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紫外透明導電膜とその製造方法

国内特許コード P03A000446
整理番号 E060P13
掲載日 2003年8月28日
出願番号 特願2001-182643
公開番号 特開2002-093243
登録番号 特許第4083396号
出願日 平成13年6月15日(2001.6.15)
公開日 平成14年3月29日(2002.3.29)
登録日 平成20年2月22日(2008.2.22)
優先権データ
  • 特願2000-209139 (2000.7.10) JP
発明者
  • 折田 政寛
  • 太田 裕道
  • 平野 正浩
  • 細野 秀雄
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • HOYA株式会社
発明の名称 紫外透明導電膜とその製造方法
発明の概要 【課題】 400nm付近の青色光や、より短波長の紫外線を十分に透過させることができ、紫外発光デバイス用透明電極、紫外太陽光発電用透明電極、生体材料分析用透明電極、紫外レーザー加工用帯電防止膜等として有用な紫外透明用電膜を提供する。
【解決手段】 Ga結晶結晶からなり、波長240nmから800nmまたは波長240nmから400nmの範囲において透明であり、酸素欠陥またはドーパント元素により電気伝導性を有することを特徴とする紫外透明導電膜であり、Sn、Ge、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの少なくともひとつの元素をドーパントとする。基板温度を600℃~1500℃、酸素分圧を0~1Paとして、パルス・レーザー蒸着法、スパッタリング法、CVD法、MBE法のいずれかの方法を用いて製造する。
従来技術、競合技術の概要


従来、透明導電膜は、太陽電池用の透明電極またはフラットパネルディスプレイ用の透明電極として用いられてきた。これらの用途においては、透明性は波長400nm~800nmの可視域において重要視されており、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)が代表的な透明導電性材料であった。この他に、Ga(特開平7-335030号公報)、Ga-In(特開平9-259640号公報)、AB2-x4-y(AはMg、Cd、Zn等、BはAl、In、Ga等)で示される非晶質透明導電膜も知られている。



これらの材料は、禁制帯幅が3.2eV程度、波長換算して390nm程度であるので、これより短波長の近紫外光、中紫外光を透過させることができない。これまで、禁制帯幅5eV(波長換算250nm)を越える透明導電膜は提供されておらず、波長240nm~400nmまたは波長240nm~800nmの領域において透明な導電膜は提供されていなかったが、本発明者は、先に、一般式In2-x+αwt%SnOまたはIn2-x+αwt%Sbである400nmより短波長の光を透過させることのできる透明導電性薄膜を開発した(特開2000-90745号公報)。



これまでに、Ga、ZnGaが、紫外透明導電材料となりうることが報告されているが、透明電極や帯電防止膜として用いる際に必要な、薄膜形状での透明導電性は確認されていない。Gaが導電性を示すことは、Lowrenzらによって古くから知られている。Lowrenzらは、還元雰囲気を用い、ベルヌーイ法によって単結晶を作製し、0.03 S/cmの導電率を確認した(Journal Physical Chemistry of Solids, 28巻、1967年、403頁)。



最近、植田らは、Snをドーパントとして添加したロッドを用い、フローティング・ゾーン法によって単結晶を作製し、38S/cmの導電率を確認した(Applied Physics Letters、70巻、1997年、3561頁)。植田らは、さらに導電率の異方性を調べ、Ga結晶格子のb軸方向に導電率が高いことを明らかにした。b軸方向は、GaOらなる酸素八面体が稜共有して鎖状に連なる方向である。b軸方向の禁制帯幅は4.79eVであって、厚さ0.32mmの単結晶試料は波長266nmの光に対して20%の透過率を示した。植田らは、KrFエキシマー・レーザー光(波長248nm)も透過できるだろうと考えている。



Ga薄膜の導電性はFleischerらが系統的に調べてきた。Fleischerらはスパッタリング法を用い、高純度Gaをターゲットに、基板温度を500℃として、Ga薄膜を作製した(Thin Solid Films、190巻、1990年、93頁)。Fleischerらは1μm厚の薄膜の電気抵抗を1000℃において測定し、10kΩの値を得た。導電率は1000℃において0.3S/cm程度であり、温度を800℃に下げると0.01S/cmに低下した。室温での導電性は確認されていない。



さらに、Fleischerらは、Journal of Applied Physics、74巻、1993年、300頁に、800℃から1000℃におけるGaの電気伝導機構を報告しており、1000 ℃でのキャリア移動度は10cm/Vs程度であるとしている。室温における導電性はここでも報告されていない。



Fleischerらは、最近、SnOをドーパントとして用いて、導電率を二桁向上させた(Sensors and Actuators B 49巻、1998年、110頁)。薄膜は、Ga/SnO/Ga/SnO/Gaのサンドイッチ構造とし、高純度セラミックのターゲットを用い、マグネトロン・スパッタリング法により成膜した後、1050℃で10時間加熱処理して結晶化させた。薄膜の厚みは50~200nmであり、SnOを0.5モル%添加したとき、最も抵抗値が下がり、900℃で0.5kΩ程度、600℃で100kΩ程度であった。



伝導率は記載されていないが、800℃におけるキャリア密度が1020/cmとされていること、先の報告で移動度が10cm/Vsとされていること、導電率が二桁向上したと記載されていることから見て、10S/cm程度の値と推定される。もっとも、これらの値はすべて600℃以上の高温域でのものであり、室温の導電率はここでも報告されていない。また、透明性に関する記載はなく、透明導電膜として使用できる可能性についても全く触れられていない。



ZnGaは、30S/cmの導電率を発現し、波長250nmに吸収端があると、小俣らが報告している(日本セラミック協会93年会講演予稿集585ページ)。小俣らは、Applied Physics Letters、64巻、1077頁、1994年により詳細な報告をしており、試料はZnOとGaの粉末を混合し、1000℃で24時間仮焼し、円盤状に加圧成形した後、1300℃で48時間焼成して作製した焼結体であった。この試料には導電性が見られない。



さらに、水素中700℃でアニール処理すると、30S/cmの電気伝導度が得られた。吸収端波長は、焼結体試料を用いて測定した拡散反射率スペクトルから測定している。したがって、薄膜試料を作製して導電性を確認したものではなく、また、透過率スペクトルを測定して透明性を確認したものではない。



当該論文の共著者である川副は、さらに詳しい検討を行い、Journal of American Ceramic Society、81巻、1998年、180頁に新たな報告をしている。これによると、ZnGa薄膜がスパッタリング法で作製されたが、絶縁性であって、導電性のあるものは得られていない。単結晶試料もasgrownの状態では絶縁体であり、水素雰囲気中、600℃以上で熱処理することにより導電性が現れた。しかし、導電性は表面から50μm程度の表面層だけでしか確認できず、単結晶内部は絶縁性のままにとどまった。



透過電子顕微鏡により調べたところ、この表面層は結晶構造が変化しており、もはやスピネル型のZnGaではなく、2(Zn0.5GaO)で示される稜面体晶型ordered岩塩構造になっていた。水素雰囲気中の熱処理により、ZnとともにOが蒸発したためと考えられている。小俣らの焼結体試料も同様に水素雰囲気中で熱処理しているから、表面の結晶構造は稜面体晶型ordered岩塩構造に変化していると強く推定される。



本発明者等は、先に、一般式Zn(Ga(1-x)Alで示され、スピネル型結晶構造を有する固溶体である波長250nm以下の光に対する透明性と導電性を有する材料を提供した。しかし、透明導電性を有するZnGa薄膜に関する公知例は存在しない。

産業上の利用分野


本発明は、発光デバイスや太陽電池用の透明電極、紫外線透過性帯電防止膜として使用することができる紫外線領域から可視光領域にかけて透明性を有する透明導電膜とその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
パルス・レーザー蒸着法、スパッタリング法、CVD法、MBE法のいずれか一つの成膜方法を用いて基板上に成膜されたGa結晶からなり、波長240nmから800nmの中紫外から可視域全域において透明であり、形成された酸素欠陥または添加されたドーパント元素により電気伝導性を有することを特徴とする紫外透明導電膜。

【請求項2】
パルス・レーザー蒸着法、スパッタリング法、CVD法、MBE法のいずれか一つの成膜方法を用いて基板上に成膜されたGa結晶からなり、波長240nmから400nmの中紫外から近紫外全域において透明であり、形成された酸素欠陥または添加されたドーパント元素により電気伝導性を有することを特徴とする紫外透明導電膜。

【請求項3】
ドーパント元素が、Sn、Ge、Si、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの少なくとも一つの元素であることを特徴とする請求項1または2記載の紫外透明導電膜。

【請求項4】
波長248nmにおける光透過率が4%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の紫外透明導電膜。

【請求項5】
波長248nmにおける光透過率が15%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の紫外透明導電膜。

【請求項6】
波長248nmにおける光透過率が30%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の紫外透明導電膜。

【請求項7】
パルス・レーザー蒸着法、スパッタリング法、CVD法、MBE法のいずれか一つの成膜方法を用いて成膜する際に、基板を600℃~1500℃に保持し、酸素分圧を0~1Paとして成膜することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の紫外透明導電膜の製造方法。

【請求項8】
パルス・レーザー蒸着法、スパッタリング法、CVD法、MBE法のいずれか一つの成膜方法を用いて成膜する際に、熱以外のエネルギーをアシストして、または好ましくない表面吸着種を除去して基板を600℃未満に保持し、酸素分圧を0~1Paとして成膜することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の紫外透明導電膜の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2001182643thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 細野透明電子活性プロジェクト 領域
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