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赤外光集光装置 コモンズ

国内特許コード P03P000859
整理番号 B15P01
掲載日 2004年2月24日
出願番号 特願2002-188508
公開番号 特開2004-028900
登録番号 特許第3760196号
出願日 平成14年6月27日(2002.6.27)
公開日 平成16年1月29日(2004.1.29)
登録日 平成18年1月20日(2006.1.20)
発明者
  • 小宮山 進
  • 生嶋 健司
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 赤外光集光装置 コモンズ
発明の概要 【課題】サブミクロン以下の微細な領域に数十ミクロン以上の波長を持つ赤外光を高い効率で集中でき、サブミクロン以下の微細な領域の近接場を高い効率で取り出せ、かつ、走査像を得ることができる赤外光集光装置を提供する。
【解決手段】入射光8または出射光9を高効率でアンテナに結合させる高屈折率媒質からなるソリッドイマージョンレンズ2と、ソリッドイマージョンレンズ2の底面3上に配設した、入射光8または出射光9を幾何学的に共鳴させるアンテナ4と、アンテナ4から突出した先鋭な突端を有する棒状導電体であるプローブ4bと、カンチレバー5を介してプローブ4bの位置を制御する位置制御手段とを有する。入射光8または出射光9のアンテナ4との結合を高誘電率媒質側で行うようにし、幾何学的に共鳴の生ずるアンテナを使用して効率を高めた。
【選択図】    図1
従来技術、競合技術の概要


幾何光学レンズの組み合わせだけでは、光の回折限界のために波長の半分以下の微小領域に集光することは不可能であり、また、波長の半分以下の微小領域からの光のみをピックアップすることは不可能である。しかしながら、光には、マックスウェルの方程式で記述される伝搬波のみではなく、物体の表面の極近傍のみに存在する近接場がある。先端が回折限界以下の微小径を有する先が鋭く尖ったプローブを物体表面の極近傍に近づければ近接場結合が生じ、物体表面に近接場を励起することができ、また、物体の近接場を伝搬光として取り出すことができる。この方法を用いれば、回折限界以下の分解能で物体の光学像を観察でき、また、回折限界以下の分解能でラマン散乱等の物性測定ができる。
しかしながら、従来は、回折限界以下の先鋭な先端を有するプローブ、及び、プローブと物体との位置関係を回折限界以下の分解能で制御する技術がなかったために、近接場の応用はほとんどなされていなかった。



近年、AFM(Atomic Force Microscopy)に代表されるように、原子サイズレベルの径を有するプローブと、プローブ先端と被測定物体との位置関係を3次元方向にわたって原子間距離以下の分解能で制御できるようになり、近接場応用技術が拡がっている。
しかしながら、近接場応用技術は極めて微小領域の光を利用するため、極めて信号強度が小さく、意味のある情報を得るためには、入射光を極めて効率よく微小領域に集光すること、及び、微小領域の近接場を極めて効率よく集光することが必要であり、すなわち、集光効率が極めて高いシステムを必要とする。また、試料の近接場像を得るためには、集光位置を、回折限界以下の分解能で走査できる必要がある。
従来の近接場応用技術には、集光位置を走査できるが集光効率が低い、あるいは、集光効率は高いが集光位置を走査できないといった課題があり、高い集光効率を有し、かつ、高い位置分解能で走査可能な、実用に供し得る装置がない。以下に、従来技術の課題をさらに詳細に説明する。



近接場応用技術の1つには、散乱型の走査近接場学顕微鏡(scattering-type scanning near-field optical microscope:s-SNOM)がある。この装置は、サブミクロン以下の微小領域に赤外光・マイクロ波等の長波長の光を集中し、また、サブミクロン以下の微小領域から出射される赤外光・マイクロ波を集光する装置であり、微小な導電体の先鋭な突端と被測定対象物との間に生ずる近接場結合を利用して、光学的回折限界以下の分解能で各種の測定をおこなう装置である。



図8は、上記走査近接場学顕微鏡の動作原理を説明する図であり、導電体でコーティングしたAFMのカンチレバーに赤外光を集光するs-SNOMの概念図(文献:1999年5月113日ネイチャー誌第399巻134ページ(B.Knoll and F.Keilmann、Nature 399(1999)134-137))である。
赤外光701が、外部の自由空間からカンチレバー702にコートされた導電体703に入射し、導電体703の突端704に近接場として集中する。この近接場は、試料保持台705に搭載された試料706の突端704に近接した領域と近接場結合する。また、試料706の近接場は、導電体703の突端704と近接場結合して伝達され、導電体703がアンテナとなって外部空間に赤外光706を出射する。入射赤外光701も出射赤外光706も、共に通常の光学レンズ(図示されていない)によって集光される。



この装置によれば、カンチレバー702を走査することにより、微小試料706全体の近接場による像を回折限界以下の分解能で観察することができる。
しかしながら、赤外光701がアンテナ703に結合する割合は、外部空間の誘電率をε0 、試料保持基板705の誘電率をεs とすると、因子(ε0 /εs 3/2 に比例し、ε0 <εs であるので、導電体703のアンテナとしての効率が低い。同様に、微小試料706からの近接場は、誘電率の大きな試料保持基板705と結合する割合が大きく、試料保持基板705の内部に大部分出射されてしまい、赤外光706として出射される割合が少ない。このように、このシステムは、入射赤外光を試料に集光する効率、及び試料からの近接場を出射赤外光として集光する効率、すなわち、集光効率が低いという課題がある。



従来の近接場応用技術の他の例を示す。
図9は、試料保持基板側から光を入射させてラマン散乱光を得る方法(文献:2001年5月2日ケミカル・フィジックス・レターズ誌第355巻369ページ(H.Hayazawa et al.、Chem.Phys.Lett.355(2001)369))を示す図である。
入射光801が、通常の光学レンズ802によって集光され、オイル803と銀薄膜804でコートした基板805を通過して試料806へ集中し、その集中した光による近接場が、導電体807でコートしたカンチレバー808の突端809に励起される表面プラズモンポラリトン(surfaceplasmon polariton)により強められる。同様に、試料806からのラマン散乱光810は、突端809に励起される表面プラズモンポラリトンにより強められて取り出され、基板805およびオイル803を通過してレンズ802によって集光される。
この方法によれば、カンチレバー808を走査することにより、試料806のラマン散乱走査像を回折限界以下の分解能で観察することができる。



しかしながらこの方法においては、導電体807全体の幾何学的大きさが考慮されていないために、導電体807のアンテナとしての機能が小さい。さらに、アンテナとしての機能は、試料保持基板805の銀コーティング804が及ぼす遮蔽効果のためにさらに抑えられる。このように、アンテナとしての集光作用が欠如しているため、微小試料806からの近接場を出射光810に変換する変換効率が低い。すなわちこのシステムは、集光効率が小さいという課題がある。



ところで、遠赤外技術分野においては、遠赤外領域の微細な吸収器のための効率の良い集光方法が知られている。
図10は、遠赤外領域の微細な吸収器のために従来から一般的に用いられている、効率の良い集光方法を示す概念図である(文献参照:1983年、“インフラレッド アンド ミリメーター ウエイブス 10巻”、ミリメーター コンポーネンツ アンド テクニクス 分冊II、第一章、アカデミック プレス社(“Infrared and Millimeter Waves、Volume10”、Millimeter Components and Techniques、Part II、Chapter 1(1983)、ed.by Academic Press Inc.))。
入射光901が誘電体製のソリッドイマジョンレンズ902に入射して焦点位置にある平面ダイポールアンテナ(planar dipole antenna)または平面スロットアンテナ(planar slot antenna)903に集光される。さらに、アンテナに集光された入射光は、アンテナにより幾何学的に共振して、アンテナの中心位置に配置された微少な遠赤外ピックアップ器904に集中する。この方法は、遠赤外光がアンテナによって幾何学的に共鳴するため効率良く高感度に吸収できる。
従って、遠赤外吸収器904の位置に遠赤外吸収器に替えて被測定試料を配置すれば、近接場905を効率良く取り出すことができる。



しかしながら、ソリッドイマージョンレンズ902の平面上に、平面ダイポールアンテナ(planar dipole antenna)903、または、平面スロットアンテナ(planar slot antenna)903が固定されているため、集光位置を走査することができない。

産業上の利用分野


本発明は、赤外光、または、マイクロ波を微細な領域へ集光する、または、微細な領域から出射される赤外光・マイクロ波を集光する装置(赤外光集光装置と称する)に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 入射光を入力する、または、出射光を出力するソリッドイマージョンレンズと、このソリッドイマージョンレンズの底面から有効波長の1/4以下の距離を離して配設したプローブを有するアンテナと、このアンテナを保持する保持具と、上記プローブの先端の位置を上記保持具を介して制御する位置制御手段とを有し、
上記位置制御手段を操作して、上記ソリッドイマージョンレンズの底面に配置した試料の所望の位置に、入射光を近接場として集中する、または、上記試料の所望の位置からの近接場を伝搬波に変換して上記ソリッドイマージョンレンズから上記出射光として出力することを特徴とする、赤外光集光装置。
【請求項2】 前記ソリッドイマージョンレンズは、前記入射光または出射光の波長において、吸収係数が小さく、かつ、誘電率が大きい媒質から構成することを特徴とする、請求項1に記載の赤外光集光装置。
【請求項3】 前記アンテナは、前記入射光または出射光の有効波長の半分の長さの導電体から成り、上記入射光を幾何学的に共鳴させて集光するか、または、前記試料の前記プローブ先端近傍の近接場を幾何学的に共鳴してピックアップし、前記ソリッドイマージョンレンズの媒質中に伝搬波として放射することを特徴とする、請求項1又は2に記載の赤外光集光装置。
【請求項4】 前記プローブは、このプローブの先端の曲率が前記入射光または出射光の回折限界以下の先鋭な突端を有する棒状導電体から成り、前記導電体上に前記被測定試料に向かって突出して配設され、前記アンテナに幾何学的に共鳴して集光した入射光を上記プローブ先端に近接場として集中する、または、上記試料表面から近接場を取り出すことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の赤外光集光装置。
【請求項5】 前記保持具がアームであり、前記位置制御手段がXYZ-3軸メカニカルステージであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の赤外光集光装置。
【請求項6】 前記保持具がカンチレバーであり、このカンチレバーの背面に当てられたレーザー光の反射角の変化により、前記位置制御手段が前記プローブ先端と前記試料表面との距離を制御することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の赤外光集光装置。
【請求項7】 入射光を入力するまたは出射光を出力する、赤外光領域又はマイクロ波帯域で大きな屈折率を有するソリッドイマージョンレンズと、このソリッドイマージョンレンズの底面に配設したアンテナと、このアンテナに近接して配設した試料を保持するカンチレバーと、このカンチレバーの位置を制御する位置制御手段とを有し、
上記位置制御手段を操作して、上記カンチレバーに保持した試料の所望の位置に上記入射光を近接場として集中する、または、上記試料の所望の位置からの近接場を伝搬波に変換して上記ソリッドイマージョンレンズから上記出射光として出力することを特徴とする、赤外光集光装置。
【請求項8】 前記アンテナは、平面ダイポールアンテナまたは平面スロットアンテナであり、前記ソリッドイマージョンレンズの底面上の焦点位置に配設され、前記入射光を幾何学的に共鳴させて集光し上記焦点位置に近接場として集中する、または、前記試料の上記焦点位置近傍の近接場を幾何学的に共鳴してピックアップし、上記ソリッドイマージョンレンズの媒質中に伝搬波として放射することを特徴とする、請求項7に記載の赤外光集光装置。
【請求項9】 前記平面ダイポールアンテナは、略三角形の2つの導体の頂点を、前記入射光または出射光の回折限界以下の微細距離を離して対向させたボータイアンテナであり、かつ、このボータイアンテナの差し渡し長が上記入射光または出射光の有効波長の1/2であることを特徴とする、請求項8に記載の赤外光集光装置。
【請求項10】 前記平面スロットアンテナは、導体に開けられた略三角形の2つの窓の頂点を前記入射光または出射光の回折限界以下の微細距離を離して対向させたボータイアンテナであり、かつ、このボータイアンテナの差し渡し長が上記入射光または出射光の有効波長の1/2の長さであることを特徴とする、請求項8に記載の赤外光集光装置。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2002188508thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) SORST 平成13年度採択課題
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