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既存のものと花色の異なる花を咲かせる植物の製造法 コモンズ

国内特許コード P04P001130
整理番号 Y2002-P285
掲載日 2004年8月20日
出願番号 特願2002-364296
公開番号 特開2004-194523
登録番号 特許第3831335号
出願日 平成14年12月16日(2002.12.16)
公開日 平成16年7月15日(2004.7.15)
登録日 平成18年7月21日(2006.7.21)
発明者
  • 渡部 由香
  • 宮内 信文
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 既存のものと花色の異なる花を咲かせる植物の製造法 コモンズ
発明の概要 【課題】本発明の目的は、通常は、橙色、ピンク色、赤色、赤紫色等の花を咲かせるアントシアニン系色素含有植物に青色の花を咲かせるための栽培方法と、青色の花を咲かせる(或いは、咲かせた)、アントシアニン系色素を含有する植物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、有効量のモリブデン化合物を使用して栽培することを特徴とする、青色の花を咲かせる、アントシアニン系色素を含有する植物の製造法、及び該製造法により得られた、青色の花を咲かせる(或いは、咲かせた)、アントシアニン系色素を含有する植物に関する。
また、本発明は、対象とする植物の花弁切片を0.1mM以上の水溶性モリブデン酸塩類水溶液と接触させることによりチェックすることを特徴とする、アントシアニン系色素を含有する植物の花の色を青色化出来るか否かの事前チェック方法に関する。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


園芸統計平成13年版によれば、花卉産業では、平成12年産花卉類が約70億本以上出荷されており、その卸売価額は切り花と鉢物合わせて4,897億円となっている。また花卉(植木を含む)小売業者の商店数は昭和57年では23,000店舗ほどであったのが平成11年には28,000店舗以上となっており、年間販売額は昭和57年では3,500億円程度であったものが平成11年には9,000億円に達している。
業界では、商品の需要が観賞目的である性質上、従来の品種とは異なった色や形の花に対する評価が非常に高く、毎年多くの品種が育成、紹介されている。新色の切り花や鉢物の小売価格は従来の品種の2倍以上であることも少なくない。このようなことから、従来にない花色の花を提供することは、消費者の購買意欲と選択肢を増やし、新たな消費を促すことになると思われる。
全国的に花を日常生活に取り入れる風潮が高まっており、今後の家庭用の切り花や鉢花の需要の伸びが期待される。
植物の自然な発色については天然植物色素が貢献しているが、その主な物質としてクロロフィル類、カロチノイド系色素、アントシアニン系色素が挙げられる。 クロロフィルは緑色の色素で主に葉や茎の発色に寄与している。力ロチノイドは黄色から橙、赤の色をカバーしている。アントシアニン色素の発色は橙色からピンク、赤色、赤紫色が多い。青色の発色もアントシアニン系色素によるものであるが、その発色機構は複雑であり現在も研究が進められている。また、生花店で販売されている主な花卉類において空色に近い青色の花の品種は意外に少ない。 バラでは古来より青いバラの作製が育種家の夢であるが、従来の育種技術では
困難と言われており、近年、遺伝子工学を利用して青バラの作製が研究されているが、未だ成功した例はない。
また、花色に関して新色を得る方法としては、最も手軽な方法としては、白色の花弁をもつ花の茎からに青や緑などの人工的な色素液を吸収させ、好みの色に着色する方法があり、現在、種々の色素液が販売されている。しかしながら、この方法では切り花全体が一様に着色され、人工的な印象を受けるため人気がなく、あまり活用されていない。



モリブデンイオンとB環に水酸基をもつアントシアニン色素が結合して強酸性条件下で青色になる反応は溶媒で抽出したアントシアニン色素の分析方法の一つとして、古くから知られている。更に、モリブデンイオンを含む溶液を切り花に吸収させる、あるいは花弁にモリブデンイオンを散布し花色を青色化することも過去に試みられている(例えば、非特許文献1参照。)。この論文中ではモリブデン酸ナトリウム溶液を切り花の茎から吸収させる、あるいは花に直接散布処理を行い花色を青色化させる効果について調査しており、5mMのモリブデンイオン溶液を切り花の切り口から吸収させたところキキョウの花において青色化が見られたが、キキョウ以外の花では、青色化が起こり且つ薬害が少なく鑑賞期間が短くならない等の条件を備えたものは極めて少なかったことから、切り花にモリブデン化合物の溶液を吸収させる方法は利用できない場合が多い、と結論づけている。実際に、この現象が論文で発表されてから20年近く経過しているが、一般的な技術としては全く利用されていない。
また、アブラナ属の種子についてモリブデンを含有した寒天培地(モリブデン濃度:60ppm)で発芽させ7日間育てたところ、その茎等が青く変化する現象が観察された旨の報告が昨年なされたが(非特許文献2参照)、これは無菌培養条件下という特殊な実験条件で、発芽時での処理であり、開花まで数ヶ月の栽培期間が必要である園芸作物へは簡単には応用できないと考えられる。芽生えであれば種子の栄養分で発芽できるため、ある程度の初期生育は可能であると思われるが、長期間の栽培には健全な根の発達が必要であるのがその理由である。通常の露地栽培条件において含まれているモリブデンイオン濃度は0.1ppm程度であるから、その600倍の濃度の過剰なモリブデンイオンを吸収しつつ種子から開花まで数ヶ月の生育を健全に続けられるかどうかは全く不明である。



【非特許文献1】
園芸学会雑誌,52巻,174-179,1983年
【非特許文献2】
Plant Physiology,Vol.126,1391-1402(2001)

産業上の利用分野


本発明は、既存のものとは花色の異なる花を咲かせる植物の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、アントシアニン系色素を含有する植物であって、通常は、橙色、ピンク色、赤色、赤紫色等の花を咲かせる植物に、青色の花を咲かせるための栽培方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
対象とする植物の花弁切片を0.1mM以上の水溶性モリブデン酸塩類水溶液に接触させて、花弁の色の変化を観察することにより判定を行う、花の色を青色化出来る植物のスクリーニング工程、
スクリーニング工程において花の色を青色化出来ると判定された植物を、花の色を青色化するために、有効量のモリブデン化合物を使用して栽培する工程、
を含む、青色の花を咲かせる、アントシアニン系色素を含有する植物を製造する方法。

【請求項2】
モリブデン化合物がモリブデン酸の塩類である請求項1に記載の製造法。

【請求項3】
モリブデン酸の塩類が、モリブデン酸アンモニウム又はモリブデン酸のアルカリ金属塩類である請求項1又は請求項2に記載の製造法。

【請求項4】
栽培する工程で使用するモリブデン化合物の使用量が、モリブデン濃度として0.1mM~10mMの範囲である、請求項1~3の何れかに記載の製造法。

【請求項5】
有効量のモリブデンを使用して栽培する工程が、予想開花前2週間以内の時期に行われる、請求項1~4の何れかに記載の製造法。

【請求項6】
栽培方法が、水耕栽培、鉢植え又は露地栽培である、請求項1~5の何れかに記載の製造法。

【請求項7】
対象とする植物の花弁切片を0.1mM以上の水溶性モリブデン酸塩類水溶液に接触させて、花弁の色の変化を観察することにより判定を行う、花の色を青色化出来る植物のスクリーニング方法。

【請求項8】
花弁切片を0.1mM以上の水溶性モリブデン酸塩類水溶液に1日以上接触させる請求項7に記載のスクリーニング方法。

【請求項9】
水溶性モリブデン酸塩類水溶液がモリブデン酸アンモニウム水溶液である請求項8又は請求項8に記載のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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