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高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン 実績あり

国内特許コード P03A002082
整理番号 A051P270
掲載日 2003年10月1日
出願番号 特願2001-283218
公開番号 特開2002-338539
登録番号 特許第3773824号
出願日 平成13年9月18日(2001.9.18)
公開日 平成14年11月27日(2002.11.27)
登録日 平成18年2月24日(2006.2.24)
優先権データ
  • 特願2001-068985 (2001.3.12) JP
発明者
  • 石原 一彰
  • 山本 尚
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン 実績あり
発明の概要 【課題】 ブレンステッド酸やルイス酸触媒で進行させる反応を効率よく行い、例えばアルコールのベンゾイル化反応をも容易に進行させ、且つ、触媒の回収や再利用も容易とする、毒性、環境等の点から優れた固体酸触媒を提供すること。
【解決手段】 一般式[1](式[1]中、R1は置換又は非置換のアリール基、Rf1及びRf2は互いに独立してパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン、例えばペンタフルオロフェニルビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンのパラ位を、ポリスチレン樹脂に担持させ、一般式[3](式[3]中、R3は置換又は非置換のアリーレン基、Rf1及びRf2は前記と同じ。)で表されるポリスチレン担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンを得る。
【化1】
【化2】
従来技術、競合技術の概要


トリフルオロメタンスルホニル(-SO2CF3;トリフリル,Tf)基は最も強い電子求引性基の一つとして知られており、そのα位のプロトン酸性を高める働きがある(J. Am. Chem. Soc. 96, 2275, 1974、Synthesis, 691, 1997、J. Fluorine Chem. 66, 301, 1994)。例えば、ビス(トリフリル)メタン(CH2Tf2;pKa(H2O)=-1)(J. Am. Chem. Soc. 106, 1510, 1984)やフェニルビス(トリフリル)メタン(PhCHTf2;pKa(MeCN)=7.83)(J. Org. Chem. 63, 7868, 1998)は酸化力のない強酸である。Koppelらによって見積もられた固有酸性度ΔGacid(気体状態)は次のようになっている(J.Am. Chem. Soc. 116, 3047, 1994):MeSO3H(315.0)<CH2Tf2(310.5)<PhCHTf2(310.3)<TfOH(299.5)<NHTf2(291.8)<CHTf3(289.0)。これらの揮発性の結晶性固体は有機金属ヒドリドをプロトン化してカチオン性有機金属ジヒドリドを調製する際の反応剤となることが知られている(J. Am. Chem. Soc. 106, 1510, 1984、J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1675, 1987、Inorg. Chem. 27, 1593, 1988、Inorg. Chem. 27, 2473, 1988、Organometallics 9, 1290, 1990)。これらのことから、上記フェニルビス(トリフリル)メタン等のアリールビス(トリフリル)メタンにおける芳香族基の立体及び電子的効果は、そのブレンステッド酸性やそれらの有機金属錯体の特性に大きな影響を与えることが期待される。



上記フェニルビス(トリフリル)メタンの合成法としては、従来、二つの方法が知られている(J. Org. Chem. 38, 3358, 1973、Heteroatom Chem. 5, 9, 1994、J. Fluorine Chem. 64, 47, 1993、J. Fluorine Chem. 106, 139, 2000)。1つの方法は、ベンジルマグネシウムクロリドとトリフリルフルオリドとの反応によりフェニルビス(トリフリル)メタンを合成する方法であり(40%収率)(J. Org. Chem. 38, 3358, 1973)、もう一つの方法は、ヨードベンゼンビス(トリフリルメチド)とベンゼンとの光反応である(61%収率)(Heteroatom Chem. 5, 9, 1994)。前者は入手困難なトリフリルフルオリドガス(bp=-21℃)をトリフリル源として必要とし、後者は反応剤であるベンゼンを溶媒として大過剰に必要とする。また、後者の場合、フルオロベンゼンのような電子求引基をもつアレンとの光反応ではアリールビス(トリフリル)メタンは形成されない。



他方、Hendricksonらによりベンジルトリフロンの合成方法が報告されている(J. Am. Chem. Soc. 96, 2275, 1974、Synthesis, 691, 1997、J. Fluorine Chem. 66, 301, 1994)が、芳香族基が電子求引基で非活性化されている場合にはアリールメチルトリフロンを収率よく合成できないという問題点があった(Synthesis, 691, 1997)。



また、有機合成の面において最もよく使用されている触媒として、ルイス酸触媒が知られている。このルイス酸触媒は有機化合物の特定の官能基と会合し、複合体を作り、そして特定の反応だけを行うように仕立て上げることが出来る。ルイス酸とは反応する相手から電子対を受容するものをいう。有機化合物には一般に官能基を有し、かかる官能基は大抵がルイス塩基であり、ルイス酸とお互いに引きつけあう。このようにしてデザインされたルイス酸触媒は有機化合物の官能基とコンプレックスを作って、起こって欲しい反応へとまっすぐに導いて行く。このような点からして、ルイス酸触媒は人工の酵素にもたとえられるが、従来のルイス酸触媒は酵素を用いた場合のように反応性や選択性はそれ程高くはなく、充分なものではなかった。そのため、優れた選択性や反応性を有し、さらには温和な条件下で反応が可能であり、且つ、回収率がよく再利用可能なルイス酸触媒が求められていた。



従来、ルイス酸触媒としては、一般式M[RfSO2-N-SO2Rf’]nあるいはM[RfSO2-N-SO2Rf’]n・mH2O(Rf及びRf’は、炭素原子数1~8のペルフルオロアルキル基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類、アルミニウム、ガリウム、イリジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルルから選ばれた元素を表し、nは該当する金属の原子価と同数の整数を表し、mは0.5~20の自然数を表す)で示される化合物からなるルイス酸触媒(特開平7-246338号公報)や、次式



【化3】




[式中、Xは-N(Tf1)Tf2[Tf1は-SO2Rf1を表し、Tf2は-SO2Rf2(Rf1およびRf2はそれぞれ独立にフッ素原子またはパーフルオロアルキル基を表す。)を表す。]を表し、R1は置換もしくは非置換のシクロペンタジエニル基、-OR3または-N(Tf3)R4を表し、R2は置換もしくは非置換のシクロペンタジエニル基、-OR5または-N(Tf4)R6[Tf3は-SO2Rf3を表し、Tf4は-SO2Rf4(Rf3およびRf4はそれぞれ独立にフッ素原子またはパーフルオロアルキル基を表す。)を表し、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に低級アルキル基を表すか、または、R3およびR5、R3およびR6、R4およびR5、あるいは、R4およびR6がいっしょになって2価の基を形成する。]を表し、Mはアルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレンまたはテルルから選ばれる元素を表し、nは該当するMの原子価-2の整数を表し、-N(Tf1)Tf2、-N(Tf3)R4または-N(Tf4)R6の少なくとも1つを有する。]で示されるルイス酸触媒(特開平9-57110号公報)などが知られている。



また上記の他、一般式M+(X1-)q(式中、Mは周期律表IIIA族からVB族の元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を表し、X1はハロゲン原子を表し、qはMの原子価数と同一の整数を表す。)で示される金属ハロゲン化物と四級塩型陰イオン交換樹脂とから成る、水共存下でも使用できる高活性なルイス酸触媒(特開平9-262479号公報)や、次式 [(RfSO2)3C]n2(但し、Rfは炭素数1以上のパーフルオロアルキル基を、M2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類を含む遷移金属、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、セレン、テルルから選ばれる元素を表す。nはM2の原子価と同数の整数を表す。)で示される、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドの金属塩からなる酸触媒(特開2000-219692号公報)も高活性な酸触媒として開示されている。

産業上の利用分野


本発明は、ポリスチレン樹脂等の高分子に担持させたアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン、すなわち高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタンや、かかる化合物の製造方法や、かかる化合物を有効成分とするブレンステッド酸触媒等の触媒や、かかる触媒を用いた有機化合物の合成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式[1]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーとの反応により、有機高分子に担持されたことを特徴とする高分子担持型アリールビス (パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。
【化1】


(式[1]中、R1は、求電子性置換基(該置換基は、C1~4のハロゲン化低級アルキル、ハロゲン原子、アンモニオ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アセチル基、エトキシカルボニル基、カルボキシル基、メチルスルホニル基又はスルホナト基を示す)を有するアリール基(該アリール基は、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基を示す)、Rf1及びRf2は互いに独立してC1~8のパーフルオロアルキル基を示す。)

【請求項2】
塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーが、分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマーであることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。

【請求項3】
分子内に置換又は非置換のアリール基を有する樹脂ポリマーが、ポリスチレン樹脂であることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。

【請求項4】
一般式[1]におけるRf1及びRf2が共にトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。

【請求項5】
一般式[1]におけるR1が、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、又はパーフルオロビフェニル基であることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。

【請求項6】
アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンが、4-(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフリル)メタン、ペンタフルオロフェニルビス(トリフリル)メタン、又は{4-(ペンタフルオロフェニル)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル}ビス(トリフリル)メタンであることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタン。

【請求項7】
請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法であって、塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーと、一般式[2]で表されるアリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩とを反応させることを特徴とする高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。
【化2】


(式[2]中、R2前記Rの定義と同義を示し、Rf1及びRf2は互いに独立してC1~8のパーフルオロアルキル基を示す。)

【請求項8】
塩基性反応剤によりアニオンを発生することができる樹脂ポリマーとして、ハロアルキル樹脂ポリマーを用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項9】
ハロアルキル樹脂ポリマーとして、ハロゲノポリスチレン樹脂を用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項10】
ハロゲノポリスチレン樹脂として、4-ブロモポリスチレン樹脂を用いることを特徴とする請求項記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項11】
アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、スズ、亜鉛又はビスマスから選ばれるいずれかの金属塩であることを特徴とする請求項10のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項12】
遷移金属元素が、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、銅、銀、チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれるいずれかの金属元素であることを特徴とする請求項11記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項13】
アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩が、ペンタフルオロビス(トリフルオロメチルスルホン)のリチウム塩であることを特徴とする請求項12のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項14】
塩基性反応剤としてブチルリチウムを用いることを特徴とする請求項13のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項15】
溶媒としてベンゼンとテトラヒドロフランの混合物を用いることを特徴とする請求項14のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの製造方法。

【請求項16】
請求項1~のいずれか記載の高分子担持型アリールビス(パーフルオロアルキルスルホニル)メタンの金属塩を有効成分とする触媒。

【請求項17】
ブレンステッド酸触媒であることを特徴とする請求項16記載の触媒。

【請求項18】
請求項16又は17記載の触媒を用いる有機化合物の合成方法であって、前記触媒の存在下、アセタール化反応、アルコールのアシル化反応、アルドール型反応、アリル化反応、ディールス-アルダー反応、フリーデル-クラフツ型反応、マンニッヒ型反応、グリコシル化反応、エステル化反応、エン反応又はカチオン重合反応から選ばれる触媒反応を溶媒中で行うことを特徴とする有機化合物の合成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
ライセンス状況 通常実施権[C01-04]
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 単一分子・原子レベルの反応制御 領域
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