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酸素透過構造体及びその作製方法 コモンズ

国内特許コード P03P000675
整理番号 A151P30
掲載日 2003年11月18日
出願番号 特願2002-127143
公開番号 特開2003-320607
登録番号 特許第3965623号
出願日 平成14年4月26日(2002.4.26)
公開日 平成15年11月11日(2003.11.11)
登録日 平成19年6月8日(2007.6.8)
発明者
  • 高村 仁
  • 岡田 益男
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 酸素透過構造体及びその作製方法 コモンズ
発明の概要 高い酸素透過特性と強度を兼ね備えた酸素透過構造体及びその作製方法を提供する。酸素透過構造体1は、多孔質基板2と、多孔質基板2上に積層したセリウム酸化物3と、セリウム酸化物3上に積層した酸素透過薄膜4とより成る。セリウム酸化物3は、例えば組成式CeO2 で表されるセリウム酸化物であり、膜厚は5nm以上であればよい。酸素透過薄膜4は、例えば膜厚が5μm以下のLSGF系酸素透過薄膜、すなわち、組成式Lax Sr1-x Gay Fe1-yO(ただし、0<x<1、0<y<1)で表される酸素透過薄膜であり、また例えば、膜厚が5μm以下のLSCF系酸素透過薄膜、すなわち、組成式Lax Sr1-x Coy Fe1-y O(ただし、0<x<1、0<y<1)で表される酸素透過薄膜である。
従来技術、競合技術の概要
現在、クリーンなエネルギーシステムとして燃料電池が注目を浴びている。燃料電池の種類には、実用化が進んでいるリン酸型の他に固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型などがあるが、この中でも特に固体高分子型燃料電池(PEFC)は約60~100℃の低温度領域で動作することから、電気自動車(EV)用の駆動電源や携帯機器用電源への応用が期待されている。PEFCでは、燃料には純水素、酸化剤に空気中の酸素を用いる。
【0003】
この場合、純水素を供給するか、または天然ガスなどを改質して燃料とするかの選択がある。安価な発電で水分解できる場合を除き、現状では天然ガス、メタノール、ガソリンなどの炭化水素系燃料を改質して、水素ガスを得ている。この中でも天然ガスは化石燃料の中で最も環境への負荷が少ないということで注目を浴びている。従って、水素の供給源として天然ガス改質が有望視されており、高性能な改質器の開発が要求されている。
現在、天然ガスからの水素製造においては、水蒸気改質法がもっとも広く利用されているが、近年、空気中の酸素を直接用いた部分酸化法により水素を製造するシステムが注目されている。その反応は次式で示される。
【0004】
【数1】
図8は、上記(1)式を動作原理とした部分酸化法を説明する概念図である。空気中の酸素のみを透過する酸素透過性材料からできたパイプを高温に加熱し、パイプの一端から、例えばCH4 ガスを導入する。パイプの側壁を通して空気中の酸素のみがパイプ内に供給され、(1)式に基づいてCH4 ガスが酸素と反応し、H2 ガスとCOガスに分解されてパイプの他端から導出される。
この場合、水素濃度を高めるためには、パイプ中のCH4 ガスに酸素のみを供給する必要がある。すなわち、空気中のN2 ガスが存在すると得られる水素ガスの濃度が1/5に減少してしまう。このため、空気から酸素のみを取り出す酸素透過性材料が要求されるが、現在その材料として酸素イオン・電子混合導電体が注目されている。酸素は酸素イオン・電子混合導電体中をイオンとして透過するが、この混合導電体は酸素イオンと電子の双方の伝導性を有しているため、外部電圧をかけずに酸素分圧勾配を駆動力として酸素を透過させる能力がある。改質器の性能はいかに高い酸素流束密度を得られるかにかかっており、現在高性能の酸素イオン・電子混合導電体材料の開発研究が盛んに行われている。
酸素イオン・電子混合導電体の酸素透過流束密度は電子伝導度、イオン伝導度、温度及び酸素イオン・電子混合導電体の膜厚に依存し、理論的に次式で表される。
【0005】
【数2】
ただし、j(O2 )は酸素透過流束密度、Rは気体定数、Tは絶対温度、Fはファラデー定数、dは酸素イオン・電子混合導電体の膜厚、P(O2 1 は酸素供給側の酸素分圧、P(O2 2 は酸素透過側の酸素分圧、σe は電子伝導度、σi はイオン伝導度である。
【0006】
上記(2)式から明らかなように、酸素透過流束密度j(O2 )を大きくするには、電子伝導度σe 及びイオン伝導度σi を大きくすること、温度Tを大きくすること、及び、酸素分圧勾配を大きくすることもさることながら、酸素イオン・電子混合導電体の膜厚dを薄くすることが有効であることがわかる。
酸素イオン・電子混合導電体の薄膜化は酸素透過能向上のために非常に有効な手段であると考えられる。また、薄膜化することによって膜の非晶質化も可能と考えられ、バルクでは観察されない特性が発現することも期待される。
【0007】
ちなみに、電子伝導度σe 及びイオン伝導度σi は、 酸素分圧勾配の関数である。図9は、電子伝導度σe 及びイオン伝導度σi の酸素分圧勾配依存性を示す図である。図において、横軸は酸素透過側の酸素分圧を示し、左側の縦軸は伝導度を示し、右側の縦軸は酸素透過流束密度を表す。酸素供給側の酸素分圧は大気圧(0.21atm)一定である。図に示すように、電子伝導度σe は特定の酸素濃度勾配で極小値を示し、イオン伝導度σi は酸素透過側の酸素分圧P(O2 2 によらずに一定である。一般に、電子伝導度とイオン伝導度とは材料組成、結晶構造によって制限され、高い酸素透過流束密度が得られる材料は限られている。
【0008】
一般に、酸素イオン・電子混合導電体における酸素輸送は2つの過程に律速される。一つは、気相中の酸素分子が酸素イオンとなって導電体内部に入り込む過程であり、これは表面交換律速過程と呼ばれている。もう一つは、導電体内部に入った酸素イオンが拡散する過程であり、これはバルク拡散律速過程と呼ばれている。酸化物や温度、膜厚、酸素分圧により支配的な律速過程は異なるが、薄膜化は上述のバルク拡散律速の場合、酸素透過能を向上させるのに有効である。
産業上の利用分野
本発明は、酸素透過構造体及びその作製方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】酸素透過薄膜と多孔質基板とからなる酸素透過構造体において、上記酸素透過薄膜と多孔質基板との間にセリウム酸化物をバッファ層として挟むことを特徴とする、酸素透過構造体。
【請求項2】前記酸素透過薄膜は、組成式Lax Sr1-x Gay Fe1-y O(ただし、0<x<1、0<y<1)で表される膜厚が5μm以下の酸素透過薄膜であり、前記多孔質基板は多孔質アルミナ基板であることを特徴とする、請求項1に記載の酸素透過構造体。
【請求項3】前記酸素透過薄膜は、組成式Lax Sr1-x Coy Fe1-y O(ただし、0<x<1、0<y<1)で表される酸素透過薄膜であり、前記多孔質基板は多孔質アルミナ基板であることを特徴とする、請求項1に記載の酸素透過構造体。
【請求項4】前記酸素透過薄膜は、非晶質、または、微細な結晶粒から成り、膜厚が5μm以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載の酸素透過構造体。
【請求項5】前記セリウム酸化物は、膜厚が5nm以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の酸素透過構造体。
【請求項6】多孔質基板上にセリウム酸化物を堆積し、酸素透過薄膜の組成を有するターゲットを用いてパルスレーザ蒸着により酸素透過薄膜を堆積することを特徴とする、酸素透過構造体の作製方法。
【請求項7】前記多孔質基板はアルミナ多孔質基板であり、前記酸素透過薄膜は組成式Lax Sr1-x Gay Fe1-y O(ただし、0<x<1、0<y<1)で表される酸素透過薄膜、または、組成式Lax Sr1-x Coy Fe1-y O(ただし、0<x<1、0<y<1)で表される酸素透過薄膜であることを特徴とする、請求項6に記載の酸素透過構造体の作製方法。
【請求項8】前記パルスレーザ蒸着時の基板温度は750℃未満であることを特徴とする、請求項6に記載の酸素透過構造体の作製方法。
産業区分
  • 高分子化合物
  • 表面処理
  • 新エネルギー一般
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 資源循環・エネルギーミニマム型システム技術 領域
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