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12SrO・7Al2O3化合物とその合成方法 UPDATE 実績あり

国内特許コード P03P000846
整理番号 E060P24
掲載日 2003年10月1日
出願番号 特願2002-045302
公開番号 特開2003-238149
登録番号 特許第4105447号
出願日 平成14年2月21日(2002.2.21)
公開日 平成15年8月27日(2003.8.27)
登録日 平成20年4月4日(2008.4.4)
発明者
  • 細野 秀雄
  • 林 克郎
  • 平野 正浩
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 12SrO・7Al2O3化合物とその合成方法 UPDATE 実績あり
発明の概要 【課題】 本発明者が先に開発した活性酸素を含む12CaO・7Al23(C12A7)化合物より低温で酸化作用を示し、より低温で活性酸素を放出する材料の開発。C12A7を、水分を含む雰囲気に放置するとOH-イオンが包接され、活性酸素種の形成を阻害する。炭化水素の酸化などでは水が生成するので、C12A7の触媒作用が劣化することが危惧される
【構成】 活性酸素種であるO2-イオンラジカルおよび/またはO-イオンラジカルを1018/cm3以上に包接する12SrO・7Al23化合物または該化合物とC12A7化合物との混晶化合物。酸化触媒材、抗菌材、イオン伝導体、固体燃料電池用電極材、表面酸化処理用のアニオンビーム源などに使用できる。水分が存在しても、触媒機能が持続する。
従来技術、競合技術の概要


1970年に、H.B.Bartlらは、12CaO・7Al23結晶(以下、適宜「C12A7」と記す。)においては、2分子を含む単位胞にある66個の酸素のうち、2個はネットワークには含まれず、結晶の中に存在するケージ内の空間に「フリー酸素」として存在すると主張した(H.B.Bartl and T.Scheller,Neuses Jarhrb.Mineral.,Monatsh.1970,547)。



本発明者らの一人である細野らは、CaCO3とAl23またはAl(OH)3を原料として、空気中で1200℃の温度で固相反応により合成したC12A7結晶中に、1×1019cm-3程度のO2-が包接されていることを電子スピン共鳴の測定から発見し、フリー酸素の一部がO2-の形でケージ内に存在するというモデルを提案している(H.Hosono and Y.Abe,Inorg.Che.26,1193,1987、「材料科学」,第33巻,第4号,P171~172,1996)。



本発明者らは、カルシウムとアルミニウムを概略12:14の原子当量比で混合した原料を、雰囲気と温度を制御した条件下で固相反応させ、1020cm-3以上の高濃度の活性酸素種を包接するC12A7化合物を新たに見出した。その化合物自体、その製法、包接イオンの取り出し手段、活性酸素イオンラジカルの同定法、および該化合物の用途に関して、特許出願した(特願2001-49524号[特開2002-3218号公報],PCT/JP01/03252[WO01/79115号公報])。



また、該化合物中のOHイオンなどの酸素以外のアニオン濃度を制御し、700℃付近で、活性酸素イオンの包接、取り出し方を新たに見出し、特許出願した(特願2001-226843)。さらに、活性酸素を高濃度に含むC12A7化合物に電場を印加し、高密度のO-イオンビームを取出せることを新たに見出し、特許出願した(特願2001-377293)。



本発明者は、水中、または水分を含む溶媒中、または水蒸気を含む気体中で水和反応させたC12A7化合物粉体を、酸素雰囲気で焼成することにより、OH-イオン濃度1021cm-3以上を含むC12A7化合物を合成し、その化合物自体、製法、OH-イオンの同定法、および該化合物の応用に関し、特許出願している(特願2001-117546)。



C12A7中に、高濃度の活性酸素ラジカルイオンが含まれる機構に関して、本発明者らは、C12A7中に存在するフリー酸素と、C12A7中に侵入した雰囲気中の酸素分子が可逆的に反応するためと提案した。また、OH-イオンが高濃度に含まれる機構に関しては、本発明者らは、C12A7中に存在するフリー酸素と、C12A7中に侵入した雰囲気中の水分子が可逆的に反応するためと提案した。その機構の詳細な説明は、以下の通りである。



図1は、C12A7の結晶構造を示す模式図である。C12A7は、立方晶の結晶系(格子定数=11.97Å)で、空間群はI43dに属し、単位格子あたり2式量のフリー酸素イオンが存在する。該結晶はAlO4の4面体が、重合したネットワーク構造にCa2+イオンが配した構造をとっており、結晶格子中に空隙(ケージ)を有している。



2(12CaO・7Al23)=Ca24Al2866=[Ca24Al28644+・2O2-であり、O2-はフリー酸素と呼ばれ、ケージの中に存在している。一般に、O2-は、固体構造中では常にカチオンで配位されており、フリーな状態になることはほとんどない。



しかし、12CaO・7Al23結晶中では、O2-イオンは、ケージ内に存在し、カチオンと結合できず、フリーな状態になっている。この状態は、固体表面に吸着した状態と類似しており、化学的に非常に活性な状態であると考えられる。ケージ内に包接されたO2-イオンは、ケージ内にあるため、直接、外界雰囲気との反応が防がれている。しかし、高温度になると、熱膨張でケージのサイズが大きくなり、雰囲気からの酸素分子がケージのボトルネックを通過できるようになり、ケージ内に包接される。その結果、以下の反応が起こる。



2-(ケージ内)+O2(ケージ内)=O-(ケージ内)+O2-(ケージ内)
この反応の結果、C12A7中には、大量の活性酸素ラジカルイオンが包接される。すなわち、単位胞あたり2ヶ存在する酸素イオンO2-から2つのOn-が生成される。ここで、nは、1および2の整数である。On-を高濃度に包接するC12A7化合物は、[Ca24Al28644+・(2-m)O2-(2m)On-と記述される。ここで、m≦2であり、On-とO2-はケージ内に包接されている。



ケージ内の酸素分子と雰囲気中の酸素分子は、ケージのボトルネックを通過できる高温度域では、雰囲気中の酸素分子と平衡状態にある。一般的には、温度が高くなると、C12A7中の酸素分子は減少するので、より高温では、活性酸素イオンラジカルは減少すると考えられる。



合成されたC12A7にH2Oが含まれていると、O2-(ケージ内)+H2O(ケージ内または結晶格子間)=2OH-(ケージ内)の反応が起こり、ケージ内にOH-イオンが包接される。OH-を高濃度に包接するC12A7化合物は、[Ca24Al28644+・(2-m)O2-(2m)OH-と記述される。ここで、m≦2であり、OH-とO2-はケージ内に包接されている。H2O分子がケージのボトルネックを通過できる温度域では、ケージ中のH2Oは、雰囲気中の水蒸気と平衡状態にある。



酸化ストロンチューム(SrO)とアルミナ(Al23)の系で、12SrO・7Al23化合物の存在が報告されている(O.Yamaguti他 J.Am.Ceram.Soc.69[2]C-36(1986))。しかし、この化合物が活性酸素を包接するか否かは、これまで知られていなかった。

産業上の利用分野


本発明は、活性酸素であるO2-イオンラジカルおよび/またはO-イオンラジカル(以下両酸素イオンラジカルを総称して、活性酸素種と呼ぶ。)を高濃度に包接する酸化物化合物である12SrO・7Al23化合物および12SrO・7Al23と12CaO・7Al23との混晶化合物、その合成方法および該化合物と該混晶化合物の用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
活性酸素種であるO2-イオンラジカルおよび/またはO-イオンラジカルを1018/cm3以上に包接することを特徴とする12SrO・7Al23化合物。

【請求項2】
式:12(CaxSr1-x)O・7Al23(0<x<1)で表される請求項1記載の12SrO・7Al23化合物と12CaO・7Al23化合物との混晶化合物。

【請求項3】
出発原料として、ストロンチューム(Sr)とアルミニウム(Al)を原子当量比で12:14に含む混合物を用い、焼成温度500℃以上で、水蒸気圧を10-3気圧以下しか含まず、酸素分圧0.2気圧以上の雰囲気中で固相反応させることを特徴とする請求項1記載の化合物の合成法。

【請求項4】
出発原料として、ストロンチューム(Sr)とカルシウム(Ca)の和とアルミニウム(Al)を原子当量比で12:14に含む混合物[(Sr+Ca)/Al=12:14]を用い、焼成温度500℃以上で、水蒸気圧を10-3気圧以下しか含まず、酸素分圧0.2気圧以上の雰囲気中で固相反応させることを特徴とする請求項2記載の化合物の合成法。

【請求項5】
出発原料として、請求項3または4記載の混合物を焼成温度500℃以上で、水蒸気圧を10-3気圧以上含む大気中で固相反応させた後、得られた化合物を200℃以上600℃以下で、水蒸気圧を10-3気圧以下しか含まず、酸素分圧0.2気圧以上の雰囲気中で再焼成することを特徴とする請求項または記載の化合物の合成法。

【請求項6】
請求項1または2に記載される化合物を200℃以上600℃以下の温度領域で緩やかに温度を上下させることにより、活性酸素種であるO2-イオンラジカルおよび/またはO-イオンラジカルを発生させて雰囲気中に取り出すことを特徴とする活性酸素種の生成方法。

【請求項7】
請求項1または2に記載される化合物に電圧を印加することにより、O-イオンビームを発生させることを特徴とするO-イオンビームの作成方法。

【請求項8】
請求項記載の方法によって作成したO-イオンビームを有機化合物に照射して、該有機化合物を酸化させることを特徴とする有機化合物の酸化方法。

【請求項9】
請求項記載の方法によって作成したO-イオンビームを半導体化合物表面または超伝導体薄膜表面に照射して、該表面に酸化膜を形成することを特徴とする酸化膜の形成方法。

【請求項10】
請求項記載の方法によって作成したO-イオンビームを貴金属薄膜の露出した部分に照射して、該部分を酸化することにより生成した貴金属酸化物をエッチング除去することを特徴とする貴金属薄膜のパターン形成方法。

【請求項11】
請求項1または2記載の化合物を用いた自動車エンジン排ガス中に含有される不完全燃焼化合物の酸化触媒。

【請求項12】
請求項1または2記載の化合物を用いた抗菌材。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2002045302thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンス状況 通常実施権[S03-01]
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 細野透明電子活性プロジェクト 領域
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