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III型アレルギー炎症モデル動物 実績あり

国内特許コード P03A001874
整理番号 A031P61
掲載日 2003年10月1日
出願番号 特願2000-253984
公開番号 特開2002-065110
登録番号 特許第3453348号
出願日 平成12年8月24日(2000.8.24)
公開日 平成14年3月5日(2002.3.5)
登録日 平成15年7月18日(2003.7.18)
発明者
  • 高井 俊行
  • 小野 栄夫
  • 湯浅 貴恵
  • 渡邊 武
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 III型アレルギー炎症モデル動物 実績あり
発明の概要 【課題】 I型アレルギーであるアナフィラキシーを発症せず、III型アレルギーであるアルサス反応を特異的に誘導することができ、I型アレルギーに影響されることなく、III型アレルギー炎症のみを評価しうる実験モデル動物や、かかる実験モデル動物を用いたFcγRIIIを介したIII型アレルギー反応における反応促進又は抑制物質のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】 FcγRIIIを介した応答に対して抑制性の働きをするFcγRIIBを排除するために、Lyn及びFcγRIIBの両分子の欠失変異がホモ接合体の状態になっているマウス(Lyn-IIB-)をLynノックアウトマウス(Lyn-/-)とFcγRIIBノックアウトマウス(FcγRIIB-/-)を掛け合わせて作製し、全身性受動アナフィラキシーにおけるFcγRIII機能の欠損や、骨髄由来肥満細胞におけるFcγRIII機能の減弱等を測定評価する。
従来技術、競合技術の概要


免疫グロブリン(Ig)は、魚類から哺乳類に至る全ての脊椎動物の体液中に存在し、リンパ系細胞によって産生され、物理化学的性質や免疫学的性質によって5つのクラス、すなわちIgG,IgM,IgA,IgD及びIgEに分類され、分子の基本構造は各クラス共通で、分子量5~7万のH鎖と分子量2.3万のL鎖とから構成され、IgG,IgM,IgA,IgD,IgEに対応してγ,μ,α,δ,ε鎖と呼ばれる構造のH鎖を有することが知られている。このIg分子をパパインで分解して得られるヒンジ部からC末端までのH鎖2本がS-S結合で結ばれているものはFcフラグメントと呼ばれ、このFcフラグメントが結合する細胞表面上の受容体はFcレセプター(以下「FcR」という)と呼ばれている。これらFcRは、細胞内のシグナル伝達を導出して、リガンドである抗原-抗体複合体によって、クロスリンクすることで数多くのエフェクターの応答を誘発する造血細胞表面分子のファミリーを構成することが知られている。また、IgのFc領域に対して親和性をもち細胞表面上に存在しているFcRは、抗体依存性細胞傷害反応、過敏性反応などの免疫応答に関与することが知られている。
FcRには、体液中のIgGのγ鎖に特異的に結合するFcγレセプター、IgEのε鎖に特異的に結合するFcεレセプター、IgAのα鎖に特異的に結合するFcαR等の種類が知られている。これら免疫担当細胞のFcレセプターは細胞機能と重要な関係があり、大部分のリンパ球、T細胞リンパ球の一部、単核球、好中球、好塩基球、マクロファージ、肥満細胞(マスト細胞)及び血小板等に多く存在していることが知られている。また、これらのレセプターは抗体に依存したリンパ球機能に役割を果たすが、その固有の機能に関しては不明な点が多い。Fcγレセプター(以下「FcγR」という)は遺伝子構造の類似性に基づいてタイプI(CD64抗原)、タイプII(CD32抗原)、タイプIII(CD16抗原)の3種に大きく分類され、FcγRIは、分子量72kDaの糖タンパク質であり、IgG単量体と高い親和性で結合し、単球とマクロファージに発現し、FcγRIIは、他のFcRとは異なりIgG単量体に対して低親和性であり、免疫複合体となった多価IgGと結合し、単球、マクロファージ、多形核白血球(PMN)、マスト細胞、血小板、いくつかのT細胞リンパ球及びいくつかのB細胞リンパ球を含む造血幹細胞に広く発現し、またFcγRIIIは、低親和性のFcγRで、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、PMN及びマスト細胞に発現することが、それぞれ知られている。また、FcγRIIには遺伝子配列が異なるFcγRIIA、FcγRIIB及びFcγRIICの3種類の受容体が存在しており、いずれの染色体も1q23に位置していることも知られている。
最近、これらFcR分子群に対するノックアウトマウスが次々と作製され(Cell 75, 969-976, 1993、Cell 76, 519-529, 1994、Nature 379, 346-349, 1996、Immunity 5, 181-188, 1996、Nature 369, 753-756, 1994、J. Immunol. 152,3378-3390, 1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 6835-6839, 1994)、いくつかのFcRの生理的機能の理解が進んでいる。また本発明者らは、IgEの高親和性レセプターであるFcεRIに会合しているホモダイマー分子として単離同定されたFcRγ鎖に対するノックアウトマウスを作製している(Cell, 76,519-529, 1994)。そして、このFcRγ鎖ノックアウトマウスは、少なくともFcγRI、FcγRIII、FcεRIの3種のFcRの発現及び機能を失っていることも知られている。
上記免疫細胞群に発現するFcRは、抗体依存性に様々な免疫・炎症反応を開始する分子である。FcRは、複数の細胞種に重複して発現するため、個々のFcRの役割は、遺伝的にFcR発現を欠損する幾つかのマウスが作出されて初めて明らかとなった。現在、FcRの役割は、生体防御のみならずアレルギー(Cell 75, 969-976, 1993、Cell 76, 519-529, 1994)、アルサス反応(Science 265, 1095-1098, 1994、Immunity 5, 387-390)、リウマチ様関節炎(J. Exp. Med. 189, 187-194, 1999、J. Exp. Med. 191, 1611-1616, 2000)、免疫性糸球体腎炎(Kidney Int. 54, 1166-1174, 1998、Eur. J. Immunol. 30, 1182-1190, 2000)、自己免疫性血管炎(Blood 94, 3855-3863, 1999)、全身性紅斑性狼創(Science 279, 1052-1054, 1998)、グットパスチャー症候群(Goodpasture's;J. Exp. Med. 191, 899-906, 2000)など病気の成立にも関与することが明らかにされている。また、上記変異マウスの知見より、様々な免疫過程におけるFcRの不可欠な役割も解明されつつある(Annu. Rev. Immunol. 16, 421-432, 1998、Annu. Rev. Immunol. 15, 203-234, 1997、Takai, T., and J. V. Ravetch. 1998. Fc receptor genetics and the manipulation of genes in the study ofFcR biology. In Immunoglobulin Receptors and their Physiological and Pathological Roles in Immunity. J. G. J. van de Winkel nad P. Mark Hogarth,editors. Kluwer Academic Publishers, Netherland, 37-48)。
また、マスト細胞上のFcγRIIIが、2種の区別される免疫応答、IgG依存性アナフィラキシー(J. Clin. Invest. 99, 915-925, 1997、J. Clin. Invest. 99, 901-914, 1997、J. Exp. Med. 189, 1573-1579, 1999)と受動的アルサス反応(Science 265, 1095-1098, 1994、Immunity 5, 387-390、J. Exp. Med.184, 2385-2392, 1996、Immunity 5, 181-188, 1996、Eur. J. Immunol. 30, 481-490, 2000)の開始に、中心的な役割を果たしていることも報告されている。これらの免疫応答モデルは、病気の発症時期と組織像の違いで互いに区別されている。アナフィラキシーは、皮膚の浮腫や全身性の血液供給不全(ショック)を抗原暴露直後に発症するが、一方アルサス反応は、出血を伴う組織障害として、抗原暴露後数時間を経てから見られる。現在、これらの特徴を示すモデルの病態成立は、炎症性メディエーター、例えば、ヒスタミンやセロトニンなどの既存物質や、アラキドン酸代謝物やサイトカインなどの新たに合成される物質などの、時間限定的放出の結果として説明されている。しかし、これらのモデルの病態成立に関係する細胞内の機構は不明である。
他方、Lynは、Srcファミリーキナーゼに属し、ITAMモチーフ(細胞内チロシンキナーゼのSH2領域により認識され結合するアミノ酸配列)を持つ様々な免疫受容体と会合し、細胞内シグナル伝達を開始する機能を有することが知られている(Int. J. Biochem. Cell. Biol. 29, 397-400, 1997、Annu. Rev.Immunol. 17, 555-592, 1999)。最近のLyn欠損マウスを使った研究では、個体内において、B細胞やマスト細胞の正常機能にLynが必須の役割を果たすことが示されている(Cell 83, 301-311, 1995、Immunity 3, 549-560, 1995、Immunity 7, 69-81, 1997)。実際には、Lyn欠損マウスでは、IgEと抗原により惹起される皮膚のアナフィラキシー反応が著明に障害されており、FcεRIを介したシグナル伝達にはLynが重要な役割を果たしている(J. Immunol.158, 2350-2355, 1997)。

産業上の利用分野


本発明は、I型アレルギーであるアナフィラキシーを発症せず、III型アレルギーであるアルサス反応を特異的に誘導することができるIII型アレルギー炎症の実験モデル動物や、かかる実験モデル動物を用いるFcγRIIIを介したIII型アレルギー反応における反応促進又は抑制物質のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Lyn及びFcγIIBの遺伝子機能が染色体上で欠損し、かつI型アレルギーであるアナフィラキシーを発症せず、III型アレルギーであるアルサス反応を特異的に誘導することを特徴とするIII型アレルギー炎症モデル非ヒト動物。

【請求項2】
非ヒト動物が齧歯目動物であることを特徴とする請求項記載のIII型アレルギー炎症モデル非ヒト動物。

【請求項3】
齧歯目動物がマウスであることを特徴とする請求項1又は2記載のIII型アレルギー炎症モデル非ヒト動物。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか記載のIII型アレルギー炎症モデル非ヒト動物に被検物質を投与し、該非ヒト動物におけるFcγRIII機能を測定・評価することを特徴とするFcγRIIIを介したIII型アレルギー反応における反応促進又は抑制物質のスクリーニング方法。

【請求項5】
非ヒト動物におけるFcγRIII機能の測定・評価が、全身性受動アナフィラキシー応答強度を指標とした、抗原投与時以降の直腸内温度の測定・評価であることを特徴とする請求項記載のFcγRIIIを介したIII型アレルギー反応における反応促進又は抑制物質のスクリーニング方法。

【請求項6】
請求項1~3のいずれか記載のIII型アレルギー炎症モデル非ヒト動物由来の骨髄細胞から誘導した骨髄由来肥満細胞を生体外で被検物質と接触させ、該骨髄由来肥満細胞におけるFcγRIII機能を測定・評価することを特徴とするFcγRIIIを介したIII型アレルギー反応における反応促進又は抑制物質のスクリーニング方法。

【請求項7】
骨髄由来肥満細胞におけるFcγRIII機能の測定・評価が、肥満細胞の脱顆粒能、肥満細胞の細胞質内カルシウム動態、又は肥満細胞の全タンパク質チロシンリン酸化の測定・評価であることを特徴とする請求項記載のFcγRIIIを介したIII型アレルギー反応における反応促進又は抑制物質のスクリーニング方法。

【請求項8】
請求項1~3のいずれか記載のIII型アレルギー炎症モデル非ヒト動物と、FcγIIBの遺伝子機能が染色体上で欠損している非ヒト動物とを用いることを特徴とする請求項4~7のいずれか記載のFcγRIIIを介したIII型アレルギー反応における反応促進又は抑制物質のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
ライセンス状況 通常実施権[C01-03]
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 生体防御のメカニズム 領域
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