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12CaO・7Al2O3化合物とその作成方法 実績あり

国内特許コード P03P000844
整理番号 E060P18
掲載日 2003年7月10日
出願番号 特願2001-321251
公開番号 特開2003-128415
登録番号 特許第3560580号
出願日 平成13年10月18日(2001.10.18)
公開日 平成15年5月8日(2003.5.8)
登録日 平成16年6月4日(2004.6.4)
発明者
  • 細野 秀雄
  • 平野 正浩
  • 林 克郎
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 12CaO・7Al2O3化合物とその作成方法 実績あり
発明の概要 【課題】 活性酸素ラジカルなどのXイオンをより制御性良く選択的かつ可逆的に包接させることが可能なC12A7化合物の提供。
【構成】 CaとAlの混合原料を用い、焼成温度1200℃以上1449℃未満、酸素分圧0.1気圧以上かつ水蒸気分圧10-3気圧以下の乾燥酸素雰囲気で固相反応させ、1200℃以上に保持した後、急冷することによりOHイオンおよびOnイオンラジカルなどの濃度を2×1019cm-3以下にしか包接しないC12A7化合物を作成できる。該化合物を熱処理することにより、包接するOHイオンの濃度が2×1019cm-3以下であり、Onを2×1019cm-3超の高濃度に包接するC12A7化合物を作成できる。該化合物を300℃以上850℃以下の温度領域で昇温または降温することによりOnイオンラジカルを可逆的に包接・放出できる。該化合物は、酸化触媒、抗菌剤、イオン伝導体、固体電解質燃料電池用電極などに有用である。
従来技術、競合技術の概要


1970年に、H. B. Bartlらは、12CaO・7Al結晶においては、2分子を含む単位胞にある66個の酸素のうち、2個はネットワークには含まれず、結晶の中に存在するケージ内の空間に「フリー酸素」として存在すると主張した(H.B.Bartl and T.Scheller,Neuses Jarhrb.Mineral.,Monatsh.1970,547)。



本発明者らの一人である細野らは、CaCOとAlまたはAl(OH)を原料として空気中で1200℃の温度で固相反応により合成した12CaO・7Al結晶中に1×1019cm-3程度のOイオンラジカルが包接されていることを電子スピン共鳴の測定から発見し、フリー酸素の一部がOイオンラジカルの形でケージ内に存在するというモデルを提案している(H.Hosono and Y.Abe,Inorg.Che.26,1193,1987、「材料科学」,第33巻,第4号,p171~172,1996)。



本発明者らは、カルシウムとアルミニウムを概略12:14の原子当量比で混合した原料を、雰囲気と温度を制御した条件下で固相反応させ、1020cm-3以上の高濃度の活性酸素種を包接する12CaO・7Al化合物を新たに見出した。その化合物自体、その製法、包接イオンの取り出し手段、活性酸素イオンラジカルの同定法、および該化合物の用途に関して、特許出願した(特願2001-49524
,PCT/JP01/03252)。



さらに、本発明者は、水中、または水分を含む溶媒中、もしくは水蒸気を含む気体中で水和反応させた12CaO・7Al化合物粉体を、酸素雰囲気で焼成することにより、OHイオン濃度1021cm-3以上含むC12A7化合物を合成し、その化合物自体、製法、OHイオンの同定法、および該化合物の応用に関し、特許出願している(特願2001-117546)。



C12A7中に、高濃度の活性酸素イオンラジカルが含まれる機構に関して、本発明者らは、C12A7中に存在するフリー酸素と、C12A7中に侵入した雰囲気中の酸素分子が可逆的に反応するためと提案した。また、OHイオンが高濃度に含まれる機構に関しては、本発明者らは、C12A7中に存在するフリー酸素と、C12A7中に侵入した雰囲気中の水分子が可逆的に反応するためと提案した。その機構の詳細な説明は、以下の通りである。



図1は、12CaO・7Alの結晶構造を示す模式図である。12CaO・7Alは、立方晶の結晶系(格子定数=11.97Å)で空間群はI43dで、単位格子あたり2式量の酸素イオンが存在する。融点は、1449℃である。該結晶はAlOの4面体が、重合したネットワーク構造にCa2+イオンが配した構造をとっており、結晶格子中に空隙(ケージ)を有している。



2(12CaO・7Al)=Ca24Al2866= [Ca24Al2864]4+・2O2-であり、O2-イオンはフリー酸素と呼ばれ、ケージの中に存在している。一般に、O2-イオンは、固体構造中では常にカチオンで配位されており、フリーな状態になることはほとんどない。しかし、12CaO・7Al結晶中では、O2-イオンは、ケージ内に存在し、カチオンと結合できず、フリーな状態になっている。この状態は、固体表面に吸着した状態と類似しており、化学的に非常に活性な状態であると考えられる。



ケージ内に包接されたO2-イオンは、ケージ内にあるため、直接、外界雰囲気との反応が防がれている。しかし、高温度になると、熱膨張でケージのサイズが大きくなり、雰囲気からの酸素分子がケージのボトルネックを通過できるようになりケージ内に包接される。その結果以下の反応が起こる。
2-(ケージ内)+O(ケージ内)=O(ケージ内)+O(ケージ内)
この反応の結果、C12A7中には、大量の活性酸素イオンラジカルが包接される。



すなわち、単位胞あたり2ヶ存在する酸素イオンO2-から2つのOnイオンラジカルが生成される。Onイオンラジカルを高濃度に包接する12CaO・7Al化合物は、[Ca24Al2864]4+ ・(2-m)O2-(2m)Onと記述される。ここで、m≦2であり、OnイオンラジカルとO2-イオンはケージ内に包接されている。ケージ内の酸素分子と雰囲気中の酸素分子は、ケージのボトルネックを通過できる高温度域では、雰囲気中の酸素分子と平衡状態にある。一般的には、ボイル・シャルルの法則により、温度が高くなると、C12A7中の酸素分子は減少するので、より高温では、活性酸素イオンラジカルは減少すると考えられる。



合成されたC12A7にHOが含まれていると、O2-(ケージ内)+HO(ケージ内または結晶格子間)=2OH(ケージ内)の反応が起こり、ケージ内にOHイオンが包接される。OHイオンを高濃度に包接する12CaO・7Al化合物は、[Ca24Al2864]4+ ・(2-m)O2-(2m)OHと記述される。ここで、m≦2であり、OHイオンとO2-イオンはケージ内に包接されている。HO分子がケージのボトルネックを通過できる温度域では、ケージ中のHOは、雰囲気中の水蒸気と平衡状態にある。

産業上の利用分野


本発明は、Onで示す酸素イオンラジカルおよびOHイオンの包接量を制御した12CaO・7Al化合物(C12A7と称される)、その作成方法、その用途に関する。なお、本明細書において、Onは、OイオンラジカルおよびOイオンラジカルを一般化して記述したもので、nは1または2の整数である。

特許請求の範囲 【請求項1】
包接するOHイオンの濃度が2×1019cm-3以下である12CaO・7Al化合物に、Onイオンラジカルを2×1019cm-3超の高濃度に包接することを特徴とする12CaO・7Al化合物。

【請求項2】
カルシウム(Ca)とアルミニウム(Al)を原子当量比で12:14の割合で含む混合原料を用い、焼成温度1200℃以上、1449℃未満、酸素分圧10-2MPa以上、水蒸気分圧10-4MPa以下の乾燥酸素雰囲気で固相反応させ、焼成温度から300℃以上800℃以下の温度領域を徐冷することにより、包接するOHイオンの濃度が2×1019cm-3以下であり、Onイオンラジカルを2×1019cm-3超の高濃度に包接する化合物を得ることを特徴とする請求項記載の12CaO・7Al化合物の作成方法。

【請求項3】
で表されるマイナス一価のイオンおよびイオン分子の濃度を2×1019cm-3以下にしか包接しない12CaO・7Al化合物を、酸素分圧10-2MPa以上、水蒸気分圧10-4MPa以下の乾燥酸素雰囲気で、300℃以上800℃以下の温度領域の一定温度に保持し、室温まで急冷または徐冷することを特徴とする請求項記載の12CaO・7Al化合物の作成方法。

【請求項4】
請求項1に記載される12CaO・7Al化合物を、酸素分圧10-2MPa以上、水蒸気分圧10-4MPa以下の乾燥酸素雰囲気で、300℃以上800℃以下の温度領域で昇温または降温することを特徴とするOnイオンラジカルの可逆的包接・放出方法。

【請求項5】
カルシウムとして炭酸カルシウム、水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムを、アルミニウムとして、酸化アルミニウムまたは水酸化アルミニウムを原料とすることを特徴とする請求項記載の12CaO・7Al化合物の作成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2001321251thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンス状況 通常実施権[S03-01]
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 細野透明電子活性プロジェクト 領域
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