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交換相互作用力の測定装置

国内特許コード P03A001603
整理番号 P1997-002-JP01
掲載日 2010年2月19日
出願番号 特願平09-097132
公開番号 特開平10-288620
登録番号 特許第3210961号
出願日 平成9年4月15日(1997.4.15)
公開日 平成10年10月27日(1998.10.27)
登録日 平成13年7月19日(2001.7.19)
発明者
  • 武笠 幸一
  • 早川 和延
  • 末岡 和久
  • 中村 浩次
  • 田附 雄一
  • 長谷川 秀夫
  • 小口 多美夫
出願人
  • 学校法人北海道大学
発明の名称 交換相互作用力の測定装置
発明の概要 試料と探針との間に働く交換相互作用力を、探針が試料に近接することによる引き込みの影響を受けることなく原子分解能で正確に測定する装置を提供する。試料21と、振動するカンチレバー23に取り付けた探針24との間に働く交換相互作用力を測定するために、試料と探針とを、これらの伝導電子の波動関数が重なり始まるところから局在電子の波動関数が殆ど重ならないところまでの近接領域で対向させる。カンチレバーにピエゾ素子31を設け、これに供給する制御信号をカンチレバーの変位に応じて生成することによりカンチレバーのバネ定数を変化させて探針が試料表面に引き込まれるのを阻止する。ピエゾ素子31への制御信号から試料と探針との間に作用する交換相互作用力を測定する。
従来技術、競合技術の概要 従来の電子ビームによる固体試料の分析法の多くは、強度(電子数)および運動量(エネルギー)をその測定量としているが、電子状態を把握する他の量として電子のスピンがある。固定表面のミクロな磁気特性、例えば図1に示すように原子1個1個の磁気モーメントがどの方向を向いているのかを原子分解能で評価することを目的として幾つかの方法が提案されている。最近のエレクトロニクスの進歩に伴って、磁気記録媒体への記録密度は年々高くなってきている。図2は磁気記録媒体の変遷に伴う記録密度の変化と、表面磁化状態の評価方法とを示すものである。すなわち、横軸は西暦年度を示し、左の縦軸は線記録密度(サイクル/cm)を示し、右側の縦軸は、表面磁化状態の評価方法の分解能(μm ,nm)を示すものである。このように磁気記録密度は1900年の1mm から、オーディオテープ、βテープ、VHS テープにおいて高密度化が進み、さらに蒸着テープでは1ビットの長さが0.3 ~0.4 μm となった。最近のデータでは、ハードディスクで0.16~0.19μm 、電子線ホログラフィによりCo-Cr 媒体上の0.085 μm の記録ビットが観察されている。これに対して、表面磁化状態の評価方法の分解能は、図2の黒丸に示すように、ビッター法は1 μm から0.7 μm に、カー効果を利用する方法では1 μm から0.5 μm に、スピン偏極走査電子顕微鏡(SP-SEM)は100 ~200 μm から20nmに、磁気力顕微鏡(MFM) では100nm から10nmに、それぞれ分解能が向上している。さらに、電子線ホログラフィでは分解能は10nmに、ローレンツ電子顕微鏡は現在10nmであるが、将来0.7nm まで分解能は改善されることが予想されている。しかしながら、最近の技術の進歩により、固体表面の磁気特性を原子分解能で評価できる方法の開発が望まれるようになり、このような要望に応えるものとして、スピン偏極走査トンネル顕微鏡(Spin Polarized Scanning Tunneling Microscopy: SP-STM) を本発明者等は提案している。このSP-STMの原理を実証するための実験系を図3に示す。本発明者等が提案しているSP-STMにおいては、試料を磁性体とし、探針をガリウム砒素とするが、この実験系においては、試料をガリウム砒素とし、探針を磁性体のニッケルとしている。しかし、このように試料と探針との材料の関係を逆転させても、SP-STMの原理を実証する上では何ら問題はない。半導体レーザ1から放射されるレーザビームをレンズ2を介してポッケルセル3に入射させる。このポッケルセル3 には発振回路4から高電圧増幅器5を介して電圧を印加して、励起円偏光を左右に回転させることによって励起電子の電子スピン偏極を変化させるようにしている。このレーザビームを反射ミラー6~8、1/4 波長板9およびレンズ10を経て励起光として試料11へ入射させる。直流電源13によってバイアス電圧が印加されたNi単結晶ワイヤーよりなる探針(プローブ)12の先端を、圧電素子14の制御により試料10の表面に接近させ、試料からのトンネル電流が探針に流れるようにし、このトンネル電流を制御ユニット15によって検出し、この制御ユニットの出力信号を発振回路4からの出力信号と一緒にモニタ16へ供給している。このようにして、試料11の表面のスピン偏極に依存したトンネル電流を検出することができる。上述したSP-STMにおいては、光励起により生じるトンネル電流を検出するものであるので、絶縁性の磁性物質には適用できない。そこで、本発明者等は、絶縁性の磁性物質に対しても適用できるものとしてスピン─軌道相互作用力あるいは交換相互作用力を検出できる原子間力顕微鏡の可能性を提案している。この原子間力顕微鏡では、試料表面に探針の先端を接近もしくは接触させ、この際に探針に働く力を測定するものである。このような原理に基づいて試料表面と探針との間の交換相互作用力を測定することによって試料表面の磁気特性を評価することについて発明者等は検討してきた。
産業上の利用分野 試料表面とこれと近接して対向配置される探針との間に作用する交換相互作用力を測定する装置
特許請求の範囲 【請求項1】 それぞれに局在したスピンが存在し、少なくとも一方に伝導電子が存在する試料および探針を、相互の離間距離が、伝導電子雲が重なり始めるところから局在電子雲が殆ど重ならないところまでの近接領域で対向させてこれら試料および探針間に働く交換相互作用力を測定する装置において、前記探針を支持する弾性部材と、この弾性部材の、前記交換相互作用力による変位を測定する変位測定手段と、試料および探針間に働く力に抗して弾性部材の弾性力を制御して試料と探針とが接触するのを防止する制御手段と、試料と探針の磁気モーメントが互いに平行および反平行となる2つの状態での試料および探針間に作用する前記弾性部材の変位に基く力の差から、試料と探針との間に働く交換相互作用力を求める交換相互作用力検出手段とを具えることを特徴とする交換相互作用力の測定装置。
【請求項2】 前記制御手段が、前記変位測定手段から出力される前記弾性部材の変位に応じて弾性部材のバネ定数を制御するバネ定数制御手段を具えることを特徴とする請求項1に記載の交換相互作用力の測定装置。
【請求項3】 前記弾性部材を片持ち型のカンチレバーを以て構成し、前記変位測定手段には、前記カンチレバーに取り付けた第1のピエゾ素子と、この第1のピエゾ素子に接続され、所定の周波数および振幅を有する駆動信号を発生する発振回路と、カンチレバーの変位を光電的に検出する光電式位置検出装置とを設け、前記バネ定数制御手段には、前記カンチレバーに取り付けた第2のピエゾ素子と、前記光電式位置検出装置から出力される変位信号を受け、カンチレバーが常に所定の周波数および振幅で振動するように前記第2のピエゾ素子へ制御信号を供給する制御回路とを設け、前記交換相互作用力検出手段には、前記制御回路から出力される制御信号を処理して試料と探針との間に働く交換相互作用力を求める演算回路を設けたことを特徴とする請求項2に記載の交換相互作用力の測定装置。
【請求項4】 前記制御手段が、磁力によって前記探針を前記試料から遠去ける方向に力を作用する電磁的制御手段を具えることを特徴とする請求項1に記載の交換相互作用力の測定装置。
【請求項5】 前記制御手段が、静電力によって前記試料と探針とが接触するのを防止する静電的制御手段を具えることを特徴とする請求項1に記載の交換相互作用力の測定装置。
【請求項6】 前記試料および探針を遷移金属とし、その格子定数をaとし、試料表面と探針との間の距離をdとするとき、試料表面と探針とをd/aが1.0 ~1.7 の範囲内に設定して交換相互作用力を測定することを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の交換相互作用力の測定装置。
産業区分
  • 試験、検査
  • 測定
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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