標的細胞内に入らなければ有効に発揮されることはない。ところが、現在臨床適応になっているビスホスホン酸はいずれも骨事象の改善を目的として合成されたため、腫瘍細胞やウイルス感染細胞に到達する効率が低い上に、P-C-Pの酸の構造を有するため、分子が負に荷電し、細胞内移行性が著しく低い。



ここで、無置換の2-ピリジル基を有するビスホスホン酸のピバロイルオキシメチル(POM)基エステル誘導体、具体的には、2-(ピリジル-2-アミノ)エチリデン-1,1-ビスホスホン酸テトラキスピバロイルオキシメチルエステルが、細胞障害性を示し、腫瘍細胞の増殖を抑制することが開示されているが、その機構については明らかにされていない(非特許文献3)。



又、ビスホスホン酸誘導体はin vitro実験系においてはDMSOなどに溶解し使用することが可能であるが、生体に投与する場合にはバイオトレラブルな形態で可溶化する必要がある。薬剤を可溶化する手段として様々な技術が開発されている。例えばTween80やHC0-60等の界面活性剤を用いる方法、シクロデキストリン(以下、「CD」と称することもある)等の包接化剤を用いる方法等が知られている。特許文献1には、アルキル化シクロデキストリンの製造方法と、アルキル化シクロデキストリンを使用して難水溶性薬剤を可溶化する方法が開示されている。特許文献1に記載のアルキル化シクロデキストリンは、メチル化シクロデキストリン誘導体であり、H-NMRで測定して平均置換率が1.7~1.9であり、06位置が55~75%メチル化されていることを特徴とするものである。

産業上の利用分野


本発明は、新規ビスホスホン酸誘導体及びその用途に関する。より詳細には、本発明はビスホスホン酸エステル誘導体及び当該誘導体を有効成分とする医薬組成物、抗腫瘍細胞剤、抗ウイルス感染細胞剤、リンパ球処理剤等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1):
Y-Cy-(NH)-(CH-C(X)(PO(OR)(OR)) (1)
(式中、Cyはフェニル基又は複素環基であり、Yは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ハロゲン原子若しくはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基、又は、アラルキルオキシ基であり、Xは水素原子又は水酸基であり、R及びRは、同一又は互いに異なって、水素原子又はアルキルカルボニルオキシアルキル基であり、R及びRの少なくとも1つはアルキルカルボニルオキシアルキル基であり、mは0又は1の数を表し、nは1~6の整数を表す(ただし、Cyが2-ピリジル基であり、mが1であり、nが1であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子であり、R及びRがピバロイルオキシメチル基である場合を除く))
で表されるビスホスホン酸エステル誘導体。

【請求項2】
一般式(1)において、Cyがフェニル基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項3】
一般式(1)において、Cyが窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1~3個の原子を含む5~10員環の複素環基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項4】
一般式(1)において、Cyが窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1又は2個の原子を含む5又は6員環の複素環基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項5】
一般式(1)において、Cyがチアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、又は7-アザインドリル基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項6】
一般式(1)において、Xが水素原子であり、Yが水素原子、C1-3アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基又はフェニル基であり、R及びRがC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の誘導体。

【請求項7】
一般式(1)において、Cyがチアゾリル基又はピリミジル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがアルキルカルボニルオキシアルキル基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項8】
一般式(1)において、Cyがチアゾリル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがアルキルカルボニルオキシアルキル基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項9】
一般式(1)において、Cyがピリミジル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがアルキルカルボニルオキシアルキル基である、請求項1に記載の誘導体。

【請求項10】
一般式(1)において、Cyがチアゾリル基又はピリミジル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがピバロイルオキシメチル(POM)基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項11】
一般式(1)において、Cyがチアゾリル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがピバロイルオキシメチル(POM)基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項12】
一般式(1)において、Cyがピリミジル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがピバロイルオキシメチル(POM)基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項13】
一般式(1)において、Cyがチアゾリル基又はピリミジル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがブタノイルオキシメチル(BuOM)基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項14】
一般式(1)において、Cyがチアゾリル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがブタノイルオキシメチル(BuOM)基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項15】
一般式(1)において、Cyがピリミジル基であり、Xが水素原子であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRがブタノイルオキシメチル(BuOM)基である、請求項1記載の誘導体。

【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の誘導体を有効成分として含む医薬組成物。

【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の誘導体及びアルキル化シクロデキストリンを含む医薬組成物。

【請求項18】
アルキル化シクロデキストリンがトリメチル-β-シクロデキストリンである、請求項17記載の医薬組成物。

【請求項19】
抗腫瘍細胞剤である、請求項16~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【請求項20】
抗ウイルス感染細胞剤である、請求項16~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【請求項21】
リンパ球処理剤である、請求項16~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【請求項22】
アルキル化シクロデキストリンを水溶性有機溶媒に溶解する工程、及びアルキル化シクロデキストリンを溶解した水溶性有機溶媒中に難水溶性薬剤を混合する工程を含む、難水溶性薬剤を溶媒に溶解させる方法。

【請求項23】
難水溶性薬剤がビスホスホン酸エステル誘導体である、請求項22記載の方法。

【請求項24】
ビスホスホン酸エステル誘導体が、請求項1~15のいずれか1項に記載の誘導体である、請求項23に記載の方法。

【請求項25】
アルキル化シクロデキストリンがトリメチル-β-シクロデキストリンである、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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