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コールドスプレー質量分析装置 実績あり

国内特許コード P03A002103
整理番号 A052P278
掲載日 2003年10月1日
出願番号 特願2001-354440
公開番号 特開2003-157793
登録番号 特許第3616780号
出願日 平成13年11月20日(2001.11.20)
公開日 平成15年5月30日(2003.5.30)
登録日 平成16年11月19日(2004.11.19)
発明者
  • 山口健太郎
  • 小林達次
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 日本電子株式会社
発明の名称 コールドスプレー質量分析装置 実績あり
発明の概要 【課題】 ネブライジングガスの温度制御が容易な、使い勝手の良いコールドスプレー質量分析装置を提供する。
【解決手段】 オペレータは、温度表示部15を見ながら、液体窒素22に浸るガス管10の長さを調整して、ヒーターブロック9の温度tをたとえば-80℃に設定する。このときのシース管4出口におけるネブライジングガス温度Tは、予め求められた温度テーブル表から、-43℃になっていることがわかる。次にオペレータは、ヒーター12の電源を入れ、前記ネブライジングガス温度Tをたとえば-10℃に設定したい場合、前記温度テーブル表から、設定すべきヒーターブロック9の温度tが-5℃であることを求める。そして、オペレータは、温度表示部15を見ながらヒーター調整つまみ16を調整して、ヒーターブロック9の温度tを-5℃に設定する。
従来技術、競合技術の概要


強い電界の中に置かれた電気伝導性の液体が、電界の作用によって毛管の先端部から自然に噴霧する現象は、エレクトロスプレー(静電噴霧)と呼ばれ、古くから知られていた。1980年代前半、このエレクトロスプレーという現象が試料溶液の質量分析に応用され、エレクトロスプレー質量分析装置として広く用いられるようになった。



図1は、従来のエレクトロスプレー質量分析装置を示したものである。図中、51は、液体クロマトグラフ(LC)装置や溶液溜などの試料溶液供給源である。試料溶液供給源51の試料溶液(例えばLC移動相)は、図示しないポンプなどによって毛管状のキャピラリー52に送られる。このキャピラリー52は、金属で作られており、内径30~100μm、外径150~250μmである。キャピラリー52に送られた試料溶液は、LCポンプまたは毛管現象により駆動されて、キャピラリー52の内部に吸い上げられ、該キャピラリー52の先端部まで到達する。



キャピラリー52と質量分析装置53の対向電極54の間には、数kVの高電圧が印加されていて、強い電界が形成されている。この電界の作用で、キャピラリー52の中の試料溶液は、大気圧下、キャピラリー52と対向電極54の間の空間に静電噴霧され、荷電液滴となって大気中に分散する。このときの試料溶液の流量は、毎分1~10マイクロリットルである。このとき生成する荷電液滴は、試料分子の回りに溶媒分子が集まってクラスター状になった帯電粒子なので、熱を加えて溶媒分子を気化させて取り除くと、試料分子のイオンだけにすることができる。



荷電液滴から試料イオンを作る方法としては、キャピラリー52と対向電極54の間の空間に70℃程度に加熱した窒素ガスを供給し、そこに荷電液滴を静電噴霧することによって液滴の溶媒を気化させる方法や、質量分析装置53の対向電極54に設けられたサンプリング・オリフィス55を80℃程度に加熱して、その輻射熱、あるいは熱伝導で荷電液滴の溶媒を気化させる方法などがある。これらの方法をイオン・エバポレーションと呼んでいる。



イオン・エバポレーションによって生成した試料イオンは、対向電極54に設けられたサンプリング・オリフィス55から質量分析装置53の内部に取り込まれる。大気圧下の試料イオンを真空の質量分析装置53に導入するために、差動排気壁が構成される。すなわち、サンプリング・オリフィス55とスキマー・オリフィス56とで囲まれた区画は、図示しないロータリー・ポンプ(RP)で200Pa程度に排気されている。また、スキマー・オリフィス56と隔壁57とで囲まれた区画は、図示しないターボ・モレキュラー・ポンプ(TMP)で1Pa程度に排気されている。そして、隔壁57の後段は、TMPによって10-3Pa程度に排気され、質量分析部58が置かれている。



また、サンプリング・オリフィス55とスキマー・オリフィス56で囲まれた低真空の区画には、試料イオンの拡散を防ぐためのリングレンズ59が置かれていて、試料イオンが正イオンの場合には正電圧、試料イオンが負イオンの場合には負電圧が印加されるようになっている。また、スキマー・オリフィス56と隔壁57で囲まれた中真空の区画には、試料イオンを質量分析部58まで導くためのイオンガイド60が置かれ、高周波電圧が印加されている。



また、図1には図示されていないが、最近のシステムでは、LCの移動相など10~1000マイクロリットル/分の大流量の試料にも対応できるようにするために、キャピラリー52の出口周囲にネブライジングガスを流せるシース管を設け、電界力だけでは霧化しきれない10マイクロリットル以上の大流量の試料溶液を、ネブライジングガスの力によって強制的かつ完全に霧化させるように構成した新しいタイプのエレクトロスプレー・イオン源も登場している。



エレクトロスプレー・イオン源の特徴は、試料分子のイオン化に際して、高熱をかけたり高エネルギー粒子を衝突させたりしない非常にソフトなイオン化法であるという点にある。従って、ペプチド、タンパク質、核酸などの極性の強い生体高分子をほとんど破壊することなく、多価イオンとして容易にイオン化することができる。また、多価イオンなので、分子量が1万以上のものでも、比較的小型な質量分析装置で測定することが可能である。



ところが、最近、エレクトロスプレー・イオン化法のような非常にソフトなイオン化法であっても、イオン化の際に、試料イオンの分子構造が破壊されてしまうというサンプルの例が報告されるようになった。それは、例えば、巨大な有機金属錯体、例えば、プラチナなどの遷移金属錯体の自己集合によって高度な秩序を備えた超分子化合物などの例である。これらの金属錯体は、イオンの衝撃や熱に対してのみならず、ソフトなイオン化法であるエレクトロスプレーによるイオン化に対しても不安定であり、イオン気化の際に分子構造の破壊が起きる。



この問題を解決するために、最近、エレクトロスプレー・イオン源に供給されるネブライジングガスや荷電液滴の脱溶媒室などを液体窒素などの冷媒で冷却し、イオン化の際に試料イオンに熱が加わることを極力避けるようにした新しいタイプのエレクトロスプレー質量分析装置が開発された(特許第3137953号公報参照)。この方法は、コールドスプレー・イオン化法と呼ばれ、図2に示すように、脱溶媒室に直接、液体窒素を吹き付けることにより、初めて、前述のような不安定な自己集合有機金属錯体などの精密な質量数の測定を可能にするものである。

産業上の利用分野


本発明は、エレクトロスプレー質量分析装置に関し、特に、低温で試料をイオン化させることのできるコールドスプレー質量分析装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
試料溶液を導出するニードルパイプと、
前記ニードルパイプと同軸形状をなし、ネブライジングガスを通すシース管と、
ネブライジングガス源と、
前記ネブライジングガス源のネブライジングガスを前記シース管に導入するためのガス流路に設けられ、ネブライジングガスを冷却する冷却手段と、
前記冷却手段とシース管との間のガス流路に熱的に接続されるヒーターブロックに取り付けられ、前記冷却手段により冷却されたネブライジングガスを加熱するためのヒーターと、
前記ヒーターブロックの温度を検出し、前記ヒーターにより加熱を受けたネブライジングガスの温度に対応した出力を得る温度センサーとを備え、
前記ネブライジングガスを任意の温度に設定可能にしたことを特徴とするコールドスプレー質量分析装置であって、
前記シース管のガス出口におけるネブライジングガス温度Tと、前記ヒーターブロックの温度tとの関係を記憶した温度テーブルと、
前記ネブライジングガス温度Tを指定するための温度指定手段と、
前記温度センサーの出力と前記温度テーブルに基づき、前記ネブライジングガス温度Tが前記指定手段において指定された温度になるように、前記ヒーターを制御する加熱制御手段と、
を備えたことを特徴とするコールドスプレー質量分析装置。

【請求項2】
試料溶液を導出するニードルパイプと、
前記ニードルパイプと同軸形状をなし、ネブライジングガスを通すシース管と、
ネブライジングガス源と、
前記ネブライジングガス源のネブライジングガスを前記シース管に導入するためのガス流路に設けられ、ネブライジングガスを冷却する冷却手段と、
前記冷却手段とシース管との間のガス流路に熱的に接続されるヒーターブロックに取り付けられ、前記冷却手段により冷却されたネブライジングガスを加熱するためのヒーターと、
前記ヒーターにより加熱を受けたネブライジングガスの温度に対応した出力を得る温度センサーとを備え、
前記ネブライジングガスを任意の温度に設定可能にしたことを特徴とするコールドスプレー質量分析装置であって、
前記ヒーターブロックは、前記冷却手段から発生する冷媒のガス雰囲気中に配置されることを特徴とするコールドスプレー質量分析装置。

【請求項3】
試料溶液を導出するニードルパイプと、
前記ニードルパイプと同軸形状をなし、ネブライジングガスを通すシース管と、
ネブライジングガス源と、前記ネブライジングガス源のネブライジングガスを前記シース管に導入するためのガス流路に設けられ、ネブライジングガスを冷却する冷却手段と、
前記冷却手段とシース管との間のガス流路に配置され、前記冷却手段により冷却されたネブライジングガスを加熱するためのヒーターと、
前記ヒーターにより加熱を受けたネブライジングガスの温度に対応した出力を得る温度センサーとを備え、
前記ネブライジングガスを任意の温度に設定可能にしたコールドスプレー質量分析装置であって、
前記ニードルパイプの先端から噴霧された試料溶液の荷電液滴が通過する通路を有し、前記通路を通過する荷電液滴から溶媒を取り除く脱溶媒ブロックと、
前記脱溶媒ブロックを冷却するための冷却手段と、
前記脱溶媒ブロックを加熱するための加熱手段と、
前記脱溶媒ブロックの温度を検出する温度センサーと、
を備えたことを特徴とするコールドスプレー質量分析装置。

【請求項4】
前記ヒーターブロックは、前記冷却手段から発生する冷媒のガス雰囲気中に配置されることを特徴とする請求項記載のコールドスプレー質量分析装置。

【請求項5】
前記ニードルパイプの先端から噴霧された試料溶液の荷電液滴が通過する通路を有し、前記通路を通過する荷電液滴から溶媒を取り除く脱溶媒ブロックと、
前記脱溶媒ブロックを冷却するための冷却手段と、
前記脱溶媒ブロックを加熱するための加熱手段と、
前記脱溶媒ブロックの温度を検出する温度センサーと、
を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のコールドスプレー質量分析装置。

【請求項6】
前記ネブライジングガスの冷却と、前記脱溶媒ブロックの冷却とを、共通の冷却手段を用いて行うようにしたことを特徴とする請求項3または5記載のコールドスプレー質量分析装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2001354440thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンス状況 通常実施権[C02-07]
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 単一分子・原子レベルの反応制御 領域
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