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水素の液化促進法 コモンズ

国内特許コード P03P000864
整理番号 Q98SA5-01
掲載日 2003年7月10日
出願番号 特願2001-274461
公開番号 特開2003-089501
登録番号 特許第3765050号
出願日 平成13年9月11日(2001.9.11)
公開日 平成15年3月28日(2003.3.28)
登録日 平成18年2月3日(2006.2.3)
発明者
  • 笠井 秀明
  • 中西 寛
  • ディニョ、ウイルソン、アンジェリコ
  • ムヒダ、リフキ
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 水素の液化促進法 コモンズ
発明の概要 【課題】 効率的なオルソ・パラ変換方法の提供
【解決手段】 オルソ水素とパラ水素が混在する原料水素を動的量子フィルター効果QFを持つ手段へ供給し、前記量子フィルター効果を持つ手段から会合脱着または散乱により水素分子を前記脱着表面または散乱表面に対してカートホイール型回転水素分子、ヘリコプター型回転水素分子および中間型回転水素分子に対応する飛行速度ラベル付けする工程、および該飛行速度ラベル付けされた水素分子の前二者をパラ水素に有効的に変換するオルソ・パラ変換反応触媒作用表面に対してカートホイール型回転で接近反応させる手段を有することを特徴とする水素の液化方法。
従来技術、競合技術の概要


従来から、水素ガスをより高温で、かつ高圧の条件、換言すればより緩和された条件において液化するための手段は色々と提案されている。
例えば、吸着材の存在下で水素ガスを冷却していくと、吸着材の存在しない状態での水素ガスの液化条件よりも高温かつ低圧で水素ガスが液化することができることが報告されている(特開2001-12693)。
水素にはスピン間の角運動量の違いに基づくパラ水素とオルソ水素とがあり、常温では、オルソ水素とパラ水素の比は3:1である。低温ではパラ水素のエネルギーの方が低いため、全てがパラ水素となる。しかし、一般にこの変換速度は遅く、オルソ水素からパラ水素への自然転換の時定数は、数日から数十日が一般的であり、そのまま冷却液化すると、後から徐々にオルソ・パラ変換が生じ、そこで発生する変換熱のため液化水素はたちまち蒸発するという不都合があった。



パラ水素とオルソ水素との比率は温度に依存するとともに、平衡状態に到達する時間は温度や圧力に依存するので、ある時刻でのパラ水素濃度をp(t)、その温度における平衡状態のパラ水素濃度をpeq、最初のパラ水素濃度をp0、時間をt、時定数をτとすると、
p(t)=(p0-peq)exp(-t/τ)+peq・・・(1)と表される。
このように、公知の触媒作用表面を利用して効率よくオルソ・パラ変換をしても、得られる水素ガスは温度に依存する、平衡状態まで達成する時間を短縮するだけで、依然として高い比率でオルソ水素を含んでいる。



そして、液化の際にパラ水素とオルソ水素が混じっていることは、液化そのものの効率を低下させると共に、液化後の管理にも前記のような不都合がある。
したがって、前記不都合を改善するためには、液化前のパラ水素比率を100%に近づける手段を見出すことが前記不都合を取り除くには重要である。



ところで、本発明者らは、金属(Cu、Pdなど)面から脱着してくる水素は該表面から脱着する際様々な速度を持つこと、そして、その速度の違いの現象は、脱着する水素分子の回転軸が吸着表面に対して水平(カートホイール型回転)であるか、または垂直(ヘリコプター型回転)であるかと関連することを確認したことを報告している〔文献、1,Surface Science 418巻(1998年),L39-L44頁、2、Journal of the Physical Society of Japan 67巻,5号,(1998年),1517-1520頁、3、Surface Science 427-428巻(1999年),358-363頁〕。この現象を動的量子フィルター効果と称する。すなわち、吸着表面からの脱着時の速度が小さい水素分子は、回転軸が表面に対して平行であり、その状態をカートホイール型回転〔図1(a)〕といい、脱着時の速度が大きい水素分子は、回転軸が表面に対して垂直であり、この状態をヘリコプター型回転〔図1(b)〕という(現象B)。
このような現象は、脱着する水素分子だけでなく、金属表面で分子が散乱される場合にも起こることを本発明者らは確認している〔散乱における動的量子フィルター効果:文献、4、Journal of the Physical Society of Japan 69巻,12号(2000年),3878-3884頁〕。但し、散乱の場合は、脱着の場合とは、逆に速度の小さな分子がヘリコプター型回転をし、速度の大きな分子がカートホイール型回転をする(現象B’)。



前記文献1では、Cu(111)表面から脱着してくる水素分子が、脱着時の最終的なエネルギー移動により、分子の飛行速度の増加に伴ってカートホイール型回転が優位な状態からヘリコプター型回転が優位な状態へと変わって行くことが説明されている。動的量子フィルター効果によって前記回転状態と飛行速度に前記の関連を有して脱着する現象(現象B)を起こすことを、理論計算結果から説明している。
前記文献2では、Pd(111)表面でも、前記現象Bがおこること、および、Cu(111)表面における現象Bの温度依存性等の詳細な特性を理論計算結果から説明している。
前記文献3では、同位体効果、すなわち、水素分子が軽水素か、重水素かにより前記現象Bが、どのようになるかについて調べ現象Bの特性を明らかにしている。
前記文献3では、一度吸着せずとも、単に表面に水素分子を当て,跳ね返ってきた(散乱)水素分子にも前記現象Bと類似の現象(現象B’)がおこることを理論計算結果から説明している。
前記のように、吸着表面からの脱着および金属等の表面での散乱の際、それぞれの分子が、それぞれの水素分子の回転型に固有の飛行速度領域内の速度を持つことを、水素分子の飛行速度のラベル付けという。

産業上の利用分野


本発明は、公知のオルソ・パラ変換反応触媒作用表面に供給する水素分子を予め水素分子の軸が該オルソ・パラ変換反応触媒作用表面に対して垂直に(カートホイール型回転水素分子として)衝突するようにしたことを特徴とするオルソ・パラ変換反応に配向依存性があることを利用した水素の効率的な液化方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】オルソ水素とパラ水素が混在する原料水素を動的量子フィルター効果を持つ手段へ供給し、前記量子フィルター効果を持つ手段によりカートホイール型回転水素分子、ヘリコプター型回転水素分子および中間型回転水素分子に対応する飛行速度にラベル付けし、該ラベル付け水素分子のいずれもがカートホイール型回転でパラ水素に変換するオルソ・パラ変換反応触媒作用表面に衝突する手段により、オルソ・パラ変換させる工程を含むことを特徴とする水素の液化方法。
【請求項2】該飛行速度ラベル付けされた水素分子のいずれもがパラ水素に変換するオルソ・パラ変換反応触媒作用表面にカートホイール型回転で衝突する手段は、該ラベル飛行速度別に選別する飛行時間選別手段であることを特徴とする請求項1に記載の水素の液化方法。
【請求項3】飛行時間選別手段は飛行速度ラベル付け工程からの水素分子供給口に対して変位した回転軸を有する円筒の表面に間隔を持って取り付けられた螺旋状羽を有し、該円筒の回転により該螺旋状羽の間隙に供給される飛行速度ラベル付けされた水素分子の飛行速度の違いにより、該螺旋状羽の表面を利用してオルソ・パラ変換反応触媒作用表面に対して前記選別された水素をカートホイール型回転で接近反応させることを特徴とする請求項2に記載の水素の液化方法。
【請求項4】オルソ水素とパラ水素が混在する原料水素をカートホイール型回転水素分子、ヘリコプター型回転水素分子および中間型回転水素分子に対応する飛行速度にラベル付けする工程が解離吸着、原子状水素の浸透および会合脱着する手段を利用するものであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の水素の液化方法。
【請求項5】会合脱着することにより該飛行速度ラベル付けする手段が水素分子を表面にに吸着させた場合分子が解離し水素原子状で吸着する性質をもつCu、Al、Ag、Pd、Pt、Ir、Niからなる群から選択される金属又は前記金属をベースとする合金の膜からなるものであることを特徴とする請求項4に記載の水素の液化方法。
【請求項6】オルソ水素とパラ水素が混在する原料水素をカートホイール型回転水素分子、ヘリコプター型回転水素分子および中間型回転水素分子に対応する飛行速度にラベル付けする工程が活性化障壁を有する表面の散乱を利用するものであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の水素の液化方法。
【請求項7】活性化障壁を有する表面の散乱を利用して原料水素を該飛行速度ラベル付けする手段が水素吸着に対して活性化障壁があるCu、Al、Agからなる群から選択される金属表面または前記金属をベースとする合金表面を有する手段からなるものであることを特徴とする請求項6に記載の水素の液化方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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