TOP > 国内特許検索 > リグニン系マトリックスを有する複合材料

リグニン系マトリックスを有する複合材料 コモンズ

国内特許コード P04A004137
整理番号 A152P32
掲載日 2004年5月14日
出願番号 特願2002-235216
公開番号 特開2004-075751
登録番号 特許第4090813号
出願日 平成14年8月12日(2002.8.12)
公開日 平成16年3月11日(2004.3.11)
登録日 平成20年3月7日(2008.3.7)
発明者
  • 舩岡 正光
  • 永松 ゆきこ
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 リグニン系マトリックスを有する複合材料 コモンズ
発明の概要 【課題】脱複合が容易なリグノフェノール誘導体複合材料。
【解決手段】リグニン系マトリックスは(a)フェノール誘導体のフェノール性水酸基のオルト位炭素原子が、リグニンのアリールプロパンユニットのC1位の炭素原子に結合した第一の1,1-ビス(アリール)プロパンユニットを有するリグノフェノール誘導体、(b)リグノフェノール誘導体の水酸基保護処理、アルカリ処理、及び架橋性基導入反応から選択される1種の反応を行って得た二次誘導体、(c)リグノフェノール誘導体の水酸基保護処理、アルカリ処理、及び架橋性基導入反応から選択される2種以上の反応を行って得られた高次誘導体、(d)架橋性基導入反応により得られる二次誘導体が架橋されている二次誘導体の架橋体、(e)架橋性基導入反応を経て得られる高次誘導体の架橋体、の一種又は二種以上を有し、当該リグニン系ポリマーはアルカリ処理により脱複合させるのに十分な量を含有する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


人工構築物には、繊維強化プラスチックや鉄筋コンクリートなど、マトリックス中に強化材料としてのフィラーを保持させた複合材料が多い。しかしながら、人工の複合材料は、強度などの機能が優先して追求されている。このため、複合化するに際して、複合化されたマトリックスと分散材とを合理的に解体する手法や次段階での利用が全く考慮されていないのが現状である。したがって、これらの人工構築物は、一旦構築されその後不用になると、それぞれの材料に分解することができないため、そのまま廃棄されるか、あるいは粉砕されて骨材や路盤材などに使用される他は、ほとんど再利用の途はない。



一方、自然界における典型的な複合材料には、植物細胞壁がある。植物細胞壁は、セルロースとリグニンとが強固な複合構造を形成することにより、高い物理的強度と耐久性とを発現している。すなわち、植物細胞壁においては、直鎖状のセルロースが集合化したセルロースミクロフィブリルが異なる配向で交絡して骨格を形成し、この骨格の空隙を疎水性ネットワークポリマーであるリグニンが充填する複合構造を構成している。さらに、ヘミセルロースが、セルロース骨格を被覆するように存在し、リグニンとの親和性を強化し、複合構造の強靭化に寄与している。
植物体におけるリグノセルロース系複合構造は、長期にわたってその複合状態を維持し、一旦土に還れば、地中の微生物により容易にその複合状態が解放されて、自然界の炭素循環サイクルにフローさせることができる。
すなわち、リグノセルロース系複合体は、地球全体における炭素供給バランスの調節機能を担っている重要でかつ莫大な炭素資源であるといえる。したがって、当該複合体の利用を考える場合、セルロース及びリグニンを長期的に活用していくことが、炭素供給バランスを維持していく上で重要である。



現在までのところ、リグノセルロース系複合体の利用形態は様々であるが、木工品などの他、ファイバーやチップなどの成形材料として他の材料と複合されて使用されることが多い。成形体の機能的観点から、これらの成形材料は、熱硬化性樹脂によって結合されて成形体とされている。しかしながら、熱硬化性樹脂を使用しているために、廃棄時にファイバーやチップとの分離が困難となり、結果として、リグノセルロース系資源の再利用は困難となっている。
一方、リグノセルロース系複合体中のセルロースは、ファイバー化とシート化とを繰り返すことによって再利用が図られている。しかしながら、同時に分離されたリグニンに関しては、燃料として消費されることが主体となっており、その一部が限定された用途に再利用されているに過ぎない。



本発明者らはこれまでの研究により、濃酸による炭水化物の膨潤に基づく組織構造の破壊と、フェノール誘導体によるリグニンの溶媒和とを組み合わせてリグニンの不活性化を抑制しつつ、リグノセルロース系物質を炭水化物とリグニンのフェノール誘導体(以下、リグノフェノール誘導体という。)とに分離する方法を開発している(特開平2-233701号)。この方法で得られたリグノフェノール誘導体の活用法としては、例えば、セルロース系ファイバー等の成形材料に適用し成形体を作製することが報告されている(特開平9-278904号)。かかるリグノフェノール誘導体は、1,1-ビス(アリール)プロパンを高頻度構成単位として有するリグニン系ポリマーであって、高粘結性を潜在的に有していることがわかっている(特開平9-278904号)。
さらに、かかるリグノフェノール誘導体は、メチロール化することにより架橋性を付与でき、リニアあるいはネットワーク状の架橋構造を構築できると同時に、アルカリ処理によって、再び低分子化して溶媒中に溶解されることも、本発明者らにより見出されている(特開2001-261839号公報)。

産業上の利用分野


本発明は、リグニンから誘導されたリグノフェノール誘導体、その二次誘導体、高次誘導体をマトリックスとして用いる複合材料に関する。詳しくは、リグノフェノール誘導体及び/又はその二次誘導体をマトリックスとすることで、フィラーなどの分散材を集合させて複合材料とする一方、前記誘導体を物理化学的処理により構造変換させマトリックスを脱複合可能な複合化技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リグニン系マトリックス を有する複合材料の製造方法であって、
以下の(a)~(c):
(a)フェノール誘導体のフェノール性水酸基に対してオルト位の炭素原子が、リグニンのアリールプロパンユニットのC1位の炭素原子に結合した第一の1,1-ビス(アリール)プロパンユニットを有するリグノフェノール誘導体
(b)前記リグノフェノール誘導体に対して、水酸基保護処理、アルカリ処理、及び架橋性基導入反応から選択される1種の反応を行って得られ、かつ前記第一のユニットを有する二次誘導体、及び
(c)前記リグノフェノール誘導体に対して、水酸基保護処理、アルカリ処理、及び架橋性基導入反応から選択される2種以上の反応を行って得られ、かつ前記第一のユニットを有する高次誘導体
からなる群から選択される1種あるいは2種以上のリグニン系ポリマーであって少なくとも架橋性基導入反応を経たリグニン系ポリマーの、目的とする複合材料をアルカリ処理により脱複合させるのに十分な量と、
前記リグニン系マトリックス に複合化される他の構成材料と、
を含有するマトリックス組成物を、加圧及び/又は加熱して成形するとともに前記導入した架橋性基を架橋させる工程を備える、方法。

【請求項2】
前記(a)リグノフェノール誘導体は、フェノール性水酸基に対する少なくとも一つのオルト位が置換されていないフェノール誘導体を含む1種あるいは2種以上のフェノール誘導体が添加されたリグノセルロース系材料と、酸とを接触させて得られる、請求項1記載の製造方法。

【請求項3】
前記フェノール誘導体は、パラ位に置換基を有し残存するオルト位が置換されていない、請求項1又は2に記載の製造方法

【請求項4】
前記フェノール誘導体は、p-クレゾールである、請求項3記載の製造方法

【請求項5】
前記フェノール誘導体は、パラ位と残存するオルト位とに置換基を有する、請求項1又は2に記載の製造方法

【請求項6】
前記フェノール誘導体は、2,4-ジメチルフェノールである、請求項5記載の製造方法

【請求項7】
前記フェノール誘導体が、パラ位に置換基を有し残存するオルト位が置換されていないフェノール誘導体と、パラ位と残存するオルト位とに置換基を有するフェノール誘導体とを含む、請求項1又は2に記載の製造方法

【請求項8】
前記フェノール誘導体は、p-クレゾール及び2,4-ジメチルフェノールである、請求項7記載の製造方法

【請求項9】
前記リグノフェノール誘導体は、フェノール誘導体のフェノール性水酸基に対してパラ位の炭素原子が、リグニンのアリールプロパンユニットのC1位の炭素原子に結合した第二の1,1-ビス(アリール)プロパンユニットを有する、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法

【請求項10】
前記リグノフェノール誘導体は、フェノール性水酸基に対する少なくとも一つのオルト位が置換されていないフェノール誘導体と少なくともパラ位が置換されていないフェノール誘導体とを含むフェノール誘導体が添加されたリグノセルロース系材料と、酸とを接触させて得られる、請求項9記載の製造方法

【請求項11】
前記第二のユニットを構成するフェノール誘導体は、2つのオルト位に置換基を有する、請求項9又は10記載の製造方法

【請求項12】
前記フェノール誘導体は、2,6-ジメチルフェノールである、請求項11記載の製造方法。

【請求項13】
前記リグニン系マトリックス には、無機系材料を含有する、請求項1~12のいずれかに記載の製造方法

【請求項14】
前記無機系材料は、金属塩である、請求項13記載の製造方法

【請求項15】
前記無機系材料は、アルカリ非膨潤性である、請求項13又は14に記載の製造方法

【請求項16】
アルカリ膨潤性材料を含有する、請求項1~15のいずれかに記載の製造方法

【請求項17】
前記アルカリ膨潤性材料はセルロース系材料である、請求項16記載の製造方法

【請求項18】
さらに、ファイバー材料を含有する、請求項1~17のいずれかに記載の製造方法

【請求項19】
複合材料の使用方法であって、
リグニン系マトリックス を有する複合材料であって、
前記リグニン系マトリックス は、以下の(a)~(e):
(a)フェノール誘導体のフェノール性水酸基に対してオルト位の炭素原子が、リグニンのアリールプロパンユニットのC1位の炭素原子に結合した第一の1,1-ビス(アリール)プロパンユニットを有するリグノフェノール誘導体
(b)前記リグノフェノール誘導体に対して、水酸基保護処理、アルカリ処理、及び架橋性基導入反応から選択される1種の反応を行って得られ、かつ前記第一のユニットを有する二次誘導体
(c)前記リグノフェノール誘導体に対して、水酸基保護処理、アルカリ処理、及び架橋性基導入反応から選択される2種以上の反応を行って得られ、かつ前記第一のユニットを有する高次誘導体、
(d)前記二次誘導体のうち架橋性基導入反応により得られる二次誘導体が架橋されている二次誘導体の架橋体、及び
(e)前記高次誘導体のうち、架橋性基導入反応を経て得られる高次誘導体が架橋されている高次誘導体の架橋体
からなる群から選択される1種あるいは2種以上のリグニン系ポリマーを有する複合材料を、アルカリ処理して、脱複合する工程と、
前記脱複合工程において得られたアルカリ処理されたリグニン系マトリックス中の前記リグニン系ポリマーに対して、水酸基保護処理、アルカリ処理、及び架橋性基導入反応から選択される1種あるいは2種以上の反応を施して、より高次の誘導体を得る工程、
とを備える、方法。

【請求項20】
前記フェノール誘導体は、パラ位に置換基を有し残存するオルト位が置換されていないフェノール誘導体及び/又はパラ位と残存するオルト位とに置換基を有するフェノール誘導体を含む、請求項19に記載の使用方法。

【請求項21】
前記リグニン系マトリックス には、無機系材料を含有する、請求項20に記載の使用方法。

【請求項22】
アルカリ膨潤性材料を含有する、請求項19~21のいずれかに記載の使用方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2002235216thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 資源循環・エネルギーミニマム型システム技術 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close