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電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法および装置 コモンズ

国内特許コード P04A004186
整理番号 ID5060
掲載日 2004年6月4日
出願番号 特願2002-275775
公開番号 特開2004-109075
登録番号 特許第3955899号
出願日 平成14年9月20日(2002.9.20)
公開日 平成16年4月8日(2004.4.8)
登録日 平成19年5月18日(2007.5.18)
発明者
  • 豊岡 了
  • 門野 博史
出願人
  • 国立大学法人埼玉大学
発明の名称 電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法および装置 コモンズ
発明の概要

【課題】電子的スペックル干渉法を用いて、観察物体の動的な変形、振動、歪等を高精度に計測する方法および装置において、時間領域における位相変化曲線の位相アンラッピング処理を行う際に、該位相変化曲線における位相の接続点の検出を自動化する程度まで容易なものとする。
【解決手段】スペックルパターン画像の各点毎の、時間領域における強度から、平均強度を引いて強度の余弦成分を算出するステップ(32)と、該余弦成分に対して、時間領域におけるヒルベルト変換処理を施して、強度の正弦成分を算出するステップ(33)と、算出された余弦成分と、算出された正弦成分との比の逆正接を求め、物体位相を決定するステップ(34)と、アンラッピング演算処理を行うステップ(35)と、3次元的変形分布データを表示し得るような形態で出力するステップ(36)からなる。
【選択図】     図1

従来技術、競合技術の概要
干渉法によって鏡面状態にある物体の表面状態を測定するために、位相分布(表面状態に対応)を簡単に求めたいという要求は、近年の技術の高度化に伴い光学分野や電子分野を中心に極めて強いものとなっている。特に、干渉測定において、このような観察物体の位相分布を求める手法については、主として位相シフト法と空間的フーリエ変換法(空間キャリアを導入したフーリエ変換法;以下同様)を用いたものが従来より知られている。
【0003】
位相シフト法は、干渉計の物体光と参照光の間で、一般には2πを整数分の一に分割した位相角ずつ位相をずらした各干渉パターン画像のパターン情報に基づき観察物体の位相分布を求めるもので、2πをN等分したN枚の干渉パターン画像から得られる所定の空間領域における強度信号は下記(1)式で与えられる。
【0004】
【数2】
【0005】
ここで、φ(x,y)は求めるべき位相である。また、Iは平均強度、γは干渉パターンの可視度(モデュレーション)であり、いずれも未知量である。簡単な例として、N=4の場合は、下記(2)式より求められる。
【0006】
【数3】
【0007】
次に、フーリエ変換法について説明する。干渉計の一方の光路をy軸周りに微小角θだけ傾けると、下記(3)式で与えられる空間的な強度分布が得られる。
【0008】
【数4】
【0009】
ここで、f=sinθ/λは、光路を傾けたことによって生じたキャリア縞の空間周波数である。上記(3)式をx方向にフーリエ変換すると、下記(4)式が求まる。
【0010】
【数5】
【0011】
この(4)式の右辺は、fが十分大きければ空間周波数軸上で3つの項を互いに分離できることを示している。そこで、fを十分大きくとって右辺の第2項のみを取り出し、他の項をカットするフィルタに通すと、下記(5)式が得られる。
【0012】
【数6】
【0013】
この(5)式の右辺の実部と虚部の比(逆正接)から、下記(6)式が求められる。
【0014】
【数7】
上述した従来の2方法は、いずれも、求めようとする未知量φ(x,y)が他の未知量I、γとは無関係に求められる。位相値は[-π、π]の間の主値として求められる。位相シフト法を用いた際に、位相が線形的に変化する様子を図8に示す。上記(6)式の分母が余弦関数、分子が正弦関数であり、その比の逆正接により、2πごとに位相跳びが生じる鋸歯状の位相分布が得られる。位相跳びの位置を判定し、この各位値の右側のデータに2πの位相値を加える(または差し引く)ことによって位相跳びを補正し、物体の形状に比例した位相分布を得ることができる。この処理を位相アンラッピングと称する。
【0015】
一般に、位相シフト法では2次元干渉パターンの1点の位相を、その点の位相シフトした複数のデータから解析することができる。したがって、空間的に別の点の影響を受けることはない。それに対して、フーリエ変換法においては、空間キャリアからなる1直線上のデータ全てに亘ってフーリエ変換の演算を施さなければならないので、各点の位相を他の点と独立に求めることはできない。
【0016】
その一方で、位相シフト法では複数枚の位相シフトした干渉パターン画像を取り込む期間に亘って観察物体が静止していなければならない。それに対して、フーリエ変換法においては、キャリア成分さえ作っておけば1枚の干渉パターン画像から位相解析ができるので、動的な現象に適しているといえる。換言すれば、位相シフト法は観察対象に対して空間的な制限は緩いが時間的には定常であることが必須であり、フーリエ変換法においては観察対象は空間的には空間キャリア周期に比べて十分緩やかな分布あるいは一様とする必要があるが、時間的には動いていてもかまわないといえる。
【0017】
しかしながら、観察対象が時間的に変化し、かつ空間的にも一様でないあるいは急激に変化する場合にはこれらの方法を適用することはできない。例えば、材料の塑性変形から破壊に至る過程は非線形的で、その歪測定においては、時間的かつ空間的な変形分布を測定する必要があるが、このような測定において上記2つの方法を適用することは理論的に難しい。
【0018】
このような時間的、かつ空間的な変動がある場合に有効な干渉法としては、動的スペックル干渉法が知られている。
【0019】
スペックル干渉法は、粗面物体をレーザ光で照射したときに観察面に生じる斑点状の模様(スペックルパターン)を利用する干渉法である。スペックルパターンは一般の結像系では画像ノイズとして好ましくないものとされる。しかし、位相情報を担っておりその変化から変形を見積もることができる。また、スペックル干渉法では光の波長を基準とした高精度な変形測定が可能になる。
【0020】
図9に、2光束照射型のスペックル干渉装置を示す。粗面物体である観察物体100は、xz面内で略対称に配された、レーザ光源101からの2光束102A、102Bによって照明される。観察物体100によって拡散反射した光束はCCDカメラ103の結像面上に干渉スペックルパターンを形成する。この後、得られた干渉スペックルパターン画像を解析して、観察物体100の表面形状に応じた位相解析を行うこととなる。
この位相解析手法として、和差法なる手法が知られている。
【0021】
一般に、スペックルパターン画像の位相解析においては、観察物体100の変形前後のスペックルパターンを撮像し、それらの画像点毎の強度の差を計算する。相関の強い場所、すなわち変形による位相変化が0または2πの整数倍の位置では差強度が0に近くなり、一方、相関の弱い場所では差強度が大きな値をとることから、2画像の強度差Isubの絶対値を計算することによって、変形量に応じた相関パターンが得られる。
【0022】
上述した和差法においては、強度差Isubの情報に加えて強度和Iaddの情報を利用することによって、可視度(モデュレーション)γとは無関係に位相を求める。
【0023】
ここで、図9に示すように、2つの光束102A、102Bの各光路上にそれぞれシャッタ104A、104Bを置き、一方の光束のみで物体を照射したときの時間領域における画像点毎の各強度分布I(x;t)、I(x;t)をあらかじめ測定しておく。
スペックル干渉装置の光学系(面内変形あるいは面外変形測定系)において得られる干渉パターンI(x;t)は一般的に下記(7)式のように表される。
【0024】
【数8】
【0025】
ここで、I(x;t)はI(x;t)およびI(x;t)の平均強度、θ(x;t)はランダムなスペックル位相、γ(x;t)は変調度(モデュレーション)、φ(x;t)は物体位相である。
【0026】
次に、物体変形前の強度をIbefore(t=t)とし、変形後の強度をIafter(t=t)とするとそれぞれ下記(8)式、(9)式のように表される。
【0027】
【数9】
【0028】
これらの強度パターンに対して差Isubおよび和Iaddを計算し同時に局所平均を取ると、下記(10)式、(11)式のように表される。
【0029】
【数10】
【0030】
ここで、< >は局所的空間平均を表す。c,c′は定数である。平均強度Iは局所的な時間平均により求めることができる。また、Δφ=φ-φであり時刻tと時刻tの間の物体の変形を表す。
これら2つの成分に対して下記(12)式で表される演算を行うことにより、物体位相が求められることになる。
【0031】
【数11】
【0032】
しかしながら、上述した和差法を用いた場合には、上述した(10)式および(11)式に示すように正弦および余弦の各成分に対して絶対値をとっているため、図10に示すような直線的に増加する物体位相に対して、実際に得られる位相曲線は、前述したような位相跳びは生じないが、その代わりに図10の実線で示されるような位相の折り返しを有する。これに対しては、折り返しの各区画に番号nを付け、下記(13)式を用いて位相を接続する(位相アンラッピングする)ことで元の物体位相を復元することができる。
【0033】
【数12】
産業上の利用分野
本発明は、電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法および装置に関し、詳しくは、動的物体の時間的変形についてのスペックル干渉画像を解析する際に、位相アンラッピングを良好に行い得る電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法および装置に関するものである。
特許請求の範囲 【請求項1】スペックル干渉法を用いて得られた、動的被観察体の位相情報を担持したスペックルパターン画像に基づき、所定位相範囲に位相ラッピングされた被観察体の位相変化曲線を解析により求め、この後、該位相変化曲線を位相アンラッピングする、電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法において、
所定時間毎に得られた複数の前記スペックルパターン画像に基づき、画像各点毎の時間領域における強度信号を求め、該強度信号の余弦成分を抽出し、抽出された該余弦成分に、時間領域におけるヒルベルト変換処理を施して前記強度信号の正弦成分を求め、求められた該正弦成分と前記余弦成分の比に基づいて前記画像各点毎の位相変化を求めて、前記被観察体の位相変化曲線を得ることを特徴とする電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法。
【請求項2】前記ヒルベルト変換処理は下式を用いて行われることを特徴とする請求項1記載の電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法。
【数式1】
ここで、t、t′は時間、f(t)は時間の関数を表す
【請求項3】前記画像各点毎の時間領域における強度信号I(x;t)の位相項に、該位相項が単調増加または単調減少となるような時間キャリアを導入する位相成分ωtを加算または減算することを特徴とする請求項1または2記載の電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法。
【請求項4】前記動的被観察体が引っ張り試験に供された試験片であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の電子的スペックル干渉法を用いた変形計測方法。
【請求項5】スペックル干渉法を用いて得られた、動的被観察体の位相情報を担持したスペックルパターン画像に基づき、所定位相範囲に位相ラッピングされた被観察体の位相変化曲線を解析により求めるとともに、該位相変化曲線に位相アンラッピング処理を施す、電子的スペックル干渉法を用いた変形計測装置において、
所定時間毎に得られた複数の前記スペックルパターン画像に基づき、画像各点毎の時間領域における強度信号I(x;t)を求める強度信号演算手段と、
前記強度信号演算手段から出力された強度信号I(x;t)から、所定の平均強度信号I(x;t)を差し引いて該強度信号の余弦成分I(x;t)を算出する平均成分除去手段と、
前記平均成分除去手段から出力された該強度信号の余弦成分に対し、時間領域におけるヒルベルト変換処理を施して、前記強度信号の正弦成分を算出するヒルベルト変換演算手段と、
前記平均成分除去手段において算出された該強度信号の余弦成分と、前記ヒルベルト変換演算手段において算出された該強度信号の正弦成分との比の逆正接を求める演算を行い、前記被観察体の物体位相を求める物体位相決定手段と、
を備えたことを特徴とする電子的スペックル干渉法を用いた変形計測装置。
【請求項6】前記強度信号I(x;t)に対して適切な時間キャリア成分を重畳せしめる時間キャリア重畳手段を備え、該時間キャリア重畳手段は、スペックル干渉を生ぜしめるための2系の照明光束のうちの一方に、これら2系の照明光束の間に所定の光路長差を発生させる光路長差発生手段を設けたことを特徴とする請求項5記載の電子的スペックル干渉法を用いた変形計測装置。
産業区分
  • 測定
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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