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微細噴流制御式吸音システム

国内特許コード P03A002047
掲載日 2003年10月1日
出願番号 特願2001-202953
公開番号 特開2003-015656
登録番号 特許第3809520号
出願日 平成13年7月4日(2001.7.4)
公開日 平成15年1月17日(2003.1.17)
登録日 平成18年6月2日(2006.6.2)
発明者
  • 石井 達哉
出願人
  • 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
発明の名称 微細噴流制御式吸音システム
発明の概要 【課題】 吸音ライニングに比べて設置容積を大幅に減らし、燃焼器室内など高音圧、高温度環境下でも小孔形状の最適化によって、適合化機構無しでも空間内音響モードの成長を抑制できる消音技術を提供すること。
【解決手段】 小孔の形状、噴流噴出或いは流入角度、噴流流量、隔壁背後層の厚さ、隔壁背後層に流入する気流角度のいずれか又はこれらの組合せを選択するものであって、吸音効果を高めるために、騒音空間に誤差センサを設置し、該誤差センサの出力が最小となるように、小孔の形状、噴流噴出或いは流入角度、噴流流量、隔壁背後層の厚さ、隔壁背後層に流入する気流角度のいずれか又はこれらの組合せを調節する適応化制御機構を備えるようにした。
従来技術、競合技術の概要


一般の防音手段としては図6のAに例示したような遮音壁等による遮音方式と、インピーダンス不整合に基づく音の伝播妨害(反射防止)作用の共鳴型、或いは充填材との摩擦、開口部での損失によって熱エネルギーへの変換を促す抵抗型の吸音方式とがよく知られ慣用されている。航空エンジンでは、図6のBに示したような通常ハニカム構造の吸音装置或いはバルク型吸音装置が主に用いられている。前者は、ハニカム室の共鳴によるインピーダンス不整合と喉部を空気が通過する際の抵抗による減衰の二つを利用している。適用周波数帯域を広げるために、体積の異なるハニカム室を小開口部で連結した二重或いは多重ハニカム構造の吸音装置が実用されている。一般に、ハニカム構造の吸音装置は、強度上高温環境下での使用には不向きである。後者は、入射した音波がバルク内部での摩擦によって減衰することを基本原理としていて、バルク内の充填率と周波数帯域の間に相関がある。最近では、高温ジェットエンジン用にセラミクス系の耐熱材の適用が検討されている。これらの吸音装置は、設計点で最適な騒音低減効果をもたらすように、ハニカム室体積、開口率、充填率、設置面積等が選定される。上記の吸音装置は、吸音する機能を有する反面、圧力損失、重量増加、設計点外での性能劣化を引き起こすという問題点がある。
ファン騒音に関しては、バイパス比の増加に応じてファン騒音周波数が下がる。その結果、ハニカム室容積が増加し、エンジン重量の増加及び巡航時の圧力損失を蒙ることとなる。ファン回転数の変化に応じた騒音周波数特性の変化にも追従できないため、従来の吸音装置には騒音低減量に限界がある。ジェット騒音についても、まず、ミキサなどの混合促進装置で渦構造を小スケールにして低周波数音を高周波数音側に音域移動させて、該高周波音を吸音材或いは距離減衰をもって二段階で騒音低減する方法がある。しかし、この方法では、ミキサ部で生ずる推力損失やエジェクタの重量増加が避けられず、ミキサの着脱機構を設けることはさらなる重量増加を引き起こすといった問題を伴う。一般の低騒音問題、例えば大口径で長い配管内に生ずる共鳴等の低周波数音に対しては、既存の吸音材ではその設置容積のため、制限された空間に吸音材を施すことが困難となる。分岐共鳴管を用いると、分岐管寸法が増大する上、設計点以外での性能劣化が著しい。



一方、孔を通って自由空間に噴出する噴流に低周波数の音波が当たると音のエネルギーが失われるという現象が起こることが最近の研究から明らにされ、この現象は研究者の間で関心がもたれている。いままでの研究において理論モデルによる予測では、小孔直径、噴流流速、開口率、背後層厚さ、噴流への音波の入射角についての簡単なモデル化が試みられている。しかしながら、吸音効果を試験した例は少なく、特に複雑な孔形状などを用いた場合の検証結果は殆ど見当たらない。また、小孔を通過する噴流を取り巻く空力的、音響的性質を積極的に変化させることで、吸音性能を最適化する試みはいまだなされていない現状である。

産業上の利用分野


本発明は、騒音を低減化する吸音技術に関し、特に航空用、舶用、発電用ガスタービン等のターボ機械低周波数騒音の抑制や、プラント等の吸入・排気用大型ダクト内低周波数振動・騒音対策、空調、家電機器の低騒音化、建設現場等の作業空間、車内、客室等の移動空間の快適性向上に有効な吸音技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
騒音が伝播する空間の一部を覆う、多数の小孔が形成された隔壁と、該小孔を貫通して微細な気体流を前記空間内部若しくは空間外部へ流通させる手段とを備え、気体を流通させることによって前記隔壁近傍空間に微細噴流を発生させ騒音を解消させる吸音システムにおいて、前記小孔の形状は不変の円形ストレート以外であって、噴流噴出或いは流入角度、噴流流量、隔壁背後層の厚さ、隔壁背後層に流入する気流角度のいずれかの設定又はこれらの組合せによって噴流形態を可変として吸音効果を高めることを特徴とする微細噴流制御式吸音システム。

【請求項2】
騒音空間に誤差センサを設置し、該誤差センサの出力が最小となるように、小孔の形状、噴流噴出或いは流入角度、噴流流量、隔壁背後層の厚さ、隔壁背後層に流入する気流角度のいずれか又はこれらの組合せを調節する適応化制御機構を備えた請求項1の微細噴流制御式吸音システム。

【請求項3】
小孔の形状としては、隔壁開口断面において、任意形状が選択できると共に、隔壁厚み方向には多層段、テーパー、空洞、突起物が形成されたものが選択でき、これらのいずれか又は組み合わせの選択使用が可能である請求項1又は2に記載の微細噴流制御式吸音システム。

【請求項4】
周波数帯域に対応させて最適な吸音の得られる開口率、等価直径、小孔形状と噴流速度の隔壁部を複数配備し、騒音周波数に応じて適宜組み合わせて使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の微細噴流制御式吸音システム。

【請求項5】
適応化制御機構は、小孔付近或いは隔壁の一部に圧電性素子、形状記憶合金などの機能性材料を埋め込んだ構成とし、外部からの制御信号に応じて、前記小孔の形状を微変させることにより、噴流が発生するせん断渦を制御し、吸音帯域や吸音量を調整することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の微細噴流制御式吸音システム。

【請求項6】
多数の小孔が形成された隔壁を多層に設置すると共に個々の隔壁を移動させる手段を備え、小孔同士の相対的位置関係をずらすことにより吸音特性を向上させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の微細噴流制御式吸音システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2001202953thum.jpg
出願権利状態 登録
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