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蛋白質の判別方法 実績あり

国内特許コード P03A000270
整理番号 Y00-P376
掲載日 2003年8月28日
出願番号 特願2001-010466
公開番号 特開2002-215634
登録番号 特許第3722420号
出願日 平成13年1月18日(2001.1.18)
公開日 平成14年8月2日(2002.8.2)
登録日 平成17年9月22日(2005.9.22)
発明者
  • 美宅 成樹
  • 広川 貴次
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 蛋白質の判別方法 実績あり
発明の概要 【課題】 アミノ酸の配列が膜蛋白質であるか否かを、高精度で迅速に判別する方法を提供。
【解決手段】 (a)蛋白質構成要素の20個のアミノ酸について、疎水性指標H、両親媒性指標A、及び非電荷指標Cを割り当て、(b)5~9個のウィンドウWを用いてアミノ酸配列の疎水性コア指標Icoreを算出し、(c)Icore値を縦軸、被判別蛋白質のアミノ酸鎖を横軸にプロットし、(d)一定の閾値を超えるアミノ酸残基の数が15以上のセグメントを一次型膜貫通ヘリックスの候補とし、(e)各候補の二回平均疎水性<H>及び平均両親媒性<A>を算出して、(f)一定の判別式に従って一次型膜貫通ヘリックスが存在しない場合には被判別蛋白質を水溶性蛋白質と認定する。
従来技術、競合技術の概要


膜蛋白質の二次構造の予測は、一般にアミノ酸配列に疎水性指標を割り当てたプロフィールから簡単な計算によって予測することができる[Kyte, j. and Doolittle, R. F., J. Mol. Biol., 157(1982)103-132.]。更に、ニュートラルネットワーク[Rost, B., Casadio, R., Fariseli, P. and Sander, C., Prot. Sci., 4(1995)521-533]や統計的手法[Jones, D. T., Taylor, W. R. and Thornton, J. M., Biochemistry, 33(1994)3038-3049.]による方法も報告されている。しかしながら、水溶性蛋白質に比べて一見精度よく見える膜蛋白質二次構造予測にも、次のようないくつかの問題点がある。



(1)ある種の蛋白質では、従来の方法では予測が困難な二次構造(膜貫通ヘリックス)が存在する。
(2)膜貫通ヘリックスの領域予測が十分でない。
(3)膜貫通ヘリックスに対して成績の良い方法でも、実際には水溶性蛋白質である多くのものを膜貫通ヘリックスとして誤認予測してしまう。



膜貫通ヘリックスは、基本的には疎水性相互作用によって脂質二重膜の疎水性領域に入り、安定となる。しかしながら、ある疎水性インデックスの値を閾値とし、それを越える一次構造領域を膜貫通ヘリックスとするような従来の単純な方法では、本来単なる水溶性蛋白質であり、膜貫通ヘリックスではないアミノ酸配列の解析からも、多くの膜貫通ヘリックスが誤って予測されるという欠点があった。一方、膜貫通ヘリックスにはしばしば極性残基が含まれており、特に細胞内側には正電荷を持つ残基が多いことなどが知られている[von Heijne, G., J. Mol. Biol., 225(1992)487-494.]。このことは膜貫通ヘリックス形成にも極性相互作用の存在(極性と疎水性のバランス)を考慮することが必要であることを示している。



一方、膜蛋白質ができるプロセスを考えてみると、アミノ酸配列にはいくつかの役割があるということが分かる。つまり、あるアミノ酸配列からなるセグメントを想定した場合、(イ)そのセグメント自体が膜貫通ヘリックスを作るべく設計された疎水性の高い配列である場合や、(ロ)膜貫通ヘリックスになったときに一定の機能を持つように設計されている場合などに分類することができる。後者の場合、膜蛋白質の機能に本質的に重要なアミノ酸配列は疎水性の低いアミノ酸残基を含む場合が多く、本来膜貫通ヘリックスを作ることに不利に働くが、近傍の疎水性の高いセグメントによって膜内に引き込まれ、膜貫通ヘリックスになると考えられる。



つまり、膜貫通ヘリックスには次の2つのタイプがあると考えられる。
1)アミノ酸配列が本来持つ高い疎水性によって、そのセグメントが自発的に膜貫通ヘリックスを形成するタイプ
2)膜蛋白質の機能的に重要なセグメントなど比較的親水的なセグメントが、上記1)のタイプの膜貫通ヘリックスによって膜内に引き込まれ、膜貫通ヘリックスを形成するタイプ
これらの膜貫通ヘリックスが周囲のヘリックス同士で相互作用することによって強固にパッキングされ、膜蛋白質の立体構造が安定化されるものと考えられる。以上のような膜蛋白質の立体構造形成についての考察から、本発明においては主として上記1)のタイプのものを一次型膜貫通ヘリックス、2)のものを二次型膜貫通ヘリックスと分類する。



そこで本発明者は、膜貫通ヘリックスをより高い精度で予測することについて鋭意検討した結果、Kyte-Doolittleの疎水性指標(以下、K-D疎水性指標とする)と、新しく定義した両親媒性指標および非電荷指標を用いて膜貫通候補セグメントを抽出・分類し、さらにタンパク質の大きさを考慮して予測した場合には、格段に高精度の予測が可能となることを見出し、本発明に到達した。

産業上の利用分野


本発明は、アミノ酸配列が決定された蛋白質について、その性質や機能あるいは構造を判別する方法に関し、特にコンピュータを用いて、迅速且つ高い精度で膜蛋白質であるか否か膜蛋白質である場合には、膜蛋白質であるとの情報を与えるセグメントについての情報と共に、該膜蛋白質がいかなる機能を発揮するかを推定する蛋白質の判別方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a)蛋白質の構成要素である20個のアミノ酸それぞれについて、疎水性指標H、両親媒性指標A、及び非電荷指標Cを割り当て、(b)5~9個の何れかの数の一連の窓を有するウィンドウWを用いて、アミノ酸配列が決定された被判別蛋白質のアミノ酸配列から抽出される前記ウィンドウWと対応する全てのアミノ酸配列について、該アミノ酸配列の疎水性コア指標Icoreを、前記疎水性指標を用いて計算した一回平均疎水性[H]を介して算出し、(c)得られたIcore値を縦軸とし、被判別蛋白質のアミノ酸鎖を横軸にしてプロットし、(d)得られたグラフが一定の閾値を超える領域の一連のアミノ酸残基の数が15以上となったとき、その領域を構成する一連のアミノ酸残基からなるセグメントを一次型膜貫通ヘリックスの候補とし、(e)得られた各候補について二回平均疎水性<H>及び平均両親媒性<A>を算出し、(f)被判別蛋白質のアミノ酸鎖の長さ(アミノ酸の数)、上記回平均疎水性、及び、平均両親媒性を用いた一定の判別式に従って一次型膜貫通ヘリックスの有無を判別し、(g)一次型膜貫通ヘリックスが存在しない場合には被判別蛋白質を水溶性蛋白質と認定し、(h)一次型膜貫通ヘリックスが存在する場合には、少なくとも、前記(d)における閾値を変更すること以外は、前記(b)~(d)と全く同様にしてセグメントを抽出し、該抽出したセグメントの集合から既に一次型膜貫通ヘリックスと認定されたセグメントを除去して二次型膜貫通ヘリックスの候補セグメントを得、(i)次いで前記(e)と同様にして各候補セグメントについて<H>’と<A>’を算出し、(j)前記二次型膜貫通ヘリックスの候補セグメントについてその中心が45残基以下である場合と45残基以上である場合に分類し、前記<H>’及び<A>’を用いた新たな判別式によって二次型膜貫通ヘリックスの有無を判別すると共に、(k)全く新しく、前記(b)で抽出された全てのアミノ酸配列の単位に対して非電荷指標Cを割り当て、該非電荷指標Cが1であるアミノ酸残基が連続して19残基以上存在するセグメントを抽出し、該セグメントについて前記<H>’及び<A>’を用いた判別式によって二次型膜貫通ヘリックスの有無を判別する方法であって、前記<H>’及び<A>’の演算の基本データとして(a)で各アミノ酸に割り当てた各指標及びその値を使用することを特徴とする、蛋白質判別方法。

【請求項2】
前記(a)-(k)から成る判別によって膜蛋白質であると認定された場合に、得られた膜貫通ヘリックスの本数を、予め記録された、膜貫通ヘリックスの本数と膜蛋白質の機能との対応表に照し合わせることにより、判別に係る蛋白質が有する機能を更に推定することを特徴とする、請求項1に記載されたアミノ酸配列の決定された蛋白質の判別方法。

【請求項3】
前記(a)-(k)から成る判別によって膜蛋白質であると認定された場合に、膜貫通ヘリックスであると認定されたアミノ酸配列について、(1)前後7残基領域の3.6周期のスペクトル密度を最大エントロピー法で計算すると共にその領域の平均疎水性値を求め、(2)膜貫通ヘリックスの中心からN端及びC端側に向けて、それぞれ1乃至10迄の数値jを下記一般式で表される膜環境フィルターに代入しながら(1)で計算したスペクトル強度を掛け合わせ、(3)上記(2)で得られた値と平均疎水性値の和の値が連続して設定された閾値を超えた時、その閾値の存在個所によって更に膜貫通領域を特定することを特徴とする、請求項1に記載されたアミノ酸配列の決定された蛋白質の判別方法。


国際特許分類(IPC)
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