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前駆脂肪細胞株 新技術説明会

国内特許コード P04A004535
整理番号 NUBIC-2003000085
掲載日 2004年8月6日
出願番号 特願平10-378013
公開番号 特開2000-083656
登録番号 特許第5055611号
出願日 平成10年9月9日(1998.9.9)
公開日 平成12年3月28日(2000.3.28)
登録日 平成24年8月10日(2012.8.10)
発明者
  • 加野 浩一郎
  • 橋本 光一郎
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 前駆脂肪細胞株 新技術説明会
発明の概要 動物の単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞の新たな樹立方法及び該方法により得られる前駆脂肪細胞株を提供することを課題とする。動物由来の単胞性脂肪細胞を天井培養して得られる線維芽細胞様脂肪細胞を長期間継代培養しても形質転換なしに、かつ、均一な増殖及び分化能を保持する前駆脂肪細胞が得られることを見い出した。
従来技術、競合技術の概要
白色脂肪組織の大部分を占有する成熟脂肪細胞は、生体が摂取した余剰エネルギーを中性脂肪に変換して貯蔵するだけでなく、生体維持に必要なエネルギー収支の調節機能においても主要な役割を果たすことが明らかにされている。このため脂肪細胞では、脂質代謝ならびに種々の生理活性物質の生成および分泌が活発に行われている。成熟脂肪細胞の直径は、10~200μmと多様であるが、細胞質内に一つの大きな脂肪滴と周辺部に押しやられた核を有する典型的な形態から単胞性脂肪細胞と呼ばれている。脂肪細胞の形成過程は、まず多能性中胚葉細胞から前駆脂肪細胞となり、活発に増殖する。ついで、前駆脂肪細胞はコミットメントされたのち、増殖停止して脂肪細胞へと終末分化するとされている。この一連の分化過程において脂肪細胞特異的な遺伝子が整然と発現されることが知られている。最近、脂肪細胞の分化に関与する転写因子(核内受容体)の研究が急速に進展し、脂肪細胞特異的な遺伝子群の発現誘導および抑制を調節するマスターレギュレーターとして、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)が発見された。PPARγは脂肪細胞にのみ特異的に発現し、栄養素である脂肪酸をリガンドとする核内受容体である。また、PPARγはレチノイドX受容体と補因子二量体を形成して、標的遺伝子の応答配列(PPRE)に結合して転写調節することも明らかにされた。
【0003】
これと並行して、PPARγはインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)に対する治療薬であるチアゾリジン誘導体の細胞内標的タンパク質であることが示され、肥満症、糖尿病、および、高脂血症などの成人病と、脂肪細胞分化を支配する転写調節の研究との緊密な接点が明らかにされつつある。成人病との関連性では、脂肪細胞が種々の生理活性物質を生成および分泌する内分泌細胞としての側面が注目されている。インスリン抵抗性は、肥満症および糖尿病において最も頻繁に認められる病態である。肥満を伴う糖尿病におけるインスリン抵抗性は、脂肪細胞から分泌されるTNFαによって惹起されると考えられている。実際、肥満のヒトあるいは動物では、内臓に形成された脂肪細胞からTNFα分泌が亢進されており、インスリン抵抗性の指標と相関することが示されている。また、PAI-1(plasminogen activator inhibitor 1)は血液線溶系における最も重要な物質であり、線溶性を低下させ血栓形成を促進し、心筋梗塞などの原因となることが知られている。肥満症およびNIDDM患者では血中PAI-1が上昇するが、それらは主に内臓脂肪細胞由来であることも明らかにされている。さらに、肥満遺伝子の産物であるレプチンは脂肪細胞で産生され、中枢に作用して摂食抑制およびエネルギー消費を促進して体脂肪を一定に調節する新しいホルモンであるが、これも肥満症およびNIDDM患者において高く、またTNFαによって産生が亢進されることも明らかにされている。肥満症あるいはNIDDMにおける血中のTNFα、PAI-1およびレプチンの上昇は、チアゾリジン誘導体によって強く改善されることから、それら脂肪細胞由来の生理活性物質の生成および分泌は脂肪細胞分化に直接関係すると考えられる。しかし、疾患についての知見はヒトにおいて、また脂肪細胞分化の機構についてはマウス前駆脂肪細胞株を用いた体外培養における知見がほとんどであり、それらの疾患と脂肪細胞分化の関連性については未だ不明な点が多く残されている。
【0004】
一方、家畜あるいは家禽など産業動物の体脂肪蓄積の制御および脂肪交雑肉の作出は、これまで飼料エネルギーあるいは栄養素の調節によっておこなわれきた。しかし、経済効果優先の育種目標として、増体量の向上が優先されたことから飼料摂取量の多い個体が必然的に選抜されてきた。それにより、飼料摂取量が多い個体ではエネルギー過剰に陥りやすく、脂肪として過剰に蓄積する傾向を有する。これに反して、ヒトでは肥満症の増加から低脂肪の畜肉が嗜好され、生産される大部分の脂肪は食されることなく廃棄されているのが現状である。同時に、家畜あるいは家禽においても体脂肪の過剰蓄積に起因する代謝障害による疾病の増加も問題になっている。これらの解決策として、飼料成分の調整等による従来の間接的な方法によって高い生産性を維持しつつ、体脂肪の過剰蓄積を抑制することはすでに限界に達していると思われる。そこで、根本的なテーマとして、脂肪組織を構成する脂肪細胞の増殖および分化機構を直接的に制御することができれば、体脂肪蓄積のより効果的な制御を可能にすると考えられる。しかし、家畜あるいは家禽の脂肪組織を構成する脂肪細胞の増殖および分化に関する細胞レベルでの知見の集積はほとんどなされていないのが現状であり、またそれを調べるための優れた実験系も未だ確立されていない。
【0005】
これまで脂肪細胞の増殖および分化に関する研究は、主に、Swiss-3T3由来の前駆脂肪細胞株(3T3-L1や3T3-F443A)、或いは、脂肪組織を酵素処理することによって得られる間質-血管画分に含まれる前駆脂肪細胞(S-V細胞)の初代培養系を用いて行われてきた。しかし、Swiss-3T3由来の前駆脂肪細胞株には、1)パターンが異なった染色体をもつ変異細胞が混入している、2)妊娠17~19日の胚由来であるため、アダルト由来の前駆脂肪細胞とは分化特性が異なる、3)血清添加培地で培養すると自発的に分化誘導されるので、本質的に分化誘導する物質を特定できない、等の解決すべき課題がある。一方、S-V細胞は、1)前駆脂肪細胞以外の細胞、たとえば、血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞などが混入しているため、前駆脂肪細胞自体の分化特性を調べることができない(他の細胞群の影響を無視できない)、2)脂肪組織中には、中胚葉性の多能性細胞から前駆脂肪細胞へと分化したばかりの細胞から、既にコミットメントされ脂肪細胞への分化途上の細胞に至る、種々の段階の分化過程にある細胞が存在する、3)初代培養系であるため、同一材料を用いて複数回の実験ができない、4)前記2)及び3)の理由から細胞を調製する個体間の差が大きいため、再現性の高いデータが得られない、等の解決すべき課題がある。
【0006】
これらの課題は、対象とする動物の前駆脂肪細胞を限界希釈法などによってクローニングして、前駆脂肪細胞株を樹立することにより解決できる可能性があるが、この様な操作は煩雑であり、且つ成功率が低い。
産業上の利用分野
本発明は動物の単胞性脂肪細胞由来の前駆脂肪細胞株の樹立方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】動物の単胞性脂肪細胞を天井培養し、天井面に細胞が接着した段階で、通常の培養法に戻して培養を継続し、細胞質に脂肪滴を有さない線維芽細胞様脂肪細胞となった段階で、遠心分離し、沈殿画分に分離された脂肪滴をまったく有さない線維芽細胞様脂肪細胞のみを継代培養することによって得られる該動物由来の前駆脂肪細胞株であって、細胞質に脂肪滴を持たず、また自発的な分化を起こさない、長期継代培養可能でありかつ長期継代培養後も増殖および分化特性を維持している前駆脂肪細胞株。
【請求項2】動物がヒトである請求項1に記載の前駆脂肪細胞株。
【請求項3】動物がブタである請求項1に記載の前駆脂肪細胞株。
【請求項4】動物がニワトリである請求項1に記載の前駆脂肪細胞株。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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