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位相シフト光スイッチ コモンズ

国内特許コード P03P000984
整理番号 K055P03
掲載日 2004年1月23日
出願番号 特願2002-176385
公開番号 特開2004-020970
登録番号 特許第3965624号
出願日 平成14年6月17日(2002.6.17)
公開日 平成16年1月22日(2004.1.22)
登録日 平成19年6月8日(2007.6.8)
発明者
  • 竹内 繁樹
  • ホフマン ホルガ
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 位相シフト光スイッチ コモンズ
発明の概要

【課題】光のπ位相シフトに必要な光強度が小く、極めて微弱な光強度、すなわち、単一光子の位相をπシフトできる光位相スイッチを提供する。
【解決手段】2準位系として近似可能な光応答物質5と、光応答物質5を包含した、反射率の異なる2枚のミラー3,4からな片側キャビティと、片側キャビティに入力する入力光1とを有し、入力光1の強度を制御して、片側キャビティの出力光2の位相シフトを制御する。片側キャビティを使用して入力光1及び放射光を同一の横モードに閉じ込めるので、入射光1と2準位原子の共鳴に伴う光の散逸が抑制され、出力光2の位相が入力光1に対してπシフトする。2準位原子の縦緩和時間Γから定まる入力光強度のしきい値が存在し、しきい値以下であれば、出力光2の位相がπシフトし、しきい値以上であれば、出力光2の位相が変化しない。
【選択図】    図1

従来技術、競合技術の概要
近年の情報通信需要の増大に伴い、光通信技術の高度化要求は止まるところを知らない。一本の光ファイバでより多くの情報を伝送するために、光波長多重通信技術、光周波数チャープ通信技術、あるいは、光位相通信技術等が検討されている。
光位相通信技術は、光パルスを構成する光子の位相を任意に制御することにより、1個の光パルスで複数の異なった情報を表現できるので、情報通信速度を飛躍的に高めると言われている。
従来、光パルスの位相を制御する装置、すなわち、光位相スイッチには、光強度に応じて光の位相をシフトするスイッチがあり、例えば、光ファイバの自己位相変調効果を利用するものがある。しかしながら、この装置は、検知可能な位相シフトを引き起こすのに必要な光強度が、最低でも光子数で109 個程度と極めて大きい光強度を必要とし、また、数キロメートルの長さに及ぶ光ファイバを必要とするため、光通信に実用化できる装置ではない。
【0003】
ところで、光位相スイッチは、光通信技術のみでなく、光子を情報媒体とした、光量子コンピュータ、光量子暗号通信等の光量子情報通信処理技術においても必要不可欠なスイッチである(文献:Phy.Rev.A57,3084(1998)参照)。これらの技術においては、光子間の量子状態をたがいに「もつれ合わせ」る必要があるが、そのためには、極めて微弱な光、すなわち、単一の光子の位相をπシフトできるスイッチが必要不可欠である。
【0004】
近年、単一の光子の位相をシフトする方法として、単一原子とバッドキャビティ(bad-cavity)からなる一次元原子(1-D・atom)システムが提案されている(文献:Appl.Phys.B60,S1-S10(1995)、及び、Phys.Rev.Letters,Vol75,No.25,(1995)pp4710-4713参照)。バッドキャビティとは、原子のダイポールのキャビティ・モードへの結合係数をg、キャビティ内の電場がミラーを通じて外部モードに放出されるレート(キャビティ場ダンピングレートと言う)をκ、キャビティ場以外への原子の自然放出レートをγ、とした場合、κ>g2 /κ>γが成り立つキャビティのことである。このバッドキャビティ条件においては、レートγでのインコヒーレントな放出(自然放出)に比べて、ミラーを通じた外部へのコヒーレントな結合(g2 /κ)のほうが大きく、単一の原子(あるいは等価なシステム)はキャビティモードへと強く結合する。その結果、入力した光子の位相がシフトして出力される。
【0005】
上記文献のシステムは、図5に示すように、ミラーMi、Moからなるバッドキャビティ中にCs(セシウム)原子を供給し、ミラーMiから光子を入射し、ミラーMoから光子を出力する。この出力された光子は、入射光子に対して位相がシフトする。このシステムは、セシウム原子の(6S1/2 ,F=4,m=4)状態から(6P1/2 ,F=4,m=4)状態への遷移を用いている。また、キャビティ長56μm、ガウシャンビーム・ウェスト35μm、透過率がそれぞれ、1.1×10-6、3.5×10-4のフィネス1800程度の2枚の微小凹面鏡を用いて、(κ,g2 /κ,γ)/2πが(75MHz,5.3MHz,2.5MHz)のバッドキャビティ条件を実現している。
【0006】
しかしながら、これらのシステムによって得られる出力光子の位相シフト量は15°程度と低いため、光量子コンピュータ、光量子暗号通信等の光量子情報通信処理技術において必要な、光子数によらずに光子の位相をπシフトできるスイッチとしては利用できない。また、これらのシステムの特性は、入射光子の周波数が、単一原子の共鳴周波数から外れた領域で得られる特性であり、入射光子の周波数が、単一原子の共鳴周波数に一致した場合の特性は知られていない。
産業上の利用分野
この発明は、光子が数個レベルの微弱な光入力に対しても、その光強度に応じて位相をシフトまたは反転することができる光スイッチに関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 2準位系として近似可能な光応答物質と、この光応答物質を包含した片側キャビティとを有し、
上記片側キャビティは、反射率が1の一方のミラーと該一方のミラーよりも反射率が低い他方のミラーからなり、
上記片側キャビティはバッドキャビティ条件を満たし、上記光応答物質の共鳴周波数と一致した波長を中心波長として有する入射光と放射光とが同一の横波モードで閉じ込められ、
入射光強度が上記光応答物質の縦緩和時間に基づくしきい値以下で位相がπシフトして出力することを特徴とする、位相シフト光スイッチ。
【請求項2】 前記バッドキャビティ条件は、前記光応答物質のダイポールのキャビティ・モードへの結合係数をg、前記片側キャビティ内の電場が前記ミラーを通じて外部に放出されるレートをκ、前記片側キャビティ場以外への前記光応答物質の自然放出レートをγとしたとき、κ>g2 /κ>γの成否であることを特徴とする、請求項1に記載の位相シフト光スイッチ。
【請求項3】 前記片側キャビティは、一対のミラーの代わりに、微小球共振器に単一モードファイバーを接触させてカップリングさせたキャビティ、導波路のブラックリフレクターで構成したキャビティ、光結晶で構成したキャビティの何れかであることを特徴とする、請求項1に記載の位相シフト光スイッチ。
【請求項4】 前記光応答物質は、単一の原子であることを特徴とする、請求項1に記載の位相シフト光スイッチ。
【請求項5】 請求項1~4に記載の位相シフト光スイッチをマイケルソン干渉計又はマッハツェンダー干渉計のミラーとして備えたことを特徴とするルーティング装置。
産業区分
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2002176385thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 光と制御 領域
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