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電気注入法を用いた動物細胞への細胞内導入物質の導入方法及びその装置 コモンズ

国内特許コード P03P000746
整理番号 K013P01
掲載日 2004年2月24日
出願番号 特願2002-200223
公開番号 特開2004-041023
登録番号 特許第5010793号
出願日 平成14年7月9日(2002.7.9)
公開日 平成16年2月12日(2004.2.12)
登録日 平成24年6月8日(2012.6.8)
発明者
  • 藤森 俊彦
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 電気注入法を用いた動物細胞への細胞内導入物質の導入方法及びその装置 コモンズ
発明の概要

【課題】動物の細胞や受精卵等に、細胞内導入物質を導入する場合に、細胞内導入物質が導入される細胞の負荷を減少させ、容易かつ確実に細胞内導入物質を導入できる方法及び装置を提供すること
【解決手段】従来動物細胞内への細胞内導入物質の導入に用いられてきたマイクロインジェクション法を利用して、この方法に細胞内導入物質を電気泳動により移動する方法を適用し、細胞内導入物質を動物細胞内に、細胞の過剰な負荷を生ずることなく、容易かつ確実に導入できる実用的な方法及び装置を開発した。この方法及び装置によれば、トランスジェニック動物の作製等に際して、外来遺伝子のような遺伝物質を胚に導入する場合に、細胞の過剰な負荷を生ずることなく、容易かつ確実に、微量の遺伝物質を直接、胚の核内に注入し、確実に遺伝物質を胚に導入にすることができる。

従来技術、競合技術の概要
従来、遺伝子や蛋白質のような生体高分子からなる細胞内導入物質を動物生体組織や細胞内に導入するには、ガラス針を動物細胞又は組織細胞にさして該細胞内導入物質を注入するマイクロインジェクション法が利用されている(発生工学実験マニュアル、講談社)。また、同様に物理機械的操作によって遺伝子や蛋白質のような細胞内導入物質を動物生体組織や細胞内に導入する方法として、電気パルスを印加することによって細胞膜に穴を開けるエレクトロポーレーション法が知られている(EMBO J.,1(1982),841-845;Gene,96(1990),23-28)。
【0003】
これらの細胞内導入物質を動物細胞内へ導入する方法において、一般的には、その操作が直接的であり、かつ簡便であることから、通常マイクロインジェクション法が利用されている。マイクロインジェクション法は、中空状のガラスキャピラリーを注入針として用いて、細胞内導入物質を動物細胞内へ導入する。例えば、トランスジェニック動物の作製に際して、外来遺伝子のような細胞内導入遺伝物質を動物の胚等に導入するには、ガラスキャピラリー内に保持した細胞内導入遺伝物質の溶液を、空気或いは油圧によって操作することにより、細胞内へ注入することが行われる。しかし、この方法は、細胞内導入物質を保持している溶液等を細胞内導入物質と一緒に細胞内へ送り込むため、その量の増大により細胞内導入物質が導入された細胞に大きな負荷がかかったり、或いは細胞を破壊したりして、細胞内導入物質の導入が確実に行えないという問題があった。したがって、マイクロインジェクション法によって、細胞内導入物質を細胞内に導入するに際しては、微量の細胞内導入物質を細胞内へ注入する必要があるが、その操作は難しく、熟練者でないと効率の良い注入ができないという問題があった。
【0004】
そこで、微量の細胞内導入物質の細胞内への導入を可能とするために、いくつかの方法が開発されている。例えば、特開平2-269583号公報及び特開平3-119989号公報には、先端に慣性体を取り付けた圧電素子又は電歪素子を摩擦面に置かれた移動体に取り付け、該圧電素子又は電歪素子に電界を加えることにより圧電素子又は電歪素子を運動させ、この運動エネルギーと慣性体の慣性作用及び前記移動体に作用する反力を利用し移動体を微小駆動させる微小駆動力発生体を利用して、動作の操作精度の高いマイクロマニピュレーターが開示されている。
【0005】
また、特開平6-343478号公報には、微動な動作が可能な位置決め装置に固定した針の先に、予め細胞に注入したい物質を電着法により塗布しておき、該針を細胞に近づけゆっくりと挿入し、該針とは別の針を、該針とは反対側から挿入し、両方の針の間に電源から電圧を加えることにより電着固定した物質を細胞内に開放することによってマイクロインジェクションを行う方法が開示されている。更に、特開平8-322568号公報には、前核期受精卵の前核内にDNAを顕微注入するに当たり、前核期受精卵の核膜にDNAを入れた注入ピペットの針先を圧し当てた後、針先に微振動を与えることにより核膜を貫通させてDNAを注入する方法が開示されている。
【0006】
一方で、マイクロインジェクションにより細胞内に導入する物質を、試料溶液として細胞内に導入する場合に、細胞への負荷を軽減するために、導入物質を電気泳動により移動させて、注入する方法が提案されている。該方法は、マイクロインジェクションに用いるガラスキャピラリーインジェクターにおける試料に、電圧を印加して、試料を電気泳動により移動させて微量の試料のみを細胞内に移動し、注入する方法である。特開平5-192171号公報には、細胞内への試料の導入を行うガラスキャピラリーの両端に高電圧を印加することにより、荷電した物質を電気泳動させて、細胞内に導入する方法が開示されている。しかし、この開示された方法では、電極がガラスキャピラリー外の両端に位置しているため、試料導入に際しての微妙なコントロールが難しいという問題がある。
【0007】
更に、電気泳動を用いたマイクロインジェクション法に関して、Cecilca W. Loらの報告がある。Loらの報告の方法は、「イオン電気導入法(Iontophoretic microinjection)」と称して、マウスの組織培養細胞やマウスの胚に、DNAを導入して形質転換を行うに際して、パルス電流のような電流を用いて、注入用のマイクロピペットから、導入細胞内へDNAを導入する方法(ミクロ電気泳動と呼ぶ)が報告されている(Mol. Cell. Biol., 3(10)(1983), 1803-14、Mouse Genome. 90(4)(1992), 684-686)。しかし、これらの報告には、具体的方法やそれに用いた装置の具体的なものは、開示されていない。
産業上の利用分野
本発明は、電場を用いた細胞内導入物質の動物細胞内への導入方法(電気注入法)及びそのための装置、特には、外来遺伝子のような遺伝物質を動物の胚のような動物細胞内へ導入するに際して、電場を形成させ、細胞内導入物質の電気泳動により、細胞内導入物質を動物細胞内に導入する細胞内導入物質の動物細胞への導入方法及びそのための装置に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 細胞内導入物質導入針のガラスピペット内に設置された一方の電極と、細胞内導入物質導入細胞の細胞外に位置し、細胞内導入物質導入針による細胞内導入物質の細胞内導入方向に設置された細胞内導入物質導入細胞保持用ピペット内に設置されたもう一方の電極の間に、電場を形成させ、細胞内導入物質の電気泳動により、細胞内導入物質を動物細胞内に導入することを特徴とするイン ビトロにおける細胞内導入物質の動物細胞への導入方法。
【請求項2】 二つの電極の間に形成される電場が、電気パルスにより形成される電場であることを特徴とする請求項1記載のイン ビトロにおける細胞内導入物質の動物細胞への導入方法。
【請求項3】 電極の間に形成される電場が、方形パルス発生装置により形成され、電圧、電気パルスの通電時間、パルスの切断時間、パルスの回数を変更することにより、細胞内導入物質の動物細胞への導入を調整可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のイン ビトロにおける細胞内導入物質の動物細胞への導入方法。
【請求項4】 細胞内導入物質が、外来遺伝子であることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のイン ビトロにおける細胞内導入物質の動物細胞への導入方法。
【請求項5】 請求項1記載の細胞内導入物質の動物細胞への導入方法を用い、非ヒト動物の胚の核に、細胞内導入物質を直接注入することを特徴とする細胞内導入物質の非ヒト動物細胞への導入方法。
【請求項6】 動物の胚が置かれている注入用チャンバー内及び細胞内導入物質導入細胞保持用ピペット内を、非ヒト動物細胞培養用液体培地で満たし、注入用ピペット内には導入に用いるDNA溶液で満たしたことを特徴とする請求項5記載の細胞内導入物質の非ヒト動物細胞への導入方法。
【請求項7】 ガラスピペット内に、方形電気パルス発生装置に接続した一方の白金電極を設置した細胞内導入物質導入用導入針と、細胞内導入物質導入細胞の細胞外に位置し、細胞内導入物質導入針による細胞内導入物質の細胞内導入方向に設置された、ホルダー内に方形電気パルス発生装置に接続したもう一方の白金電極を設置した細胞内導入物質導入細胞保持用ピペットホルダーを装備した細胞内導入物質の動物細胞への導入装置。
【請求項8】 細胞内導入物質導入用導入針を、該導入針を動作するための注入用油圧インジェクターへ、細胞内導入物質導入細胞保持用ピペットホルダーを、該ピペットホルダーを動作するための保持用油圧インジェクターへ連結したことを特徴とする請求項7記載の細胞内導入物質の動物細胞への導入装置。
【請求項9】ピペットホルダーが、ピペットホルダーの途中に穴をあけ、白金電極を通し、油圧がもれないように樹脂で封入してあり、ホルダーの両端からのみオイルが通過するように作製されていることを特徴とする請求項8記載の細胞内導入物質の動物細胞への導入装置。
【請求項10】 白金電極の長さを、電極の先端部がピペットの先端部に到達する長さにし、ホルダーを金属製とし、絶縁のためにホルダー全体を樹脂コーティングしたことを特徴とする請求項7~9のいずれか記載の細胞内導入物質の動物細胞への導入装置。
【請求項11】 導入針及び保持用ピペット内に設置された二つの電極は、方形パルス発生装置に連結されており、電圧、電気パルスの通電時間、パルスの切断時間、パルスの回数を変更可能にされており、細胞内導入物質の動物細胞への導入を調整できるようにされていることを特徴とする請求項7~10のいずれか記載の細胞内導入物質の動物細胞への導入装置。
【請求項12】 導入針及び保持用ピペット内に設置された二つの電極は、陰極及び陽極が相互に変換可能に設けられていることを特徴とする請求項11記載の細胞内導入物質の動物細胞への導入装置。
産業区分
  • 微生物工業
  • 高分子化合物
  • 工業用ロボット
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 認識と形成 領域
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