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複合酸化物系薄膜の作製方法及びその装置並びにそれにより作製した複合酸化物系薄膜。 新技術説明会

国内特許コード P03A001893
整理番号 A111P11
掲載日 2003年10月1日
出願番号 特願2000-266132
公開番号 特開2002-068894
登録番号 特許第3579690号
出願日 平成12年9月1日(2000.9.1)
公開日 平成14年3月8日(2002.3.8)
登録日 平成16年7月30日(2004.7.30)
発明者
  • 伊原 英雄
  • A.Sundaresan
  • J.C.Nie
出願人
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 複合酸化物系薄膜の作製方法及びその装置並びにそれにより作製した複合酸化物系薄膜。 新技術説明会
発明の概要 【課題】 結晶性に優れ、基本単位格子構造を制御し、後熱処理を必要とせず、低温で、かつ容易に製造できる複合酸化物系薄膜の作製方法及び装置、並びにそれにより作製された複合酸化物系薄膜薄膜、特にCu系高温超伝導薄膜を提供する。
【解決手段】 Cu系高温超伝導薄膜を構成する電荷供給層と超伝導層を、電荷供給層の組成を有する電荷供給層用ターゲットと超伝導層の組成を有する超伝導層用ターゲットとを、それぞれ交互に膜厚を制御してスパッタする。電荷供給層用のターゲットにはCuの一部を構造安定化効果を持つ元素で置換した電荷供給層組成のターゲットを用いる。
従来技術、競合技術の概要


近年、強誘電体材料、酸化物磁性材料、酸化物半導体材料、非線形光学材料、絶縁体材料、透明電極材料、低誘電体材料及び酸化物超伝導材料として、複合酸化物系材料が注目されている。これらの複合酸化物系材料は、互いに組成、格子定数あるいは結晶構造の異なった相が積層されて構成されている。このため、各相が互いにエピタキシー成長した良好な結晶性を有する複合酸化物系材料を得ることが難しかった。



酸化物超伝導材料として注目されているCu系超伝導材料は、電荷供給層と超伝導層とがc軸方向に配向して積層した結晶構造を有している。優れた超伝導特性を有するCu系超伝導材料を実現するには、電荷供給層と超伝導層のc軸配向が優れた結晶構造を実現する必要がある。ところが、電荷供給層と超伝導層は格子の不整合性が大きいため、電荷供給層と超伝導層をエピタキシー成長することが難しく、従来は、高圧合成法またはTlの後処理による以外に電荷供給層と超伝導層をエピタキシー成長させることが困難であった。



しかしながら、高圧合成法またはTlやHgの後処理によるCu系超伝導材料の製造方法では、コストが高い、また、大面積の薄膜が得難い、大量生産をすることが難しい、また毒性がある等の問題があった。また、基本単位格子構造を任意に制御して再現性良く作製することが難しく、作製後に酸化性雰囲気または還元性雰囲気での高温かつ長時間の後熱処理を必要としていた。また、作製時に高温を必要とし、このため、c軸配向が優れた結晶薄膜を作るための結晶基板が耐高温材料に限られていた。
上記説明では、Cu系超伝導材料の従来技術の課題について説明したが、複合酸化物系材料に共通する課題である。

産業上の利用分野


この発明は、複合酸化物系薄膜の作製方法及びその装置並びにそれにより作製した複合酸化物系薄膜に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
複合酸化物系薄膜の作製方法において、
化学的自己形成効果を有する原子を含み、かつ、複合酸化物系薄膜の基本単位格子を構成する各々の相の原子組成に対応した原子組成を有する複数のスパッタ用ターゲットと、 化学的自己形成効果を有するガスを含むスパッタ雰囲気ガスと、を用い、さらに、
複合酸化物系薄膜を積層する基板に配向結晶基板を用い、
この基板の温度を表面拡散温度に保ち、
上記ガス濃度を制御し、
上記複数のスパッタ用ターゲットを時間を制御して交互にスパッタすることにより上記複合酸化物系薄膜の組成及び膜厚を物理的に制御すると共に、上記基本単位格子の各々の相をエピタキシー成長することを特徴とする、複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項2】
前記複合酸化物系薄膜は、強誘電体薄膜、磁性体薄膜、半導体薄膜、非線形光学薄膜、絶縁体薄膜、透明電極薄膜、低誘電体薄膜及び超伝導薄膜であることを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項3】
前記組成及び膜厚の物理的な制御は、前記複合酸化物系薄膜を構成する各々の相の原子の組成を有する各々のスパッタ用ターゲットを、それぞれ交互に、上記複合酸化物の基本単位格子における各々の相の膜厚を制御してスパッタして積層することを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項4】
前記表面拡散は、所定の基板温度によって、前記積層中の複合酸化物の表面原子が表面を移動し、前記相の格子点位置に配置することを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項5】
前記化学的な自己形成は、前記複合酸化物系薄膜の特定の前記相の構成原子そのものにより、またはその一部を特定の原子と置換することによって、上記特定の相の反応促進性と構造安定化を促すこと、及び/又は化学的な修飾により、上記特定の相とこの相に積層する他の相との格子整合性を向上させ、上記複合酸化物系薄膜の形成を促進させることを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項6】
前記化学的な自己形成は、前記複合酸化物系薄膜の特定の前記相の酸素濃度を制御することによって、上記複合酸化物系薄膜の特定の相のホール濃度を制御し、上記特定の相とこの相に積層する他の相との格子整合性を向上させることを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項7】
前記配向結晶基板によるエピタキシー成長は、上記配向結晶基板上にまたは格子整合性を持つバッファ層を上記配向結晶基板上に積層しこのバッファ層上に、前記複合酸化物系薄膜を構成する他の相から成る層を積層してエピタキシー成長させることを特徴とする、請求項1に記載の複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項8】
前記酸化物超伝導薄膜は、Cu系高温超伝導薄膜であることを特徴とする、請求項2に記載の複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項9】
前記Cu系高温超伝導薄膜を構成する相である電荷供給層と超伝導層の前記組成及び膜厚の物理的な制御を行うに際し、上記電荷供給層の組成を有する電荷供給層用ターゲット及び上記超伝導層の組成を有する超伝導層用ターゲットをそれぞれ交互に膜厚を制御してスパッタすることを特徴とする、請求項8に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項10】
前記化学的な自己形成は、前記電荷供給層のCu原子そのものにより、またはその一部を特定の原子と置換することによって、上記電荷供給層の反応促進性と構造安定化を促すことにより、上記電荷供給層と前記超伝導層を格子整合させ、前記Cu系高温超伝導薄膜の形成を促進させることを特徴とする、請求項8に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項11】
前記化学的な自己形成は、前記電荷供給層の酸素濃度を制御することによって、上記電荷供給層のホール濃度を制御し、上記電荷供給層と超伝導層を格子整合させることを特徴とする、請求項8に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項12】
前記電荷供給層のCu原子の一部を特定の原子と置換する方法は、前記電荷供給層の組成を有するターゲットに、所定の量の上記特定の原子を混合し、この所定の量の特定の原子を混合した電荷供給層用ターゲットをスパッタして上記電荷供給層を形成することを特徴とする、請求項10に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項13】
前記電荷供給層の酸素濃度を制御する方法は、上記電荷供給層及び/又は超伝導層をスパッタする際、スパッタガス雰囲気中の酸化性ガス分圧を調節して行うことを特徴とする、請求項11に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項14】
前記配向結晶基板によるエピタキシー成長は、上記配向結晶基板上に前記Cu原子の一部を特定の原子と置換した電荷供給層から成るバッファ層、または異種元素から成る格子整合性の良いバッファ層を積層し、このバッファ層上に前記超伝導層を積層してエピタキシー成長させることを特徴とする、請求項8に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項15】
真空槽内で、所定の基板温度に加熱した配向結晶基板上に、所定の量の特定の原子を混合した複合酸化物系薄膜用ターゲット、または格子整合性の良い物質のターゲットをスパッタしてバッファ層を積層し、次に酸化性ガスを上記真空槽に所定の圧力で導入し、上記バッファ層上に、
(a)上記複合酸化物系薄膜の第一の相の原子組成から成るターゲットをスパッタして、上記複合酸化物系薄膜の基本単位格子における上記第一の相の厚さ分だけ積層し、この層上に、
(b)上記複合酸化物系薄膜の第二の相の原子組成から成るターゲットをスパッタして、上記複合酸化物系薄膜の基本単位格子における上記第二の相の厚さ分だけ積層し、
(c)以下、上記複合酸化物系薄膜を構成する相の種類だけ、上記(a)または(b)と同様の工程を繰り返し、
上記(a)、(b)及び(c)の工程またはその逆工程を繰り返して所定の膜厚の上記複合酸化物系薄膜を作製することを特徴とする、複合酸化物系薄膜の作製方法。

【請求項16】
真空槽内で、所定の基板温度に加熱した配向結晶基板上に、所定の量の特定の原子を混合した電荷供給層用ターゲット、または格子整合性の良い物質のターゲットをスパッタしてバッファ層を積層し、次に酸化性ガスを上記真空槽に所定の圧力で導入し、上記バッファ層上に、
(a)超伝導層用ターゲットをスパッタして、Cu系高温超伝導薄膜の基本単位格子における超伝導層の厚さ分だけ積層し、この層上に、
(b)上記電荷供給層用ターゲットをスパッタして、上記Cu系高温超伝導薄膜の基本単位格子における上記電荷供給層の厚さ分だけ積層し、
上記(a)、(b)の工程またはその逆工程を繰り返して所定の膜厚の上記Cu系高温超伝導薄膜を作製することを特徴とする、Cu系高温超伝導薄膜の作製方法。

【請求項17】
真空槽内で、所定の基板温度に加熱した配向結晶基板上に、所定の量の特定の原子を混合した電荷供給層用ターゲット、または格子整合性の良い物質のターゲットをスパッタしてバッファ層を積層し、次に酸化性ガスを上記真空槽に所定の圧力で導入し、上記バッファ層上に、
(a)超伝導層用ターゲットをスパッタして、Cu系高温超伝導薄膜の基本単位格子における上記超伝導層の厚さ分だけ積層し、この層上に、
(b)上記電荷供給層用ターゲットをスパッタして、上記Cu系高温超伝導薄膜の基本単位格子における上記電荷供給層の厚さ分だけ積層し、
上記(a)、(b)の工程を繰り返して所定の膜厚の上記Cu系高温超伝導薄膜を作製し、次に、
(c)絶縁物から成るターゲットをスパッタし、上記所定の膜厚のCu系高温超伝導薄膜上に所定の膜厚の絶縁層を形成し、続いて、
上記(a)、(b)の工程またはその逆工程を繰り返して所定の膜厚の上記Cu系高温超伝導薄膜を作製することを特徴とする、Cu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項18】
前記Cu原子の一部と置換する特定の原子は、Tl,Bi,Pb,In,Ga,Al,B,Sn,Ge,Si,C,Ti,V,Cr、Mn,Fe,Co,Ni,Zr,Nb,Mo,W,Re,Ru,Osの一元素または複数元素であることを特徴とする、請求項8、16又は17に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。

【請求項19】
前記酸化性ガスは、O2 、O3 、N2 O,NOまたはNO2 であることを特徴とする、請求項8、16又は17に記載のCu系高温超伝導薄膜作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 電子・光子等の機能制御 領域
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