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9-BBNを開始剤とするスチレンのヒドロホウ素化-自動酸化リビングラジカル重合の新規溶媒系 コモンズ

国内特許コード P04P001628
整理番号 Y2002-P187
掲載日 2004年7月30日
出願番号 特願2002-246123
公開番号 特開2004-083727
登録番号 特許第4445188号
出願日 平成14年8月27日(2002.8.27)
公開日 平成16年3月18日(2004.3.18)
登録日 平成22年1月22日(2010.1.22)
発明者
  • 菅野 修一
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 9-BBNを開始剤とするスチレンのヒドロホウ素化-自動酸化リビングラジカル重合の新規溶媒系 コモンズ
発明の概要 【課題】芳香族溶剤を用いたリビング性が維持される9-BBNを重合開始剤として用いたスチレンの重合系の提供
【解決手段】芳香族溶媒、例えばトルエン、ベンゼンにジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、およびp-クロロアニリンから選択される化合物を存在させる、特にジエチレングリコールジメチルエーテル、またはp-クロロアニリンことを特徴とする9-BBNを開始剤として酸素存在雰囲気下でスチレンのリビングラジカル重合を維持するスチレンをヒドロホウ素化-自動酸化リビングラジカル重合するための新規溶媒系。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


従来、単分散に近い分子量を持つポリマー、規則性を持つポリマー、機能性の官能基を持つ調整(制御)されたポリマー類を製造する方法として、モノマーの存在する雰囲気において重合鎖末端に活性ラジカルを安定に、長寿命で維持して、逐次的にモノマー、またはマクロマーを付加する重合に関する技術が研究されてきた(例えば文献1;大津 隆行、高分子、37巻3月号、248-251、参照)。前記モノマーの存在する雰囲気において重合鎖末端に活性ラジカルを安定に、長寿命で維持しての概念には、一時的に可逆的に不活性化された結合状態で存在する場合、すなわち、ブロック重合可能に再活性化しうる可逆的結合により不活性化されている、いわゆるドーマント状態の場合が含まれる。
このような中で、Chungらは、9-BBNをアルキル化した、アルキル-9-BBNを開始剤として用いて、種々のビニルモノマーを酸素を過剰酸化を押さえながら、換言すれば酸素供給を微妙に制御しながら後添加することによって、該アルキル-9-BBNを酸化して該モノマーを重合する研究をし、該重合の反応機構にリビングラジカル性を見出し、メタクリル系モノマーなどをリビングラジカル重合する技術を報告している(文献2:A.C.S.Sympo.Series.36(1)(1995)241-242、文献3:J.Am.Chem.Soc.1996,118,705-706)。



しかし、前記Chungらのリビングラジカル重合は、9-BBNのアルキル化化合物を、酸素供給による酸化により始まる重合開始剤として利用するもので、9-BBNのアルキル化、例えば、ヘキシル化またはオクチル化の工程が必要である。これに対して、本発明者は、9-BBNをそのまま用いて、種々のビニルモノマーを空気雰囲気の下で重合する技術の研究をし、モノマーのヒドロホウ素化、これに続くヒドロホウ素化化合物の自動酸化による重合系を提案した(文献4;東北高分子ミニフォーラム2000:平成12年3月10日、山形大学工学部において開催の予稿集において、「9-ボラビシクロ〔3.3.1〕ノナンを用いたビニルモノマーの重合」と題する発表において、また、文献5;第49回(2000年)高分子学会年次大会5月29~31日、名古屋国際会議場において「9-ボラビシクロ〔3.3.1〕ノナンを開始剤とするビニルモノマーのラジカル重合」と題する発表において)。しかし、これらにおいては、バルク条件、あるいは芳香族溶媒のような溶媒を用いない重合条件において重合の実験を行っており〔ここでは、重合系への9-BBNの導入は、Aldrich:0.5M テトラヒドロフラン(以下THFと表現する場合もある)溶液を用いているが〕この重合条件では9-BBN重合開始剤1モルに対して0.25モルのTHFを配合することにより、スチレンをモノマーとする重合系においては、リビング性、すなわちモノマーの転化率の増加に伴って、得られる高分子化合物の分子量が増加する特性が認められることを発表している。しかしながら、ここでは芳香族の溶媒は使用されていない。更に、第49回(2000年)高分子討論会、9月27日~29日、東北大学川内北キャンパスにて開催の予稿集(文献6;で表題「IIPa019 9-ボラビシクロ〔3.3.1〕ノナンを用いたスチレンのリビング重合」)の発表において、バルク重合におけるアミン類の効果について検討している〔「TABLE2」の「9-BBNを開始剤とするスチレン重合におけるアミンの効果」〕。p-クロロアニリンなどのアミン類の添加におけるpKa値と重合の抑制効果について検討して、9-BBNの重合開始剤としての特性を明らかにしている。しかしながら、ここでは、前記化合物の添加剤として技術的効果については、ヒドロホウ素化過程での競合抑制効果を推測しているだけで、9-BBNを重合開始剤とするスチレンの重合におけるリビング重合性維持効果については全く考察も言及もしていない。



また、本発明者は、α,β-不飽和カルボニルモノマーの重合開始剤として9-BBNを用いて、空気雰囲気中の酸素を利用することにより、該モノマーのヒドロホウ素化、これに続く該ヒドロホウ素化化合物の自動酸化、そしてホモリシス分解でのラジカルの生成による該α,β-不飽和カルボニルモノマーのリビングラジカル重合方法において、前記リビングラジカル重合を維持するために、モノマー1モルに対して1.2モル~7モルのTHFおよび/またはジオキサンを加えることを提案した(文献7;特開2002-194014号公報)。しかしながら、ここにおいても芳香族の溶媒は使用されていない。



ところで、ポリスチレンは、需要の大きなポリマーであり、工業的にはその大部分がラジカル重合法で製造されている。またポリスチレンの特殊用途では、分子量と共に分子量分布の制御されたポリマーが望まれ、リビング重合は前記需要との関連から見れば理想的なポリスチレンの生産技術であるが、未だ本格的な生産技術とはなっておらず、新規なリビングラジカル重合技術の提供が望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、リビングラジカル性を維持する濃度の、p-クロロアニリンの存在する芳香族溶媒系反応媒体において、9-BBNを開始剤とし、スチレンのヒドロホウ素化-自動酸化リビングラジカル重合する新規な重合系。換言すれば、p-クロロアニリンを加えた芳香族溶媒系から成る9-BBNを開始剤とする新規リビングラジカル重合溶媒系に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
トルエン溶媒に9-BBNに対し1~3倍当量のp-クロロアニリンを存在させることを特徴とする、9-BBNを開始剤として酸素存在雰囲気下でスチレンのリビングラジカル重合を維持するスチレンをヒドロホウ素化-自動酸化リビングラジカル重合するための新規溶媒系。

【請求項2】
ベンゼン溶媒に9-BBNに対し1~3倍当量のp-クロロアニリンを存在させることを特徴とする、9-BBNを開始剤として酸素存在雰囲気下でスチレンのリビングラジカル重合を維持するスチレンをヒドロホウ素化-自動酸化リビングラジカル重合するための新規溶媒系。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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