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微生物活性測定装置及び微生物活性の測定方法 コモンズ

国内特許コード P03P000899
整理番号 RSP53P07
掲載日 2003年7月10日
出願番号 特願2001-192708
公開番号 特開2003-000224
登録番号 特許第3869687号
出願日 平成13年6月26日(2001.6.26)
公開日 平成15年1月7日(2003.1.7)
登録日 平成18年10月20日(2006.10.20)
発明者
  • 末廣 純也
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 微生物活性測定装置及び微生物活性の測定方法 コモンズ
発明の概要 【課題】本発明は、リアルタイムに近い迅速性を備え、誰でも微生物活性を簡便且つ定量的に検出する微生物活性測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の微生物活性測定装置は、データ入力部8から試料液に含まれる微生物の種類と懸濁液導電率が入力されると、演算制御部5が活性度測定用テーブル7aから活性度測定最適周波数を読み出し、誘電泳動用電源部3が該活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して微生物のうち生菌を濃縮し、測定部4によって測定されたインピーダンスにより検量線データに基づいて電極2a,2b間のコンダクタンス変化から微生物数を算出して出力することを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要


昨今、微生物、中でも悪性の細菌による食中毒事件は社会問題の一つとなっており、例年の如く夏場にはこうした事件が報じられる。食中毒事件は、原因不明の場合も多いが、細菌が原因の場合が全体の8割以上にものぼっており、食品管理における細菌検査がきわめて重要なことを示唆している。



そして、食品産業のプラント化が進んだ現状では、一つの工場で発生した細菌汚染により社会的に甚大な被害を及ぼしかねない。このため、食品会社は食品製造にあたって細心の衛生管理を行い、細菌検査を行っている。細菌検査においては、一般的に後述するコロニーカウント法で細菌の個体数をカウントすることが行われている。



ところで、微生物には上述したような悪性の細菌ばかりでなく、有用な微生物も非常に多い。古来、千年以上にわたって育まれてきた醸造技術では、発酵を行う酵母等の有用菌がなくては目的を果たせず、例えば乳製品製造では乳酸菌が、また最近開発された各種抗生物質の生産にはカビや放射線菌等が欠かせないことは周知のことである。



こうした有用な微生物を用いて有用物質を生産するプロセスにおいては、他の工業プロセスと同様に、多くの物理的状態量や化学的状態量が計測され、目的生産物の収率改善に利用されている。中でもリアクター内部に存在する微生物の個体数や活性度(以下、生菌数ともいう)は、反応を直接的に示す重要なパラメータであるためとくに重要で、定量的にこれを把握する方法が切望されている。



なお、以上の説明からも分かるように、本明細書において微生物というのは、こうしたプロセスで用いられる酵母類やカビ類のほかに、一般に細菌、真菌、放線菌、リケッチア、マイコプラズマ、ウイルス等、いわゆる微生物学の対象となっているあらゆる微生物を含んでいる。



さて、このような微生物の個体数、活性度を定量するために、従来は一般的にコロニーカウント法を用いてきた。すなわち、この方法は、微生物を含有した懸濁液のサンプルを培地上に散布し、この微生物の増殖に伴って形成されるコロニー(集落)の数から生菌数を定量するものである。しかし、このコロニーカウント法は、コロニーが形成されるまでに1日から数日という驚くほどの長時間を必要とし、定量が行えるとはいえ、オフラインでしか使用できないものであった。これでは、リアクター内の状態を把握してプロセス制御を行うことなど不可能なものであった。そして、検査対象からのサンプリング、濃縮や希釈、培地への植えつけ、コロニー数(CFU)のカウントなど、専門家による高度の知識と煩雑な手作業が必要である。こうしたことから、検査に必要なランニングコストの上昇や、人為的ミスを招来することがないとはいいきれなかった。



このほかの方法として、発光を利用するATP(Adenosine Tri Phosphate)法がある。動物、植物、細菌などの細胞には、必ずATP(アデノシン三リン酸)が含まれているため、検査試料中の細菌内に含まれるATPをATP抽出試薬により抽出し、更に抽出したATPを蛍の酵素(ルシフェラーゼ)により発光させ、発光量を測定することでATP量を検出するものである。微生物中のATP含有量はある一定の数値になっているので、発光強度から推定されるATP量を検出することでサンプルに含まれる菌数を推定するものである。



しかし、ATP抽出試薬によるATPの抽出や、酵素を作用させたり、発光量の測定、ATP量の推定等は専門家による高度で複雑な作業が必要で、時間もかかり、リアルタイムの測定が行えるものではなかった。



そこで、本発明者は、コロニーカウント法によらずに微生物の個体数を定量することを目的として、他の発明者らとともに誘電泳動と電気インピーダンスを組み合わせて微生物数を測定する方法(DEPIM法 (Dielectrophoretic Impedance Measurement Method))を提案した。



このDEPIM法は、微生物の濃縮プロセスと菌濃度検出プロセスのいずれのプロセスも電気的に行うのが特徴である。濃縮プロセスは、誘電泳動現象(電界中で分極した誘電体粒子に電気的な力が作用し、一定方向に運動する現象)により細菌を集積型マイクロ電極上で濃縮し、菌濃度検出プロセスは、濃縮する時の電極間インピーダンスの変化から菌濃度を定量的に推定するものである(八浪、他:「誘電泳動インピーダンス計測による大腸菌の懸濁濃度測定(1)~原理と装置概要~」、静電気学会講演論文集'99、pp.337~340 (1999);濱田、他:「誘電泳動インピーダンス計測による大腸菌の懸濁濃度測定(2)~懸濁濃度の推定モデル~」、静電気学会講演論文集'99、pp.341~344 (1999))。



このDEPIM法で微生物を検出するためには、微生物を誘電泳動力によりマイクロ電極に捕集することが必要である。言い換えれば、誘電泳動力が十分に作用しないような条件下ではマイクロ電極に捕集される菌数が減少するため、検出信号は低下するという特徴を有している。微生物に作用する誘電泳動力FDEPは複素数表現すると、理論的に以下の(数1)で与えられる。



【数1】


ここで、複素誘電率Kは(数2)で表され、



【数2】


また、懸濁液の複素誘電率εは(数3)で表され、



【数3】


ε :懸濁液の誘電率
ε :懸濁液の複素誘電率
ε :微生物の複素誘電率
σ 懸濁液の伝導率
ω :電界の角周波数
また、
a :球形近似したときの微生物の半径
Re[K] :微生物と懸濁液の複素誘電率に依存するパラメータ
E :電界強度
である。この(数1)(数2)(数3)から明らかなように、懸濁液と微生物の大きさが一定であれば、誘電泳動力FDEPはパラメータRe[K]に比例することがわかる。



図9は細胞質導電率をパラメータとするRe[K]の周波数特性図である。図9において、誘電泳動に用いる電界の周波数fをパラメータとして、誘電泳動力を細胞質導電率σiの関数として表している。細胞質内部の溶液の導電率である。図9によると、周波数10kHz~1MHzで正の誘電泳動力が働き、それ以外では負の誘電泳動力が働くのがわかる。細胞質導電率σiと周波数fによっては負の誘電泳動力が働き、誘電泳動力FDEPが微生物に作用しても、捕集できない場合があることが分かる。



従って、微生物(細胞質導電率σi)の種類や生死に応じて周波数fを選択すると、正の誘電泳動力を作用させて捕集したり、負の誘電泳動力を作用させて排除することが可能である。但し、実際の誘電泳動には懸濁液導電率等の影響も考慮しなければならない。

産業上の利用分野


本発明は、ほぼリアルタイムの迅速測定が可能であり、誰でも微生物活性を簡便且つ定量的に検出できる微生物活性測定装置、及びそのとき使用する微生物活性の測定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
試料液を収容することができる測定チャンバーと、
前記測定チャンバー内の試料液に浸漬され、不平等電界を発生して誘電泳動により該試料液に含有される微生物を濃縮するとともに、このときのインピーダンスを測定するための一対の電極と、
前記電極間に交流電圧を印加する誘電泳動用電源部と、
前記電極間のインピーダンスを測定することができる測定部と、
前記誘電泳動用電源部と前記測定部の制御を行う演算制御部と、
微生物毎に懸濁液導電率,生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数,検量線データを格納した活性度測定用テーブルが格納されたメモリ部とを備え、
入力手段から試料液に含まれる前記微生物の種類と懸濁液導電率が入力されると、前記演算制御部が前記活性度測定用テーブルから活性度測定最適周波数を読み出し、前記誘電泳動用電源部が該活性度測定最適周波数の交流電圧を印加して前記微生物のうち生菌を濃縮し、前記測定部によって測定されたインピーダンスにより前記検量線データに基づいて前記電極間のコンダクタンス変化から生菌の微生物数を算出して出力することを特徴とする微生物活性測定装置。

【請求項2】
前記演算制御部が、前記電極間のコンダクタンスの初期増加率から微生物数を算出して出力することを特徴とする請求項1記載の微生物活性測定装置。

【請求項3】
前記測定チャンバーには攪拌装置が設けられ、前記演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて試料液の攪拌を行うことを特徴とする請求項1または2記載の微生物活性測定装置。

【請求項4】
前記測定チャンバーには試料液の供給管と排出管が設けられるとともに、前記供給管に供給バルブ、前記排出管に排出バルブが設けられ、前記演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて、前記供給バルブを開いて試料液を前記測定チャンバーに供給し、測定後前記排出バルブを開いて試料液を排出することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の微生物活性測定装置。

【請求項5】
前記測定チャンバーには洗浄液の洗浄管が設けられるとともに、前記洗浄管に洗浄バルブが設けられ、前記演算制御部が時計手段の行う計時に基づいて、前記洗浄バルブを開いて洗浄液を前記測定チャンバーに供給し、試料液を排出した後前記チャンバー内を洗浄することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の微生物活性測定装置。

【請求項6】
試料液に浸漬した一対の電極間に生菌だけのときのコンダクタンスと死菌だけのときのコンダクタンスの比をとったときに該死菌だけのコンダクタンスが10%以下となる活性度測定最適周波数の交流電圧を印加し、該試料液に含有された特定の微生物中の生菌を誘電泳動して濃縮するとともに前記電極間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスに基づいて前記電極間のコンダクタンス変化から生菌の微生物数を算出することを特徴とする微生物活性の測定方法。

【請求項7】
前記電極間のコンダクタンスの初期増加率から生菌の微生物数を算出することを特徴とする請求項記載の微生物活性の測定方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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