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酸化物単結晶の製造方法及び装置

国内特許コード P020000031
掲載日 2003年5月27日
出願番号 特願2000-083448
公開番号 特開2000-344595
登録番号 特許第3551242号
出願日 平成12年3月24日(2000.3.24)
公開日 平成12年12月12日(2000.12.12)
登録日 平成16年5月14日(2004.5.14)
優先権データ
  • 特願1999-084999 (1999.3.26) JP
発明者
  • 北村 健二
  • 古川 保典
  • 竹川 俊二
  • 木村 茂行
出願人
  • 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明の名称 酸化物単結晶の製造方法及び装置
発明の概要 【課題】 貴金属るつぼを用いた回転引き上げ式の酸化物単結晶製造において、貴金属るつぼは変形しやすく、かつ非常に高価であるために、できる限り小型のるつぼを用いて大形で長尺の結晶を育成する技術や、るつぼの耐使用回数を増やすための育成技術の開発が工業的な面で解決すべき大きな課題の一つとされている。
【解決手段】 貴金属るつぼを用いた回転引き上げ式の酸化物単結晶製造において、貴金属からなる外側るつぼ内に、るつぼ内の融液表面をさえぎり、融液底部で融液が連絡するようにした円筒状の内側るつぼを配置した二重るつぼを用い、育成中の結晶の重量を直接計測しながら単結晶を前記内側るつぼの中から引き上げ育成し、これと同時に密封容器内にガスを供給し、該密封容器内に保管した粉体原料を結晶の成長重量と同じ重量だけ前記外側るつぼと内側るつぼの間に供給管より連続的に供給し、前記二重るつぼを回転させながら結晶を育成する。
従来技術、競合技術の概要



大型で良質な単結晶を育成する方法としては、従来からチョクラルスキー法が知られている。このチョクラルスキー法は、一致溶融組成の大型結晶を育成するのに適した単結晶製造方法であり、るつぼの中に充填した融液に種結晶を接触させ、この種結晶を回転させながら上方に引き上げることにより、種結晶の下方に単結晶を育成する方法である。





この方法は、現在、酸化物単結晶、半導体単結晶を問わず、工業的に最もよく用いられている方法であるが、より大口径で、かつ長尺の単結晶を低価格で育成しようとする場合、るつぼの容量には制限があるので、単結晶を引き上げながらるつぼ内に原料を供給する連続引き上げ法が考案され、これまで種々の方法が試みられ、その一つに二重るつぼ法と称されるものがある。





この方法は、具体的には、通常のるつぼの内側に融液の流通口を開口した内径の小さな、もう一つのるつぼまたは円筒体を設けた構造によって結晶を育成する方法であり、外側のるつぼは原料供給用で、内側のるつぼから単結晶を引き上げて成長させる単結晶の製造方法である(例えば、特開昭57-183392号公報、特開昭47-10355号公報等)。





SiやGaAsなどの半導体結晶の育成においては、引き上げる単結晶が所定の直径(直胴部)まで成長したところで、成長量に見合った量の原料を外側るつぼ内に投入する方式が提案され、実用化も検討されているが、これらは、主として半導体単結晶の製造における単結晶の長尺化や材料特性の均質化のためのドーパントの均一添加を目的としている(例えば、特開昭63-95195号公報、特許2729243号公報等)。





酸化物単結晶の場合にも、半導体単結晶の場合と同様の二重るつぼを用いた結晶製造方法がこれまでに提案されており、主な目的は、チョクラルスキー法では原理的に育成が困難な、融液組成と育成する結晶が同一でない組成の結晶を育成するためであり、優れた方法として期待され開発されている。





例えば、溶液引き上げ法の一種であるTSSG法における問題点であるとされている結晶育成の進行に必要な融液の高さおよび温度の低下に伴う結晶育成条件の変動や低い育成効率を改善するために、原料ぺレットを外るつぼと内るつぼとの間に供給することで、原料融液の組成および温度を一定に保って一定速度で結晶を製造する方法が知られている(例えば、特開平4-270191号公報等)。





図2は、原料ペレット10を外るつぼ2と内るつぼ3との間に一定の速度で供給することにより、上昇・下降ヘッド7の結晶引き上げ軸6による引き上げ速度や融液9の降下速度を一定にできることを目的として開発された原料供給型二重るつぼ法を模式的に示した断面図である。この方法では、TSSG法でのいくつかの問題を解決している。二重るつぼ1の外側にはヒータ-4が配置されており、内るつぼ3には孔12が設けられており、外るつぼ2と内るつぼ3との間の原料融液9に供給管5を通して原料ペレット10を落下させながら、種結晶8から単結晶11を育成する方法となっている。





また、原料供給は行わないが、融液組成と育成結晶の組成が同じ、いわゆる一致溶融組成の結晶育成中の温度変動の問題を解決するために、高周波誘導加熱により発熱する容器を兼ねる貴金属るつぼを二重構造とすることにより、るつぼの高周波誘導による加熱によってもたらされる融液の温度変動を少なくし、高品質の酸化物単結晶を製造する方法が知られている(例えば、特開平4-74790号公報等)。





図3は、その方法を模式的断面図で示したものであり、貴金属製の二重るつぼを用いている。外るつぼ13の中に酸化物の溶融物15が収納されており、この外るつぼ13の中には、この外るつぼ13の内径よりも小さい径の円筒14が配置されているが、これは融液の温度安定を目的としたものであって、長尺結晶を育成するための原料供給手段は配置されていない。また、できるだけ長尺の結晶を育成するように、外るつぼ13の形状は、高さは直径とほぼ同じか、それより高いものを使用している。





また、通常のチョクラルスキー法では育成ができないLiO /(Nb+LiO)のモル分率が0.50である化学量論組成のLiNbO単結晶を育成するために、予め内側のるつぼ内にLiO /(Nb+LiO)のモル分率が0.58~0.60のLi成分過剰な組成の融液を準備し、ここから化学量論組成の結晶を析出させ、それと同時に析出した組成と同じ化学量論組成に調製した原料粉末を連続的に供給する装置を備えた二重るつぼ単結晶製造方法が開発され、結晶全体にわたり均質な組成で化学量論組成に近い組成のLiNbO単結晶が育成されている(例えば、K. Kitamura et al.,Journal of Crystal Growth,第116巻,1992年発行,第327~332項,または応用物理,第65巻,第9号,1996年発行,第931~935項)。





図4および図5は、その方法を模式的断面図で示したもので、結晶重量を検知するロードセル(図4の52、図5の27)によって育成重量の単位時間当たりの変化量を測定し、これに見合った量の原料粉末を外るつぼ(図4の56、図5の19)と内るつぼ(図4の55、図5の20)との間に、鉛直角度が65~76゜となるよう設置した原料供給管(図4の53、図5の22)を通して供給している。いずれの図の装置も、原料供給は自動で行い、原料保管容器内に設置した供給用原料の供給量を、図4ではピエゾ振動子54で制御しており、図5ではスクリューで制御する方式となっている。





また、ここで育成する結晶の大きさは約1~l.5インチ直径で、育成に用いる内るつぼと外るつぼの形状は,内るつぼ直径/外るつぼ直径の比が0.5としたものを用いている。また、図4では、るつぼの回転は行わないが、図5では、供給原料と融液の均質化を目的として、約0.1~0.3rpmの低速で結晶の回転と反対方向に非常にゆっくりとしたるつぼの回転を行いながら結晶育成を行っている。





また、化学量論組成のLiTaOまたはLiNbO単結晶を二重るつぼ法を用いて育成する際に、供給用粉体原料は、予め1ton/cmの静水圧でラバープレス成形し、1050℃で焼結された化学量論組成原料を用いることが知られている(例えば、特許第2931960号、特開平11-35393号公報等)。





また、貴金属るつぼを用いて酸化物単結晶を育成する際に、貴金属るつぼ自体またはるつぼの上部に連続して設置した貴金属円筒等をアフターヒータとして使用することで、冷却中の結晶の熱歪みによるクラックの発生を防ぐ方法がとられている。

産業上の利用分野



本発明は、二重るつぼ構造からなる貴金属るつぼを用いた酸化物単結晶の製造方法および装置に関し、特に、回転引き上げ法により高品位で、かつ長尺の結晶を安定に成長させる酸化物単結晶の製造方法および装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
二重るつぼを用いた回転引き上げ式の酸化物単結晶製造方法において、前記二重るつぼは、貴金属からなる外側るつぼと、貴金属からなる内側るつぼとを有し、前記内側るつぼは、前記二重るつぼ内の融液表面をさえぎり、前記融液底部で前記融液が前記外側るつぼと前記内側るつぼとの間を連絡するように形成されており、前記外側るつぼの高さ/前記外側るつぼの直径の比が0.3以上1以下の範囲であり、前記内側るつぼの直径/前記外側るつぼの直径の比が0.55以上0、9以下の範囲であり、前記方法は、
前記内側るつぼ内の前記融液内に配置された種結晶を回転させ、かつ、引き上げながら酸化物単結晶を育成し、
前記育成と同時に、前記育成された酸化物単結晶の重量を測定し、
前記育成と同時に密封容器内に保管されている粉体原料を前記測定された重量と同じ重量だけ前記外側るつぼと前記内側るつぼとの間に給し、一定深さで、成長する結晶組成と一致する一定組成を保った融液とし
前記育成と同時に前記二重るつぼを1rpm以上20rpm以下の速度で回転させることによって結晶成長界面の形状を液面に対して強制的にフラット、若しくは凸になるように融液の対流を制御することを特徴とする酸化物単結晶の製造方法。

【請求項2】
前記粉体原料の供給は、鉛直角度が76°より大きくなるように育成炉内に設置したセラミックスまたは貴金属からなる供給管を通して、50μm以上500μm以下の範囲の粒径を有する粉体原料を、毎分50cc以上500cc以下の範囲でガスを流しながら行うことを特徴とする請求項1記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項3】
前記二重るつぼは、前記内側るつぼの高さが前記外側るつぼの高さと比べて同じか、それよりも高くなるように構成されており前記酸化物単結晶の育成終了後の融液冷却過程において前記融液を前記内側るつぼの壁に付着させて固化させることで、前記外側るつぼの変形を最小限に抑えることを特徴とする請求項1または2記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項4】
前記粉体原料は、高温で粒成長化処理を施した後、前記範囲の粒径となるように分級されていることを特徴とする請求項1乃至3記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項5】
前記分級された粉体原料は、前記粒成長化処理を施す前に、.5ton/cmより大きな圧力下でプレス成形された化学量論組成原料であることを特徴とする請求項記載の化学量論組成の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項6】
前記分級された粉体原料は、化学量論組成のLiTaOまたはLiNbO
であって、前記粒成長化処理は、Liの蒸発を押さえるために密封された容器内で行うことを特徴とする請求項4または5記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項7】
前記酸化物単結晶の育成終了後、前記融液から前記酸化物単結晶を切り離す際に前記酸化物単結晶の底面に融液フラックス成分が付着しないように前記酸化物単結晶または前記二重るつぼを前記育成時の回転速度よりも高速に回転させることを特徴とする請求項1乃至6記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項8】
前記酸化物単結晶の育成時に、前記酸化物単結晶の結晶直径を一定で成長させる直胴部の育成後は、徐々に結晶直径を小さくしながら結晶を成長させ、前記直胴部の結晶直径よりも小さな結晶直径で融液からの成長結晶の切離しを行うことを特徴とする請求項1乃至7記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項9】
前記二重るつぼの回転時に、貴金属からなる攪拌治具を用いて前記内側るつぼ内の前記融液の攪拌を行うことを特徴とする請求項1乃至8記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項10】
前記酸化物単結晶の育成終了後、前記融液から引き上げた前記酸化物単結晶を単結晶育成装置内でアニーリングを行うために、前記るつぼとは独立したアフターヒータを設けたことを特徴とする請求項1乃至9記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項11】
前記酸化物単結晶は、直径2インチ以上のLiTaOまたはLiNbOである請求項1乃至10記載の酸化物単結晶の製造方法。

【請求項12】
回転引き上げ式の酸化物単結晶の製造装置であって、
回転可能な二重るつぼであって、前記二重るつぼは、貴金属からなる外側るつぼと貴金属からなる内側るつぼとを有し、前記内側るつぼは、前記二重るつぼ内の融液表面をさえぎり、前記融液底部で前記融液が前記外側るつぼと前記内側るつぼとの間を連絡するように形成されており、前記外側るつぼのさ/前記外側るつぼの直径の比が0.3以上1以下の範囲であり、前記側るつぼ直径/前記外側るつぼ直径の比が0.55以上0、9以下の範囲にあり、前記二重るつぼは1rpm以上20rpm以下の速度で回転する、二重るつぼと、
前記二重るつぼに自動的に粉体原料を供給する粉体原料供給システムであって、
前記粉体原料供給システムは、前記粉体原料を保持するための育成炉体上部に設置した密封容器と、前記粉体原料の減少量を測定する重量測定センサと、前記密封容器へガスを供給するガス供給手段とを有する、粉体原料供給システムと、
前記密封容器から排出された前記原料粉末を前記二重るつぼへ供給する供給管であって、前記供給管は鉛直角度が76°よりも大きくなるように設定されているとともに前記ガスが流れる、供給管と
を備えることを特徴とする酸化物単結晶の製造装置。

【請求項13】
高周波加熱装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の酸化物単結晶の製造装置。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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