TOP > 国内特許検索 > 3元系相図薄膜の作製方法及びそれに用いるコンビナトリアル成膜装置用マスキング機構

3元系相図薄膜の作製方法及びそれに用いるコンビナトリアル成膜装置用マスキング機構 コモンズ

国内特許コード P03P001255
整理番号 A051P320
掲載日 2004年2月24日
出願番号 特願2002-197947
公開番号 特開2004-035983
登録番号 特許第3787719号
出願日 平成14年7月5日(2002.7.5)
公開日 平成16年2月5日(2004.2.5)
登録日 平成18年4月7日(2006.4.7)
発明者
  • 鯉沼 秀臣
  • 松本 祐司
  • 高橋 竜太
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 3元系相図薄膜の作製方法及びそれに用いるコンビナトリアル成膜装置用マスキング機構 コモンズ
発明の概要

【課題】短時間で、かつ、信頼性の高い3元系相図薄膜が作製できるコンビナトリアル成膜装置用マスキング機構を提供する。
【解決手段】第1の円板2内の半径rの円周上に台形形状の開口3と三角形形状の開口4とを有する第1のマスク2と、第2の円板5内の半径rを有する円周上に複数の開口部6を有する第2のマスク5とを有し、中心軸7の回りに互いに独立に回転できる。回転しながら開口3と開口6を重ね合わせると共に3元系相図を構成する第1物質を蒸着する。同様に、逆方向に回転しながら開口3と開口6を重ね合わせると共に第2の物質を蒸着する。次に、回転しながら開口4と開口6を重ね合わせると共に第3の物質を蒸着する。3元系相図に対応した3元系相図薄膜が得られる。
【選択図】    図1

従来技術、競合技術の概要
近年、高温超伝導現象、巨大磁気抵抗現象、高輝度蛍光現象、新触媒現象といった新たな物理現象が数多く発見されている。このような物理現象を発現する材料、組成の探査はコンビナトリアル成膜装置で行われている。
コンビナトリアル成膜装置を用いれば、同一真空工程で、発現可能性のある物質群のライブラリーを1基板上に1度に形成でき、ライブラリーから新物質、新組成の発見、あるいはライブラリーの特性から理論的予測を得ることができる。従来法では100年かかる物質探査をコンビナトリアル成膜装置を用いれば1ヶ月に短縮するといわれている。
コンビナトリアル成膜装置は、基板上の所望の部分のみに物質供給を限定する手段、種類の異なる薄膜の成膜手段、及び基板上の所望の部分の構造を解析する構造解析手段を必須としており、例えば、複数のマスク装置、ターゲット切替装置、アブレーション・レーザ光導入装置、基板加熱用レーザ装置、及び、RHEED装置等を有している。
【0003】
ところで近年、2元系、3元系の新物質の探査の要求が高まっている。例えば、プラズマディスプレイ用蛍光物質には、従来の電子線励起蛍光物質とは異なった特性を有する蛍光物質が必要であり、この蛍光物質は2元系、3元系の新物質で実現されると予測されている。
従来のコンビナトリアル成膜装置による2元系、3元系物質探査は、例えば、図9に示すようにして行っている。
図9は従来のコンビナトリアル成膜装置による2元系、3元系物質探査法を示す図である。例えば図9(a)に示すように、マスク1,2を制御し、物質が蒸着される基板上の部分(ピクセル)を選択し、ターゲット物質A,B,Cを選択して蒸発させる。次に、マスク1,2を制御し、物質が蒸着される基板上の他のピクセルを選択し、ターゲット物質A,B,Cを選択して蒸着する。このような工程をくり返し、1つの基板上に、2元系あるいは3元系の成分比の異なる多数の物質を積層したピクセルを形成し、ピクセル毎に所定の特性を測定し、所望の特性を有するピクセルを見つけだし、成分比を求める。あるいは、図9(b)に示すように、蒸着するピクセルが選択された複数のマスクを配置した回転可能な円盤を用い、この円盤を順次回転させて、成分比の異なる多数の物質を積層したピクセルを形成する。もしくは、図9(c)に示すようにマスクは固定し、基板を回転させ、かつ、ターゲット物質A,B,Cを選択して蒸着することにより、形成する。
【0004】
しかしながら、蛍光物質のように、有用な特性が得られる物質の成分比範囲が狭い場合がある。このような場合、上記のコンビナトリアル装置では、成分比の変化が極めて小さい非常に多くのピクセルを形成しなければならなず、時間がかかるという課題がある。
また、ピクセル毎に、マスク可動、蒸着ターゲットの切り替えが必要であり、初めに形成したピクセルと、最後に形成したピクセルとでは、成膜条件が異なる場合がある。例えば、時間の経過と共に生じる制御不能な基板温度の変化、雰囲気組成の変化等により、再現性の良好なデータが得られない場合がある。このため、再現性といった、得られたデータの信頼性が低いという課題がある。
【0005】
この問題を避けるために、従来は2元系の場合に、下記示す方法で成膜している。
図10は、従来のコンビナトリアル成膜装置を用いた2元系物質探査法を説明する図である。図10(a)に示すように、物質AまたはBの蒸発流に垂直に配置され、開口部を有するマスク1と、マスク1に平行に走査できるマスク2を有するコンビナトリアル装置を用い、基板をマスク1の開口部にまたがって配置する。次に同(b)に示すように、物質Aを蒸発させながら、マスク2をx方向に走査する。マスク2を一定速度でx方向に走査すれば、基板上に蒸着される物質Aの膜厚は、蒸発流に晒されている時間に比例するから、マスクの走査方向、すなわち、x方向に一定割合で厚くなるA物質からなる膜厚分布が得られる。次に、図10(c)に示すように、蒸着する物質をBに替え、図10(b)とは逆位置から-x方向に走査すれば、-x方向に一定割合で厚くなるB物質からなる膜厚分布が得られる。図10(c)の右図に示したように、このようにして作製したA,B物質の膜厚分布は、x方向にA物質の膜厚が、0から100%まで連続変化し、B物質の膜厚が100から0%まで連続変化した積層膜が得られる。蒸着するA,B物質の厚さは、数分子層程度であり、A,B物質が接触した瞬間に基板温度で決まる安定な状態に混合する。A物質の蒸着とB物質の蒸着を1工程として繰り返すことにより、所定の膜厚に形成する。この方法によれば、x方向に成分比が連続変化した2元系相図薄膜が得られ、また、極めて短時間で作製できるので再現性が高い。
【0006】
2元系の場合には、従来のコンビナトリアル成膜装置を用いて、上記の方法を用いれば、短時間に、かつ、信頼性の高い2元系相図に対応した薄膜、すなわち2元系相図薄膜が得られる。
しかしながら、3元系相図に対応する薄膜、すなわち3元系相図薄膜は、従来のコンビナトリアル成膜装置のマスク構成では作製することが困難であった。
産業上の利用分野
本発明は、3元系相図に対応した薄膜を作製できる、コンビナトリアル成膜装置用マスキング機構に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 3元系の相を構成する3種類の物質のそれぞれからなる3種類の薄膜を、互いに方向が異なる3方向に膜厚勾配を有して交互に積層することによって上記3方向の膜厚勾配に対応した上記3種類の物質の濃度勾配が形成される3元系相図薄膜の作製方法において
第1の円板内の同一円周上に台形形状の開口と三角形形状の開口とを有する第1のマスクと、第2の円板内の上記第1の円周と同じ半径を有する円周上に複数の開口部を有する第2のマスクとを有し、上記第1の円板と第2の円板とが共通の中心軸を中心として互いに独立に回転できる構成のマスキング機構を用い、
第2のマスクの開口部を跨いで配置した基板上に、3元系相図薄膜を構成する第1の物質の蒸発物質流中で、上記第1の円板を回転することにより、上記台形の一方の斜辺のマスク作用に基づいて第1の物質の濃度勾配を形成し、
引き続き、上記3元系相図薄膜を構成する第2の物質の蒸発物質流中で、上記第1の円板を上記回転と逆方向に回転することにより、上記台形の他方の斜辺のマスク作用に基づいて第2の物質の濃度勾配を形成し、
引き続き、上記3元系相図薄膜を構成する第3の物質の蒸発物質流中で、上記第1の円板を回転することにより、上記三角形形状の開口のマスク作用に基づいて第3の物質の濃度勾配を形成し、
上記第2の円板を回転して、第2のマスクの開口部を跨いで配置した他の基板上に3元系相図薄膜を形成することを特徴とする、3元系相図薄膜の作製方法。
【請求項2】 前記台形形状の開口は、底辺が前記第1の円板の半径方向に垂直に配置され、この台形の底辺と2つの斜辺とがなす角度をそれぞれ選択し、前記第1及び第2の物質の濃度勾配を所望の方向に形成することを特徴とする、請求項1に記載の3元系相図薄膜の作製方法。
【請求項3】 前記三角形形状の開口は、この三角形の1辺が前記第1の円板の半径方向に垂直に配置され、この三角形の上記一辺に対向する頂点が前記第1の円盤の中心に向いており、この頂点の頂角を選択して、上記半径方向に第3の物質の所望の濃度勾配を形成することを特徴とする、請求項1に記載の3元系相図薄膜の作製方法。
【請求項4】 前記台形形状の開口は、等脚台形形状であり、この等脚台形の前記底辺と斜辺とがなす角度を、前記第1又は第2の円板の半径及び前記第2の円板の開口の大きさに応じて選択して、前記第1の円板の円周方向に対してそれぞれ30°及び150°をなす方向に前記第1及び第2の物質の所望の濃度勾配を形成し、前記三角形形状の開口は、この三角形の1辺が前記第1の円板の半径方向に垂直に配置され、この三角形の上記一辺に対向する頂点が前記第1の円盤の中心に向いており、この頂点の頂角を選択して、上記半径方向に第3の物質の所望の濃度勾配を形成し、上記第1、第2及び第3の物質の濃度勾配が互いに120°をなす3元系相図薄膜を形成することを特徴とする、請求項に記載の3元系相図薄膜の作製方法。
【請求項5】 第1の円板内の同一円周上に台形形状の開口と三角形形状の開口とを有する第1のマスクと、第2の円板内の上記第1の円周と同じ半径を有する円周上に複数の開口部を有する第2のマスクとを有し、
上記第1の円板と第2の円板とが共通の中心軸を中心として互いに独立に回転できることを特徴とする、コンビナトリアル成膜装置用マスキング機構。
【請求項6】 前記第1の円板の台形形状の開口が、等脚台形形状であり、この等脚台形の底辺が上記第1の円板の半径方向に垂直であり、この等脚台形の内角が75°であり、上記第1の円板の三角形形状の開口が、直角二等辺三角形であり、この直角二等辺三角形の斜辺以外の1辺が上記円板の半径方向に垂直であり、前記第2の円板の開口が正方形形状であり、この正方形の1辺が上記第2の円板の半径方向に垂直であり、
かつ、上記等脚台形形状の高さと、上記直角二等辺三角形の斜辺以外の1辺の長さと、上記正方形の1辺の長さとが等しいことを特徴とする、請求項に記載のコンビナトリアル成膜装置用マスキング機構。
産業区分
  • 表面処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2002197947thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 単一分子・原子レベルの反応制御 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close