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交換相互作用力の測定方法および交換相互作用力による磁気特性の評価方法

国内特許コード P03A001606
整理番号 P1997-001-JP01
掲載日 2010年2月19日
出願番号 特願平09-085148
公開番号 特開平10-282122
登録番号 特許第3057222号
出願日 平成9年4月3日(1997.4.3)
公開日 平成10年10月23日(1998.10.23)
登録日 平成12年4月21日(2000.4.21)
発明者
  • 武笠 幸一
  • 早川 和延
  • 末岡 和久
  • 中村 浩次
  • 田附 雄一
  • 長谷川 秀夫
  • 小口 多美夫
出願人
  • 学校法人北海道大学
発明の名称 交換相互作用力の測定方法および交換相互作用力による磁気特性の評価方法
発明の概要 本発明は、能動変調型結像法の有用な特徴を有し、ホローコーン照明を併用することで2倍の高い解像度が得られると共に、無収差レンズで結像したと同様な収差補正された位相像と振幅像が分離されて観察できる電子顕微鏡を実現することにある。磁気記録媒体および物質表面の磁気特性を、探針が近接することによる影響を受けることなく原子分解能で正確に評価できる方法である。さらに、試料表面の磁気特性を、その磁気特性に影響を与えることなく、しかも原子分解能で評価することができる方法である。この測定方法は、それぞれに局在スピンが存在し、伝導電子が存在する2 つの物質を、近接領域で対向させ、この近接領域内において、2 つの物質の間に作用する力を、2 つの物質の磁気モーメントが互いに平行となる状態および互いに反平行となる状態においてそれぞれ測定し、交換相互作用力を求めることを特徴とする。この方法によれば、試料および探針の組成によらず、しかも探針によって試料の磁気特性が影響を受けることなく試料と探針との間に働く交換相互作用力を原子分解能で正確に測定することができ、磁気特性をきわめて正確に評価することができる。
従来技術、競合技術の概要 従来の電子ビームによる固体試料の分析法の多くは、強度(電子数)および運動量(エネルギー)をその測定量としているが、電子状態を把握する他の量として電子のスピンがある。固定表面のミクロな磁気特性、例えば図1に示すように原子1個1個の磁気モーメントがどの方向を向いているのかを原子分解能で評価することを目的として幾つかの方法が提案されている。最近のエレクトロニクスの進歩に伴って、磁気記録媒体への記録密度は年々高くなってきている。図2は磁気記録媒体の変遷に伴う記録密度の変化と、表面磁化状態の評価方法とを示すものである。すなわち、横軸は西暦年度を示し、左の縦軸は線記録密度(サイクル/cm)を示し、右側の縦軸は、表面磁化状態の評価方法の分解能(μm ,nm)を示すものである。このように磁気記録密度は1900年の1mm から、オーディオテープ、βテープ、VHS テープにおいて高密度化が進み、さらに蒸着テープでは1ビットの長さが0.3 ~0.4 μm となった。最近のデータでは、ハードディスクで0.16~0.19μm 、電子線ホログラフィによりCo-Cr 媒体上の0.085 μm の記録ビットが観察されている。これに対して、表面磁化状態の評価方法の分解能は、図2の黒丸に示すように、ビッター法は1 μm から0.7 μm に、カー効果を利用する方法では1 μm から0.5 μm に、スピン偏極走査電子顕微鏡(SP-SEM)は100 ~200 μm から20nmに、磁気力顕微鏡(MFM) では100nm から10nmに、それぞれ分解能が向上している。さらに、電子線ホログラフィでは分解能は10nmに、ローレンツ電子顕微鏡は現在10nmであるが、将来0.7nm まで分解能は改善されることが予想されている。しかしながら、最近の技術の進歩により、固体表面の磁気特性を原子分解能で評価できる方法の開発が望まれるようになり、このような要望に応えるものとして、スピン偏極走査トンネル顕微鏡(Spin Polarized Scanning Tunneling Microscopy: SP-STM) を本発明者等は提案している。このSP-STMの原理を実証するための実験系を図3に示す。本発明者等が提案しているSP-STMにおいては、試料を磁性体とし、探針をガリウム砒素とするが、この実験系においては、試料をガリウム砒素とし、探針を磁性体のニッケルとしている。しかし、このように試料と探針との材料の関係を逆転させても、SP-STMの原理を実証する上では何ら問題はない。半導体レーザ1から放射されるレーザビームをレンズ2を介してポッケルセル3に入射させる。このポッケルセル3 には発振回路4から高電圧増幅器5を介して電圧を印加して、励起円偏光を左右に回転させることによって励起電子の電子スピン偏極を変化させるようにしている。このレーザビームを反射ミラー6~8、1/4 波長板9およびレンズ10を経て励起光として試料11へ入射させる。直流電源13によってバイアス電圧が印加されたNi単結晶ワイヤーよりなる探針(プローブ)12の先端を、圧電素子14の制御により試料10の表面に接近させ、試料からのトンネル電流が探針に流れるようにし、このトンネル電流を制御ユニット15によって検出し、この制御ユニットの出力信号を発振回路4からの出力信号と一緒にモニタ16へ供給している。このようにして、試料11の表面のスピン偏極に依存したトンネル電流を検出することができる。上述したSP-STMにおいては、光励起により生じるトンネル電流を検出するものであるので、絶縁性の磁性物質には適用できない。そこで、本発明者等は、絶縁性の磁性物質に対しても適用できるものとしてスピン─軌道相互作用力あるいは交換相互作用力を検出できる原子間力顕微鏡の可能性を提案している。このような交換相互作用力を測定するものとして従来から原子間力顕微鏡が知られている。この原子間力顕微鏡では、試料表面に探針の先端を接近もしくは接触させ、この際に探針に働く力を測定するものである。このような原理に基づいて試料表面と探針との間の交換相互作用力を測定することによって試料表面の磁気特性を評価することについて発明者等は検討してきた。
産業上の利用分野 試料表面とこれと近接して対向配置される探針との間に作用する交換相互作用力を測定する方法およびこの交換相互作用力に基づいて試料表面の磁気特性を評価する方法
特許請求の範囲 【請求項1】 それぞれに局在したスピンが存在し、少なくとも一方に伝導電子が存在する2つの物質を、相互の離間距離が、伝導電子雲が重なり始めるところから局在電子雲が殆ど重ならないところまでの近接領域で対向させ、この近接領域内において、2つの物質の間に作用する力を、2つの物質の磁気モーメントが互いに平行となる状態および互いに反平行となる状態においてそれぞれ測定し、これら2つの状態で測定される2つの物質間に作用する力の差から2つの物質の間に働く交換相互作用力を求めることを特徴とする交換相互作用力の測定方法。
【請求項2】 それぞれに局在したスピンが存在し、少なくとも一方に伝導電子が存在する状態があり、一方の物質の磁気特性が既知である2つの物質を、相互の離間距離が、伝導電子雲が重なり始めるところから局在電子雲が殆ど重ならないところまでの近接領域で対向させ、この近接領域内において、2つの物質の間に作用する力を、2つの物質の磁気モーメントが互いに平行となる状態および互いに反平行となる状態においてそれぞれ測定し、これら2つの状態で測定される2つの物質間に作用する力の差から2つの物質の間に働く交換相互作用力を求め、このようにして求めた交換相互作用力に基づいて、他方の物質の磁気特性を評価することを特徴とする交換相互作用力による磁気特性の評価方法。
【請求項3】 前記2つの物質間の距離を、前記近接領域の範囲内で変化させながら複数の測定点において交換相互作用力を測定し、これら複数の交換相互作用力から総合的に他方の物質の磁気特性を評価することを特徴とする請求項2に記載の交換相互作用力による磁気特性の評価方法。
【請求項4】 試料表面および探針を、相互の離間距離が、伝導電子雲が重なり始めるところから、局在電子雲が殆ど重ならないところまでの近接領域で対向させ、この近接領域内において、探針に作用する力を、試料の磁気モーメントと探針の磁気モーメントが平行となる状態および反平行となる状態においてそれぞれ測定し、このようにして得られる2つの力の差をこれら試料表面と探針との間に作用する交換相互作用力として求めることを特徴とする交換相互作用力の測定方法。
【請求項5】 前記試料および探針を遷移金属とし、その格子定数をaとし、試料表面と探針との間の距離をdとするとき、試料表面と探針とをd/aが1.0 ~1.7 の範囲内に設定して交換相互作用力を測定することを特徴とする請求項4に記載の交換相互作用力の測定方法。
【請求項6】 試料表面および探針を、相互の離間距離が、伝導電子雲が重なり始めるところから、局在電子雲が殆ど重ならないところまでの近接領域で対向させ、この近接領域内において、探針に作用する力を、試料の磁気モーメントと探針の磁気モーメントが平行となる状態および反平行となる状態においてそれぞれ測定し、このようにして得られる2つの力の差をこれら試料表面と探針との間に作用する交換相互作用力として求め、このようにして求めた交換相互作用力に基づいて試料表面の磁気特性を評価することを特徴とする交換相互作用力による磁気特性の評価方法。
【請求項7】 前記探針と試料表面との間の距離を、前記近接領域の範囲内において変化させながら複数の測定点において交換相互作用力を測定し、これら複数の交換相互作用力から総合的に試料表面の磁気特性を評価することを特徴とする請求項6に記載の交換相互作用力による磁気特性の評価方法。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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